完結 この手からこぼれ落ちるもの   

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アラン

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いつから。。。
アンナ様はいつからこの状態で?
すっかり冷え切り
目の焦点も合わず
独り、座り込んで居たのか。。。


私が帰ると、屋敷は
ガランとしていた
騎士や、執事、侍女はおろか、料理人も
メイドも下男も
全てがもぬけの殻だった

そもそも、セバスチャンと自分以外は、この屋敷に残っているのは
前公爵当主アウローラ様の
御夫君ウィリアム様の
の手の者しか居ない。元の使用人達は全て追い出され、領地の館へ移っている。それか、事業関係に転職している者となる。


この国に不穏な動きが有り、、
調べていると、この国の王の手の者も調べている事が分かった。
それにより、協定を結び合同捜査となった

この件は根深く、7年前以上に遡る
そう、前公爵夫妻のあの一件の前からだ
その当時は私もまだ、12歳であった

私がまだ7歳の頃。。
隣国である我が国に外交に来ていた
前公爵家族。。
娘であるアンナ様とは、その時出会った
母親であるアウローラ様と同じ
艶やかな黒い髪と黒曜石の様に
黒く煌めく瞳。。
神秘的な美しさに引き込まれた
一緒に庭を散歩すると
一転、お転婆な姿にびっくりした
木にもスルスルと登り
共に木の実を食べた
屈託ない笑顔を忘れられなくなった

私の初恋だった。。。

そんな彼女の両親の訃報を聞き
残された彼女がどうしているか
ずっと心配で調べていた
そして、隣国に捜査の必要性が
出た事を知った私は
自ら志願したのだ。。。
父である陛下には、話してある
正規の捜査員にプラスして
加わる事を許可された

第五王子という事もあり
許可してくれたのだが
私の騎士としての腕も役に立った事は
もちろんだ
彼女を守る為に、日々
文武併せて磨いてきた
彼女の両親が襲撃されたあの日。。
彼女の10歳の誕生日、、、
側に居てあげたかった。。
側に居て抱きしめるのは
自分でありたかった

合同捜査と言う名のもと
この国へ来た私は
不穏な動きをしている者の中に
叔父夫妻がいた事により
ブライスリー公爵家に潜入した。。
そして、今はアンナ様の専属執事
として、側で守る事が出来る

ブライスリー公爵家に潜入してから
叔父夫妻や、ベリンダ、オリバーの
アンナ様に対する態度。。。
どれだけ腸が煮え繰り返った事か。。

アンナ様の寂しそうな姿。。
懸命に頑張る姿。。
見ているのは辛く連れ去りたかった

しかし、捜査はなかなか進まない
時間がいくらあっても足りなかった
専属執事となってからは尚更。。
何せ、執務、事業にとアンナ様一人でやっているのだ。セバスチャンもこの一年殆どこちらに帰ってこれなかった。。。
メインの捜査員では無かったからこそ、ずっと側で守る事が出来た、、、それは父に感謝している
アンナ様付きの騎士もおらず、少しずつ毒を盛られていたアンナ様の側を離れる事も怖くて出来なかった。。。
自分で守りたかった。。それ程危険な敵なのだ。
何せ、あの。。アウローラ様、ウィリアム様を殺した者たちだ、、知略併せて相当な手練れ揃いだ

アンナ様をオリバーから引き離したかったが。。。アンナ様のオリバーに対する想いが強かった

婚約者としては兎も角。。オリバーは、知らされていないようで謀略に関しては白だった

アンナ様が幸せならば身を引こうと思っていた。。

しかしながら、両陛下、コールマン公爵、ステイト侯爵、ヤサシート侯爵、ツーヨシ侯爵からも力添えはして貰えるのだからいざとなれば、オリバーも含め守る予定だったのだ。。

アンナ様が幸せなら、、それで良い

昨夜は、、、
いつもならばアンナ様の側を離れることなど絶対に無い

しかし、アンナ様の初夜。。。
式ではあんな事があったが、、
初夜で、何かあるとは思わず。。休みを取った。
いや、自分が耐えられなかった。。
愛する女性ひとが自分以外の男に抱かれるなど。。。自分の弱さが今のこの状態を引き起こした。。。

だが。。オリバーと離れ。。
逆に良かったのだろうか、、、

いや、アンナ様のこんな姿。。。
これ程まで、ショックを与えるなど
あっては、ならない


ベッドには寝た様子もない
衣類も乱れた様子もない
初夜は、、無かったと思う方が
すんなり納得出来る
アンナ様のあの言葉。。。
何がアンナ様をあそこまで追い込んだのか
今まで、弱音を吐いた事はただの一度もなかった。。。いつだって、辛くとも
それを表には出さなかった

必死に自分にしがみつき
離さなかった。。。
ただ毛布を取ろうとしただけなのに
私の名を呼び
必死に縋り付く
その手を解く事が出来るはずはない
人に甘える事が出来ない貴女が
行かないでと願ったのだから

私の名を呼ぶ
愛しい人よ

ずっと、側に居ると誓おう
貴女だけを愛すると誓おう
この命が尽きても尚、貴女を守ろう
例え、貴女が私を愛する事は
無くても。。。

アンナの持つ鍵が柔らかに
光を放った気がした。。



愛しているアンナ
























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