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あっという間に・・・
しおりを挟む朝食を家族で一緒に食べ、壁を造る準備の最終確認を担当にお願いした。各地の領主達も参上してくれて話をしていく。
「皆、この時を待っておりました。どうか、御指示を。」
「待たせたな。いよいよだ。昼から壁を一気に建ち上げる。
皆の所にも招待状が届いておるとは思うが今日の夜会に参上しようではないか」
「「「「「「御意」」」」」」
「家の者も、そのつもりで準備をして参りました。」
「そうか、任せた。」
「はい、万端かと。」
午前中は、準備をし、全てセットアップ完了したそうだ。あーちゃんの世界の拡声器なる物を真似て領内全て、いや、国内かな?に伝える事の出来る物を準備した
辺境伯領、その他の領民にも壁が出来る事を伝える。驚いてしまうだろうから、先にお伝えしておく。そして、国として独立する事を伝えた。
昼から、拡声器をオンにした状態で
「皆、長らく待たせた。 では、行くぞっ 建ち上げ!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴー
と、轟音と共に壁が立ち上がる。おーーー、感動だ
彼方此方から感嘆の声が挙がる圧迫感あるな。まぁ、そうじゃなきゃ困るけど。
「ここまでの壁を建立してくれた魔法士の者達よ、準備に奔走してくれた皆のもの感謝するぞ!良くやった。」
「「「「「ハッ、御心のままに!」」」」」あちらこちらから声がする
すごいな、皆んな。戦うだけじゃない、辺境伯領!!
圧巻の壁が立ち上がり。
「皆のもの、今宵は宴じゃ!」
こうして、宴の準備がなされ、ワタクシ達は夜会に参加する準備を整えて行った
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
夜会の前になり
ワタクシ達家族、他領主家総出で大広間に集まり
其処に転移魔法士が加わる。あ、ワタクシも転移魔法出来るのでは?何せ、想像すれば良い
でも、今日の所は使い慣れない魔法で他の人にも迷惑かけたら困る案件だから転移魔法士にお願いしよ。王宮近く、辺境伯家のタウンハウス大広間に到着。
王城のエントランス広場、順次到着する辺境伯連合とでも呼べば良いのか他の者達の騒めきを他所に夜会会場に進んで行く。ワタクシのエスコートはアラン。いつもは、エスコートは侯爵様だったので会場の外で待機していた彼は、その見目などから中央の貴族女性から大変人気があり縁談も多数あった。
落ち着いたグレーの髪に切長のやや鋭く理知的な濃グレーの瞳。精悍な顔立ちに逞しくしなやかな身体。落ち着いた佇まい。
ヒソヒソと交わされる言葉達。羨ましげな視線。以前ならば、侯爵夫人として、などと気を揉んだものだが今は何も気にせずとも良い。
ホール内に入ったところで、
「あら、夜の妖精花様じゃないの。」
と現れたのは、侯爵様にエスコートされた王女殿下。ふふふっ、やはりそう来たわね
「王女殿下にはごきげん麗しゅうございます。」
「フンっ、今日は随分と元気そうじゃないの、あなたの麗しの旦那様は?
あぁ、そうでした。侯爵様は美しく高貴な私をどうしてもエスコートしたいと。 まぁ、あなた程度、いつも壁のシミでしたわね」
「はい、左様でございましたね。」
「フンっ。面白くもない・・もっと、悔しいと、哀しいとおっしゃい。いつも黒く、旦那様の黄金も、翡翠色も無縁な無能なゴミがっ!」
「王女殿下お召しになっておられるのは侯爵様からのドレスでございますか?ゴールドと翡翠が大変良くお似合いでございます。
ワタクシなど王女殿下の足元にも及ばないゴミ屑とよくおっしゃっておられました。その通りでございますね。王女殿下程のお方であればどの様な殿方からのお色もお似合いですわ。
なので、ワタクシはお目汚しにならない様下がっておくべきかと存じます。大変失礼致しました。」
と、カーデシーを取り下がろうとした。
なのだが・・バァンッ、
「何様のつもり?ワタクシが話しているのよ?まだ下がって良いとは言っていないわ!!無礼者!!」
力一杯、魔力も込めて打った様だ。流石に痛い。ヨロケた所アランが支えてくれる
「ハンッ、何をしおらしく。教育が足りない様ね!!!!其処に跪きなさい!!!鞭を持てっ」
直ぐ様渡されるトゲ付きの鞭。クスクスと忍び笑いの漏れる会場からは、好奇な目が寄せられる。最近では、別室ではなく舞踏会などの公の場所でも教育が為されていた。輪になり教育がしやすい様場所が開けられた。侯爵も嘲笑いつつ眺めている・・・
辺境伯の者達が寄り、守ろうとする。お父様、お母様、お兄様、お義姉さま、どうか、今は、我慢なさって。気持ちを込めた視線で止める
ビシッッ!!!
「っ!、!」
「今宵は、随分と生意気な口をきくわね、勝手に下がろうなどと。教育が終わっていないにも関わらずッ。」
ビシッ、ビシッ、ビシッ、何せ、トゲ付き。ドレスが少しずつ裂けるのを感じる。肌が焼ける様に痛い。
ビシッ、ビシッ 泣くもんかっ動くもんかっ
ビシッビシッ、アレ?痛くない。
「あー!!!アランッ」
「誰が、庇って良いと言ったの?」ビシッ、ビシッ、ビシッ!止まることのない鞭に
「お許し下さい。お願い致しますっ。お願いです。お許し下さいっっ。」
ビシッ、ワタクシの胸にも顔にも当たる鞭。泣きながらお願いする。止まることのない鞭に、今日、父達と来ていたことも吹っ飛びお願いしていた
王女殿下の瞳に更なる嗜虐的な笑みが浮かぶ
ビシッビシッビシッ
「ふふふふふっ、そうよ!その顔よっ、その声よっ!もっと、もっと、許しをこい・・・」
ただならぬ殺気に固まる場・・・冷気も漂う
「何事だっ、誰の殺気だっ。教育していたのでは無いのかっ!!!」
「本当、どなたかしら?教育の邪魔だてするなんてっ。折角。珍しく泣き叫び許しを乞うているのに。」
両陛下の声だ。
あ、ウッカリ忘れていた。辺境伯領に帰る前に。心が戻ってしまっていた。お父様・・・が般若のお顔・・・立ち昇る殺気とオーラ。お母様からも、お義姉さまも・・冷気と鬼の様なお顔。折角のお綺麗なお顔がーーー!!
お兄様ーーー??誰、その男性。怖っっっ!!他の、辺境伯寄りの皆様もーーー!!
ああ、ごめんなさい。我慢するのは途中までで良かったのに。忘れてしまっていた。この身と心に刻まれていたから
その時、両陛下が固まった・・・
「お、お前たちは、辺境伯、良くぞ参ったな。」
「ひっっ!!!」
「コレハコレハ両陛下・・・・・随分とごきげん麗しいようで・・ワタクシタチの顔など、お忘れの様ですな・・・・・」
青褪める会場の両陛下並びに、貴族達
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