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初めてのモンスター遭遇

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お詫びと訂正のお知らせ
『王都を出て2日目』と『今朝の目覚めもヨシ』の2話に馬さんのテイムの話を二重に書いていました。出発しようとしたらの方を訂正しました。話の流れ的には大差ありません。申し訳ありませんでした。

☆     ☆     ☆     ☆     ☆

本文

進む事2時間。変わらず長閑な景色。今までの人生で汚れてしまった心が浄化されるかの様だ。 幾ら綺麗な憧れた景色でも流石にコレだけ続くと見飽きるかと思ったけど、ボーと眺めつつ、スキルの事や色々考えていたら案外時間は過ぎて行く。

そんな景色に変化が訪れた。木が増え始め段々と森に近づいている感じ。 そう言えば、前は馬さん達を魔淵の森迄連れて行くと言う名目でそちらに向かっていたけれど、今はその必要は無い。
暫くはそのまま進んで、また決める事になっている。

今の所は、まだ木もそこまで密集しておらず普通に街道も通っている。ただ、木が増えて来るとモンスターとかも増えるらしいので注意が必要らしい。だが今のところまだ遭遇していない。 ただ、原っぱでも沢山結界の周りには魔石や素材があったから居たのは間違いない。日中出会わなかったから夜行性が多かったのかな?


そんな事を思っていたら、鹿?の様な、かなり大きそうなモンスターかな?が遠目に見える。ガントさんに聞いてみると

「ああ、アイツはディアイラだな。まあ、見ての通り鹿のモンスターだ。気性が荒いタイプは、見境なく突っ込んで来るが、大人しい奴は本当に穏やかなんだ。遭遇したら先ずは、様子見た方が良い。」との事

どっちみち、突っ込んで来るタイプからは目視された後慌てて逃げても逃げきれないらしく、落ち着いて見極めた方が次の手が打ちやすいそうだ。ただ、結構強いらしいのでなるべく遭遇しないに越したことは無いと。索敵が上手い者が居ると助かるらしい。

そっか、結構強くて危険なんだね。モンスターレベルとしてはD~Bとバラツキがあるそう。うーん、今の駆け出しの何も戦闘したことが無いパーティーには、厳しそうだね・・・どうしたものかな。と思っていたら、

「俺はこう見えて、案外戦闘はこなせるからAランク以上じゃ無ければ大体1人で倒せるぞ。」とガントさん。

え?ソレって強ない?普通に冒険者でも結構上位の人では? パーティーに誘って良かったのかな。と心配になった。その事を伝えるも、馬さん達も居るしパーティーは自分が一緒に組みたいんだから大丈夫だと言ってくれた。
いや、お荷物だよね私達・・・でも、もう少しこの世界に慣れる迄でも良いから一緒に居てくれると心強い。と言うのが本音。お言葉に甘えて暫くだけでもお願いしよう。


と言う事で、ディアイラと大分近づいて来た。緊張が高まりドキドキする。それに、モンスターと言うより鹿に見えるんだよ。胸が痛い。 私は、動物全般が好きだ殺したくない。小さな頃から自分より大きな犬も平気だった。そうこう言っていたらディアイラの近くに着いた。

ディアイラは、チラリと此方を見て戦闘モードに入った。マジか。目が赤っぽくなって殺気かな?何か圧を感じる。正直怖いと感じた。だって、殺気なんて浴びた事ない。何回も経験すれば慣れるのだろうか?イヤ、この世界で生きていくには慣れなくちゃ。るか、られるかになるんだ。

それに、私は黒鉄を守るし、皆んなも守りたい。そう思ってふと思い出した。サブをテイマーから忍者にしなくちゃ!と思い、忍者に変更。ステータス開かなくても念じれば大丈夫みたい。ヨシ!気合いを入れて。

ディアイラに対峙する。 静かに、しかし凄まじい圧迫感を醸し出しながら此方に近づいて来る。皆んなも、緊張しながらも気合いを入れた様だ。

私が、ホルダーからクナイを取り出したその時、ディアイラが駆け出した。
ターンと、ジャンプした軌道は真っ直ぐ!角を少し前傾させながら此方に向かって来る。優さんが盾を構えて、剣を持つ。真斗さんは、野球の様な構え?で剣で迎え撃つ。清羅さんが、クロスボウを引き絞る。私は、クナイを構えて深く刺さる様に!と祈りつつ投げた。

私が投げたクナイは、ディアイラの眉間に刺さった。着地するもよろけるディアイラ。そこに、真斗さんが剣で首にトドメを刺した。 長く苦しませる事はない。生き物を自分の意志で殺した・・・わたしの手で・・・不覚にも涙が出た。 私の覚悟は足りなかったのだろう。

涙が出たけど、次にまた敵対するモンスターが現れたら私は、また殺す。面白半分で殺す事はしない。でも、敵対して来たものは、場合によっては人も殺すだろう。そうでなければ大切なもの達が殺られる。自分も。そう言う世界に私達は来た。 その事を実感した。



大好きな動物の様なモンスターを殺した
私の意志で・・・











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