44 / 130
遂にやってきた主人公!
しおりを挟むその日は親衛隊内が朝から騒がしかった。
どうやら数日前転入生が来たらしい。それだけならこんなに親衛隊がざわつく事は無い。
話によると転入生の案内役を務めた副会長様が転入生とかなり親しくなったようだ。冷徹でまるで氷の王子様(笑)と言われる副会長は入学パーティーで少し見かけたことがあるが確かに人に簡単に懐くような人間じゃない。
特に親衛隊をかなり嫌っている様で例の夜伽とやらも全て拒絶しているようだ。そういう意味では副会長の親衛隊に入っとけば良かったと思ってしまう。
俺達生徒会長の親衛隊は他人事・・・って訳にも行かなかった。
何故なら転入してたったの数日で転入生は副会長だけでなく他の役員も次々に落とし今や生徒会ハーレムのようになっていると隊員が絶叫していた。
確かにここ最近ほぼ毎日のように来ていたアルベールが全く姿を現さない。
まだ仕事が忙しいのかと思っていたがどうやらそういう訳では無かったようだ。まあ、物語を知っている俺はいつかこの日が来ることを知っていたし待ちに待った展開に心が弾む。
(やっとあいつらから開放される~!!)
長い道のりだった・・・。それはもう大変だった。
転入生が来たからには攻略対象達がエヴァに触れて来ることはもう無いはず。なぜならあいつらは本能的に転入生に惚れるように操作されてるから。
「隊長由々しき事態です。我々親衛隊として役員の皆様に近付く者には制裁を」
「うんそうだね。転入生にはよく分からせてあげないと」
俺はヒールを鳴らし悪役ムーブをかますため颯爽と彼らがいると報告を受けた食堂へ向かう。
食堂に到着しなるほどと思った。
役員専用のテラスにいたのは生徒会役員sとブロンドのフワフワした髪に人形のように大きくくりっとした青い瞳を持つ美少年。
この世界の全てが彼のために作られたかのように愛らしい少年だった。
(俺の・・・俺の救世主・・・!)
眩しいほどの美形役員達は揃いも揃って少年を囲みあれやこれやと甲斐甲斐しく世話をしていた。その中にアルベールも勿論居た。少年の腰に手を回し何かを囁いているようだ。
内心ありがとうありがとうと拝み倒しながら俺は彼らに近づく。
「お食事中失礼します」
「っ・・・貴方は」
「生徒会長親衛隊隊長のエヴァ・ヴィリエです」
副会長が心底嫌そうに顔を顰める。
「親衛隊が何の用ですか。ここは役員専用のテラスです。お前達のような汚らわしい存在が足を踏み入れて良い場所ではありませんよ」
これでもかと鋭利な言葉を飛ばしてくる副会長。正直男同士で乳繰りあってる方が気持ち悪いわと言い返しそうになるがブーメランになるので辞めた。
「お言葉ですがそれを言うのならそこにいる生徒だって一般生徒じゃありませんか?何故ここにいるんです」
「エマは私達の特別だから許可しています」
「ふっ。副会長様とあろうお方がそんな私情を挟んで学園の規則を破って良いのでしょうか」
「どの口が規則などと・・・!」
怒った副会長が俺に詰めよろうとする。
しかし既で何かが間に駆け込んでくる。
「喧嘩はだめだよ!規則を知らなかった僕が悪いんだ・・・まさかここは一般生徒が入っちゃだめなんて知らなくて・・・!皆ごめんね僕すぐに出て行くから・・・」
「エマッ!?そんな奴の言葉を気にしてはいけません!」
「ううん、皆に迷惑かけたくないし。ランチならまたいつでも一緒に出来るでしょ」
「エマ・・・」
転入生がそういった事で役員達が俺を睨む。
「自分の立場を弁えられる位には知能があって安心しました。これに懲りたら二度と生徒会の皆様に近寄らないで。君が近づいていいような方々じゃないんだよ」
「流石に言い過ぎじゃないかエヴァ」
会話に割り込んできたのはアルベール。今まで俺らの挙動をじっと見ていたが立ち上がりこちらに近寄る。
1,118
お気に入りに追加
3,595
あなたにおすすめの小説
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる