IMprevu ―予期せぬ出来事―

天野斜己

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本編

No,59 かつて独身を誓ったオンナたちの現在(いま)

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「チョコはもっと細かく刻む! 親の敵だと思ってブッた切りなさい!」
「…はい、先生!」
「生クリームを完全に沸騰させちゃダメ!」
「はい、すみません!」
「もっと、そっと混ぜないと、シャンパンと均一にならないわよ!」
「すみません!!」
「粉砂糖をまぶすだけなのに……この下手○そ!!」
「すみません、コーチッ!!」

……訳のわからない世界に突入しつつあった。



午前中に信州から到着した田宮、旧姓・平山美穂こと【マッツン】は、真唯のアパートで再会を果たした瞬間から鬼コーチと化した。道具や材料の一切を用意してくれると云う友人に駅まで迎えに行くと言ったのだが、そんな暇があったら鍋や包丁を綺麗に洗っておけと言われてしまった。

……真唯は友人たちを、独特の固有のあだ名で呼ぶ。彼女の場合、“美穂”→“三保の松原”→“松”→“マッツン”と云う発想の展開になっていった。思えば、HNの当て字や、一条さんの名前を最初に【騎士】と連想してしまったのも、その名残りかも知れない。ちなみに優里は年下なので、そのまま呼んでいる。
閑話休題。
真唯は最初、簡単なトリュフを作る心算でいたのだが、折角、自分が出て行くのだから、もっと凝った物にしようとマッツンが言い出し、【シャンパン・トリュフ】なる高度な物に挑戦する事になってしまった。
計量カップやスプーンや温度計などはマッツンが持参する事になっていたが、せめてこれぐらいはと真唯は板チョコ数枚と共に、モエ・エ・シャンドンの高級品を奮発した。着いて早々、シャンパンを見たマッツンは「高きゃ良いってもんじゃないのよ!」と一発目の雷を落としたのだった。
狭いキッチンで、エプロンを付けた二人の女が格闘する。



※ ※ ※



もっとも格闘しているのは真唯このコだけで、美穂あたしはビシビシ指図するだけだ。手は一切出さない。
板チョコを刻ませ、沸騰させる直前の生クリームと合わさせ。一呼吸置いてから、泡だて器で均一に混ぜさせる。この時、シャンパンも混ぜるのだが、そっと丁寧にやらないと失敗する。その点、真唯は素直で、自分に怒られながらも、優しい手つきで一連の作業をこなしている。


(……本当に大事な男性ひとが出来たのね……)
何やら微笑ましい気分になる。


この後、冷蔵庫で二、三十分冷やさなければならない。
この間に、美穂は簡単な昼食をとる事を提案した。と言っても、ただの昼食ではない。持参した美穂自慢の愛しの旦那の打ちたて蕎麦だ。

「ウチの自慢のお蕎麦をご馳走するから、ウチの店、真唯のブログで紹介してよ。」

その瞬間、今までプルプル震えるハムスターのようだった小動物が、突如、百獣の王に変身したかのように真唯の雰囲気が変わる。

「……確かに一生、恩に着るとは言ったけど…それとこれとは話は別よ。
【上井真唯】の審査は厳しいわよ」

「……望むところよ。…ああ、真唯は座ってて。」
キッチンは勝手に使わせてもらう。ここで昔も真唯を指導した事のある美穂には、どこに何があるのか理解っていた。大きな鍋に大量の水を沸騰させている間、義母の畑でとれた葱を刻み、義父の山葵畑でとれた山葵をする。それから盛る皿を予め用意して。美穂は一気に蕎麦を湯がき始めた。
……コタツに座っていると思った真唯が後ろで、自分の手元を覗き込んでいるのを感じたけど気にならなかった。いつもの感心したような雰囲気ではなく、観察するような視線に気付いたからだ。後ろにいるのは、友人の真唯ではない。自分の舌と独自の感覚で勝負して、数多の人に支持されているパワーブロガー・上井真唯なのだ。
(【蕎麦と酒処 田宮】の実力を見せてやるわ!)
美穂の腕がなった。


「お待ちどうさまでした。」
自然と敬語になってしまう自分を自嘲う美穂。

真唯の部屋は寒い。コタツだけだ。
普通なら温かいお蕎麦を食べたがるだろう。
だが、真唯の前に盛り蕎麦を置いた時、真唯から文句は出なかった。

「いただきます。」
合掌して箸をとってくれる姿勢が嬉しい。

真唯はいきなりおつゆに山葵をといたりはしなかった。
真ん中からお蕎麦を摘み上げ、おつゆにつけてズルズルと啜る。
あまり噛まないで呑み込んでしまう。 ……喉ごしを確かめているのだろう。
次に葱を入れて、その次にはお蕎麦に山葵を乗せて啜っていく。山葵で食べた瞬間ときに、わずかに真唯のが見開くのを確かに見た。 ……怖いだと思うと同時に、お義父さんの山葵は日本一なんだから!と誇らしい気分になる。

「…ご馳走様でした。…うん、美味しかった。」
再び合掌して箸を置く真唯の表情かおが、お店に来てくれるお客さんと同じような満足そうになっているのを見て、(勝った!)と思った。
美穂は安心して、自分ののびてしまった蕎麦に手をつけた。

始めから、本当に真唯のブログに載せてもらおうなどとは思っていない。
ただ、今、自分が好きで歩んでいる道を、真唯に見て欲しかったのだ。


(……それに、慎太郎君のお蕎麦を真唯に食べて欲しかった……)


念願が果たされて嬉しくなった美穂はアッという間に食べ終えてしまい、さっさと片付け終えて再び鬼コーチの顔に戻った。

「さあ、のんびりしてたらチョコが完全に固まっちゃうわ。
そろそろ再開しましょうか。」



※ ※ ※



不器用ブキな真唯にテンパリングは難しいかと思われたが、マッツンが横に立ってしっかりコーチしてくれたので彼女の言う通りの温度に気を付けていればと安心出来た。ハッキリ言って面倒くさい作業だったが、見事成功して光沢の綺麗な滑らかな口当たりのチョコになった時には涙が出そうなほど嬉しかった。
最後の最後で粉砂糖をまぶす時、最後まで気を抜くなとばかりに落とされた雷には縮み上がったけれど。


「……やったー! 完成したーーーっ!!」
「……うん…不器用な真唯にしては上出来よ。」
「ハッ! マッツン様のお陰です!! もう信州に足を向けて眠れませんっ!!」

独身用のアパートの小さなシンクだ、二人同時に立っているとさすがに狭い。と云うか、マッツンにはもう立っていてもらわなくて良い。おコタに入って暖まってもらってる間に、後片付けは真唯一人で心を込めて行った。
マッツン持参の道具は、また彼女が持って帰らなくていけないのだ。キレイキレイに洗って、しばらく乾かしておく事にした。もう少ししたらキチンと拭けば良い。
お礼を兼ねて珈琲を丁寧にドリップする。珈琲の御供は勿論、試食用に多めに作ったシャンパントリュフだ。

「どうぞ」
「いただきま~す♪ ……ン! 真唯の淹れた珈琲、相変わらず美味しい!!」
「……ありがと。」
一口含んで、しみじみとため息を吐き出す。お疲れさま、自分!と労わってやりたい気分だ。そして、自分で作った物に手を伸ばす。しみじみと眺めて、眼を閉じて口に入れて味わう。 ……ほのかにシャンパンが薫る上品な味に自分で驚く。
「……アタシが作った物とは思えない……」
思わず出てしまう呟きに、コロコロと笑う声が耳に心地良い。
「ま、この美穂さまが手取り足取り教えたんですから、当然と言えば当然ね」
「……仰せごもっともでございます……」


しばらく和やかにコーヒータイムを楽しんでいたが、突然、マッツンの手がヌッと真唯に差し出された。
「……?」
不思議に思ってマッツンを見上げると、何とも楽しそうな意地悪そうな笑顔がそこにあった。
「とぼけなさんな。授業料よ。真唯の“一条さん”、見せてもらおうじゃないの。」
「…っ!」
一瞬で顔を赤くした真唯だったが、約束は約束なので諦めてデジカメを取りに立ち上がる。


……そうなのだ。
今回のお料理教室の受講料は、一生独身を貫く!と宣言していた真唯に手作りチョコをプレゼントしようと奮闘させてしまう“彼氏”の画像を見せる事なのだ。『会わせろ』と言われるかとビクビクしていたのだが、チョコ作りを相手に秘密にしておきたい真唯の気持ちをくんでくれたのか、そこまでの要求はなかった。

真唯はデジカメを手におコタに戻り、操作して撮ったばかりの一条さんの画像を表示させ、マッツンに渡す。
興味津津で真唯から受け取ったデジカメを見た瞬間、マッツンの甲高い声が響き渡った。

「うっそーっ! なに、この超絶イケメンはっ!!」
「……マッツン! ……声が大きい……!」
「これが叫ばずにいられますか! 一生、結婚なんかしないって言ってたのは、こんなメン食いだったからなの!?」
「……ち、違うもん! 顔で好きになったわけじゃないもんっ!!」
「……真唯から『好き』なんて単語が出るなんて、あたしゃ感慨深いよ……じゃあ、どんなとこを好きになったの?」

……ああ…やっぱり始まったか、尋問が……

「……優しいとこ……」
「……まあ、鉄板ね。それから?」
「……アタシの事を誰よりも理解してくれるトコ……」
「それから?」
「……アタシのメンドイ部分を愛してくれるトコ……」
「それは凄い! …それから?」
「……アタシの家族を理解してくれるトコ……」
「ああ! それは、ポイント高いわね。それから?」
「……すごくカッコイイ男性ひとなのに、ホントはすごく寂しい人なトコ……」
「……………」
「……彼…生まれが複雑なんだって…だからだと思う……」
「……『なんだって』って、また聞きなの? 直接、聞いてないの?」
「……う~ん、恋人でも踏み込んで良いとこと、悪いとこがあるでしょ?」
「……結婚は? ……考えてないなんて言わないでよ?」


そして真唯は話した。プロポーズはされている事。自分への自信のなさから返事は半年待ってもらってる事。 ……マッツンは複雑そうな表情かおをして聞いていたが、余計な事は言わないでいてくれて助かった。しかし、一番されたくない質問をされてしまった。

「……で、何やってる人なの、この人。」
「……言わない。」
「何でよ!」
「……さっきより大きな声を出すから。」
「……そんなにスゴイ人なの?」
コクンと真唯は頷いた。
「……了解わかった。大きな声、出さない。…だから、教えて。」
「……………」無理だろうなぁ~~と思いながら、真唯は答えた。

「……緋龍院建設の…専務……」

「…っ!」喉まで出掛かった悲鳴のような声を、両手でバッと塞いでマッツンは堪えた。

(……マジ?……)両手で口を抑えたまま、マッツンは眼で聞いて来る。
(……大マジ……)真唯も眼で答えながら、再びコクンと頷いた。

しばらく呆然としていたマッツンは、ゆっくり手を離し……珈琲を一口含むと、ハァ~ッと大きなため息を吐き出した。

「……そりゃ、また、凄い人と……」
「……フフ…アタシもそう思う……」
「……結婚式には呼びなさいよ! …と、言いたいところだけど、そんな凄い人との披露宴なんて肩こりそうでやだな~~」
「…っ! …マッツンッ! ……気が早いって!!」
人妻は強い。衝撃から立ち直ると、ここぞとばかりに真唯をからかい始め、真っ赤になった真唯はタジタジだった。


「……にしても……」
二杯目の珈琲を飲みながら、マッツンは大きく息を吐く。

「ホント、感慨深いわ~~。一生、独身でいようね!!って約束した二人が、こんな話するようになるなんて……」
「……っ! そうよっ! 『年とったら、ルームシェアして一緒に暮らそうね』って約束してたのに、さっさと結婚しちゃって!!」
「ナハハハ…! ……まあまあ……。……でも真唯がその一条さんと結婚してくれれば、もう【裏切り者】呼ばわりされなくて済むから、あたしとしては一条さんに頑張って欲しいわ。」
「…っ!!」
「…それだけじゃなくて…ねぇ、真唯。 …結婚って…そんなに悪いモンじゃないわよ?」
「…良いモノとは言わないの?」
「…ん~~こればっかりは主観の相違だからね。あたしだって、たまに思うもの。な~んで、この人と結婚しちゃったんだろって。」
「…ウソッ! ……見てる方が痒くなるラブラブ夫婦なのにっ!!」
「…う~ん、慎太郎君もね~~味に対しては頑固だから、あたし放っておいて新作作りに没頭されたりすると、もっと構って!って言いたくなる。」
「…結局、ノロケ…?」
「あら、バレた?」
ペロリと小さく舌を出すマッツンは可愛いくて、とても真唯と同じ歳の主婦とは思えない。それに姐御肌だ。
……真唯の周りには、こんなに素敵な女性ひとばっかりだ。
リザさんと云い、室井女史と云い、このマッツンと云い……




「…牛に引かれて善光寺って言うけど…
 …実は私、まだ善光寺に参拝した事ないんだ~」
「あ~、そーなの? 私はお義母さんに連れられて二回ほど行ったよ。
 そーだ、真唯! 今度、長野においでよ!
 お店がお休みの日なら、あたしが案内してあげるからさ!!」
「…う~~ん、それはちょっと遠慮したいな」
「なんでよ!!」
「善光寺参りした後は、取材の予定だから。【蕎麦と酒処 田宮】さんのね。
 女将さんがいないと話にならないでしょ?」
「…っ!!」
「お蕎麦、美味しかったよ。お世辞抜きでね。
 他のメニューも試してみたいんだ♪」
「…真唯っ!」
「アタシ、池波先生みたいに、お酒飲みながらお蕎麦食べるの、憧れてたんだ♡
 美味しい日本酒、教えてね!」
「…ま、任しといてよ!
 ワイン党の真唯に、日本酒の旨さを教えてあげるから!!」
「日本酒にあう美味しいおつまみも期待してるわよ、田宮さん♪」
「…っ!! …ありがと…っ、…真唯っ!!」
ただし。
「……悪いけど、もうちょっと暖かくなってからで勘弁してね。」
「勿論! 春の信州は最高なんだから…っ!」


……涙流してもらうほどの事じゃないよ、マッツン。お礼を言いたいのはこっちなんだから……



※ ※ ※



それからは、二人のノロケ合戦になっていった。
脱サラして趣味の蕎麦打ちを商売にして、繁盛店にして行った年下の旦那自慢を現役人妻のマッツンがすれば。
いかに年上の恋人が素敵な男性ひとか、自分の画像を欲しがる真唯にベタベタに甘い表情かおでポーズをとる恋人がいかに可愛いかを真唯が熱く語り。

第三者が見ていたら、チョコに入れた少量のシャンパンで酔ったのかと、突っ込みを入れたくなるようなトークバトルは白熱し。JR新幹線あさまに乗るために送って行った大宮の駅まで勝負はつかず。

そうかとおもえば夕飯をとるために入った店で、チョコレート作りに協力してくれたお礼に奢ると真唯が主張すれば、取材に来て頂く真唯大センセにお金を出してもらう訳にはいかない、私が払うとマッツンが譲らず。
レジの前でみっともない争いを繰り広げる二人は、立派なアラサーのオバサンだった。




尚、真唯はこの日、初めて、佐藤先生の美容クラシックバレエ講座を休んだ。






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