【本編完結済】悪役令息に転生したので死なないよう立ち回り始めたが何故か攻略対象達に執着されるように

遂に来ました

正直ようやくこの地獄が終わると思った。

階段から転げ落ち泣いているエマ。
周りには沢山の生徒。エマに駆け寄るようにしてこちらを見上げている攻略対象達。

「エヴァ･･･貴方がしたのですか･･･？」

沈黙は肯定。






さて、事が起きたのは数十分前のこと。
俺は突然エマに呼び出された。エマについて行きたどり着いたのは階段。

「僕、ヴィリエさんに何かしちゃったかな･･･。こんな･･･こんな酷いことするなんて･･･」
「･･･何のこと？」

正直マジで何の話か分からん。
俺が問いかければエマはキッと睨むようにこちらを見る。

「リュカや･･･ユーゴ達のことだよ･･･！僕の大切な友達･･･ヴィリエさんが彼らを脅して僕に近寄らせないようにしてるんでしょ･･･」
「････････････は？」
「彼らが･･･！僕に優しくしてるのが気に入らなかったって･･･。だから僕から友達を引き離そうとしてるんでしょ？」

俺はここでようやくエマの意図を理解する。

「僕はっ･･･ヴィリエさんと仲良くなりたかっただけなのに･･･！嫌がらせされても耐えてきたのにっ･･･酷いよ･･･！僕の友達を引き離して･･･僕を1人にさせようとしてるの･･･？」

悲壮感漂う悲痛な叫びに周りの生徒がなんだなんだと集まり出す。
泣くエマと立ち尽くす俺に、周りはまたヴィリエがエマに嫌がらせをしているのだろうとひそひそ話していた。

「生徒会のヤツらがヴィリエにつきはじめたのはそういう事だったのか」
「やっぱ理由があったんだな」
「ほんと最低」

生徒達の陰口にすらなってない悪口にエマの口角が上がった気がした。
そして俺はと言うと･･･


きっ来たーーーーーーーー！！！！
遂に来た！！！！見た見た見た！！ゲームで見たよこの展開！！！
攻略対象達が俺をストーカーし始めたのとかエマから呼び出されたのはちょっと違うけど！概ね原作通りだ･･･！！！


そう、このシーンは作中でもある重要なシーン。
嫌がらせに屈しず、攻略対象達から愛され続けるエマに痺れを切らしたエヴァが、エマを呼び出し絶弾するのだ。
そして、尚もヒロインらしい言葉を吐くエマをこの階段から突き落とす。
その後学園裁判へと進む流れ。
つまりここで俺がすべきことはエマを階段から突き落とすこと。
だが、いくら作中のシーンといえど階段から突き落とすのは危険だ。せめて横に押し倒すくらいにしとくか。


「ふん、散々僕が忠告してやったのに。未だに反省せず生徒会の皆様に付き纏ってるからだよ。いい加減身の程をわきまえなよ」
「僕はっ･･･僕は身分なんか気にしない！友達は友達なんだよ！僕にとってみんなは大切な存在なんだ！」
「ほんと生意気･･･いい加減自分の立場を弁えなよ！」

俺はエマの形を掴み横にくいっと引っ張り押し倒そうとした。
しかし、俺の意図に反してエマは物凄い勢いで後ろに倒れ階段を転がり落ちる。
生徒達の悲鳴が上がった。
そして冒頭に戻る。