Where In The World

天野斜己

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Fooled by a Smile

No,4 ※R18

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あたしは誕生日を、某超有名テーマパークで過ごしていた。
あたしをテーマパークデビューさせて下さったのは、愛する旦那さまヴィオである。



※ ※ ※



あたしの誕生日は【生誕祭】として毎年派手に祝われているが、今年は特に凄い。
何たって民衆が待ちに待った、お世継ぎをあたしが身籠っているのだから。
パレードを行おうと言う案は全力で拒否させてもらった。
【正妃】としての戴冠式も無事に出産してからの事にしてもらった。
盛大な戴冠式を執り行った後に、万が一の事があってはならないからだ。
宰相を始めとする高官や貴族達は渋々引き下がってくれたが、民衆の熱狂は収まらない。生誕祭の式典にはバルコニーで民衆へのお手振りもあるのだが、過去最高の人々が集まって。【レヴィの神子あたし】の細密画は売上の記録更新を果たし、皇帝陛下ヴィオとのツーショットの細密画も飛ぶように売れているらしいとは、“ダリオ”からの情報だ。翌日、フェデーリ孤児院の子供達が祝ってくれるのも、毎年恒例の行事になりつつあったが、妊娠中の為か子供達がより可愛いらしく愛おしく思えてしまった。


そうして、毎晩激しく愛される事も最早恒例行事だが(照)。
特別な晩は、更にその激しさを増す(激照)。
「…そなたが、異世界に生まれて来てくれた事を感謝して…
 …愛している…永遠とわに…」
と、熱く囁きながら(爆照)。

そうして、落ち着いたある日。
突然、ヴィオがおっしゃったのだ。
「そなたの誕生日を、異世界でデートしたい。」
と。
そして地球での『二○一九年一○月八日』に“転移”して。
冒頭の場面シーンへと戻るのである。



※ ※ ※



あたしはテーマパークに一回も来た事がない。
お金がなかったからでもあるのだが、そもそも興味がなかったのだ。
だが、しかし。
ヴィオに連れられて、園内に入った瞬間。
気持ちが浮き立った事を認めない訳にはいかないだろう。
そうしてヴィオのエスコートのまま、ハロウィン仕様に飾り付けられている園内をめぐり。幾つかのアトラクションを回っている内に、すっかり楽しんでしまっている自分がいたのであった。待ち時間も苦にはならなかった。却ってヴィオと話が弾んで、待ち時間さえ楽しめた。特に、普段『映画』と言うものを全く観ないあたしが唯一テレビで見てハマった映画をテーマにしたアトラクションでは大喜びし、大はしゃぎしてしまったのであった。その映画は壮大なスケールで描かれたSFファンタジーなのだが、あたしはその世界観にどっぷりとハマってしまい、そのアトラクションでは映画の中での疑似体験が出来て夢の世界の追体験をしてしまった♪ そうそう、ヴィオは“幻視”の魔法で『藤瀬 帝』になっていたので、念の為。



「…七都姫…そんなに喜んで貰えて、私も嬉しい…」
「…ヴィオ…こちらこそ、嬉しいです…ありがとうございます…」
「…七都姫…
 …そなたは以前は、生活するのに精一杯で、遊ぶゆとりがなかったと思う…
 …だが、これからは違う…共に遊んで、楽しもう…目一杯…」
「……ヴィオ……」



あたしはヴィオの気持ちが嬉しくて、ありがたくて。
ヴィオと繋いだ手をギュッと握ってしまうと、かれからも握り返されてしまって。
 益々、嬉しくなってしまったのだった。
するとヴィオはもっともっとあたしを感激させるサプライズを用意してくれていたのであった。

パレードと花火を見終わって、お土産ショッピングも楽しんで。
さて帰ろうと思っていたら、パーク内のホテルにチェックインして。
レストランに連れて行かれ、スペシャルなディナーが用意されていて。
 更には、このテーマパーク仕様のバースデーケーキが運ばれてきて。
パークのキャラクター達がお祝いに駆け付けてくれたのであった。
そしてもっと嬉しかったのは、あたしの好きな映画のヒーローとヒロインが誕生日を祝う歌を唄ってくれて。更に記念撮影して、特別なフォトスタンドに入れてプレゼントされたのであった。



あたしは嬉しくて、嬉しくて。
感激の涙を流しながら、わざわざ駆け付けてくれた皆さんにお礼をしたのだが。
勿論、あたしの眼の前で微笑んで見つめてくれてる最愛の旦那さまヴィオに、その最大の感謝は向けられて。あたしは胸が一杯になってしまって、ヴィオを見つめ返してしまった。


思えば。
あたしはこんな風に誕生日を祝ってもらった事がない。
昔は祖父母がそれなりに祝ってくれたが、一人になってからはコンビニでショートケーキを買ってセルフ祝いをするのが精々で。友達にさえこんな風に祝ってもらった事はない。そもそも『友達』と呼べる人が極端に少なかったし、深い付き合いをしてきた訳でもない。だからこそ、突然『異世界転移』なんて非常識な目に陥った時も、望郷の念に囚われる事もなかったのだ。


あたしの事をここまで考えてくれた人は、未だかつていない。


祖父母でさえ、あたしの心の奥底に秘められた願望に気付いて、叶えてはくれなかった。


現在いまのあたしにとって、かけがえのない大切な大切な男性ひと―――


それが、ヴィオなのだ。


あたしはヴィオへの愛情が溢れて、それはその晩、泊まったホテルのベッドの上で爆発した。何と初めてあたしから襲い掛かってしまって、ヴィオを押し倒して積極的に攻めてしまったのだった。
驚きつつも喜んだのは、旦那さまヴィオである。
「初めて、そなたに上になってもらえた!」
と。
そう、あたしは、人生初の騎乗位をやってしまったのだ。
いつもなら抑え気味になってしまう嬌声こえも一切構わなかった。
喘いで腰を振れば、ヴィオも下から激しく突き上げてくる。
そして益々、あたしの嬌声こえも高く大きくなってしまう。
肉食女子になったようで一瞬、理性が戻りかけたけど、ヴィオの悦ぶ表情かおがあたしの気持ちと行為を増長させた。そうして夢のひと時は、悦楽の一夜へと変貌を遂げてしまったのであった。



※ ※ ※



戻って・・・来た後。
フォトスタンドが部屋に飾られた事は言うまでもないが、夜の生活でヴィオから騎乗位をリクエストされる羽目に陥ったのは、かなり自業自得の余談である(恥)。
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