IMprevu ―予期せぬ出来事―

天野斜己

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三年目の新婚クライシス

No,246 【番外編】社長秘書・山中一道の憂鬱 其の二

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二〇一七年四月。
新生「アイ’s_Books」が始動した。



※ ※ ※



電子書籍出版社である我が社が、良質の文芸書を数多く出版している老舗の市川書房を買収したのは今年初めの事だが。計画自体はずっと以前から存在していたし、水面下での準備も密かに進行していた。何しろ全ての計画の立案者である上井貴志氏が正式に社長に復帰したのはその為でもあったのだから。買収自体が目的だった訳ではない。本来の目的の為に、どうしても必要な過程だったのだ。その為に出版社としての業績を上げ力を蓄え、足元を見られる事のないよう体裁を整える必要があったのだ。かつてスーパーゼネコンに於いて異例のスピートで専務の地位にまで昇り詰め、業界でもその名を知られ怖れられた男は僅かな歳月の間に確実に事業を拡大して行ったのである。
神田駿河台の旧・市川書房のビルは取り壊しが決定した。“風情がある”と云えば聞こえは良いがボロいビルであり、何より耐震対策がまったく取られていなかったのだ。赤字スレスレの自転車操業を続けていた市川書房は、東日本大震災で崩れた個所もまともに修理する事さえ出来ずにいたのだ。外神田の適当なテナントに移り新社屋にする事にしたのだが、耐震設備をしっかり確認した事は言う間でもない。元からの社員と買収先の社員、そして新たに雇う事になった十数名を加えて四月一日に某ホテルで入社式が執り行われた。我が社は基本的に土日は休みだが、“初めが肝心”との上井社長の鶴の一声で決定したのだ。新社員は殆どが中途採用の即戦力になる人材ばかりだったので、特別な研修も必要としなかった。
入社式とは本来、新入社員に対してのみ行われるものだが、今回は違った。五十名近くの全社員が強制参加の上、社長の訓示が行われたのだ。社名に込められた創業理念が説かれ、時流に沿った形で運営される電子書籍部門と、例え『時代遅れ』と誹りを受けようと『良いものは良い』との信念と誇りを持って紙媒体の『書籍』を出版する部門に対する叱咤激励の言葉があった。相変わらず『一条専務』の人心掌握術は完璧である。買収され吸収された社員たちも妙な反感や劣等感をいだく事はなくなるだろう。簡単な式の後、懇親会と云う名の立食パーティーがホテル内のレストランで昼食代わりに行われた。この時、左の薬指の指環の存在にも関わらずに上井氏に積極的に接近していった女性社員が入社式早々に、社長と俺の脳内ブラックリストに登録された事は余談である(苦笑)。加えて、上井氏の共同経営者であった岩屋氏が営業を統括する本部長に就任する代わりに、会社経営に関する役員の重責から永久に逃れる事が出来る約束を社長に取り付けて終始ご機嫌だった事は更なる余談だ(笑)。

そして三日の月曜日から本格的な業務が開始された訳だが、最初から全てが上手くいく筈がなく多少の衝突があったり営業上のトラブルがあったりしたのは想定の範囲内だ。けれど、上井社長がわざわざ休憩所にまでやって来て、昼食を取ったのは。ここぞとばかりに近付こうとした女性社員の前で愛妻弁当を広げ相好を崩壊させ、スマホで写メを撮りまくった挙句蓋の裏まで舐める様な勢いで弁当を平らげ。食後のお茶を飲みながら、蕩ける様な表情で妻の惚気を繰り広げたのは明確な牽制だ。かつて『一条専務』に群がる女性たちの防波堤になった事を苦笑い交じりで思い出してしまった。去年の忘年会に参加した社員の証言もあり噂話が広がり、社長の妻である女性が有名なブロガーである事と、『上井社長は愛妻家である』と云う認識は瞬く間に社内に浸透した。後にそれでも諦めなかった勇者は、直接突撃して大破して辞めて行った。


……人の恋路を心配するより、自分の事を何とかしなくてはならない。


最初の二週間は身動きが取れなかったが、三週間目からようやく何とか休みを取る事が出来そうな目算がついた時に由美さんに連絡した。ご両親の都合を聞いてもらい、もし時間が取れるようだったら挨拶に伺いたい旨を伝えてもらったのだ。そして翌週の日曜日の午後にお時間を頂ける事になったのだが。

俺は初っ端から躓く事となる。



※ ※ ※



由美さんに聞いていた通り、お母上のお好きな菓子を手土産にした。なんでも、お母上はフルーツタルトが好きなのだが某有名店のタルトばかり贈答品に貰っていたら、結局飽きてしまったのだそうだ。そして、たまたま浅草に買い物に行った時、気紛れで入った甘味処の限定品のどら焼きが大好きになってしまったと云う事だった。こう云うレアな情報は家族ならではだろう。俺は早速その店に手配してどら焼きを無事に手に入れる事が出来た。
スーツは基本だ。“デキる好青年風”に見える装いを心掛けた。少しでも良い印象を持って頂きたい。それでなくともお父上には既にマイナスポイントを与えてしまっているのだから。春らしいオシャレ心は今日は要らない。あくまでシンプルに清潔に。そして頼り甲斐がある人物に見える様に振る舞う事が大切だ。大事なお嬢さんの一生を任せても良いと思える程に。理屈は理解ってる。 ……理解ってはいるのだが。場合によっては二、三発殴られる覚悟もしていたのだが。
それ以前の問題だった。
最寄りの駅まで迎えに来てくれた由美さんと並んで歩く。清楚な花柄のワンピースを着てる由美さんは、今日も可愛らしい。こんな可愛いと結婚できるなら、俺は大抵の事は出来る気がする(盗聴や盗撮なんて、死んでもせんがな★)。腕を組みながら歩いてゆくと、最早お屋敷・・・と言える様な家が見えて来た。仕入れた噂どおりに、医療法人経営はかなり儲かってらっしゃる様だ。お庭の花々もこの時の俺の眼には全く入っていなかった。玄関に入ってからの事をあれこれ脳内シュミレーションして来るべき対決に備えてたら、敵はいきなり先制攻撃を仕掛けて来た。


「………………………」 ……う~む…こう来たか……
「…! もう…っ、…パパったら、信じられない…!!」


由美さんが玄関(と云うより、既にエントランスホール)のオシャレな下駄箱の横に異様に存在感を主張していた逆さ箒を片付けてくれた。掃除機が全盛でお掃除ロボットなんかが活躍してる現代で、むしろ箒なんかがお宅にある事に逆に感心してしまう。置いてあるスリッパに画鋲なんか仕掛けられてないよな? 逆さに振ってしまいたい衝動を堪えた俺って偉い。
ネクタイをギュッと締め付け気合を入れて。由美さんに促されるままに玄関で靴が逆に揃う様に脱いで上がらせて頂き、彼女の案内で応接間に……敵の懐に飛び込んだ。


眼の前には、眉間に深い渓谷を作ってる初老の男性が腕を組んでソファーの中央にふんぞり…座ってらっしゃった。そしてすぐに四人分の紅茶を運んで来て下さったのは、ふんわりとした雰囲気の初老の女性だった。にこやかに微笑んでらして、テーブルに静かに置くと彼の隣に座られた。ラスボスと、ある意味それよりも怖い存在だ。手にじっとりと汗が滲んで来るのを自覚しながら、俺はほぼ直角に頭を下げた。



「こんにちは。山中一道と申します! 本日はお忙しい中、お時間を割いて頂き、ありがとうございます。ご挨拶に伺うのが遅くなりまして、申し訳ありませんでした!!」



「まあまあ、ご丁寧にありがとうございます。どうぞお座りになって。」
有り難いお言葉にお礼を言って持参した手土産を渡して座らせて頂いたら、由美さんが横に座ってくれた。彼女の緊張がひしひしと伝わって来る。ここは俺が踏ん張らなければ!と改めて奮起する。
由美さんの情報通り、お母上はどら焼きをとても喜んでくれて「ありがとうございます。後でお茶を淹れますから、一緒に頂きましょうね。」と云うお言葉を「…必要ない…山中くんはすぐに帰るからな…」と一刀両断のお父上。うん、切れ味鋭いッスね★ でも、これぐらいじゃめげやしませんよ。
何とか場を和ませようと、由美さんやお母上の趣味の話で盛り上げると、父上の趣味の話で盛り下がって下さる。けれど、由美さんの幼い頃の話など振ってみたらお母上が喰い付いて来て下さって、由美さんも気を使ってか思い出話をどんどん披露してくれて『家族で旅行なんて滅多に行けなかったけど、その分バレエの発表会に両親が二人で観に来てくれると凄く嬉しかったなァ…ね、パパ…私のどの舞台が良かった…?』などと援護射撃してくれる。父上も可愛い娘相手だと刺々しい言動が消え、無言を通す事が出来なくなるみたいで「…そ、そうだな…」と真剣に思い出そうとして、あれやこれやと色んな演目の役名を次々と挙げてゆく。 ……うん、これは…聞いてた以上に親バカだ……まあ、俺も由美さんとの間に娘でもできたらと思うとお気持ちは良く理解ります。
けれど、程良く雰囲気が和やかになって来たところで、俺が本題を切り出した瞬間。
その場の空気全体が固まった。
いや、固まってるのは父上だけだ。
由美さんは固唾を飲んで父上を伺ってるし、お母上は相変わらずほんわかしてるし。
俺の「お嬢さんとの結婚を許して下さい」発言に、お父上はしばらく無言で俺を睨んでたが。眼を反らさない俺を見て、渋いしっぶい声で言った。「…収入の不安定な男に娘はやれん…」と。とっておきは用意してあるが、最終兵器の投下は最後の手段だ。俺は熱弁を振るった。冷え込んでいる出版業界において電子書籍がいかに需要があるか。その中でも自分が勤務している「アイ’s_Books」と云う会社がいかに業績を上げているか。今月に市川書房と合併して業務を拡大しての今後の展望を。老舗の市川書房の名前はお父上もご存知の様で、その瞬間だけ眼が大きく見開かれた。しかし却って疑念が深まった様だ。無理もない。“老舗”と言われる出版社の経営状態はどこも不安定であり、常に倒産の危機と隣り合わせなのは周知の事実なのだから。そんな処と手を組んで大丈夫なのかと不安を増長してしまった様だ。けれども、上井社長の取捨選択眼は確かだ。市川書房の出す本は時代に流される事のない“本物”が多い。ベストセラーも度々出している。編集者の腕は確かなのだ。ただ営業部員に難があり、経営陣が壊滅的に酷い。上井社長は経営陣を刷新し、営業に関しても大胆なテコ入れ改革を行った。過去のベストセラーの数々が早々に電子書籍化されてネットの世界に流れ、反対に電子書籍出版に甘んじて来た殆ど無名の若手作家の“書籍”が出版される予定だ。無名とは言ってもあの岩屋部長や上井社長が発掘して来た折り紙付きの人材である事は言う間でもない。十年後が楽しみだ。
まあ、由美さんのお父上にとって大事な事は、あくまでも現在いまだろう。
いくら俺が力説しても説得力がない事、甚だしいに違いない。
その証拠に、お父上の眉間の皺は消える事はない。

「…これをご覧下さい…」
スーツの懐から取り出した封筒を差し出す。
無言でそれを睨んでるお父上に尚も促せば、しばらくの逡巡の後ようやく手に取り中を見て……息を飲んだのが理解った。眉間の渓谷が峡谷になってしまった。俺にここまでの覚悟があるとは思わなかったのだろう。

「…ご覧頂いてお理解り頂けると思うのですが、充分に由美さんと生まれて来る子供を養う事が可能ですし…将来、由美さんがご自分のスタジオを持つ時に協力する心算でおります…」

無言になってしまったお父上とは反対に横から覗き込んで、それの正体を知ったお母上は俺の顔をジーーーッと見つめて。隣の夫の顔を見て、俺を二度見して。頬に手を当てホウッとため息を吐いた。「…あなたの負けね…由美も本当に良い男性を見つけたわね…羨ましいくらいだわ…」そう言って下さった。


チェックメイトだ。


封筒の中身は「アイ’s_Books」からの給与明細を印刷プリントアウトした物だ。
転職直後の物から先月分まで全て持参した。興信所まで使う様な人物に有無を言わせない為にはこれくらい必要だと思ったのだ。論より証拠。百聞は一見にしかず。これでこの結婚に反対する根拠は潰された。現に、すっかり態度が軟化したお母上さまが、少し席を外し。お手伝いさんらしき女性がお茶を持って来て紅茶のカップを下げてくれて、お母上さまがどら焼き用のお皿を持って現れて。配膳を済ませると「山中さん、頂きますね。」とおっしゃるから慌てて「ど、どうぞ! 召し上がって下さい!!」ついどもってしまったけど、父上さまはまだ固まってますよ! お母上さま、フリーダムですね!! 美味しいを連呼して下さるから、俺も嬉しいです。由美さん、眼をウルウルさせて「…ありがとう…ごめんなさい、こんな事までさせて…っ」抱き付いてくれるのは嬉しいけど、お父上さまの眼の前ですから。




……と思ったら、遅かった。

お父上さまは一筋縄ではゆかないお方だったのだ。



※ ※ ※



溺愛する娘が男に抱き付く場面を目撃してしまったお父上は、呆然自失から即座に復活したと思ったら「…君の誠意は理解った…だが…」と前置きされて、次回の今月の給与明細を要求された。「…新しく生まれ変わった会社での給与を知りたい…また見せてもらえるかな…?」試される様に言われれば否やはない。由美さんが「そんな事する必要ないわ!!」と大反対したが俺が宥めた。そして翌週に出た給与明細持参で『昭和の日』にもう一度会う約束をしてその時は辞した。けれど、金額が変わる事のない給与明細を見せても、お父上は結婚を許しては下さらなかった。半分意地になってしまわれてる様だ。
由美さんは「約束が違う」と怒り心頭だが、「…私は給与を見せて欲しいと言っただけだ…許すとは一言も言ってない…」と激怒する娘に対して弱腰ながらも決して認めようとはしないお父上。母上さまは完全に呆れ顔だ。幸い「大丈夫、私は味方よ。山中さん、由美をよろしくね♡」とおっしゃって頂いてるが。


『こーなったら、ホントに駆け落ちする!!』
憤慨する由美さんを宥めるのにひと苦労だった。

『…緋龍院建設勤務だったら、もっと給与も良かっただろうに…』
『…緋龍院建設勤務だったら、安心して由美を任せられたのに…』
などとグチグチおっしゃってるそうだ。
それがまた由美さんの怒りに拍車を掛けているのだ。
やはりあのスーパーゼネコンは大したブランドだったのだ。

『…どうせならプロポーズして、お義父さんに承諾をもらった後に転職すれば良かったね…』

苦笑い交じりで言ったけど、勿論ただの冗談だ。
あの時の俺は神経的に参ってしまっていた。
鬱などの精神の病気になる一歩手前だったのだから。



こうなれば、長期戦だ。
お父上の気持ちが和らぐのを待つしかない。
愛されて育った由美さんには幸せな結婚をして欲しい。
ご両親からちゃんと祝福して頂きたい。
何ヶ月でも何年でも待ってみせる。







―――などと思ってた俺は、とんだ脳天気野郎だった。



今日と同じ明日が必ずやって来るなどと云う保証はどこにもないのだ。





上井社長と真唯さん。
あんなに愛しあい信じあっていたお二人のまさかの展開を目の当たりにして、俺は酷く動揺し激しく惑乱する事となるのであった。






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