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それ最高すぎ
しおりを挟む「それでは親衛隊隊長及び副隊長の就任式を執り行います。まずは各親衛隊の副隊長から前へ」
時刻は午後3時。アフタヌーンティーと共に執り行われた親衛隊就任式に俺は参加していた。
大理石出てきた長いテーブルに赤いベルベットのテーブルクロスを引いてその上には美味しそうなスイーツと紅茶が沢山。こう見えて甘党の俺はお菓子に目がない。
だがそんなお菓子が台無しになるほど恐ろしい事実が判明した。そして同時に親衛隊に加入してしまったことを今猛烈に後悔している。
先程、司会から説明があったのだ。
親衛隊では各隊員達が週に1回生徒会役員達の夜伽を行うというとんでもないルーティンがあることを。何でも生徒会役員達が大好きな隊員達からしたら天国のようなものらしく誰もが希望しているらしい。しかし選択権があるのは勿論生徒会の皆様。
早速今月の担当とやらのリストが配られたのだがアルベールのやつ全部の週を第1指名俺で出してきやがったのだ!
(ふざけるな!こんなの無くたって毎日のように抱かれてるのに)
そんな事を考えながら紅茶を飲んでいれば各隊の副隊長が整列し挨拶を始める。
やはり副隊長なだけあって皆男とは思えない可愛さ。人のことを言えないが何不自由ない生活を送ってきたんだろうと分かる髪の先から爪先まで手入れされた少年達は揃いも揃って美少年だった。
(というか副隊長ってことは俺もこれから関わってく奴って事だよな?ちゃんと見とかないと)
「今年からアルベール様の親衛隊副隊長として就任しましたルネ・シュミットです」
甘栗色のカールがかかった可愛らしい髪の毛。お人形のように丸く大きな瞳、どれをとっても完璧な美少年。ほうほう、この子が副隊長か。それにしても超可愛いなぁ本当に男?
失礼なことを考えながら見ていればルネと目が合う。
(あれ・・・今睨まれた?)
そう思ったのもつかの間すぐにルネは笑顔をうかべ視線を逸らした。
「失礼ながら僕から親衛隊の規則について提案があるのですが発言しても宜しいですか?」
「良いでしょう」
「ありがとうございます。先程配られたリストを拝見しました。我ら生徒会長親衛隊は皆同様にアルベール様を恋慕っております。それなのにこのリスト・・・全部エヴァ・ヴィリエ様、隊長の名前しか無いではありませんか」
「・・・・・・」
俺もびっくりしたよ。
「いくら婚約者といえどこれは横暴すぎませんか?親衛隊である以上誰もが平等にあるべきです。隊長、貴方のお噂はよく聞いていますよ。何でもアルベール様との婚約自体制約結婚でそこに愛は無いとか」
ルネの言葉に場がざわつく。
返答もしない俺に勝ち誇ったような笑みを浮かべるルネ。分かったぞこいつアルベールにガチ恋で俺を陥れたいんだな?
「きっと婚約自体アルベール様の意志によるものでは無いはずです。このリストだって貴方がアルベール様を脅してそうさせたんでしょう?貴方はそういうずる賢い事をする人間だって皆知ってるんですよ。そこでどうでしょう、アルベール様の夜伽をするのはその月最も成績上位で親衛隊の中でも人望がある者・・・というのは」
可愛い顔してよく言うじゃん。
こいつ俺が人望無いことを利用してアルベールとの接触を断つように仕向けてる。
でも・・・
よく言ってくれた!!!!!俺もその案大賛成!!マジでありがとう!!!あいつの夜伽とかこれ以上したくないしこれで拒否できる大義名分が作れる!
諸手を挙げて喜びたいのを堪えて俺は不敵な笑みを浮かべ立ち上がる。
「面白いね・・・良いよそのルール変更。アルベール様に相応しいのはどちらか決めようじゃないか」
「ふっすぐに分かりますよ。隊長」
してやったりと言う顔をする副隊長はまさか俺がこの案を大喜びで受け入れ負けを望んでいるなんて露ほども思わないだろう。
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