【本編完結済】悪役令息に転生したので死なないよう立ち回り始めたが何故か攻略対象達に執着されるように

なつさ

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俺の親衛隊?

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「親衛隊・・・?」
「はい、ヴィリエ様の親衛隊を発足させて頂きたく参りました」

とある朝、学園に登校するや否や複数人の生徒に囲まれる。何をされるのかと身構えれば1枚の書類を差し出され、俺の親衛隊を発足したいと言い出したのだ。
余りの出来事に目を白黒させてしまう。
だって・・・だってこんな展開作中に無かったし!
俺が困惑しているとリーダー格らしき生徒が俺を覗き込んでくる。あれ、どこかで見た顔な気が・・・

「お・・・僕、会長の親衛隊だったんだけど・・・」
「元、ですよね?今は違います。私達はヴィリエ様を尊敬し慕っている者を集い隊を構成しています。除隊して以降、ヴィリエ様に良からぬ事をする者を見て心を痛めてきました。どうか隊の発足を許可し私達にヴィリエ様を守らせてください」
「で、でも・・・」 
「ヴィリエ様が困るような事は何も致しません。ただ、私達に守らせて欲しいのです。貴方を」
「っ・・・・・か、考えさせて・・・」

方向転換し離れようとしたが振り向いた先にも別の生徒が。

「ヴィリエ様、大事な決断は直ぐにすべきです。私達は貴方の味方なのですから何も不安に思うことはありませんよ?さぁ、こちらにサインをしてください」

このゴリ押し。どう考えても怪しさ満点で尚更了承なんてしたく無くなった。
だがエヴァの意思に反して手が勝手に動いてペンを取る。そしてさらさらと目の前の書類にサインしてしまったのだ。
(俺の馬鹿~~~~!?!?)
俺がサインしたのを見届けると生徒は満足そうに書類を懐に仕舞う。

「ありがとうございます。ヴィリエ様のご期待に添えるよう我々一同頑張ります。お困り事がありましら何なりとお申し付けください」

ブロンドのさらさらヘアはまるで王子様のよう。
にこりと微笑まれ俺はぎこちなく笑顔で返した。





親衛隊発足について、ユリスに相談すれば大反対をされた。何故そんなものにサインしてしまったのかと。そんなの俺だってしたくなかった!全部あのクソ妖精のせいだって言えればどんなに良かったか・・・!親衛隊持ちのリュカは死ぬほど嫌そうな顔してたし、ユーゴもめちゃくちゃ機嫌が悪くなっていた。

俺も悪役令息に親衛隊が出来るなんて聞いたことないしありえないだろ、と1度あの書類を持ってきたリーダーらしい生徒の元に行ったのだ。
話を聞けばやはりこの生徒が親衛隊隊長らしい、ジル・ルジューヌ。
俺が親衛隊の件を無しにして欲しいと言えば笑顔のままそれは無理だと言われた。

「もう受理されてしまったんです。1度発足された親衛隊は退院数が規定の人数を下回らない限り解散する事は出来ません」
「そ・・・そんなっ・・・でも僕はっ・・・」
「ヴィリエ家ともあろうお方が学園の規則を破るような真似はしませんよね?私もお慕いしているヴィリエ様にこんなこと言いたくないんです。どうか落ち着いてください」

俺の頬を撫でながらそんなことを言うジル。心底愛しいと言った表情をされ、俺は怖くなってその手を払った。

「き・・・気安く触んないで!僕を誰だと思ってるの・・・!」
「失礼いたしました。ヴィリエ様ご無礼をお許しください」
「親衛隊なら僕の言うことは絶対だから・・・勝手なことしたら許さないからね・・・」
「勿論です。全てはヴィリエ様の為に」

笑みを崩さないジル。
そしてジルの後ろに経つ男達、俺の味方な筈なのに。俺はこいつらがどうしようもなく怖かった。







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