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部屋は全然爽やかじゃありません
しおりを挟む晴れて部活を立ち上げた俺だが、正式に活動を始めるまで少し時間がかかりそうだ。
というのも調理器具については、俺の物を持ち込もうとしたのだがリュカから部費として、学園の予算から出せると言われたのだ。
せっかくなら新品で揃えたいと、お言葉に甘える事にした。
部活については順調に進んでいるが、相変わらず同室者との関係は最悪。
ユーゴは俺を見る度に嫌そうに顔を顰めるし、胃がキリキリと痛む。
学園では相変わらず嫌がらせをされているものの、俺が虐められていることに気づいたリュカとユリスが何かをしたのか、大分収まった。
まあでも一人でいる時に悪態をつかれるのは変わらないが。そんな事より俺は今とてつもない危機に直面していた。
俺は前世から唯一苦手なものが1つある。
それはあの黒く無駄に艶光した生き物、所謂「G」だ。
人間の居住地に出没しては恐怖に貶める恐ろしい存在。奴が、今、リビングに出現したのである!
「何でだよぉ・・・!この学園に来てから1度も見てなかったのに!!無理!なんでBLゲームの世界にもいるわけ!?無理無理無理!どうしよう俺退治できない!」
半泣きになりながらソファーの上に避難する。
奴は部屋の隅にいるものの、俺が1ミリでも動いたら飛んでくるかもしれない。
そう考えただけで恐ろしくて、俺は逃げることが出来なかった。そいつから目を逸らす事も出来ず、眼球が乾くほどじっと監視していればドアの開く音がする。
「・・・お前何やってるんだ」
「あ・・・あ・・・!ユーゴ・・・!あいつがっ!Gが!」
半泣きで必死に指をさせば呆れたような目で見られる。仕方ないだろ!本当に苦手なんだから!
ユーゴは頭を掻きながらティッシュを数枚取るとGに近づき、何ともないようにそいつを掴んで窓から外に放り投げる。
「ひぃっ・・・よく触れるな・・・」
「お前がビビりすぎ。俺らの方がでかいんだからどう考えても虫の方が人間を怖がってるだろ」
もう良いか?と言うようにユーゴは自室へ戻っていく。相変わらず冷たい奴だ・・・。
俺も部屋に戻ろうとした瞬間、俺は目を見開き思わずユーゴの部屋へ走ってユーゴの前に割って入るように部屋を覗き込んだ。
「おまッ!お前ッ~~~!?!?」
「おいっ何すんだよ!?!」
驚いたユーゴが怒ったように俺を退かそうとするが、俺は俺はそれどころじゃなかった。
「お前何でこんな部屋汚いんだよ!?ゴミ屋敷じゃん!?そりゃGも出るわ!!てかさっきのG絶対お前の部屋のせいじゃん!!??」
ユーゴとドアの隙間から見えた部屋の中。そう、ユーゴの部屋はとんでもない汚部屋だった。
机の上には飲みかけのペットボトルや食べかけの弁当が散乱。ゴミは長らく捨ててないのかゴミ袋に入れられた状態で積み重なっていた。そして洗濯したのかも分からない衣類が床にちらばっており、独特な異臭が漂っている。
爽やかスポーツマンとは程遠い。こんなに汚い部屋で生活してるのにこいつからは制汗剤の匂いしかしないのには攻略対象効果なのか??イケメンはゴミ屋敷でもいい匂いするってか??
正直こいつの部屋が汚部屋なのはどうでもいいが、こいつのせいで共同エリアや俺の部屋にまでGが出られるのは困る。というかふざけんな。
何としても片さなければ。
「すぐに片すよ!ゴミ袋と掃除道具もってきて」
「はぁ?なんでだよ、俺にまで命令する気か?お前に関係ないだろ」
心底不愉快ですと顔に出すユーゴに俺の怒りの沸点は限界だった。
「関 係 あ る ん だ よ!!お前の部屋が汚いせいで僕の部屋にGが出たらどうしてくれるんだッ!!というかもう既に共同スペースにGが出てるんだ。次Gが出たらこの部屋に火を放ってGを駆逐してやるぞ」
「わっ分かった・・・!分かったから!落ち着けよっ・・・」
俺のあまりの怒り具合にたじろいだユーゴ。流石に悪いと思ったのかすごすごと掃除用具を取りに行った。
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