IMprevu ―予期せぬ出来事―

天野斜己

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本編

No,90 【インティ・ライミ】の出来事 No,1

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「……上井真唯さん…この指環、受け取って頂けますか?
 ……私は、貴女の人生の伴侶として、合格でしょうか…?

 ……どうか、答えを聞かせて下さい……っ!!」



―――……ああ…遂に、この瞬間ときを迎えてしまった……―――



※ ※ ※



アタシの運命の日。
朝起きた時から、梅雨はどこに行ってしまったのかと思うような、抜けるような青空が広がっていた。
思えば一条さんと出逢ってから、6月24日は雨になった事が1度もない。お陰でいつも快適なフライトを体験させて頂いて……一条さんの財力に感嘆を通り越し、呆れ果てるような心地に陥っている。

……そう。
一条さんは、毎年この日には、緋龍院グループの所有する自家用ジェットをチャーターし、“空飛ぶホワイトハウス”エアフォースワンもかくやと云う、まるで“空飛ぶ5つ星ホテル”と形容したくなるような夢の空間にアタシを招待してくれて、アタシの歳の数だけの黒薔薇シャルル・マルランの花束と、アタシの誕生年1983年の【シャトー・ディケム】を開けてくれるのだ。

最初に招かれた年は、ただただ興奮してしまった。雲海の中に聳える日本一の霊峰・富士山を横に真下に拝ませて頂いて、その優美さ、神々しいまでの荘厳さに、ただただ感動してしまった。


『今日は、太陽神・ヴィラコチャに感謝を捧げる特別な日です。
 太陽に少しでも近い処に、真唯さんをお連れしたかったのです。』


結局フライト自体が目的なわけで、時間が1番長いと云う事だけで目的地は那覇空港にされていた。一応、沖縄観光を勧められたのだが、暑いのが苦手なアタシは、もう気温が30度近くある外に出る気にはなれなかった。給油時間が滞在時間になり、とんぼ帰りとなってしまったのだが、飛行機から沖縄の蒼い海を見られただけで充分、満足してしまったのだ。




2年目には、当然のようにシャトー・ディケムが用意されている事に驚いているそばから、ブログの中でついつい書いてしまった、ずっと欲しかったLANCELの某シリーズのキャリーバッグをプレゼントされてしまい、もううかつな事は書けないと背中に冷や汗が流れる気分になったものだ。




3年目の去年のプレゼントは、【João Gilberto THE LEGEND】と云うCDだった。

アタシはボサ・ノヴァが大好きだ。その創始者、ジョアン・ジルベルトは尊敬を通り越し、崇拝すらしていた。だから念願の初来日には何をおいても駆けつけたのだが、特にアタシが行った9月12日の公演を録音したデータは、ドタキャンで有名な奇人として名高いジョアンをして『あの日あのステージ(9月12日のコンサート)で、僕が聴いた音、僕が聴いた観衆の拍手と声と心、僕がそこにいた“雰囲気アンビエンチ”が、こんなにも自分を満足させる音で録れている。奇跡的だよ。』と言わしめ、【João Gilberto in Tokyo】としてCD化された事に、大いなる感謝の想いを抱いているのだ。

そのジョアン・ジルベルトが最も神がかっている初期の3枚のLPのCD化をめぐって裁判沙汰になり、それまで日本を含む各国から発売されていた「ジョアン・ジルベルトの伝説」というCDが有ったのだが、全て廃盤になり、ジョアン・ジルベルトの初期録音をCDで買う事は事実上不可能になっていた。その幻と云っても良いCD(しかも、最も音が良いとされているブラジル版だ!)がアタシの手に渡された。


『……ど、どうして、これ、私が欲しがってる事、理解ったんですか!?』
『私が、何年、貴女のブログを拝読してると思ってるんですか?
本当は貴女に太陽神と同じような視点に立って頂きたくて、宇宙旅行をプレゼントしたいくらいなんですが、3日間の訓練プログラムは貴女には過酷でしょうから……』

なんて残念そうに言うけど、いやいや、突っ込みどころはそこじゃないから!
アレは確か、1人、○千万円するとか云うやつでしょ!?


……そんなものをポンとプレゼントしてくれようとしてくれる人にとっては、ファンにとっては垂涎もののお宝も安い物なのかも知れない。それより何より、アタシの趣味嗜好をキチンと把握してくれている男性ひとから贈られる物は、くすぐったくも心地良いものだったが、反面、こんなにしてもらって良いのだろうかと云う葛藤との闘いだった。




現在いまにして思えば、あれらはすべて、好きな女性に対する好意の表れだったのだろうけれども。

……どれだけ鈍感なのかと呆れられそうだが…仕方がない。一条さんほどの素敵な男性ひとが、アタシなんかを好きになるはずがないと、必死にその可能性から目を背けていたのだから……





―――しかし……もう、決して目は背けない。


そして―――アタシを愛してくれる一条さんを……その想いを信じる。



※ ※ ※



例によって例のごとく、キットでアタシを迎えに来てくれた一条さんはいつものブラックタイではなく、アスコットタイがポイントになっているシルバーグレーのスリーピースに身を包んでいた。正装には違いないけれど、いくぶん砕けた遊び心を感じる。アタシがプレゼントしたルビーのブレスが意外なほどに映えて見えて、思わず見惚れてしまったアタシに、


「……私がこの日をどんなに待ち焦がれていたか…貴女には理解って頂けているのでしょうか…?」


乗車を促すために差し出された手に……アタシを見つめる瞳に、いつも以上の熱を感じるのは……自惚れなんかじゃありませんよね…?




「……真唯ちゃん。違ってたらごめんなさい。もしかして……バレエか何か始めた?」
そして連れて行かれたリザさんのお店で、開口一番「お誕生日、おめでとう!!」の祝福の言葉の後に、そう言われてしまったのにはドキッとしたけど、嬉しかった。

「…いえ、特には。 …あの…どこか変わった処がありますか…?」
「…あら、ごめんなさい。 …でも、少し違って見えるわ。姿勢がグッと良くなったし、歩き方も違うし…何よりバストアップして見えてよ?」
「本当ですかっ!?」
「私は嘘は言わないわ。 …ねえ、貴志もそう思うでしょ?」
リザさんは一条さんに話を振った。一条さんにも、そう見えてるならスゴク嬉しいんだけど…と思ったアタシの期待は見事に裏切られる。実に一条さんらしい変化球によって。
「…私に愛されていると云う自信が、真唯さんをそう見せるのだろう。そうでなければ、あんなおねだりはして下さらないだろうからな。」
「なに、何? あんた、真唯ちゃんにおねだりされちゃったの!? やったじゃない!! それでちゃんと、お望みの物は贈ってあげたんでしょうね!?」
早速、食いついてくれるリザさんに、アタシは少々慌てる。

「……それが理解らないんだ…。 …勿論、言われた通りに用意はして来たが…その合否の発表が今日なんだ。 …だから、祈っててくれ、リザ。私が真唯さんの出して下さったテストに合格している事を。」

「……あらあら。私の知らない間に大変な事になってるようね。 …いいわ。きっちり、お祈りしておげる。あんたが真唯ちゃんにフラれちゃったら、一生独身の男やもめだものね。」
「頼むよ。」
「まあ、そのお祈りの前に、私は真唯ちゃんに今日と云う日を装うにピッタリのドレスを選んでくるわ。」

……そ、それはお手柔らかに…っ!!

心の中で絶叫した言葉が届いたのか、リザさんがアタシに選んでくれたのは、一条さんに合わせたようなシルバーのシャンタンカシュクールドレスだった。しかも、ボレロ付き。前で結ばれるリボンがおしゃれで可愛い。いわゆる“大人カワイイ”と云う奴だ。ネックレスもイヤリングもムーンストーンでトータルコーディネートされている。


「……リザさん、とても素敵です。ありがとうございます。」
お礼を言ったのに、リザさんはなせか一瞬、ポカンとして。そして、にっこりと華やかに艶やかに微笑った。
「…初めてね。真唯ちゃんが、私に素直にお礼を言ったのは。」
「…っ! …そ、それは…っ、いつもリザさんは、私には似合わないような素敵なドレスばっかり着せようとするから…っ!!」
「…貴志~~、真唯ちゃんがこんな事言ってるわよ~~」
リザさんが、応接室で珈琲を出されて待っていてくれた一条さんに呼び掛ける。
すると、立ち上がった一条さんは、

「…リザはいつも、貴女にお似合いのドレスしか選びませんよ。今日も、とても良くお似合いです。 …では、参りまょうか? 私のママキーヤ。」

そう言って、エスコートの腕を差し出して来る。


……【ママキーヤ】とは、インカの月の女神の事だ。
……この男性ひとの口の上手さは、死んでも治らないかも知れない……

ひとつ諦めのため息を吐くと、アタシはその腕に腕を絡めた。





銀座から都内にある専用の飛行場に向かって、“空飛ぶ5つ星ホテル”特別機に乗り込めば、直ぐに離陸テイクオフ。水平飛行になって機体が安定すれば、アッと云う間に富士山が見えてくる。

雲海の中に聳え立ち、紺碧の空に映える富士の御山は、今日も美しかった。

……GWに拝見させて頂いた御姿を思い出すが、空の上から拝見させて頂く富士山は格別だ。木花開耶姫様にも御加護を賜れるように心の中で合掌しつつ、その御姿が見えなくなるまでアタシは窓にへばり付いていた。




「…毎年の事ながら…その様子を見ているだけでも、この空の旅に貴女をお連れしている甲斐があると云うものです。」
一条さんの声にハッとなる。隣を振り返れば、とても満足そうな嬉しそうな表情かおをした一条さんが、アタシを見ていた。

「…す、すみません…つい、夢中になっちゃって…!」
「謝罪には及びません。 …ですが、そろそろ移動しませんか? 準備が出来たそうなので。」
「…は、はい! 了解わかりました!」
……着用していたシートベルトを外して席を立ち、扉をひとつ開けると……そこには、ここが空の上だと忘れてしまうような光景が広がっていた……


とても飛行機内にいるとは思えない高い天井。そこに輝くのは、アンティークのシャンデリアだ。
広々としたソファーに、まるで帝都ホテルのスイートの室内にいるような心地に陥る。テーブルの上には、実際、帝都ホテルのケータリングを利用しているのだと云う、見た目も味も超一流のお料理が並んでいるのだが、その中で異彩を放っているのが中央に置かれたホールケーキの存在だ。「HAPPY BIRTHDAY to MAI」と書かれたチョコプレートがあって……白の生クリームと、これでもか!と言わんばかりに敷き詰められた真っ赤な苺のコントラストが強烈で……しかも、ハート型をしているのは……一条さんの気持ちの表れ…?
そして、ソファーにひと際、存在感を主張しているのが、黒薔薇シャルル・マルランの花束だ。数えなくとも理解る。きっと31本あるのだろう。一条さんはそれを持って、アタシに差し出して来た。


「…改めまして。 …真唯さん…お誕生日、おめでとうございます。」
「…ありがとうございます。 …大して、めでたくもないんですけどね。」
「…そんな事はおっしゃらないで下さい。 …今日は私にとって、特別な日になる事を期待しているのですから。」
一条さんから花束を受け取って。
……ちょっと悪戯心が湧いて、アタシはひと際剣弁高芯咲きの1輪を抜き取り茎を折ると、一条さんのスーツのポケットチーフを取り出し、そこに深紅のシャルル・マルランを差した。

「……良くお似合いですよ。
 ……やっぱり、良い男性おとこには、真っ赤な薔薇が似合いますね。
 ……これで私は、まだ30のまま…って云うのは、ダメですか…?」

「……まったく…貴女と云う女性かたは……」
……あ、なに、その大きなため息……ちょっと傷付いちゃったゾ。
……だって、女の30歳と31歳の間には、男の人には理解らないおおきな隔たりがあるのダ★


結局、アタシには甘い一条さんは、苦笑いで小さな悪戯を許してくれて。1983年産の【シャトー・ディケム】を開けてくれる。コルク栓を抜き、蜜色のワインをバカラのグラスに注いでいく、一条さんの優雅な仕草にうっとりだ。

「……2014年のインティ・ライミが、忘れられない日になる事を祈って。」
グラスを掲げる一条さんに、

「……2014年のインティ・ライミが、特別なものになりますように。」
とアタシは返した。


キーン♪


……トカイワインも、勝沼で飲んだ【ノーブル・ドール】も美味しかったけど……やっぱり、一条さんがアタシのためだけに用意してくれるこのお酒ワインが一番美味あまい気がするのは、きっと気のせいなんかじゃない……




それからアタシたちは、その豪華なランチを思う存分、堪能して。
デザートにケーキを食べようとカットしようとした時に、一条さんがちょっと困った表情かおをした。理由わけを聞くと、
「……いえ…私の、真唯さんへの想いにナイフを入れるようで…とても、心が痛むんです。」
……なんだか本当に辛そうな表情に、一条さんてばやっぱりとっても繊細なんだ…と認識を新たにした。
「……それじゃあ、私たちはこのケーキは食べられないんですか?」
「いえ! 折角の真唯さんのバースデーケーキですから、これは是非、召し上がって頂きたいんですが……そうだ、真唯さん、切らずにこのままでお1人で召し上がって頂けますか?」
なんて、簡単に言われて仰天してしまう。そんなに大きいサイズじゃないから、無理すれば入るだろうけど……
「……一条さん…こんなに食べたら、私、ブタになっちゃいます……」
すると何故か一条さんがニヤリと笑った。
……一条さん…その微笑み、黒いものを感じるんですけど……

「それはそれは、可愛い子ブタさんが出来上がりそうですね。 …それでは、その子ブタさんを私が美味しく頂いて…」

「…っ! …一条さん…私が、そのハートのケーキ、真ん中からカットして差し上げましょうか…?」
「…っ!! それは、勘弁して下さい! 分かりました、すぐにお切りします!!」

……一条さんをキョーハクしてしまった。
……フン! アタシを恥ずかしがらせると、後が怖いんだから……!!

なんて漫才をやりながらも、それなりに楽しく過ごしていたから気付かなかった。

いつもの通り那覇空港に到着しても、給油時間で時間を引き延ばしたり、同じ処を何回も旋回させて、時間を稼いでいる事に。





―――……一条さんが、アタシにある物を渡すために、最高のシチュエーションを演出しようとしていてくれた事に……―――







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