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遂にやってきた主人公!

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その日は親衛隊内が朝から騒がしかった。

どうやら数日前転入生が来たらしい。それだけならこんなに親衛隊がざわつく事は無い。
話によると転入生の案内役を務めた副会長様が転入生とかなり親しくなったようだ。冷徹でまるで氷の王子様(笑)と言われる副会長は入学パーティーで少し見かけたことがあるが確かに人に簡単に懐くような人間じゃない。

特に親衛隊をかなり嫌っている様で例の夜伽とやらも全て拒絶しているようだ。そういう意味では副会長の親衛隊に入っとけば良かったと思ってしまう。
俺達生徒会長の親衛隊は他人事・・・って訳にも行かなかった。

何故なら転入してたったの数日で転入生は副会長だけでなく他の役員も次々に落とし今や生徒会ハーレムのようになっていると隊員が絶叫していた。
確かにここ最近ほぼ毎日のように来ていたアルベールが全く姿を現さない。

まだ仕事が忙しいのかと思っていたがどうやらそういう訳では無かったようだ。まあ、物語を知っている俺はいつかこの日が来ることを知っていたし待ちに待った展開に心が弾む。
(やっとあいつらから開放される~!!)
長い道のりだった・・・。それはもう大変だった。

転入生が来たからには攻略対象達がエヴァに触れて来ることはもう無いはず。なぜならあいつらは本能的に転入生に惚れるように操作されてるから。

「隊長由々しき事態です。我々親衛隊として役員の皆様に近付く者には制裁を」
「うんそうだね。転入生にはよく分からせてあげないと」

俺はヒールを鳴らし悪役ムーブをかますため颯爽と彼らがいると報告を受けた食堂へ向かう。





食堂に到着しなるほどと思った。
役員専用のテラスにいたのは生徒会役員sとブロンドのフワフワした髪に人形のように大きくくりっとした青い瞳を持つ美少年。
この世界の全てが彼のために作られたかのように愛らしい少年だった。
(俺の・・・俺の救世主・・・!)

眩しいほどの美形役員達は揃いも揃って少年を囲みあれやこれやと甲斐甲斐しく世話をしていた。その中にアルベールも勿論居た。少年の腰に手を回し何かを囁いているようだ。

内心ありがとうありがとうと拝み倒しながら俺は彼らに近づく。

「お食事中失礼します」
「っ・・・貴方は」
「生徒会長親衛隊隊長のエヴァ・ヴィリエです」

副会長が心底嫌そうに顔を顰める。

「親衛隊が何の用ですか。ここは役員専用のテラスです。お前達のような汚らわしい存在が足を踏み入れて良い場所ではありませんよ」

これでもかと鋭利な言葉を飛ばしてくる副会長。正直男同士で乳繰りあってる方が気持ち悪いわと言い返しそうになるがブーメランになるので辞めた。

「お言葉ですがそれを言うのならそこにいる生徒だって一般生徒じゃありませんか?何故ここにいるんです」
「エマは私達の特別だから許可しています」
「ふっ。副会長様とあろうお方がそんな私情を挟んで学園の規則を破って良いのでしょうか」
「どの口が規則などと・・・!」

怒った副会長が俺に詰めよろうとする。
しかし既で何かが間に駆け込んでくる。

「喧嘩はだめだよ!規則を知らなかった僕が悪いんだ・・・まさかここは一般生徒が入っちゃだめなんて知らなくて・・・!皆ごめんね僕すぐに出て行くから・・・」
「エマッ!?そんな奴の言葉を気にしてはいけません!」
「ううん、皆に迷惑かけたくないし。ランチならまたいつでも一緒に出来るでしょ」
「エマ・・・」

転入生がそういった事で役員達が俺を睨む。

「自分の立場を弁えられる位には知能があって安心しました。これに懲りたら二度と生徒会の皆様に近寄らないで。君が近づいていいような方々じゃないんだよ」
「流石に言い過ぎじゃないかエヴァ」

会話に割り込んできたのはアルベール。今まで俺らの挙動をじっと見ていたが立ち上がりこちらに近寄る。





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