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【番外編】
コヤ・ライミ【皇妃の祭り】 後編 ※R18
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「…ああ…これはまた、見事ですね…」
「…そーでしょ…ホントに、晴れて良かったです…」
今日は朝から俺を楽しませて下さった奥方は、夜にもとっておきの宴を催してくれたのだった。
※ ※ ※
早朝から美味な弁当を作ってくれた真唯さんは、帰宅して部屋着に着替えると夕飯も手作りしてくれた。妻の手料理は嬉しいのだが今日は朝から大変だったのだから、こんな時こそ君枝さんの手を借りて楽をして頂きたいと思うのだが。彼女は君枝さんを拝み倒して仕事を譲って頂いていたと言うのだ。 ……俺の為に。
「手抜きなお鍋ですけど、勘弁して下さいね。」
などと言って、八丁味噌を使った牡蠣の土手鍋を作ってくれたのだった。
ちなみにこの土鍋は、二代目の大きな鍋だ。初めて購入した小さな鍋では物足りなくなってしまった真唯が、俺と一緒に選んだ鍋だ。四、五人用のかなり大きな鍋だが、たっぷり楽しむ事が出来て重宝している。
エプロン姿でちょこまかと動く真唯はとても可愛くて……襲いそうになってしまって……困る。だが、ダイニングテーブルの椅子に座って、動く気になれない。 ……見ていたいのだ…妻の姿を……。一瞬も瞳を逸らさずに。その内、準備が終わった真唯が、「出来ましたよォー、暇だったらカセットコンロを用意して下さァ~い!」などと声を掛けてくれるのだから、俺は嬉々として従った。「はい! 喜んで!!」と。
そして見事な和風の夕飯が始まった。
「旬の牡蠣ですからね! 栄養たっぷりありますよ!
お野菜もいっぱい食べて下さいね!!」
言われる間でもなく、俺は食欲の赴くままにたらふく食した。
愛しい妻が夫の為に一所懸命に作ってくれた料理なのだ。
プリプリの牡蠣は勿論だが、春菊や白菜などの野菜や豆腐などが盛り沢山でどれも美味い。食事中の話題は勿論、今日の楽しかった出来事である。今夜は日本酒を開けてくれたが、酒も進んで飲み過ぎてしまいそうだ。おまけに鍋と富士山型の茶碗と可愛い箸置きは一緒に選んだ物であり、箸は真唯が俺の誕生日と結婚記念日にプレゼントしてくれた特別な夫婦箸。酒のグラスは真唯の手作りの信州土産。これで食が進まなかったら、俺は【上井貴志】を名乗れはしない。「美味しいです♪」を連呼しながら箸を動かせば、真唯の笑みも絶える事はない。
幸せな晩餐だった。
だが、しかし。
今夜は続きがあったのだ。
※ ※ ※
頑張って作った土手鍋は、旦那さまに大好評であった。
しかし、これからが、今夜の本番なのである♪
アタシは食後の珈琲を淹れようとする貴志さんを制して、部屋に隠しておいたぶつを取り出しリビングテーブルに設置した。最初、夫は訝しんでいたが、アタシが持ち出した物を見て納得してた。使った食器は食洗機が洗ってくれるし、お鍋の残りは明日に雑炊にでもする心算だ。
三方に乗せたお団子。
花瓶に飾ったススキと桔梗の花。
グラスだけは手洗いして再び使う。
今宵のお酒は、大吟醸【月天女の舞】だ。
部屋の明かりを消して、ネットで見つけて狂喜乱舞してしまって(笑)。
即お取り寄せしてしまった特別な灯りを灯せば、月見の宴の始まりだ。
「…そう云えば…今夜は、中秋の名月でしたね…」
「…偶然にも、今日だったんで…ずっと用意してたんですよ…」
「…それは…真唯さんのお好きな【天燈鬼】ですか…?」
「そーなんです! 【竜燈鬼】とセットになったフィギュアなんですが、実際に使えるんですよっ!!」
「…本当に現代は、何でもあるんですね…」
「…ホントはお庭に月見台を設えたいところなんですが…贅沢を言ってたら、罰が当たりますからね…」
「……………」
無言になってしまわれた貴志さんに、グラスを持ってもらいお酒を注いだ。
たちまち恐縮してしまった夫が、慌ててアタシにも注いでくれて。
改めて乾杯をした。
「…見事な月を魅せて下さる、月読命さまに感謝して…」
アタシがグラスを掲げれば。
「…舟遊びで美しい彼岸花を見せて下さって、昼寝と読書を堪能させて下さって…
…美味い弁当と鍋を作ってくれた上に、こんな風流な宴を催して下さる愛しい私の奥方に…」グラスを掲げる貴志さんは、どこまで行っても『貴志さん』なのであった(自棄笑)。
都会の夜景に浮かぶ月は、白銀の満月とはいかなかったけど。
それでも充分に美しい。
「…ああ…これはまた、見事ですね…」
「…そーでしょ…ホントに、晴れて良かったです…」
貴志さんも穏やかな表情をされてて、お酒を飲みながら月に見入っておられる。
ススキは神さまの依代とされるらしいが、月読命さまは降りて来ておられるだろうか。京都で一度、月読命さまの神社に参拝させて頂いたのだが、なかなかお社がないんだよね。あの素戔嗚尊さまの兄神さまなのに……不思議だ。
色んな神話があるけれど、大抵、月の神様って女神様が多いんだよね。アルテミスも中国の嫦娥も、そしてインカのママ・キーヤも。そう云えばインカでは黄金は太陽神の涙で、銀は妻である月神の涙とされていたんだったっけ。プレ・インカのSICANは“月の神殿”と云う意味で、文字がないからなかなか謎の解明が進まないらしいけど……古の神殿に祀られていた月神様は、どのような神様だったのであろうか? 悠久の浪漫を感じてしまふ♡♡♡
平安時代の貴族たちの月見は、もっと風雅な宴だったんだよねェ~。笛をふいたり琴を奏でたり、現代で言う雅楽を楽しんで。それこそ舟遊びをして、水面に揺れる月を愛でたりして。あの鎌倉の東慶寺の水月観音さまは、水面にどんな月をご覧になっていたかは理解らないけど。現在のアタシなら、きっと、真ん丸な満月を見てしまうに違いない。 ……自分が現在、とっても満たされてるから(照)。和歌を詠んだりもしてたけど、ノイマイヤーのモダン・バレエ「月に寄せる七つの俳句」は素敵だったなァ~♪
かぐや姫は月の都へ帰って行ったけど、昔は無邪気に信じてたなァ~~。『「月の宮殿」ってどんな処だろう?』なんて、マジに想像してたもんなァ~~。現代は『月の都人』なんて信じられないけど、『月で暮らしてる異星人』なら信じられるかも知れないなァ~~♪(笑)
―――なんて。
埒もない事をあれやこれやと考えながら呑むお酒は楽しくて美味しくて……知らぬ間に、ついつい飲み過ぎてしまっていたのだった。
※ ※ ※
リビングのソファーの隣に座ってる妻が黙り込んで酒を飲んでいたが、気にはならなかった。それは漂う空気感が心地好いものであったからだろう。真唯との間では、沈黙さえ愛しいものであり何物にも代えがたい得難いものであったから。
きっと、この可愛らしい頭の中では、月についての考察があれこれ成されているのであろう。覗いてみたい気はするが……今は我慢だ。その内に記事にアップしてくれるだろうから……下手に詮索して彼女の邪魔をしたくはない。
……なとど、優等生的な事を考えていた所為であろうか。
ご褒美が降って来た。
真唯は合掌して月見団子に手を出すと、美味そうに食べながら杯を重ねていたが。
「…貴志さんも…お団子、食べますか…?」
柔らかな笑顔で聞いて来るから、ついつい悪戯心が湧いてしまって。
「…貴女が食べさせて下さるなら…食べてみたいです。」
などと、言ってしまったら。
「もう、貴志さんったら、しょーがないなァ~~」
なんて言って。
「あ~~ん♪」
と団子を俺の口に寄せてくれたのだ。
思わず呆けてしまった俺に、「…月読命さまと月光菩薩さまと…水月観音さまとママ・キーヤとトート神に感謝して、良ォ~く味わって下さいねェ~♪」と無邪気に微笑って。「あー! そう云えば、トートは男性だった!」などと言うのは訳が理解らなかったが。
が、とにかく。
瞬時に状況を理解した俺は、素直に口を開けて真唯に団子を食わせて貰ったのだった。
「…美味しい…?」
「…とても美味いです。」
「じゃあ、もう一個、食べさせてあげるね。 …あ~~ん♪」
「あ~ん♪」
……つまりは。
立派な酔っ払いの出来上がりだったのである。
真唯は酒を一度ガラスの徳利に入れて、手製のグラスに注いでいたのだが。気が付けば、一升瓶が残り僅かになっていたのだ。俺もそれなりに飲んではいたが、真唯の気配を感じて眼を閉じたりしていたから気付くのが遅れたのだろうか。雰囲気に浸っていたなどとは俺らしくもないが……。たった一度だけ澤木様とご一緒した時の信州で出現した、可愛らしい酔っ払いを思い出す。
ここには、俺一人だ。妻が酔っ払ってしまっても、問題など何もない。
俺は真唯に言ってみた。
「…真唯…俺の膝の上に乗ってご覧…」
と。
普段は絶対に恥ずかしがるだろう妻は、
「は~い! わァ~、お月様が良く見えるゥ~♪」
と、視点が少し高くなってご機嫌だ。
口角が上がるのが抑えられずに、尚も団子をねだり。
食べさせてくれた指を捉え、舌でこれ見よがしに舐めてみせる。
丁寧に舐め舐り、唾液を滴らせて。
上目遣いで伺えば、目論見通り、妻の瞳が潤んでいる。
夫への欲情で。
「…真唯…俺が欲しいって、言って…?」
妻は直ぐに欲しい言葉をくれた。
「…欲しい…貴志さんが、欲しいよ…」
と。
それを聞いた俺は、寝室に移動しようとして……気が変わった。
ソファーでこのまま抱く事にした。
都会の夜景に照らし出された、広いリビングルーム。
俺達を見ているのは……灯りを灯している鬼達と、そして夜空に浮かぶ月だけだ。
鬼と月に見せるのも業腹ではあるのだが、現在はそれ以上の利点がある。
接吻をねだれば、真唯は直ぐに応えてくれた。
俺の首に腕を回して、激しく情熱的に。
酒精の残る唾液を交わせば、酒精の所為だけではない酔いが全身を支配してゆくのが理解る。
―――俺を真実、酔わせる事が出来るのは。
真唯、唯一人―――
俺はその感覚に身を委ねる事にした。
服を脱がせるのももどかしく、長いスカートの裾をたくし上げ。
滑らかな太腿を掌で辿り、下着の中の秘められた花園を探ってみれば。
「…濡れてる…」
「…貴志さん…もう、挿れて…」
いつもなら恥ずかしがる真唯が、大胆な言葉で俺を煽るが。
「…真唯…嬉しいけど、少しは愉しまさせて…」
俺はソファーを下りると、真唯の下肢に顔を埋め。
「…ひゃあ…っ、…あァ…ッ、…ああンッ!!」
舌で花弁を、花芯を優しく可愛がれば。
たちまち、艶やかで素直な嬌声が上がる。
俺は溢れる甘い花蜜を味わっていたが。
「…やあァ…ッ、…もう、早く…ぅッ!!」
やはり今夜の真唯は、素直で大胆で……可愛いらしい。
「…仕方ないね…お願いを聞いてあげよう…」
わざと恩着せがましく言ってみるが、それは明らかに俺の熱望なのだ。
が、しかし。
再びソファーに上がった俺は、先ずは正常位でしようと思っていたのだが。
ソファーの端に俺の身体を押し付けた真唯は、更に大胆に俺に跨って来た。
そしてズボンの膨らみを愛し気に撫でたかと思うと。
「…っ!」
ファスナーを下げ、俺自身を取り出すと、既にしとどに濡れて固くなってしまっている楔を両手で扱いて……自らに招き入れたのだ。
「…はァ…イイ…ッ、…ああァ…っ」
慣れた娼婦のような痴態に視覚が刺激され、自身を心地好く包み込み絞り上げるような内部の動きに陶然となってしまう。
「…ああっ…アッ、…ンあ…ッッ」
淫靡に腰を動かして快楽を貪るその姿に魅せられる。
普段は『羞恥』と云う常識に覆い隠された真唯の一面に。
……明日になれば、忘れてしまっている。
だから。
俺は意を決して、聞いてみる事にした。
正気だったら、決して聞けない事を。
俺の肩に両腕で縋り付いている妻の耳に口を寄せて。
意識して落とした低音で。
「…ねえ、真唯…どっちの俺が、悦い…?」
と。
※ ※ ※
昨夜は失敗してしまった。
己の酒量を誤ってしまったのだ。
お鍋を食べ、お団子を食べながらだから大丈夫だと過信してしまったのだろうか。
迷惑を掛けたのだろう旦那さまが、物凄く機嫌が良いのが唯一の救いだが。
まあ、理由は薄々理解ってる。
腰が重怠いし、アソコが……なのだ(苦笑)。
おまけにお昼を過ぎても起きられなかったし。
これは、相当ヤッてるに違いない。
その間の記憶が全くないのが、ホントにキョーフだが。
(…今夜の君枝さんのお味噌汁…お麩だったりして…)
なんて、現実逃避なんかしてみたりしてしまふ(遠い目)。
午後の二時を過ぎてもまともに動けないアタシに、貴志さんはすっごく甲斐甲斐しかった。昨夜の残りのお鍋でおじやを作ってくれて、ベッドまで持って来てくれたのだ。にっこにこの満面の笑顔で。こんな表情を見せられると、毒気が抜けてしまうではないか(苦笑)。
でも!
『あ~ん♪』は、断固、阻止しました!!
アタシは病人なんかじゃないんだから!!
美味しいおじやを頂きながら、昨日の事を振り返ってみる。
舟遊びは楽しかったし、曼珠沙華も秋桜も綺麗だったし。
バドミントンも読書も楽しかったし、お昼寝タイムはゆったり出来たし。
お弁当もお鍋も美味しく出来たし。
都会のお月見もそれなりに風情だったし。
都会の完全防音のマンションで、鈴虫の鳴く声が聞こえなかったのが唯一の不満だったケド(苦笑)。
ただ。レイバンの貴志さんが格好良くて、虫除けの為にもずっとしてて欲しい……なんて。そんな我儘を言って困らせてないか、気になるけど……藪蛇になりそうで怖くて聞けないのが、小さな悩みの種だったりするのだが。
「…貴志さん…バカにしないで、聞いてくれますか…?」
「はい、勿論ですよ。」
「…あのね…アタシ、女子大生になった夢を、起き抜けに見ちゃったんです…」
「ほう…さぞかし、可愛らしい大学生だった事でしょう。お会い出来ないのが残念ですが。」
「…それでね。」
「はい。」
「…夢の中では、若い貴志さんが出て来て…アタシをナンパしてくれて、デートするんです。」
「それは、それは…自分を褒めてやりたいですね…良くやったと。」
「…それがね…?」
「…はい…?」
「…デートの場所が、透明なドームに覆われたバーラウンジで…宇宙に地球が浮かんで見えちゃったりするんです…」
「…それはそれは…何とも壮大で、幻想的な夢ですね…」
「…昨夜の月があんまり綺麗だったから…こんな夢を見ちゃったんでしょうか…」
「素敵な夢をご覧になれたのだから、良かったじゃありませんか。」
「あ~あ! どーせなら、お酒の名前にあやかって、月を背景にした天女の舞いを見てみたかったなァ~」
そうしてアタシは、自分の台詞でヤン・リーピンの「月光」を思い出して、話題は創作舞踊のお話になって行ったのだった。
楽しかった昨日の思い出を胸に抱いて。
夫の微笑みと。
自分の見た夢の、真実の意味も理解らずに。
※ ※ ※
甲斐甲斐しく妻を労りつつ世話をやきながら。
昨夜から朝方にかけての熱く甘やかな時間を俺は思い出していた。
俺の突然の質問にキョトンとした呆けた真唯は、次の瞬間合点がいったように言ってくれた。『現在の貴志さん!』と、満面の笑顔で。そうして続けて言った。
『…だって…例え記憶がなくても、貴志さんは貴志さんだし
…今、この瞬間の貴志さんが、いつだって一番大好き!!』
と。
こだわっているのが、馬鹿らしくなってしまう程の眩い笑顔で。
そうして、俺の真唯は。
『貴志さん、ホントに大好きよ。』
『…あァッ…おおきぃ…ッ』
『…きもち…いっ、…もっかい…して…?』
『やだァ…ッ、…もっとォ…ッ!』
『アタシをはなしちゃ、だめェ…ッ!!』
都会に浮かぶ月を背に荒い呼吸で踊る真唯は、どこまでも淫らだった。
光る汗を滴らせ腰をくねらせる真唯は、可愛らしい甘えん坊で俺を煽った。
おまけに鏡状態になってしまってる硝子に映った自分の姿に更に興奮した真唯は。
月の光を浴びて、夜空に君臨する月の女神のように妖艶だった。
いや、もしかしたら、月の神の魔力の所為かも知れない。
何しろ『狂気』と云う言葉があるくらいなのだ。
トート神とはエジプト神話で月の神だが、知恵を司る神でもあり。
魔法の神として崇拝されていたのだから。
月の女神は太陽神の妻だが。
ヴィラコチャは同時に最高神であり、至高の存在でもある。
九月は、【皇妃の祭り】と云う意味だ。
『コヤ』とは、インカ大帝国の皇帝の妃なのだ。
無欲な俺の真唯は。
至高の立場を自ら放棄した女性だから、ただの人間に過ぎない【皇妃】でも許してくれるかも知れないが。
やはり、俺にとっては、女神だ。
俺と云う、昏い闇を照らしてくれる―――月の女神なのだ。
太陽では、眩し過ぎる。
さやけき光を放つ、月ではなくてはダメなのだ。
俺の醜い場所を、優しく柔らかな光で照らし出す……月でなければ。
―――真唯
永遠の処女神であり、俺の清浄な月の女神。
深い深い、底知れぬ闇を抱えた俺だけど。
どうか、俺を照らしていてくれ。
いつまでも、いつまでも。
この生命の尽きる、その瞬間まで―――
FIN
「…そーでしょ…ホントに、晴れて良かったです…」
今日は朝から俺を楽しませて下さった奥方は、夜にもとっておきの宴を催してくれたのだった。
※ ※ ※
早朝から美味な弁当を作ってくれた真唯さんは、帰宅して部屋着に着替えると夕飯も手作りしてくれた。妻の手料理は嬉しいのだが今日は朝から大変だったのだから、こんな時こそ君枝さんの手を借りて楽をして頂きたいと思うのだが。彼女は君枝さんを拝み倒して仕事を譲って頂いていたと言うのだ。 ……俺の為に。
「手抜きなお鍋ですけど、勘弁して下さいね。」
などと言って、八丁味噌を使った牡蠣の土手鍋を作ってくれたのだった。
ちなみにこの土鍋は、二代目の大きな鍋だ。初めて購入した小さな鍋では物足りなくなってしまった真唯が、俺と一緒に選んだ鍋だ。四、五人用のかなり大きな鍋だが、たっぷり楽しむ事が出来て重宝している。
エプロン姿でちょこまかと動く真唯はとても可愛くて……襲いそうになってしまって……困る。だが、ダイニングテーブルの椅子に座って、動く気になれない。 ……見ていたいのだ…妻の姿を……。一瞬も瞳を逸らさずに。その内、準備が終わった真唯が、「出来ましたよォー、暇だったらカセットコンロを用意して下さァ~い!」などと声を掛けてくれるのだから、俺は嬉々として従った。「はい! 喜んで!!」と。
そして見事な和風の夕飯が始まった。
「旬の牡蠣ですからね! 栄養たっぷりありますよ!
お野菜もいっぱい食べて下さいね!!」
言われる間でもなく、俺は食欲の赴くままにたらふく食した。
愛しい妻が夫の為に一所懸命に作ってくれた料理なのだ。
プリプリの牡蠣は勿論だが、春菊や白菜などの野菜や豆腐などが盛り沢山でどれも美味い。食事中の話題は勿論、今日の楽しかった出来事である。今夜は日本酒を開けてくれたが、酒も進んで飲み過ぎてしまいそうだ。おまけに鍋と富士山型の茶碗と可愛い箸置きは一緒に選んだ物であり、箸は真唯が俺の誕生日と結婚記念日にプレゼントしてくれた特別な夫婦箸。酒のグラスは真唯の手作りの信州土産。これで食が進まなかったら、俺は【上井貴志】を名乗れはしない。「美味しいです♪」を連呼しながら箸を動かせば、真唯の笑みも絶える事はない。
幸せな晩餐だった。
だが、しかし。
今夜は続きがあったのだ。
※ ※ ※
頑張って作った土手鍋は、旦那さまに大好評であった。
しかし、これからが、今夜の本番なのである♪
アタシは食後の珈琲を淹れようとする貴志さんを制して、部屋に隠しておいたぶつを取り出しリビングテーブルに設置した。最初、夫は訝しんでいたが、アタシが持ち出した物を見て納得してた。使った食器は食洗機が洗ってくれるし、お鍋の残りは明日に雑炊にでもする心算だ。
三方に乗せたお団子。
花瓶に飾ったススキと桔梗の花。
グラスだけは手洗いして再び使う。
今宵のお酒は、大吟醸【月天女の舞】だ。
部屋の明かりを消して、ネットで見つけて狂喜乱舞してしまって(笑)。
即お取り寄せしてしまった特別な灯りを灯せば、月見の宴の始まりだ。
「…そう云えば…今夜は、中秋の名月でしたね…」
「…偶然にも、今日だったんで…ずっと用意してたんですよ…」
「…それは…真唯さんのお好きな【天燈鬼】ですか…?」
「そーなんです! 【竜燈鬼】とセットになったフィギュアなんですが、実際に使えるんですよっ!!」
「…本当に現代は、何でもあるんですね…」
「…ホントはお庭に月見台を設えたいところなんですが…贅沢を言ってたら、罰が当たりますからね…」
「……………」
無言になってしまわれた貴志さんに、グラスを持ってもらいお酒を注いだ。
たちまち恐縮してしまった夫が、慌ててアタシにも注いでくれて。
改めて乾杯をした。
「…見事な月を魅せて下さる、月読命さまに感謝して…」
アタシがグラスを掲げれば。
「…舟遊びで美しい彼岸花を見せて下さって、昼寝と読書を堪能させて下さって…
…美味い弁当と鍋を作ってくれた上に、こんな風流な宴を催して下さる愛しい私の奥方に…」グラスを掲げる貴志さんは、どこまで行っても『貴志さん』なのであった(自棄笑)。
都会の夜景に浮かぶ月は、白銀の満月とはいかなかったけど。
それでも充分に美しい。
「…ああ…これはまた、見事ですね…」
「…そーでしょ…ホントに、晴れて良かったです…」
貴志さんも穏やかな表情をされてて、お酒を飲みながら月に見入っておられる。
ススキは神さまの依代とされるらしいが、月読命さまは降りて来ておられるだろうか。京都で一度、月読命さまの神社に参拝させて頂いたのだが、なかなかお社がないんだよね。あの素戔嗚尊さまの兄神さまなのに……不思議だ。
色んな神話があるけれど、大抵、月の神様って女神様が多いんだよね。アルテミスも中国の嫦娥も、そしてインカのママ・キーヤも。そう云えばインカでは黄金は太陽神の涙で、銀は妻である月神の涙とされていたんだったっけ。プレ・インカのSICANは“月の神殿”と云う意味で、文字がないからなかなか謎の解明が進まないらしいけど……古の神殿に祀られていた月神様は、どのような神様だったのであろうか? 悠久の浪漫を感じてしまふ♡♡♡
平安時代の貴族たちの月見は、もっと風雅な宴だったんだよねェ~。笛をふいたり琴を奏でたり、現代で言う雅楽を楽しんで。それこそ舟遊びをして、水面に揺れる月を愛でたりして。あの鎌倉の東慶寺の水月観音さまは、水面にどんな月をご覧になっていたかは理解らないけど。現在のアタシなら、きっと、真ん丸な満月を見てしまうに違いない。 ……自分が現在、とっても満たされてるから(照)。和歌を詠んだりもしてたけど、ノイマイヤーのモダン・バレエ「月に寄せる七つの俳句」は素敵だったなァ~♪
かぐや姫は月の都へ帰って行ったけど、昔は無邪気に信じてたなァ~~。『「月の宮殿」ってどんな処だろう?』なんて、マジに想像してたもんなァ~~。現代は『月の都人』なんて信じられないけど、『月で暮らしてる異星人』なら信じられるかも知れないなァ~~♪(笑)
―――なんて。
埒もない事をあれやこれやと考えながら呑むお酒は楽しくて美味しくて……知らぬ間に、ついつい飲み過ぎてしまっていたのだった。
※ ※ ※
リビングのソファーの隣に座ってる妻が黙り込んで酒を飲んでいたが、気にはならなかった。それは漂う空気感が心地好いものであったからだろう。真唯との間では、沈黙さえ愛しいものであり何物にも代えがたい得難いものであったから。
きっと、この可愛らしい頭の中では、月についての考察があれこれ成されているのであろう。覗いてみたい気はするが……今は我慢だ。その内に記事にアップしてくれるだろうから……下手に詮索して彼女の邪魔をしたくはない。
……なとど、優等生的な事を考えていた所為であろうか。
ご褒美が降って来た。
真唯は合掌して月見団子に手を出すと、美味そうに食べながら杯を重ねていたが。
「…貴志さんも…お団子、食べますか…?」
柔らかな笑顔で聞いて来るから、ついつい悪戯心が湧いてしまって。
「…貴女が食べさせて下さるなら…食べてみたいです。」
などと、言ってしまったら。
「もう、貴志さんったら、しょーがないなァ~~」
なんて言って。
「あ~~ん♪」
と団子を俺の口に寄せてくれたのだ。
思わず呆けてしまった俺に、「…月読命さまと月光菩薩さまと…水月観音さまとママ・キーヤとトート神に感謝して、良ォ~く味わって下さいねェ~♪」と無邪気に微笑って。「あー! そう云えば、トートは男性だった!」などと言うのは訳が理解らなかったが。
が、とにかく。
瞬時に状況を理解した俺は、素直に口を開けて真唯に団子を食わせて貰ったのだった。
「…美味しい…?」
「…とても美味いです。」
「じゃあ、もう一個、食べさせてあげるね。 …あ~~ん♪」
「あ~ん♪」
……つまりは。
立派な酔っ払いの出来上がりだったのである。
真唯は酒を一度ガラスの徳利に入れて、手製のグラスに注いでいたのだが。気が付けば、一升瓶が残り僅かになっていたのだ。俺もそれなりに飲んではいたが、真唯の気配を感じて眼を閉じたりしていたから気付くのが遅れたのだろうか。雰囲気に浸っていたなどとは俺らしくもないが……。たった一度だけ澤木様とご一緒した時の信州で出現した、可愛らしい酔っ払いを思い出す。
ここには、俺一人だ。妻が酔っ払ってしまっても、問題など何もない。
俺は真唯に言ってみた。
「…真唯…俺の膝の上に乗ってご覧…」
と。
普段は絶対に恥ずかしがるだろう妻は、
「は~い! わァ~、お月様が良く見えるゥ~♪」
と、視点が少し高くなってご機嫌だ。
口角が上がるのが抑えられずに、尚も団子をねだり。
食べさせてくれた指を捉え、舌でこれ見よがしに舐めてみせる。
丁寧に舐め舐り、唾液を滴らせて。
上目遣いで伺えば、目論見通り、妻の瞳が潤んでいる。
夫への欲情で。
「…真唯…俺が欲しいって、言って…?」
妻は直ぐに欲しい言葉をくれた。
「…欲しい…貴志さんが、欲しいよ…」
と。
それを聞いた俺は、寝室に移動しようとして……気が変わった。
ソファーでこのまま抱く事にした。
都会の夜景に照らし出された、広いリビングルーム。
俺達を見ているのは……灯りを灯している鬼達と、そして夜空に浮かぶ月だけだ。
鬼と月に見せるのも業腹ではあるのだが、現在はそれ以上の利点がある。
接吻をねだれば、真唯は直ぐに応えてくれた。
俺の首に腕を回して、激しく情熱的に。
酒精の残る唾液を交わせば、酒精の所為だけではない酔いが全身を支配してゆくのが理解る。
―――俺を真実、酔わせる事が出来るのは。
真唯、唯一人―――
俺はその感覚に身を委ねる事にした。
服を脱がせるのももどかしく、長いスカートの裾をたくし上げ。
滑らかな太腿を掌で辿り、下着の中の秘められた花園を探ってみれば。
「…濡れてる…」
「…貴志さん…もう、挿れて…」
いつもなら恥ずかしがる真唯が、大胆な言葉で俺を煽るが。
「…真唯…嬉しいけど、少しは愉しまさせて…」
俺はソファーを下りると、真唯の下肢に顔を埋め。
「…ひゃあ…っ、…あァ…ッ、…ああンッ!!」
舌で花弁を、花芯を優しく可愛がれば。
たちまち、艶やかで素直な嬌声が上がる。
俺は溢れる甘い花蜜を味わっていたが。
「…やあァ…ッ、…もう、早く…ぅッ!!」
やはり今夜の真唯は、素直で大胆で……可愛いらしい。
「…仕方ないね…お願いを聞いてあげよう…」
わざと恩着せがましく言ってみるが、それは明らかに俺の熱望なのだ。
が、しかし。
再びソファーに上がった俺は、先ずは正常位でしようと思っていたのだが。
ソファーの端に俺の身体を押し付けた真唯は、更に大胆に俺に跨って来た。
そしてズボンの膨らみを愛し気に撫でたかと思うと。
「…っ!」
ファスナーを下げ、俺自身を取り出すと、既にしとどに濡れて固くなってしまっている楔を両手で扱いて……自らに招き入れたのだ。
「…はァ…イイ…ッ、…ああァ…っ」
慣れた娼婦のような痴態に視覚が刺激され、自身を心地好く包み込み絞り上げるような内部の動きに陶然となってしまう。
「…ああっ…アッ、…ンあ…ッッ」
淫靡に腰を動かして快楽を貪るその姿に魅せられる。
普段は『羞恥』と云う常識に覆い隠された真唯の一面に。
……明日になれば、忘れてしまっている。
だから。
俺は意を決して、聞いてみる事にした。
正気だったら、決して聞けない事を。
俺の肩に両腕で縋り付いている妻の耳に口を寄せて。
意識して落とした低音で。
「…ねえ、真唯…どっちの俺が、悦い…?」
と。
※ ※ ※
昨夜は失敗してしまった。
己の酒量を誤ってしまったのだ。
お鍋を食べ、お団子を食べながらだから大丈夫だと過信してしまったのだろうか。
迷惑を掛けたのだろう旦那さまが、物凄く機嫌が良いのが唯一の救いだが。
まあ、理由は薄々理解ってる。
腰が重怠いし、アソコが……なのだ(苦笑)。
おまけにお昼を過ぎても起きられなかったし。
これは、相当ヤッてるに違いない。
その間の記憶が全くないのが、ホントにキョーフだが。
(…今夜の君枝さんのお味噌汁…お麩だったりして…)
なんて、現実逃避なんかしてみたりしてしまふ(遠い目)。
午後の二時を過ぎてもまともに動けないアタシに、貴志さんはすっごく甲斐甲斐しかった。昨夜の残りのお鍋でおじやを作ってくれて、ベッドまで持って来てくれたのだ。にっこにこの満面の笑顔で。こんな表情を見せられると、毒気が抜けてしまうではないか(苦笑)。
でも!
『あ~ん♪』は、断固、阻止しました!!
アタシは病人なんかじゃないんだから!!
美味しいおじやを頂きながら、昨日の事を振り返ってみる。
舟遊びは楽しかったし、曼珠沙華も秋桜も綺麗だったし。
バドミントンも読書も楽しかったし、お昼寝タイムはゆったり出来たし。
お弁当もお鍋も美味しく出来たし。
都会のお月見もそれなりに風情だったし。
都会の完全防音のマンションで、鈴虫の鳴く声が聞こえなかったのが唯一の不満だったケド(苦笑)。
ただ。レイバンの貴志さんが格好良くて、虫除けの為にもずっとしてて欲しい……なんて。そんな我儘を言って困らせてないか、気になるけど……藪蛇になりそうで怖くて聞けないのが、小さな悩みの種だったりするのだが。
「…貴志さん…バカにしないで、聞いてくれますか…?」
「はい、勿論ですよ。」
「…あのね…アタシ、女子大生になった夢を、起き抜けに見ちゃったんです…」
「ほう…さぞかし、可愛らしい大学生だった事でしょう。お会い出来ないのが残念ですが。」
「…それでね。」
「はい。」
「…夢の中では、若い貴志さんが出て来て…アタシをナンパしてくれて、デートするんです。」
「それは、それは…自分を褒めてやりたいですね…良くやったと。」
「…それがね…?」
「…はい…?」
「…デートの場所が、透明なドームに覆われたバーラウンジで…宇宙に地球が浮かんで見えちゃったりするんです…」
「…それはそれは…何とも壮大で、幻想的な夢ですね…」
「…昨夜の月があんまり綺麗だったから…こんな夢を見ちゃったんでしょうか…」
「素敵な夢をご覧になれたのだから、良かったじゃありませんか。」
「あ~あ! どーせなら、お酒の名前にあやかって、月を背景にした天女の舞いを見てみたかったなァ~」
そうしてアタシは、自分の台詞でヤン・リーピンの「月光」を思い出して、話題は創作舞踊のお話になって行ったのだった。
楽しかった昨日の思い出を胸に抱いて。
夫の微笑みと。
自分の見た夢の、真実の意味も理解らずに。
※ ※ ※
甲斐甲斐しく妻を労りつつ世話をやきながら。
昨夜から朝方にかけての熱く甘やかな時間を俺は思い出していた。
俺の突然の質問にキョトンとした呆けた真唯は、次の瞬間合点がいったように言ってくれた。『現在の貴志さん!』と、満面の笑顔で。そうして続けて言った。
『…だって…例え記憶がなくても、貴志さんは貴志さんだし
…今、この瞬間の貴志さんが、いつだって一番大好き!!』
と。
こだわっているのが、馬鹿らしくなってしまう程の眩い笑顔で。
そうして、俺の真唯は。
『貴志さん、ホントに大好きよ。』
『…あァッ…おおきぃ…ッ』
『…きもち…いっ、…もっかい…して…?』
『やだァ…ッ、…もっとォ…ッ!』
『アタシをはなしちゃ、だめェ…ッ!!』
都会に浮かぶ月を背に荒い呼吸で踊る真唯は、どこまでも淫らだった。
光る汗を滴らせ腰をくねらせる真唯は、可愛らしい甘えん坊で俺を煽った。
おまけに鏡状態になってしまってる硝子に映った自分の姿に更に興奮した真唯は。
月の光を浴びて、夜空に君臨する月の女神のように妖艶だった。
いや、もしかしたら、月の神の魔力の所為かも知れない。
何しろ『狂気』と云う言葉があるくらいなのだ。
トート神とはエジプト神話で月の神だが、知恵を司る神でもあり。
魔法の神として崇拝されていたのだから。
月の女神は太陽神の妻だが。
ヴィラコチャは同時に最高神であり、至高の存在でもある。
九月は、【皇妃の祭り】と云う意味だ。
『コヤ』とは、インカ大帝国の皇帝の妃なのだ。
無欲な俺の真唯は。
至高の立場を自ら放棄した女性だから、ただの人間に過ぎない【皇妃】でも許してくれるかも知れないが。
やはり、俺にとっては、女神だ。
俺と云う、昏い闇を照らしてくれる―――月の女神なのだ。
太陽では、眩し過ぎる。
さやけき光を放つ、月ではなくてはダメなのだ。
俺の醜い場所を、優しく柔らかな光で照らし出す……月でなければ。
―――真唯
永遠の処女神であり、俺の清浄な月の女神。
深い深い、底知れぬ闇を抱えた俺だけど。
どうか、俺を照らしていてくれ。
いつまでも、いつまでも。
この生命の尽きる、その瞬間まで―――
FIN
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