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ゼイル商会
しおりを挟むゼイル商会を検索し、向かう事に。
街並みはほんとゲームの世界やら何やらを合わせた感じになっていた。あまりにも想像通りで驚いたけれど・・・
冒険者ギルドの辺りはメインストリートとでも言うのか大きな通りでそこから更に小高い丘にある領主館かな?の方まで伸びていた。何だか、王都の時は追われてるような急かされているような気がして周りがよく見えなかったけれど、今回は信頼出来る仲間、いや家族と一緒で目に入る景色がとても新鮮で胸がドキドキしている。
街の外にいる時はモンスターとの遭遇のみ気にしていたけれど街中では人や動物、対物に対しても相手を傷付けないように保護の作用を付加した。
ゼイル商会は冒険者ギルドから然程遠く無いところにあり、間も無く着くだろう。
そうして、到着したゼイル商会は、日本でいう所のデパートの外観の様だった・・・
私の頭の中では、越後屋なのだけど、現実はそうそう上手く?いかないもんだ。
何故か残念な気持ちになりながら素敵な店内に入って行く。外観も内側もとてもセンスの良い店構えだった。
素晴らしいです。
まあ、ソレはさておき。ゼイルさんが居ることは分かっている。けれど忙しいだろうから、今日はアポ取りだけでも良いねって話を皆んなでしていた。 なのでフロアマネージャーさん的な方が居るだろうから取り次いで貰おう。皆さん忙しいだろうけどそこはごめんなさいしよう。
接客していない店員さんにお願いしてみたら話馬聞いているとの事でアホ取りだけでもいい事伝えると。一旦取り継ぐとの事だった。 応接室の様な場所に通された私達。 何かのハーブだろうか柔らかい優しい感じの風味のお茶を出してくれた。とてもリラックス出来る。帰りに買って帰ろう・・・
しばらくすると、ゼイルさん本人が来てくれた。
「皆さん、おいで頂きありがとうございます。 お待ちしておりました。」と柔らかな笑みで声をかけてくれた。
「こちらこそありがとうございます。大変お忙しくていらっしゃるでしょうから、本日はお約束だけでもと思っていたのです。」ヨワヒムさんに代表して話してもらっている。
「いえいえ、街道にあんなに立派な休憩場所を造ってくださったのです。1番の優先事項ですよ。ハッハッハ」とゼイルさん。
良かったです。受け入れられて。
「領主様には既にお伝えしておりまして、お会いしたいとの事でした。宜しければお時間取っていただけましたらと思います。出来れば皆様全員に来て頂きたいとの仰せでした。」
「ワシらもか?」
「はい、高名な鍛治職人のダンガル様。」
「じゃが、ワシは王女に追放された身だ。」
「・・・ソレは、不運と言うもの。今代の職人であなた様の右に出る者はおりません。」
「まぁ、領主様が言うんならワシは別に構わんがな。」
ここで、ゼイルさんは表情を曇らせ
「正直、ここだけの話。うちの領主様は人が真っ直ぐで民の為を思っておられる数少ない領主貴族です。そのせいで王家からはかなり冷遇されておられます。」
「・・・そう言うのも関係してるんですね。あの街道の整備然り。」と私。
「はい、左様でございます。王家からの圧力で税率も領主様だけ高いのです。壁の修復だけで精一杯で、哨戒させる兵士も街道までは足りておりません。」
「そこまで力を削いで王家はどうしたいのでしょう・・・こんなに王都近くの領土なのに。」と優斗さん
「まあ、会って間もないあなた方に言うのも何ですが、あなた方には不思議な縁を感じます。なのでお伝えしますが、王家は領主様を追放したいのです。力不足を建前として。気に食わないとダンガル様や優秀な方々を追放したのと同じ様に・・・
領主様もご自分だけなら構わなかったが、その後の領民の事を考えると・・・思い切る事が出来ずにおられるのです。
善良な者ばかりではありませんが数少ない善良な者達がおります故。」
「何とも嫌な話ですね。」とヨワヒムさん
「そうです。この国からはまともな者が消えて行っております。私達も今後を考えながら商いをしているのです。」とゼイルさん
そうだよなぁ、ソレで力ありそうなゼイルさんも色々手を出しても無駄になるから街道とかも手付かずなのかもね。
休憩場所、少し発展させてゼイルさんに良きにして貰おうと思ってたけど、下手に発展させても王家に奪われるだけかもな。利益だけ・・・その事をゼイルさんに伝えると
「はい、あなた様方のおっしゃる通り、あれ以上発展したら利益だけ王家に奪われるでしょう。何かと理由を付けられて。今迄と同様に。なので、そのお気持ちだけで十分です。ありがとうございます。」
「何だか納得できない王家ですね・・・」
と真斗さん
本当、潰れて仕舞えば良いのに、ソレに私の勝手な推測だけど困っていると言うより他国に戦争を仕掛けたいだけに見える。私がラノベで学んだ感じだと。魔族に困っているとは感じなかった、今の所は。
王家、本当にやな奴らだ全く。
「はい、しかし現在のこの国ではソレが当たり前となりました。まともな貴族家や商人は減っております。これからもっと少なくなっていく事でしょう。ここの領主様がコレまで持ち堪えたのはこの国始まって以来の古くからの公爵家であり力があったからです。」
「なる程ですね・・・ここまで私達にお話になるのには訳がお有りですよね?」とこれまで黙っていたガントさんが切り出す。
うん、ソレ多分皆んなが思っていた事だと思う。
「はい、あなた方にこの様な話をしたのはお見受けした所、この度召喚された勇者様方だと思ったからです。ソレも、早々に市井に降りていらっしゃる。訳ありの。」
とここで言葉を切り、射抜く様な目で私達を見てくる。何か大きな事が関わってくるのだろう。
「王家はどの様な判断をしたのかは分かりませんが、私はあなた様方がかなりのお力を秘めておられると判断致しました。街道の件を除きましても・・・」
面倒事の匂いがする。私達は今自分達の事もおぼつかない。この世界で手探りの状態だ。
「私達は、ゼイルさんのおっしゃる通りこの度召喚されました者達の一部です。ソレも追放された者もおります。何の力も無いと思います。」優さんが少し牽制する。
「いえ、大きな事をお願いするつもりはございません。あなた様方が街道で使って居られた様なお力を、今後もしお会いした場合は少しお力添え頂ければと思いまして。」
何とも微妙な言い回しだけれど様子見ながらだな。私的には。ゼイルさん自体は人は良さそうだ。今現在受ける感覚は。黒鉄も警戒はしていないし多分大丈夫だと思う。
「何れにしても、領主様にお会い頂きたいと思います。気さくな良い方なので何も気になさる必要はございません。--------」
こうして私達は領主様にお会いすることになった。ガントさんもその方が良いだろうとの事。ゼイルさんは気にすることは無いと言っていたけれど一応、領主様にお会いするのにおかしく無い程度の服装をゼイル商会で揃えさせて貰った。
明日、ゼイルさんと一緒に領主様にお会いする予定だ。お偉い方に対面するなんて初めてだ。緊張する。
その後、ゼイルさんに紹介して貰った宿へと向かった。そちらは楽しみだ。
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