30 / 130
何してんだおめー!?
しおりを挟む「御機嫌ようヴィリエ様」
「ご機嫌麗しゅうヴィリエ様」
さっきから廊下をすれ違う生徒達に怯えながら挨拶をされひそひそと噂話をされている気がする。一応笑顔で挨拶しているつもりなのだが俺の悪役令息としての悪評は既に広まっているようだ。
「ヴィリエ様!!」
「?」
小柄な可愛らしい生徒・・・いや男だけど女のように目がきゅるきゅるしてまるでチワワのような生徒達が数人で俺の前に立つ。
「お噂はかねがねお聞きしておりました!ヴィリエ様のようにお美しい方には是非我らが生徒会親衛隊に加入して欲しいのです・・・!どうか私たち親衛隊の隊長として指揮を統率して下さいませんか?」
「親衛隊ぃ・・・??」
あっ思い出した。
この学園には当然のようにカーストが存在する。カースト下位は無名の貴族や特待生制度で成績がいいからと運良く入学出来た平民。そしてそれなりに地位のある貴族から上位は権力や金のある貴族や王族の親戚。そしてトップに君臨するのは生徒会だ。生徒会は王族や名だたる貴族から選抜された成績上位は当たり前実家の権力がかなりある学園を牛耳っていると言っても過言ではなグループだ。そして何を隠そう生徒会長の会長として君臨するは婚約者であるアルベールだった。
そしてそんなアルベールに強い想いを抱いていたエヴァは当然のように生徒会に入りたがっていたのだがあまりの悪評にそんな事許されず生徒会の親衛隊へ加入し歴代でも最悪の親衛隊隊長として名を馳せるのだ。
ファンの多い生徒会に近づいた生徒への過激な制裁や職権乱用等など。悪どいチワワ集団と結託して学園の秩序を乱していたのを思い出す。
(でもこれ死亡フラグじゃね?だって親衛隊になんて入ったら制裁とかやんなきゃいけないんだろ・・・?絶対攻略対象達に目の敵にされる・・・)
「ごめん、悪いけど遠慮しておくよ。まだ入学したばかりだしそんな大役僕に務められる気がしなくて・・・ごめんね」
「そうですか・・・。いつでもお待ちしているのでお気持ちが変わったら是非お声をかけてください!」
パタパタと走り去るチワワ達を見ながら俺は我ながらグッジョブと自分の判断を褒めた。
「エヴァ!こんな所にいたんだ部屋に行っても出てこないしずっと探してたんだよ?」
「アルベール様、申し訳ありません。学園内を見て回りたくて」
「それなら僕が案内するよ。父上に連れられて何度か来ていたんだ。それより犬飼ったの?後で見せて」
出たなお邪魔虫。せっかく綺麗な薔薇の庭園を見ていたのに勝手に横に座るアルベールに小さく舌打ちをする。少し離れるように横にズレるがアルベールも直ぐに距離を詰めてきた。そして馴れ馴れしく手を握られる。
「制服すごく似合ってる。今日からずっと一緒にいられるんだね。嬉しい・・・じゃなくて婚約者だから当たり前って事!今までがおかしかったんだ数年も遠距離なんて」
前半何を言ってるか聞こえなかったがとりあえず手を握るのやめて?てか何を話そう。こいつと会う時大体セックスしてたからこんなりまったりしてると話題に困る。
「アルベール様は生徒会に入られるんですよね?」
「えっどうして知ってるんだ?」
「あっ・・・ええと・・・噂で・・・」
「そうか。僕の口から言いたかったんだけどね。実は入学試験主席で合格したんだ。それもあって生徒会長に就任することが決まってね入学式で正式に発表されると思うけど」
「へぇ、そうなんですねおめでとうございます。・・・ん?え、入学試験?」
そんなの俺受けてないけど。
「ああ、エヴァは僕の推薦だから入学試験なんて無いよ。皇子の婚約者なんだから同じ学園に入るのは当然でしょ」
え・・・えぇー・・・つまり俺裏口入学って事・・・!?
だからあんなひそひそ噂されてたわけ!?
お前皇子のくせに何やってんだよ!?立派な職権乱用だろ!!
「それと、エヴァに頼みがあるんだ。僕と一緒に生徒会に入ってくれないかな。もう他の役職は大体決まってしまっているから庶務として俺を支えて欲しい。・・・エヴァと一緒に過ごせる時間も増えるし」
はぁ!?ちょっとまって生徒会に加入!?何か話違くないか!?どうしようどうしようとの考える俺を覗き込むアルベール。
「ね・・・お願いエヴァ?」
お前そんなキャラじゃねーだろ!?俺は視界がぐるぐる周り咄嗟に答えてしまう。
「僕!親衛隊に入るんで!!」
1,133
お気に入りに追加
3,673
あなたにおすすめの小説

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話
ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。
βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。
そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。
イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。
3部構成のうち、1部まで公開予定です。
イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。
最新はTwitterに掲載しています。

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。
いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。
エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。
俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。
処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。
こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…!
そう思った俺の願いは届いたのだ。
5歳の時の俺に戻ってきた…!
今度は絶対関わらない!

言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる