上 下
16 / 55

ウィルブレッド王子から、ざまあ。サヨウナラ。ショーモライズ

しおりを挟む


朝早くに宿を出て王都の門に着いた。ウィルブレッド・ユーリア第3王子殿下と随行員達の馬車の列だ。ユーリア国は1つ国を跨いだ所になるが大陸の中でも1、2を争う大国だ。今回は、ウィルブレッド王子が視察と商談を兼ねて他国を回っており同じ目的で外交の為夜会の出席となった。

ショーモライズ国の方が格下である為本来はそのまま見送りこそあれど、引き留められることは無い。 だが、今回は王陛下、王太子自ら見送りの為の挨拶と言う名のもとに馬車内でのの人に会いたいと無理な事をして来た。普段なら無礼すぎる事。だがそこはショーモライズ王。と、王太子。そんな事は自分勝手な理論で押し通す。


「ショーモライズ王よ、我々は何か嫌疑でも掛けられておるのか?この様な事・・・流石に無礼過ぎるぞ!」

「いえ、その様なつもりはございませぬ。ただ・・・」と言い淀みレオナルドの馬車の方を見る国王。

「ただ、なんだ?我が随行員に何か問題でも?」

「我々の探し人が紛れ込んでおるのではと思いまして。そちらの、ユウフィア様の馬車に乗り込む所を見た者が居るのです。」

「はて、そこまで断定なさるとは。ユウフィアこの様にショーモライズ国王自らが仰せだ、その様な事が?」

「国王自らわざわざ王太子殿下とご一緒にお探しになられるとは?それ程の重要人物が私の馬車におられるとは、驚きです。その方のお名前を教えて頂きますれば、幸いですが。」

「「っ!!!」」詰まるショーモライズ国王。当たり前だ、他国の王族と随行員の馬車を改めているのに明かせないとはおかしな話。


一瞬俯き悪い笑顔を押し込めた後
「まあ、第3王子とは言え、ユーリア国の王族をお見送りと言う名の下、馬車から降ろしたのだ。幾らショーモライズ国王と言えど、外交問題ですね。父には伝えておきます。」

「「・・・・・」」言葉にならない国王

「早く、名を教えて頂きたい。」静かな圧に押され

「アリアーナです。私のの」と王太子が口にする。

「何故?何故彼女を探されておられるのですか?可笑しな話ですね。私はつい先日貴国の貴族家が全て揃い、私達他国の者も居る中でされておりましたのを見聞きしました。しかも、国外に追放と・・・彼女は、親であるツーリフ公爵にもあの後勘当され、もう平民ですよね。しかも、この国から追放されたのだから国民でも無い!」
怒気を含む声音にタジタジとする両名。

「そ、それは・・・ただ、それだとなので我が王宮で仕事をと思いまして。」王とは思えないグダグダ加減でモゴモゴと口にする国王。


「おー、左様でしたか。それならばご心配なく。彼女はこちらで庇護致しました。
ただ、熱が出ておりこちらのユーフィアの馬車で侍女と休ませておりました。」
ハァ、ため息を吐き

「ユウフィア、可哀想だがアリアーナに出て来て頂くしかないな・・」

2人は、アイコンタクトだけで会話し、ユウフィアが馬車の中へ

「アリアーナ様。出て来て頂けますか?それと、可能でしたら発熱と風邪の症状と作れたら侍女も共に乗っていたと言う体でお願いします。」と小声だがレオナルド様の声がする。

まさかとは思ったが、大国の王族に無礼を働いた様だ。やはり、ただのバカだった。ココで隠れるより今後の事も含めてココでケリを付けることにした様だ。王陛下と話したのかな・・・


私は、言われた通り侍女を土魔法で作った。直ぐ壊れてしまうだろうけれど少しの間で構わないから人間そっくりに見えて動いてくれる様に設定。触った感じも、会話も人そのものだ。それと発熱した風邪症状っと。そこまで設定してから【隠れ家】から出た。

レオナルド様は、頷きエスコートしてくださった。


私の姿を見たショーモライズ国王と王太子

「やはり、そこに居たのだな!手間をかけさせるな!!!」と、王太子はいきなり手を挙げた

スッと前に出たレオナルド様が
先程、我が主、ウィルブレッド第3王子よりとお伝えしましたが。しかも、そちらの王宮で仕事を、とおっしゃいましたよね?」と王太子からの平手打ちを受けた。その手は胸に当たったのだが。

「そ、それは・・・しかし、出て来た以上こちらにつもりであろう?何の問題があるのだ!私の奴隷だ!返して頂こう!!」

とは?」普段は穏やかで優しい顔しか見せないウィルブレッド王子から溢れ出る怒気・・・そして威圧。王子は魔法の使い手の中でも数少ない高魔力で極級の魔法使いだった。

「貴方方のグダグダな話を聞いていたらこちらの出立がどんどん遅れる。こちらから伝えておこう。」チラリと私に目を遣り。

「アリアーナ様は、貴方達のとするには勿体無い人材だ!それと


あの、夜会の日。貴方達はアリアーナ様をあれだけの人の前で冤罪を被せ国外に追放した。先程述べた様に、彼女はもうこの国の民では無い。だからと見做したのか?ハッ!」冷たく睨みつけ

「生憎だったな!あんなに冷たい雨の降る寒空の下公爵令嬢であったアリアーナ様を・・・を放り出し、探した理由は、奴隷にするつもりとは・・良く、言えたものだ。

その、理屈で行けば、この国を我が国がとしても問題無さそうだな」

「「んなっ!そんな!!」」

「フンッ、小物め!この国など、私1人でも潰す事が出来る。もしかしたら、アリアーナ様なら瞬殺だろうが・・・彼女が好戦的では無い事を喜ぶんだな。

お前達は、それだけの力を持った者に冤罪を被せて国外追放としたのだ。彼女は、庇護した。

如何なるものも、手を出す事はならん!コレは、ユーリア国王の厳命だ。
今までどれほど彼女がこの国の為に成してきたか思い知れ!

私が手を下すまでも無い。自滅するだろうな。彼女を婚約者に据える前の状態を思い出せ。それ以下になるだろうがな。」

「「・・・・・」」青褪め、立ち尽くすショーモライズ国の者達。


「アリアーナ様。何か言いたい事はあるか?」


「はい。
私は追放されると知っておりました。それでもお慕いしておりました。あの、寒い夜。冷たい雨に全てが流される迄・・・

今は綺麗さっぱり気持ちは無くなりました。この国の王侯貴族達がどうなろうと何とも思いません。ただ、良心のある者、それと民達は幸せになれる様心から祈っております。」

「わざわざ、其方のくだらない立ち会ってやったのだ。有り難く思う事だな。コレ以降手出しして来た場合は、この国ごとする。以上だ。」


そう、言い捨てるとユーリア国一行は振り返る事もせず出立して行った。呆然と立ち尽くすショーモライズ国の者達を置いて










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王子妃だった記憶はもう消えました。

cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。 元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。 実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。 記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。 記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。 記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。 ★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日) ●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので) ●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。  敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。 ●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

(完結)その女は誰ですか?ーーあなたの婚約者はこの私ですが・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はシーグ侯爵家のイルヤ。ビドは私の婚約者でとても真面目で純粋な人よ。でも、隣国に留学している彼に会いに行った私はそこで思いがけない光景に出くわす。 なんとそこには私を名乗る女がいたの。これってどういうこと? 婚約者の裏切りにざまぁします。コメディ風味。 ※この小説は独自の世界観で書いておりますので一切史実には基づきません。 ※ゆるふわ設定のご都合主義です。 ※元サヤはありません。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。

処理中です...