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本編
No,83 北原さんの急襲
しおりを挟む……一条さんとの旅行、楽しかったなァ~~……
ちょっとでも油断すると、漏れてしまうニマニマ笑いを隠すのに、会社では特に気を張っている。
GW明けのKY商事は、秘かにまだまだ浮ついた雰囲気が残っていた。仕事の合間にも、何課の誰々さんが何処どこに行ってきただの、いや、何課の○○さんは家族サービスの心算の旅行で、何気ない一言で奥さんの怒りを買ってしまい未だに冷戦中だのと、噂話に花を咲かせている(勿論、その出掛けた人たちからのお土産の数々が、3時のおやつに皆に配られたとは言うまでもない)。
……真唯は、もう、うんざりなのである。
事実ならば、まだ良い。だが、勝手な憶測による流言など最低だ。しかも、“他人の不幸は蜜の味”とばかりに、他人さまのご家庭の中にまで踏み込むような噂などの方がみんなの口に登る事が多く、面白可笑しく話している人間を見る度に『そんなに人の不幸が楽しいか、テメーラ!』と首を締めあげてやりたくなったものだが……現在では(…可哀想な人たち…)と達観するゆとりが出来ている。
※ ※ ※
真唯は、その昔、この会社でいわれない噂に晒された経験がある。
真唯は週末、ふらりと何処かへ行く事が多かった。それはいつも仏像を拝観したり、どこぞの神社仏閣の御朱印を頂きに行く参拝の旅だったのだが、まだ若かった真唯はバカ正直に、その土地のお土産を会社に持って行く事を忘れなかった。社会人としてのマナーだとすら思っていた。
だが、それがいけなかったのだ。奈良への旅が一番多かった真唯に、『奈良に遠距離恋愛の恋人がいるらしい』と噂をされ、それはどんどんエスカレートして行き、遂には『真唯には、奈良にパトロンがいる』『いや、奈良に単身赴任している既婚の男性と不倫をしている』とまで言われるようになってしまったのだ。
これには真唯も黙ってはいられなかった。身の潔白を明かすべく、“証拠”として御朱印帳を提出したのだが、却って『牧野さんてば、こんなアリバイ工作までして…よほど隠しておきたい人がいるのね~~』などと“お局さま予備軍”のオネーサマ方に言われてしまったのだ。
……ここまで言われるに至って、鈍いところのある真唯もようやく悟った。
この女性たちは、何も本気で真唯が不倫しているとは思っていないのだ。 ……ただただ、ふらりと行動出来るその身軽さが……若さが妬ましいだけなのだと……これが、イジメと言われるものなのだと……
その日は帰宅して、会社の事で初めて泣いた。今までどんな失敗をして上司に怒られ、悔しい思いをしても泣く事などなかったのに。その日は涙が止まらなかった。毎回、会社の人たちに喜んでもらえるお土産選びをしていた自分を、心底バカだと思った。
その日からだ。
真唯は化粧をやめた。
そして旅行に出掛けても、お土産を一切、買って来なくなった。
真唯が旅行を止めたと信じこんだ会社の人たちは、スッピンになってしまった真唯を見て『アレは、例の秘密の彼氏と破局を迎えたんだ』と楽しそうに盛り上がっていたが、真唯はもう関心も抱かなかった。
人間不信に陥らなかったのは、ネットの世界で生きていたからだ。
【上井 真唯】を支持してくれる、沢山の人々の温かい声があったからだ。
だが、リアルの世界では絶望した。もともと生きる気力に乏しく、人間関係を築くのにあまり関心を持てなかったのだが、この事件以来、その傾向に拍車がかかってしまった。もともと“本当の友人”と思える人が数人いてくれれば生きていける性格だ。真唯には何も困る事などなかったのである。
会社を辞めなかったのは、お金のためではない。実は、真唯には秘密の副収入があった。ハッキリ言って、あんな会社、いつ辞めたって惜しくはないのだ。 ……ただの意地だ。あんな噂で潰せたと笑われたくなかったのだ。だから、会社では仮面を被る事を覚えた。
ただ、唯一、真唯を信じてくれて……事ある毎に庇ってくれた室井さんの前でだけは、そんな仮面を外す事も出来たのだが。
室井さんは、真唯のお土産を喜んでくれていた。
GW明けの出勤日に、早速お礼を言われたのだ。勿論、人のいない処でだ。室井さんは、真唯が会社にお土産を買って来ない事を知っている。その経緯も、その理由も。最初の頃は、自分だけにお土産を買って来てくれる事を申し訳なさそうにしていた。『私は結局、牧ちゃんを守ってあげられなかったのに…』と。だが、良いのだ。 ……室井さんは、充分、守ってくれた。 ……真唯の精神を。
しかも現在は、北原さんの事と一条さんの事を相談出来る唯一の女性でもあるのだ。このくらいのお土産は当然である。
『あの一条氏とご一緒だったんでしょ? どうだった? 楽しめた?』
『はい! とっても楽しかったです!!』
そしてデジカメを見せたのだが、一条さんとのツーショットに、
『ハイハイ、ご馳走さま。 …ったく、立派なバカップルに成り下がっちゃって…でも、良かったわ。牧ちゃんが、こんなに幸せそうな表情してるなんて…一条氏の愛の力は偉大ね。』
などと云う、お誉めのお言葉を頂戴してしまったのだ。
『……言っとくけど、誉めてないからね……』
『ハイッ!』
にっこり笑ったアタシに、室井さんの呟きは小さ過ぎて届かなかった。
『……まったく邪気のない表情しちゃって…あの一条氏が、心配するわけよね。』
……ちなみに、室井女史のGWは、ひたすら家にいたとの事である。
『どこ行っても混んでるんだから、こー云う時こそ溜まった番組録画やDVD観賞するのよ。』
そう言ってカラカラ笑う室井女史は、真唯の理想のアラフォー女性だった。
そんな風にGW明けの仕事は始まって、しばらくは穏やかな時間が過ぎて行ったのだが……天災は忘れた頃にやって来た。
※ ※ ※
「…やっと、捕まえた…っ!!」
焦ったような慌てたような声に手首を掴まれ、ギョッとする。
「…まったく、いつもいつも定時で帰りやがって…!」
振り返りたくはない。脳が現実を拒否しようとする。だが……いつまでも現実逃避してる訳にもいかない。
「……仕方ないじゃないですか…事務員は、定時帰宅を奨励されてるんですから……」
……落ち着け、落ち着け、真唯。 ……ここは幸いに、道のド真ん中だ。最悪、暴力を振るわれる事はあるまい。
「…ホント、俺たち、営業には優しくない会社だよな。 ……ね、夕メシ食わない? 奢るよ。」
「お断りします。」
出来た! 出来ましたよ、一条さん! 一条さんの必殺技、0.1秒の瞬殺!!
「……考える余地なしかよ…セツネ~~~……」
うんうん、コレやられると、切ないんだよね。 ……なんて、同情してる余裕はないっ!! なにしろ、一条さんにも室井さんにも、2人っきりになるなと言われているのだから!!
「…でも、生憎、今日は俺も退く気はない。 ……承知してくれなかったら、このまま、俺の家まで拉致る。」
「…っ! …大声、出しますよ…っ!」
「出せば? …警官呼ばれて、ブタ箱入るのもオモシレーかも知んない。」
ククッと自嘲気味に笑われるのに、ゾッとする。 ……ダメだ…っ! この人をこれ以上追い詰めちゃいけないっ!!
「……逃げません。逃げませんから…手を離して下さい、北原さん。手首が痛いです。」
(ごめんなさい、一条さん、室井さん!!)心の中で盛大に謝って、真唯はその男……北原さんを振り返った。
「……よーやく、俺の眼ぇ、見てくれた……」
安堵したように囁く北原さんから、思わず眼をそらしたくなる。だが、これ以上刺激するのは危険だと思って、真唯は北原さんの眼を見ながら話すよう努めた。
「……お夕飯…私がお店、指定しても良いですか?」
「勿論! どんな高級なフレンチでも奢っちゃう!! ……って、そんな店は一条専務と行き慣れてるか……」
「……慣れる事なんてありませんよ……。同僚相手に、そんな高いお店、ふっかけたりしないから安心して下さい。」
「……“同僚”か…そこから抜け出したい俺に…残酷だな、牧チャンは……」
偶に一条さんが見せる、狂気の混ざった色を北原さんの瞳の中に見つけて背筋の凍る思いをした真唯だったが、これは逃げ続けた真唯の責任だと思って勇気を奮い起した。
「……ほら、行きますよ、北原さん! お腹空かせたOLを舐めたら、後が怖いんですからね!!」
「あ! おい、待てよ…っ!!」
2人っきりになっても、妙な気を起こされない処……と素早く頭の中で店を検索した真唯がやって来たのは、真唯が秘かに【インスマウス人の館】と呼んでいる、東京駅近くにある全国展開されている居酒屋のチェーン店だった。
「……意外なチョイスだな……」
「……そうですか……?」
「そうだよ。2人っきりにならないように、大衆居酒屋にでも行くのかと思ってたから。」
「……ここなら、他人に聞かれたくない話も出来るし…厳密に言えば2人っきりじゃないから……」
「……ま、確かに悲鳴でもあげりゃ、店員か誰かが飛んで来るわな。」
さり気なくオッカナイ事を言う北原さんをスル―して、真唯はビールのグラスをチビリチビリと飲んだ。ホントはウーロン茶を頼もうとしたのだが、最初の乾杯ぐらい付き合ってよと言われ、仕方なく生ビールを注文したのである。
とりあえずは、『お疲れ~』『…お疲れさまでした…』と乾杯して、適当なお摘みを見つくろってオーダーしてしまうと、後はお互い無言になってしまう。真唯はお通しを食べながら、(ああ、そう云えば、マッツンのお店、あれからどうなったかな~~)と明後日な事を考えてしまう。
ちなみに真唯の思惑通り、GWの間は気が狂うかと思うくらい忙しかったそうだ。過去最高の売り上げを記録して、マッツンをまたまた泣かせてしまった。空席を待つ長い長い行列が出来てしまい、待って頂くお客様のために急遽椅子を用意し、今まで臨時のパート要員だった義妹を正式な店員に昇格させようかと云う話も出ているそうだ。
……そんな事を考えながら、やって来た大長茄子の浅漬けや有機水菜とカリカリじゃこの和風大根サラダを食べていたから、反応が遅れてしまった。すると北原さんはイライラする様子もなく、質問をもう一度繰り返してくれた。
「……このGW、専務と過ごしたんだろ?」
それは疑問ではなく断定だったので、真唯も正直に答えた。
「……はい……」
「……どこ行ってたか、聞いていい?」
……これには流石にバカ正直に、山梨で~す♪ などと答える事も出来ずに、無言でいるしかない。
「……答えられないか…まあ、旅行に行ったにしろ、専務んチに行ったにしろ、俺にとって愉快な話じゃないわな……」
……?
ここで真唯は不思議に思った。
……何故に、真唯の部屋で過ごしたとは思わないのだろう…?
「……俺…GWは悪友たちとバカ騒ぎしてて気ィ紛らわしてたんだけど…たまんなくなって…最終日にあんたの部屋に行ったんだよ……」
北原さんは簡単に真唯の疑問を晴らしてくれたが、返って来た答えは最悪だった。やだ…これじゃ、まるで……
「……ストーカーかよ、って自分でも理解ってたけど…止めらンなかった。……あんたは、とうとう帰って来なかった……」
……よ、良かった! あの日、一条さんがアタシを引き留めてくれて、ホントに良かった……っ!!
「……GW明けは、にこにこしてて見てらンなかったヨ。……何とか、あんたを振り向かせたくて…せめて話がしたいと思っても、あんたはいつも定時になれば、さっさと帰っちまうし…室井女史にはさり気なく邪魔されるし……気ィ狂うかと思った……」
……室井さん、GJ!……と思いたい。思いたいが……段々無表情になってく北原さんが、ハッキリ言って怖い……
「……なあ…何をすれば、あんたに好きになってもらえンだ…?
……専務のプロポーズには、応えなかったんだろ…?
……俺や専務に足りないものって何なんだ…?
……なあ…何でもするよ…何だ? 何が足りないんだ…?」
向かい側に座っていた北原さんが、こっち側にやって来て真唯の隣に座った。北原さんの瞳は虚ろで……恐怖を感じた真唯は、注文するタッチパネルではなく店員を呼ぶベルを押そうとしたが、その手を北原さんに捕まえられてしまった。
「……邪魔されてたまるかよ……」
真唯に覆い被さるようにして壁際に追い詰める北原さんを、信じられない心地で見つめる。北原さんをここまで追い詰めてしまった…っ! アタシのせいだ…っ!!
「……なあ…なに泣いてンの…?」
真唯の両手を抑えつけ顔を近付けて来る北原さんが、ただただ哀しかった。アタシなんかのせいで…っ!!
「……あんた、スッゲー、いー匂いすンのな…他のオンナは香水プンプンさせてんのに…なあ、コレなんの匂い?」
……一条さんは、ちゃんと知っててくれる……これが【銀座 香十】で買った匂い袋だって……アタシが香水を使わなくなった理由もちゃんと理解っててくれる……それが、北原さんではダメな理由……それをちゃんと説明すれば……こんな事にはならなかった……
自己嫌悪に陥る真唯も、近付いて来る唇には、顔を背けて抵抗した。例えキスだけだって、一条さんを裏切りたくなかったから。そんな真唯を悲しそうな寂しそうな表情をした北原さんが見つめて……真唯の顎を固定して尚も顔を近付けて来て……
……もう、ダメ…ッ!
……ごめんなさい、一条さん…っっ!!
真唯が諦めて、眼をギュッと瞑ってしまった瞬間だった。
「……そこまでよ…ケイちゃん。」
第3者の声が聞こえて……北原さんの肩がグイッと引かれて、真唯から遠ざかったのは。
怖る怖る眼を開ければ、そこには頼りになる“姐御”が……呼吸を切らせている室井さんの姿があった。
……アタシ、助かった…?
思わず室井さんにしがみ付きそうになった真唯だったが、室井さんがとても怖い表情をしているので……諦めた。 ……怒ってる……無理もないよね……あんなに北原さんとは2人きりになるなと注意されていたのに、言う事を聞かなかったのだから……。そう思ったのだが、真唯の表情に気付いた室井さんが、違う違うと首を横に振ってくれた。
「……私が怒ってるのは……ケイちゃんと、ケイちゃんの行動を読み切れなかった、自分の詰めの甘さによ。」
「……室井さん……」
……信じても良いのだろうか…? ……こんなバカな事をしでかした、真唯を許してくれるのだろうか…?
「……あんたが、そんな表情をするのは、止めなさい。悪いのは全面的に、こんな暴挙を犯したこのケイちゃんなんだから。」
「……室井さん…あんた、俺に恨みでもあんの…?」
真唯から完全に身体を離した北原さんの恨み言を聞いて、室井さんの眉がピクリと跳ね上がった。
「……ほ~~、命の恩人に対して、そんな暴言を吐けるとは大したモンね。」
「……命の恩人なんて、ンな大袈裟な……」
「……まあ、それはともかく……あんたは一条氏には永遠に勝てないよ。
……その理由、教えてあげよっか…?」
「ホントですかっ!?」その室井さんの言葉に、北原さんは食い付いた。
「うん。その代わり、ここはあんたの奢りね。」「勿論ですよ!!」
……自分を蚊帳の外に盛り上がってる2人に、お~い、置いてかないで~~と言いそうになった真唯は、急にクルリと振り返った室井さんにドキッとする。
「……そんな訳で、牧ちゃん。これからは、私たち2人が飲むから、あなたは強制送還ね。」
そう言って、真唯のスプリングコートと鞄を渡してくれる室井さんに、「ハイハイ、帰った帰った」と店の外に追い出されてしまいそうになる。慌てて振り返って見てみれば、北原さんは完全に不貞腐れた表情をしている。 ……これだけは言っておかなくては……と、真唯は辞去の挨拶をした。「……あの…北原さん、ご馳走様でした。」
……?
何故か、呆然とした表情をした北原さんと、「……全く、あんたって子は…いや…そーゆー娘よね、牧ちゃんは。」呆れたような疲れたような……そして嬉しそうな笑顔を見せる室井さんを不思議に思った。 ……だって、奢ってもらったんだもん……あんまり食べてないけど……
……小腹が空いた…カップ麺の買い置きあったわよね……
だが、そんな呑気な真唯の思惑は、大通りにあるレクサスと、そこに佇む男性を見て、一気に消し飛んでしまった。
「真唯さん! …ご無事で良かった…っ!!」
人眼もはばからずに抱き締めて来る一条さんに、羞恥が湧く余裕もない。
「…む、室井さん! ……これは一体…っ!?」
真唯の背を押して来てくれた室井さんは、明らかに一条さんがここに来ている事を知っていたのだ。説明を求めて振り返るが、室井さんは、
「…詳しい事は、あんたの恋人様に聞いたんさい。じゃあね、一条さん。確かに彼女は返したからね。 ……さあ、これからケイちゃんと、飲むわよーー!!」
宣言して、ヒラヒラさせた手をアタシたちに対する挨拶に代えて、店へと戻って行ってしまった。
※ ※ ※
……取り残されてしまった真唯は、一条さんの腕の中で、ただ呆然とするしかない。
……なぜ、一条さんがここにいるのか…室井さんとは、いつ知りあったのか……そもそも、真唯の危機をどうして知ったのか……
聞きたい事は山盛りだったのだが……なんともタイミング良く真唯の身体は、持ち主の正直な欲求を一条さんに教える役目を果たしてくれた。盛大にお腹の虫が大きく泣き……悲壮な表情をして真唯を抱き締めていた男を一瞬、キョトンとさせてしまう。
そして、肩が震え出し……終いには爆笑しだしたのだ。
『笑い過ぎです、一条さん!!』
……などと云う文句は言えなかった。
……一条さんが、真唯をホントに心配してくれていたのが、理解ったから……
「…すみません、一条さ、」
「なんの。お腹を空かせる余裕がある事に安心させられます。夕飯を作りますから、帰りましょう。」
笑い過ぎて滲んでしまった涙を拭いながら言う一条さんだが。
「…帰るって…もしかして、一条さんのマンションですか?」
「…当然です。 ……何かご不満でも?」
ジロリと睨まれてしまった。アタシは、慌ててぶんぶんと首を左右に振る。
「…結構です。それでは、どうぞ車へ。」
一条さんが助手席を開けてくれるのを有り難く思いながら、レクサスに乗り込む。運転席に座った一条さんは、ゆるやかに車を発進させた。流れる車窓を見ながら、しばらくは一条さんが何を作ってくれるのかウキウキしていたのだが……唐突に、あの北原さんの思いつめた表情を思い出してしまって……
『……眠いのでしたら、眠ってしまっても構いませんよ。着いたら、起こして差し上げますから……』
……そんな一条さんの言葉が、アタシが覚えてられた最後の台詞になってしまったのだった。
―――ごめんなさい、一条さん……アタシ、思ってたより、ずっと緊張して疲れてたみたい……ホントにごめんなさい……ちょっとだけ眠らせてね―――
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