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脇役同士 ※ジル

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「ねえ、君エヴァ・ヴィリエの事を好きなんでしょ」
「・・・貴方は」
「エマって呼んでくれていいよ。僕は君に協力したいんだ」
「・・・どういう事ですか」

突然声をかけてきたのは最近転入して来たエマという生徒。生徒会や学園の美形達がこぞって彼に夢中になってると聞いたが、そんな彼がどうして僕に。

「僕、妖精と友達なんだ。だから君の願い叶えてあげることが出来るよ」
「・・・揶揄いたいだけなら話はこれで」
「まって!まってよ!君はエヴァとそういう関係になりたいんでしょ?エヴァの事、抱きたいって思ってる。そうだよね?」
「・・・・・・」
「僕は君の考えてることなら何でもわかるよ。騙されたと思って僕に着いてきて」

胡散臭いと思った。
でも着いていってしまったのは、藁にも縋る思いだったのだろう。このままじゃエヴァ様に近づくことすら出来ない。もし少しでも希望があるなら、馬鹿みたいな話でも乗ってやろうと思ったのだ。
そしてついて行った先で聞いた話はにわかに信じ難いものだった。


この世界は所謂ゲームというものの物語に沿って進んでいるものだと。エマはこの世界の主人公で、学園にいる美形達は皆エマに惚れるという物語だと。
だが、物語が少々おかしい方向に進んでいるらしい。僕が見たように、本来エヴァに惚れるはずがない男達がエヴァ様に侍り出していると。

「君には物語の軌道修正をするのを手伝って欲しいの」
「僕になんの得が?」
「ここまで言って分かんないの?エヴァとあいつらを引き剥がして欲しいんだって!僕が協力してあげる。だから君はエヴァを好きにしていいよ。寧ろ孕ませて学園退学にでもしてよ」
「エヴァ様は男だ」
「ははっあいつ今両性だよ。意味わかる?女のアレがついてんの」

エマの話が本当だとしたら、僕の願いは全て叶う。
エヴァ様を僕のものにする夢が。

「まあまずは、君を変えるところから始めないとね。そのチワワみたいな見た目じゃエヴァを抱けないでしょ?これ、寝る前に飲んでみて。大丈夫、毒なんか入ってないから」

渡された小瓶は如何にも怪しい。
だが僕はそれを受け取って、エマと手を組むことにした。
エマの言われた通り寝る前に小瓶に入った液体を飲み、朝起きた瞬間僕は驚きで声を上げた。
鏡に映る僕は昨日までの貧弱な体型とは別人になっていたのだ。柔らかかった頬をシャープに、背丈もグンと伸びて筋肉もついている。

「ははっ・・・はははっ!これでエヴァ様を抱ける!エヴァ様は僕のものだ!!!」  

高笑いが止まらなかった。

その日から僕はエヴァ様に近づくために策を練り実行した。エマが何かをしたのか、僕の見た目が変わったことに驚きを見せる生徒はいなく、以前からこの見た目だという記憶が植え付けられていた。
エヴァ様に会いに行った時、あの時以来の会話をし酷く興奮した。あの時と違って今の僕はエヴァ様を見下ろせるほど背が伸びている。
不安げな表情が可愛くて、早くその体を押さえつけ僕の欲望を余すことなく吐き出したかった。

親衛隊を作り、エヴァ様に接触する口実を作った僕は報告会と言いエヴァ様をおびき寄せた。
そして僕の目の前には夢にまで見た光景が広がっている。隊員に犯され嫌がりながらも感じ、泣き喘ぐ愛らしい姿。

男たちに好き勝手陵辱され何度も絶頂期しようが止まない愛撫に酷く泣き叫ぶ。
やめてやめてと喘げば喘ぐほど僕たちの興奮は高まってよりエヴァ様を追い詰めた。
僕が手を握ってやればエヴァ様は縋るように僕の指に自身の指を絡める。そうした無自覚な行動が雄を煽るなんて理解せずに。

エマから渡されたクリボックスも、悲鳴をあげるエヴァ様を見て高笑いしそうになってしまった。
僕の指1つでエヴァ様がこんなにも陵辱され、屈服してしまうのだと。あいつらよりも僕の方が勝っている。エヴァ様をこんな姿に出来るのは僕だけだと。
意地悪をしてボックスの鍵をかけてやれば、エヴァ様が絶望した目でこちらを見る。
ああ、なんて可愛くていやらしいんだ。
他の男達に抱かれたエヴァ様が憎らしい。その分僕が快楽地獄に叩き落としてやるんだ。そして、エヴァ様を妊娠させて、この学園から引きずり出し、一生に幸せに暮らすんだ。


ねぇ、エヴァ様。脇役同士一緒に幸せになりましょうね。








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