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本編
prologue
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コトリと置かれた、眼の前のカクテル。
……え…? 私、まだ飲んでるのに…それに注文なんかしてないし……
いぶかしんでカウンターの中の馴染みのバーテンダー兼マスターを見れば、
「あちらのお客様からです」
などと、どこかのドラマか小説の中のような台詞。
見れば、バーの止まり木の真唯の席から二つほど向こうの席に、一人の男性がいた。歳の頃なら三十代後半くらい。彫りの深い日本人ばなれした容貌を持つ紳士。薄暗い照明の中でも一眼で高級そうと理解る三つ揃えのスーツを身にまとった男が静かに微笑んでいた。
「一人で楽しんでいるところを失礼、お嬢さん。
一杯、おごらせて頂けませんか?」
警戒感は…湧かなかった。
ずっと、心密かに憧れていたシチュエーションで…その男性の微笑みがあんまり優しそうだったから。その人は席を立つと、ゆっくりと私の隣に座った。綺麗な緑色のカクテル【アラウンド・ザ・ワールド】と云う名前だと教えられたそれを一口含む。ちょっと強いけど、ジンのさっぱりとした口当たりが快かった。
「……美味しい……」
思わず呟くと、それを聞いた男の笑みが嬉しそうに深まった。
「気に入ってもらえて良かった」
そう言って同じカクテルを頼み、真唯に向かって掲げた。
「それじゃあ、改めて。 【上井 真唯】さんの世界に乾杯」
真唯はつられて掲げたアラウンド・ザ・ワールドを、取り落としそうになってしまった。
この英国紳士然とした男、一体、何者!?
……え…? 私、まだ飲んでるのに…それに注文なんかしてないし……
いぶかしんでカウンターの中の馴染みのバーテンダー兼マスターを見れば、
「あちらのお客様からです」
などと、どこかのドラマか小説の中のような台詞。
見れば、バーの止まり木の真唯の席から二つほど向こうの席に、一人の男性がいた。歳の頃なら三十代後半くらい。彫りの深い日本人ばなれした容貌を持つ紳士。薄暗い照明の中でも一眼で高級そうと理解る三つ揃えのスーツを身にまとった男が静かに微笑んでいた。
「一人で楽しんでいるところを失礼、お嬢さん。
一杯、おごらせて頂けませんか?」
警戒感は…湧かなかった。
ずっと、心密かに憧れていたシチュエーションで…その男性の微笑みがあんまり優しそうだったから。その人は席を立つと、ゆっくりと私の隣に座った。綺麗な緑色のカクテル【アラウンド・ザ・ワールド】と云う名前だと教えられたそれを一口含む。ちょっと強いけど、ジンのさっぱりとした口当たりが快かった。
「……美味しい……」
思わず呟くと、それを聞いた男の笑みが嬉しそうに深まった。
「気に入ってもらえて良かった」
そう言って同じカクテルを頼み、真唯に向かって掲げた。
「それじゃあ、改めて。 【上井 真唯】さんの世界に乾杯」
真唯はつられて掲げたアラウンド・ザ・ワールドを、取り落としそうになってしまった。
この英国紳士然とした男、一体、何者!?
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