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お母様と私
しおりを挟むこうして忙しくも
穏やかな日々を過ごしていた
私は、7歳になった
公爵家の跡取りとして
自覚も出てきてお母様にも
少しずつ家の事を教えて貰う日々
まだまだ幼い私では理解できない事も
母は、今は解らずとも
いずれは、解る時が来る
少しずつでも良いから
覚えておきなさいと
心に留めておきなさいと
こうして私達が暮らしていけるのは
貴族には貴族の役割があり
民は、民の役割があると
民が支えてくれているからこその
貴族である 忘れるなと
優しくも、厳しく言い聞かせた
そして、我がブライスリー家の者
だけ受け継ぐ事が出来る鍵
「秘密の、図書室よ?」
と悪戯っぽく私にも手渡してくれた
「この鍵は、後継者が認めて
鍵を直接手渡した者しか使う事が
出来ない。。謂わば後継者の証
手渡す者が居なくなれば
この図書室の扉は閉じられたまま
次にこの図書室を使う資格がある者
が現れるまで。。開かない
永遠に閉ざされてしまうかも
しれない扉の鍵なの
大事にするのよ。。アンナ
今は、貴女と私しかこの鍵は
持っていないし、知らないの
入り口は、、、
基本はこの屋敷の
あの扉。。。
でも、困った時は。。。
いつでも私達に開かれているわ
強く、強く念じれば
扉は現れる」
こうしてお母様は
私に後継者としての
1番大切な鍵を渡してくれた
この時のお母様は
いつもの優しさだけでは無い
とても力強い瞳をしていた
黒い瞳に艶やかな黒い髪
この国には珍しい
公爵家の血を引く者のみに
現れる色
大きめで切れ長の美しい瞳は
いつも煌めいていた
お父様は、
金の髪に美しい碧眼
華やかな色と凛々しく美しいお顔
しっかりとした筋肉の付いた
偉丈夫だ
この大切な鍵を渡してくれた時の真剣なお母様のお顔がしっかりと胸に刻まれている
それからも、日々は穏やかながらに
濃く、厳しく、充実して過ぎていった
そして、8歳を前にして
婚約者が決まった
王命での婚約
婚約者は、同じ公爵位を持つ
ライディス家の3男オリバー様
オリバー様は
優しげな顔立ちの、
お父様と同じく金の髪に碧眼の
とても美しい少年だった
オリバー様は9歳だった
「初めまして、アンナ様
どうぞよろしくね」
「こちらこそ、初めまして
オリバー様。。どうぞ
よろしくお願い申し上げます」
私の中の王子様。父と母のように
仲良くなれるだろうか
その柔らかな微笑みに
胸がトクトクと高鳴った
それからは、時々
婚約者としてお互いが行き来し
お茶を飲んだり
勉強をしたり
ピクニックに行ったりと
楽しい日々を過ごした
オリバー様の陽だまりの様な
笑顔は、私の心をぽかぽかと
暖めて、一緒に駆け回る野原は
何にも代え難い大切な宝物だ
ブライスリー家の庭の木に
2人登って日が暮れるまで
色々と話したりもした
手を繋ぎ幸せな時間
レディになる為に頑張っているのに
木登りをするお転婆な私も含めて
大切にしてくれていると感じた
お誕生日が来て
オリバー様は10歳になった
彼には、彼の瞳の色と私の瞳の色の
2色の宝石で造られたブレスレットを
渡した
そして、私のお誕生日が来て
私は、8歳になった
オリバー様から、彼の瞳の色をベースに金で絡めたブレスレットを贈られた
それは、私の宝物になった
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