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もう、素直なブランシーヌはいない

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前世を思い出し、レオンが愛した人、恒だった事が分かった。ずっと側にいてくれた事が嬉しかった。レオンと話をして落ち着いてきた。そこでレオンステータスボードのことを教えてくれた


「そういえば、ステータスボードが見れるよ。転生者だけみたいだけど。心の中であのお約束の ‘’ステータスオープン‘’  言ってみて。出てくるから。」
 
レオンに促されて心の中で念じた ‘’  ステータスオープン  ‘’  するとベージュ系のボードが空中に現れた。 やや不透明なそれは、タッチする事も出来不思議な感じだ。便利だから深くは考えない。

それによると、スキルはやはり日本語で書かれており前世の私が執着していた無属性で空間系も自在な魔法。転生したら・・・って妄想時にネットのお買い物は欲しいけど・・無理かなー。(転生自体が普通無理でしょ・・・)なんて感じのご都合主義な妄想を抱いてたんだけどそれが実現してた。これは誰に感謝すれば良いのかな?  とにかくありがとうございます!なチートから錬金に似た感じの ‘’クリエイト(想像創造)‘‘  金銭や素材、魔力ーーーを対価としてまさしく造り出す事が出来る。魔法や物によって対価が異なる。 ハッキリとした想像がより正確な創造を、生むらしい。

私、もう平民で生きて行ける! 正直お父様やカーシス様なんてどうでも良くなった。興味がかなり、いや消失するレベルでどうでも良くなった・・・

「なんか、シラキュース家とカーシス様への興味が失せてない?」とレオンがジトーと見てくる。私の面倒くさがりな性格を知っている恒ことレオンにはバレバレだ

「・・・うん。正直言うと、もうどうでも良い、かな。それよりスキルで試したい事がたくさんあるの・・・」と目線をずらすと

「気持ちは分かるけど、ダメだぞ?成人前の貴族子女は追尾魔法掛かってるの忘れた?しかも、まだ婚約者のままのカーシス様は公爵家。どこまでも探されちゃうよ?」

「う‘’ーーー、そうでした。じゃあ、やっぱり当分はこのままかー。あんまりあからさまに魔法が使えると逃げられなくなるし・・・仕方ないから、‘’無能‘’  な私は虐げられる娘を演じつつ知らない振りしながら頑張るしかないか・・・。いっそのこと婚約破棄して欲しいな。お義姉様がお父様に泣きつけば良いのに。」



そんな一幕の後、日常へ渋々戻る。渋々のしぶしぶだ。


「あーら、ブラン。黒いのにブラン! うふふふっ、おかしいわね。

見て?この私のお肌、髪、輝いているでしょ? 女性はね、愛されてると美しくなれるのよ! 特にとびっきりの殿方に愛されてるとより一層輝くのよ。例えば・・・あ、これは言えないんだったわ! うふふ。さ、あなたはお掃除でもしておいてね。あなたは、床磨き! 私は、磨かなくちゃ。」

なんて鬱陶しいのかしらと心の底から思うけど悲しそうに被害者面しておいた。折角頑張って悲しんでるのに折角隠しておいたバケツをわざわざ、他のメイドに持って来させて溢して行った。嫌な人。もう少しで磨くなら頭の中身とマナーに刺繍の腕では! 言いそうになったけどグッと我慢。 あ、人にやらせるから問題ないと言ってたなと思い出した

あーあ、私の心の中が黒くなっていく。気をつけよう・・・

その後は義妹の襲来があり、コチラもビーベリン侯爵家のアーポン様と婚約が決まったらしく今度姉妹揃って婚約のお披露目があると鼻高々だ。

「あーら、ブラン。黒髪なのにブラン

また、カーシス様とのお茶会、お会い出来なかったんですって? おかしいわね?ダーメリン家の馬車は停まっていた気がするわ? でも、そんな筈ないわよね? ブランは会えなかったんですもの、私の見間違いかな?ふふっ。

では、私はアーポン様と新しく出来た素敵なღカフェに行ってくるわねっ。」

義姉と同じネタで嫌味を開始し、最後はデート自慢してご機嫌にお出かけした。恐らく私が企画して開店させたカフェにウキウキと出かけて行った。 どうぞ、たくさんお金を落として行ってくださいませ。美味しい味を覚えて来てね?


と見送っていたらお約束の義兄だ・・・もう、めんどくさい

「おう、辛気臭くしてるか? またお茶会・・・流れたんだよな? どうしてだろうねー、フッ。

まあ、お前もその内嫌だと思っても知る時が来るさ。その足りない頭でよーーーく、考えてみたら?」

とニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべながら去って行った。30代まで生きた経験があるとサラッと流せるし、もうスキルのことが嬉しくて色々お試ししたいから最速でやり過ごす術を身につけなきゃな・・・とか思ってると楽しみ過ぎてニコニコしそう。それは不味い、でも毎回悲しいふりをするのが困難になって来た。 


やっと、掃除諸々終わり義母と家庭教師のコンビまでやり過ごしたら義姉が帰って来たようだ。

カーシス様にエスコートされて。 カーシス様はまだメイド服を着ていた私には直ぐに気付けなかったようで・・・


「ただいま、ブラン。まだ終わって無かったの?クスクス」とカーシス様の腕に絡み付く。

「え?ブランシーヌ?どこに・・・」キョロキョロと見渡し私を見つけたカーシス様

うっかり睨み付けそうになったけれどなんとか昨日の気持ちを思い出して、前世での悲しい事も総動員してやっと涙が出た。

「カーシス様、お久しぶりでございます。お忙しいのはお義姉様と会う為だったのですか?」と哀しげに涙をポロリとこぼし目を伏せた。

「ブ、ブランシーヌ! そんな、君がそんなに悲しむなんて・・・。勿論愛しているよ。ああ、ごめんね僕のせいで泣かせてしまって。」と抱きしめてきた。 辞めろーーーー、気持ち悪い!とも言えずしおらしく嗚咽していると。

「そ、そんな!カーシス様は私のことを・・・」 と顔を歪めポロポロと涙を流す義姉。

「ああ、アイリーン! なんて美しいんだ。僕の為にその美しい涙を流しているの?」と私を抱いていた腕を解きお義姉様の方に向き直る。

「うっ、っ、カーシスさまぁ・・・」更にポロポロと涙をこぼす

あー、早く離れに戻りたい。いつまでこのやっすーい三文芝居を見ていれば良いの?おばちゃんにはこのレベルだとつまらないです。


「カーシス様・・・私は大丈夫です。どうかお義姉様の所に行ってあげてください。」と、密かに直ぐ近くのお義姉様の方に押しやり、さも悲しげに走り去った。ありがとう、メイド服・と靴。

流れた涙が、この場を離れられる喜びの涙なのは秘密だ。

もう、カーシス様への愛は消えた


前世と昨日の私は自分が涙で流れて消えたいと願った。朝露と共に消えたいとも願った・・・でも、今消えたのはタカシこと、カーシス様への愛だった







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