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本編
No,11 真唯の初めて 2 ※R18
しおりを挟む男は先ずは、己の上衣を隣のベッドに放った。カマーバンドを外し、ブラックタイを毟り取る。
……いけない。彼女を怯えさせてしまう。
カフスを外す行為で、冷静さを取り戻すよう努めた。
―――優しくしてあげるよ、真唯。
私の真の顔など知らなくて良い―――今は、まだ……ね。
真唯を初めて呼び捨てにした男のそれからの動きは、さっきまでの性急さを忘れたかのようにゆったりとしたものに変わっていた。
真珠色のドレスをゆっくり脱がし、アクセサリーを丁寧に取り外し、上半身を露わにしてゆく。自分には到底不似合いに思える、インポート物に違いないフリルとリボンで飾られたブラは、一条の手によって押し上げられる。
途端に彼の眼にさらされた自分の胸に、真唯は今なら羞恥で死ねると思った。
そんな真唯の想いに気付いているのか、いないのか。
一条は胸元を弄りながら、うわ言のように繰り返す。
「……真唯……、私の真唯……」
左手で真唯の胸の膨らみをゆっくりと揉みしだき、胸の頂きを弄ぶ。そしてもう片方の胸は、尖らせた舌で乳輪を辿ったかと思うと、乳首を口唇に含んでしまい舌で転がすように愛撫してくるのだから、何もかもが初心者の真唯はただ翻弄されるばかりだ。
「…あっ! …い、一条さん…っ、…だ、ダメェ…ッ!!」
覚悟は決めた心算でいても、ついつい出てしまう否定の言葉。
だが慣れた男にそんな世迷いごとなど通用しない。
「…可愛いよ…真唯のカワイイ嬌声をもっと聞かせて…」
首筋から胸元にキスマークを咲かせて、じっくり堪能した男は、段々と下方へ愛撫の手をずらして行った。
「…ハッ! …あぁ…ンッ! …あ…」
お臍の辺りを舌で辿られて上がってしまう喘ぎ声に、真唯は自分の性感帯がこんなところにあったのかなどと明後日の方向な事を考え、今の恥ずかしさから少しでも逃れようとした。
だが、次の男の言葉に、所詮無駄な努力であった事を思い知らされる。
「……ぬれてる……
嬉しいよ、真唯。私に感じてくれて―――」
どこを見られての台詞なのか、ハッキリと理解る言葉に真唯の顔も耳もこれ以上ないくらい真っ赤になった。きっと全身、茹で上がってしまっている事だろう。
そして、男の両手がショーツを下ろそうとした瞬間、悪足掻きと思われようと真唯は叫ばずにはいられなかった。
「だ、だめっ! …そこだけは…ダメッ!!」
「………………」
「………………」
真唯の叫びに、しばしお互いが無言になる。
……これで諦めてくれないかと、真唯は切に願う。
一条ほどの男に迫られたら、女はすすんで自ら足を開くだろう。そもそも遊び相手にだって困ってはいないはずだ。こんなメンドクサイ処女を相手にしなくたって、一条さんならいくらでも良い女性が……
真唯の願いが通じたのか、男の「了承りました。」と云う言葉が確かに聞こえた。ホッと安堵したのも束の間、真唯はショーツに湿った感触を感じ悲鳴を上げた。
何と男はソコに顔を埋め、ショーツの上から真唯の秘められた部分を舐め上げ始めたのだ。秘所の入り口の粘膜を丁寧に舐めまわし、一番感じる部分を簡単に暴き出すと、そこを尖らせた舌で執拗に攻めて来る。布一枚ごしの愛撫とは言っても、それは真唯にはあまりにも刺激が強過ぎた。
「…ハアッ! …あっ…イヤァ…ッン!」
勝手に漏れ出てしまう、自分の声とは思いたくないみっともない声が堪らなく恥ずかしい。そして、すぐにそのその瞬間はきた。
「……あァンッ!!」
――― 一条の舌で、イかされてしまった……
真唯だって生身のオンナだ。自慰の経験くらいある。
だが、自分の手で行われる稚拙なものと、男によって強制的に導かれたソレには雲泥の差があった。
肩を揺らして息を整える真唯に、男の甘い声が降って来た。
「……私で、イってくれたんだね……」
だから、そんな恥ずかしい事をいちいち口にしないで欲しいと抗議の視線を送ろうとした真唯は、急に反転させられた事に驚く間もなく、
「でも、まだまだ…これからだよ」
優しげなのに、どこか薄ら寒さを感じさせる言葉に思考を中断させられた。
「え…?」うつ伏せにさせられ戸惑った真唯も、完全にブラを外され背後から胸を揉みしだかれ、背中を辿る舌の動きに、男は何も諦めてはいないのだと思い知らされる。
「……真唯…可愛い、私の真唯……」
……ああ…一条さんって、こんな声が出せる男性だったんだ……
深く響くヴァリトンだとは思っていた。だが、こんな低く響く官能的な“エロ・ヴォイス”とでも呼んだ方が相応しい、掠れた切なげな声で名前を呼ばれて落ちないオンナがいるだろうか。
……真唯だって、本当は惹かれているのだ。そうでなければ、こんな事まで許しはしない。
……だが、しかし。
幼い頃から形成された、強固な【殻】が、真唯に男を受け入れる事を最後の最後で拒否させてしまうのだ。
……でも。
この優しい声に、甘い愛撫に、何も考えずに溺れてしまえたら、どれほど楽だろう……
胸を弄っていた手は、今は真唯のお尻や太腿を撫で回している。しかも後ろから秘所への愛撫もしてくるのだから、堪らない。声を我慢したくて、枕に顔を埋めてしまう。
その事で余計に腰を男に高く突き出す事になると理解ってはいても、枕に縋らずにはいられなかった。
しかし、次の瞬間。
「アッ! …それは、だめェッ…!」
男の指がショーツの中に潜り込み、直接、真唯の秘所を愛撫し出したのだ。
「…い、一条さんっ…約束…いは…っ!」振り返っての真唯の抗議に、
「私は約束は破っていません。」シラッとした一条の反論。
「私が了承したのは、ショーツを下ろす事だけです。」
一条の言葉を、真唯のいつもより確実に回らなくなっている頭が理解するには少しの時間を要したが。(詭弁よっ!!)と云う悲鳴は、嬌声に掻き消される事となる。
そして。
一条の指が、真唯の内部に入って来る。
慣れない異物感と圧迫感、そして感じる痛みに真唯は遠慮なく声を上げた。だが、その抗議の声は、慣れた指使いに段々と艶やかな色を纏って行く。
トロトロに蕩けさせられてしまうまでに、そう大した時間はかからなかった。
最初は一本。やがて二本に増やされた男の指は、真唯の内部を思うがままに蹂躙する。
浅い処を出し入れされた時は居た堪れなかった。まるで、【行為】そのものを連想させられて。
また、真唯の中の確実にイイ部分を探し出し、的確に攻めてくる。
三本もの指で攻められた時は、どうしようかと思った。
苦しいのに、その苦しさが逆にイイのだ。
だから、辛い。
何度、絶頂に押し上げられるような快感に襲われようとも、最後には必ずはぐらかされてしまうから……
――――――イカセテ欲シイ――――――
今は一本しか与えられない指がもどかしい。
もっと太いものでナカを探って欲しい。
とうとう真唯は、その事しか頭になくなってしまった。
「…苦しいですか?」
尋ねられる声に、真唯は正直にコクコクと首を縦に振る。
「…私はそれ以上に苦しいのですよ…貴女が強情をはるから…折角、優しくしようと思っていたのに…」
囁かれる言葉の意味は理解らなかったが、この苦しさから逃れるためだったら、真唯は何でもする。
意地の悪い悪魔が、優しい王子さまに戻る“魔法の呪文”があるのだと言う。
その呪文を確かに聞いた男は、姫君の両足を肩に担ぎあげ…夢にまでみた、甘やかな肢体を貫いた。
―――姫君には、決して見せる心算のない、昏い黒笑みを浮かべながら―――
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