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本編
No,39 【シルヴィオ陛下SIDE ⅩⅦ】 ※R18
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「…やっとだ…ようやく、そなたを抱ける…」
長い間の念願が叶った私は、感慨深くナツキの表情を見つめたのだった。
※ ※ ※
結婚披露宴とも呼べる舞踏会が終了して。
迎えるのは、宿願とも言える“初夜”だった。
風呂に入っても、疲れが取れる筈などない。
却って、期待が高まるだけだった。
ナツキは今頃、デーボラ達の手によって磨き上げられている事だろう。
心臓が五月蠅い程に高鳴っている。
房事について初めて学んだ時も、こんなに緊張などしなかった。
風呂から上がって、初めて『皇帝夫妻の寝室』に入る。
いつかは、と思って掃除だけは欠かさずにいた部屋だ。
これからは、二人で寝室で寝るのだ。
眠るのではない。
ここで、愛を育むのだ。
ナツキは、既にいてくれた。
バラの香油の香りがする……
夜着も“寝間着”ではない。
“寝衣”だ。
デーボラ達が気を利かせてくれたに違いない。
恥ずかし気にナイトガウンを羽織っているのが、またそそられる。
襲い掛かりたい衝動をこらえて、優しくする事を改めて決意する。
ナツキは、初めてなのだ。
接吻も性交も、何もかもが私が初めての男なのだ。
衝動のままに乱暴にしたら、怖がられるだけだ。
優しく大切に扱わなければ。
寝台の上に座っているナツキの横に座る。
それだけで、ビクッと緊張するナツキが可愛い。
俯いてしまっている顔を無理に上げさせる事なく、優しく肩を抱き。
艶やかな長い黒髪を梳く。
優しく丁寧に。
愛しさを込めて。
するとナツキが、肩の力を少し抜いたのが理解った。
黒髪のひと房を手に取り、軽く接吻を落とすと、驚いたように顔を上げたナツキと視線が合った。
黒蝶石の瞳と視線が絡み、見つめ合う。
吸い寄せられるように口唇が近付き……唇を合わせる。
柔らかく甘い、ナツキとの口付け。
甘味は苦手なのだが、ナツキとの接吻ならば……いつまでもしていられそうだ。
今夜は遠慮しない。
角度を変えて、接吻を繰り返す。
繰り返し唇をついばみ、唇の表面を舐めて味わう。
口中に舌を割り入れて、ナツキの舌を探す。
咄嗟にナツキが逃げを打つが、そんな事を許しはしない。
頭の後ろを左手で押さえつけるようにして、右手で腰を抱く。
決して逃げられないように。
ナツキに逃げる意志などない事は理解ってはいるのだが。
現在までの己の行動に対するナツキの行動への後遺症だ。
逃げる気力を殺ぐように、とっておきの低音で囁いてやる。
ナツキが秘かに気に入っている事が理解っている私の声で。
ナツキの名前を。
「…七都姫…」
ナツキが驚いたような表情をしている。
……練習したのだ。
日本語の発音は難しい。
ナツキがこの異世界の言語を理解しているのは知っているが、『名前』と云うのは特別なものだ。
特に彼女は、孤児である事に負い目を感じて、“実の両親から与えられたものではない”名前を気にしている。
だが、そんな劣等感は不要なものだ。
“クリュヴェイエから、運命的に名付けられた”と云う事も大きいが。
何よりも。
……ナツキを形作る、何もかもが全て愛おしいから―――
そんな想いを、そのまま耳元で囁いてやれば。
ナツキの瞳が潤んで、怖ず怖ずと舌を絡ませてきてくれる。
初心なナツキにしては珍しい仕草に、身体が熱くなる。
口中を舌で愛撫して、ナツキの悦いところを探す。
反応する箇所を刺激すれば、ナツキの嬌声が漏れ始める。
夢にまでみた、艶めかしい愛しい女性の嬌声。
少し苦しそうだったので、鼻で呼吸をする事を教えてやれば、言われた通りにしようとするが。慣れない様子が、また私を更に煽る。構わずに接吻を続けたいが、そろそろ先にも進みたい。ナツキの小さな口中から溢れた唾液を舐め取り、顎の先に接吻をして首筋に唇を這わせれば。
「…ん…ふっ…あァ…」
瞳を閉じて、喘ぐナツキが艶っぽい。
遠慮などする事なく私の痕を付ければ、綺麗な赤い花が白い肌に咲く。
それに煽られ、首筋に次々と付けてゆく。
薄いガウンを脱がせながら。
そうしてそのまま寝台に優しく押し倒す。
あくまで優しく、余裕を装いながら。
「…やっとだ…ようやく、そなたを抱ける…」
深い感慨を持って、ナツキを見下ろす。
焦る気持ちを必死で押し殺して。
だが、ナツキが、そんな私の気持ちを台無しにする行動に出た。
瞳を閉じて。
私の首に両腕をまわし。
私を引き寄せ。
耳元で囁いたのだ。
「…好き…ヴィオが大好き…」
と。
思わず、唸り声が漏れた。
獣のような、獣人のような。
思わず恨めしい声が出た。
「…七都姫…折角、優しくしようとしているのだから…あまり煽るな…」
「…え、そんな…煽った心算は…」
無意識で存在だけで私を煽る小悪魔には、お仕置きをせねばならん。
と思ったら。
返り討ちにあってしまった。
優しくする心算だったところを少し乱暴に豊かな胸を寝衣の上から揉みしだくように弄れば、ナツキは健気に耐えてしまってあえかな声を上げて私を撃沈させてしまう。たまらなくなった私は、寝衣を引き裂くように脱がせ、直接ナツキの胸を弄り。胸の先でツンと尖っている朱い実を吸い、舐めしゃぶった。
「あ…っ、…ああァァ…! はァ…んッ!!」
高い嬌声が、耳に心地好い。
その声がもっと聴きたくて、私の行為にもより一層の熱が入る。
身体が熱くて、たまらない。
私がガウンを脱ぎ捨てれば、上半身は裸だ。
素肌を合わせれば、心地好さは倍増した。
思わず抱きしめれば、抱き返してくれる事がたまらなく嬉しい。
間違いなく、ナツキから“愛されてる”と実感出来るから―――
一部の隙間もない程に重なり合って、交じり合いたい。
衝動のままに、白く柔らかな肌の上にキスマークを残してゆく。
「…七都姫…七都姫、愛している…ずっと、こうしたかった…」
寝衣のスカートをたくし上げ、太股を探り。
下着の上から秘められた場所を撫でれば。
「や…っ!」
思わずと言った具合に漏れた言葉に騙されはしない。
そこはもう下着の上からでも判明る程に濡れていた。
私に感じてくれている事が、嬉しくて。
泣きたくなる程に、嬉しくて。
少しだけ凶暴な気持ちが柔らいだ。
尚も愛撫を続ければ、蜜で下着がどんどんと湿ってくる。
ナツキの嬌声も間断なく聴こえ、私自身を昂らせる。
下着の中にそっと手を入れて秘密の花園を探れば、花蜜は溢れんばかりになっていて。秘められた場所を直に見たくなってしまった。私は身体をずらして、下着を下ろそうとするが激しい抵抗にあってしまう。だが、恥ずかし気に腰を捩る様は逆効果になっている事を、ナツキは理解ってはいない。
私は下着を下ろす事は断念したが。
その代わり。
「やァ…ッ、…それダメェ…ッ!!」
ナツキの花蜜は、甘露のように甘かった。
甘露とはナツキの世界の古代中華世界で、天から降る甘い液体とされるが。
これはまるで、こちらの世界の花とワインの女神がもたらす美酒のようだ。
どんな甘い葡萄酒も、この女神の美酒の如き甘露には敵うまい。
「ヤダ…ッ、…ヴィ、ヴィオッ…きた、ないっ…から…ッ!」
「…そなたの身体で汚いところなど、どこにもない…」
「ウソ…ッ、…やァッ…やめ、っ…あァ…ッ!!」
「…ナツキ…もっとだ…もっと、この甘い蜜をくれ…」
「やァ…ッ、…ヴィオのみか、くっ…おか、し…!!」
「…いや…菓子などよりも、もっと甘いぞ…」
「ちが…っ、…やァッ…ハァッ…はァ…んァッ!!」
悦がって啼くナツキの嬌声は、とても淫らで甘美で。
天上の楽の音のようだ。
この世界に音楽の神はいないが、美の女神の声にも勝る。
ずっとずっと、聴いていたい。
けれども、それが終わる瞬間がやってきた。
ひと際、高い嬌声を上げると、ナツキがイッてしまったのだ。
私の唇と舌でイッってくれたのが、舞い上がりそうな程に嬉しく愛おしい。
弛緩して脱力してしまった肢体を瞳で愛でる。
汗の浮いた肢体は光り輝いて、眩いばかりだ。
本当はもっと明るい場所で抱きたいのだが、初めては嫌がるだろうと私の配慮からナツキを照らすのは僅かな灯りと差し込んでくる月の光だけだ。
……まるで、月の女神のようだ……
ナツキの世界ではディアナは、永遠の処女神だが。
こちらの世界では、太陽神の妹であり、妻神だ。
私は『太陽神』などと云う柄ではないが、この儚げな月の女神を抱く資格を得る為ならば、何にでもなってやる。
視姦だけで済む筈もなく、所々に所有の証を残す。自分の独占欲と征服欲を嫌でも自覚するが、そんなものは今更だ。さやけき月の化身のような女性を抱く事が出来る幸福に酔い痴れる。逸る気持ちを抑えて、下着を脱がせる。腰を浮かせて協力してくれる訳ではないから、どうしても手間取ってしまう。花蜜で濡れて光る花弁を、花芯を手指や唇で優しく愛撫して。内部を探る。
未通の内部は狭く、容易く指さえ入れる事は出来ない。
根気良く解していくしかないが。
そんな手間さえ楽しく愛しい。
最初は指の一本を入れるだけでも辛そうなナツキを何とか宥めながら、二本、三本と増やしていく過程にさえ興奮を覚える。内部の感触がたまらない。ナツキの世界では、避妊が『男性のマナー』とされていたが、こちらではそんな必要はない。
ナツキには、早く孕んで欲しい。
私の子供を産んで欲しい。
私の子種を受け入れて欲しいのは、ナツキただ一人。
本能の命ずるままに、己の楔を取り出し。
蜜口に当てて、狙いを定めて。
挿れようとすれば、異物をなかなか受け入れようとしない固い蕾は閉じたままだが。このままでは、ナツキも私も苦しいだけだ。今はとにかく一刻も早く、ナツキの内部に挿入りたい。
ナツキの表情を見つめながら、ゆっくりゆるゆる挿入し。
覚悟を決めて、一気に貫いて。
その瞬間に、ナツキの身体に魔力を流した。
ナツキの処女膜が破れる、その瞬間を狙って。
瞬時に、傷を癒したのだ。
別に処女膜が再生する訳ではない。
ただ、痛みを感じる暇は殆どなかったに違いない。
だが、さすがに圧迫感はあるようで、少しだけ苦しそうな表情だ。
「…ナツキ…大丈夫か…?」
「…うん、大丈夫…ヴィオは…? …あたしは、気持ち良い…?」
「…ああ…苦しそうなナツキには申し訳ない程に、気持ち悦い…」
「…だったら、良かった…」
実際、狭いナツキの内部は、私自身を引き絞り絶妙な具合で締め上げ、とても気持ちが悦い。
ただ勿論、私もこのままにする心算など皆無だ。
ナツキに秘密で魔法まで使ったのは、初めてで“性交の快感”を感じて欲しいからだ。しばらくの間、抱きしめて、ナツキの内部に私が馴染んでくれるのを、待つ。
背中に両手を回してくれて、汗で滑りながらも必死でしがみついてくれている事が何よりも嬉しく愛しい。
ナツキの了解をとり、ゆるゆると動き出す。
腰を動かし、時にはローリングさせ。
自分の快感を追うよりも、ナツキを優先させた。
ナツキの表情を注意し見つめながら。
緩急をつけながら、私自身が当たる場所とナツキの様子を観察すれば。
……見つけた。
ナツキの反応が、悦いところを。
ナツキの世界で、俗に『Gスポット』と呼ばれる場所だ。
意識して狙って突いてみると効果は覿面だった。
先程、花芯を舐めねぶった時のような嬌声を上げて、悦がり狂ってくれた。もはや意味をなさないナツキの喘ぎ声と、私の呼吸音が寝室を満たす。私の汗がナツキに滴り落ち、ナツキの汗をシーツが吸ってゆき。ナツキは多分出血していて、その処女血が滑りを良くしている原因にもなっていると思うのだが、その事に申し訳なさを覚えるよりも嬉しさをより一層感じてしまう私は、酷い男なのだろう。腰の動きはいよいよ早く益々激しくなってゆき。
そうして私も、己に解放を許した。
私の子種を、ナツキの内部にたっぷりと注いでしまった。
―――ああ、これが。
愛する女性との性交と云う、一体感なのか―――
初めて味わう事の適った感覚に酔い痴れる。
ようやくいだく事の叶った女性の内部をいつまでも堪能していたいが、ナツキの肉体がそろそろ限界だろう。名残惜しさを押し殺し、自身を引き抜くと、そんな瞬間のナツキの呻き声にさえ煽られてしまうのだから始末に悪い。
私はナイトテーブルにあった鈴を鳴らして、侍女を呼んだ。
さすがに“初夜”の今夜に部屋に入ってきたのは、デーボラ自身のみだった。
「風呂に入って、汗を流してくる。後を頼む。」
「承知致しました。」
朦朧としているようなナツキを抱え、風呂に入る間。
デーボラが寝台のシーツの交換諸々を済ませてくれるだろう。
その際、案の定、出血していた箇所を見てニヤけてしまったのは秘密だ。
※ ※ ※
簡単に風呂を済ませて。
用意されていた寝間着に着替えて出て来れば。
新しいシーツに変えられた寝台に、意識を飛ばしてしまっているナツキを横たえ。
私は水差しから冷たい水を盃に入れて飲み干し。
ナツキにも口移しで与えた。
意識がなくとも喉の渇きには、耐えられなかったのだろう。
そうして互いが満足すると、ナツキの身体を抱きしめて寝台で一緒に横になった。
本当ならば、後二、三回は犯りたいところだが、そこは我慢だ。
眠ってしまっているナツキを起こして事に及ぶ程、私も鬼畜ではない。
……例え、今夜は眠れなくとも。
温かなナツキの身体。
ようやく愛する事の叶った、私の運命の神子。
私は横で眠るナツキの閉じた瞼を見下ろし。
接吻を落とした。
額と瞼と、唇に。
唇に対する接吻が少しばかり長くしつこくなってしまったのは、ご容赦願いたい。
そうして、私は。
ようやく結ばれる事が叶った愛おしい女性を胸に、静かに眼を閉じたのだった。
長い間の念願が叶った私は、感慨深くナツキの表情を見つめたのだった。
※ ※ ※
結婚披露宴とも呼べる舞踏会が終了して。
迎えるのは、宿願とも言える“初夜”だった。
風呂に入っても、疲れが取れる筈などない。
却って、期待が高まるだけだった。
ナツキは今頃、デーボラ達の手によって磨き上げられている事だろう。
心臓が五月蠅い程に高鳴っている。
房事について初めて学んだ時も、こんなに緊張などしなかった。
風呂から上がって、初めて『皇帝夫妻の寝室』に入る。
いつかは、と思って掃除だけは欠かさずにいた部屋だ。
これからは、二人で寝室で寝るのだ。
眠るのではない。
ここで、愛を育むのだ。
ナツキは、既にいてくれた。
バラの香油の香りがする……
夜着も“寝間着”ではない。
“寝衣”だ。
デーボラ達が気を利かせてくれたに違いない。
恥ずかし気にナイトガウンを羽織っているのが、またそそられる。
襲い掛かりたい衝動をこらえて、優しくする事を改めて決意する。
ナツキは、初めてなのだ。
接吻も性交も、何もかもが私が初めての男なのだ。
衝動のままに乱暴にしたら、怖がられるだけだ。
優しく大切に扱わなければ。
寝台の上に座っているナツキの横に座る。
それだけで、ビクッと緊張するナツキが可愛い。
俯いてしまっている顔を無理に上げさせる事なく、優しく肩を抱き。
艶やかな長い黒髪を梳く。
優しく丁寧に。
愛しさを込めて。
するとナツキが、肩の力を少し抜いたのが理解った。
黒髪のひと房を手に取り、軽く接吻を落とすと、驚いたように顔を上げたナツキと視線が合った。
黒蝶石の瞳と視線が絡み、見つめ合う。
吸い寄せられるように口唇が近付き……唇を合わせる。
柔らかく甘い、ナツキとの口付け。
甘味は苦手なのだが、ナツキとの接吻ならば……いつまでもしていられそうだ。
今夜は遠慮しない。
角度を変えて、接吻を繰り返す。
繰り返し唇をついばみ、唇の表面を舐めて味わう。
口中に舌を割り入れて、ナツキの舌を探す。
咄嗟にナツキが逃げを打つが、そんな事を許しはしない。
頭の後ろを左手で押さえつけるようにして、右手で腰を抱く。
決して逃げられないように。
ナツキに逃げる意志などない事は理解ってはいるのだが。
現在までの己の行動に対するナツキの行動への後遺症だ。
逃げる気力を殺ぐように、とっておきの低音で囁いてやる。
ナツキが秘かに気に入っている事が理解っている私の声で。
ナツキの名前を。
「…七都姫…」
ナツキが驚いたような表情をしている。
……練習したのだ。
日本語の発音は難しい。
ナツキがこの異世界の言語を理解しているのは知っているが、『名前』と云うのは特別なものだ。
特に彼女は、孤児である事に負い目を感じて、“実の両親から与えられたものではない”名前を気にしている。
だが、そんな劣等感は不要なものだ。
“クリュヴェイエから、運命的に名付けられた”と云う事も大きいが。
何よりも。
……ナツキを形作る、何もかもが全て愛おしいから―――
そんな想いを、そのまま耳元で囁いてやれば。
ナツキの瞳が潤んで、怖ず怖ずと舌を絡ませてきてくれる。
初心なナツキにしては珍しい仕草に、身体が熱くなる。
口中を舌で愛撫して、ナツキの悦いところを探す。
反応する箇所を刺激すれば、ナツキの嬌声が漏れ始める。
夢にまでみた、艶めかしい愛しい女性の嬌声。
少し苦しそうだったので、鼻で呼吸をする事を教えてやれば、言われた通りにしようとするが。慣れない様子が、また私を更に煽る。構わずに接吻を続けたいが、そろそろ先にも進みたい。ナツキの小さな口中から溢れた唾液を舐め取り、顎の先に接吻をして首筋に唇を這わせれば。
「…ん…ふっ…あァ…」
瞳を閉じて、喘ぐナツキが艶っぽい。
遠慮などする事なく私の痕を付ければ、綺麗な赤い花が白い肌に咲く。
それに煽られ、首筋に次々と付けてゆく。
薄いガウンを脱がせながら。
そうしてそのまま寝台に優しく押し倒す。
あくまで優しく、余裕を装いながら。
「…やっとだ…ようやく、そなたを抱ける…」
深い感慨を持って、ナツキを見下ろす。
焦る気持ちを必死で押し殺して。
だが、ナツキが、そんな私の気持ちを台無しにする行動に出た。
瞳を閉じて。
私の首に両腕をまわし。
私を引き寄せ。
耳元で囁いたのだ。
「…好き…ヴィオが大好き…」
と。
思わず、唸り声が漏れた。
獣のような、獣人のような。
思わず恨めしい声が出た。
「…七都姫…折角、優しくしようとしているのだから…あまり煽るな…」
「…え、そんな…煽った心算は…」
無意識で存在だけで私を煽る小悪魔には、お仕置きをせねばならん。
と思ったら。
返り討ちにあってしまった。
優しくする心算だったところを少し乱暴に豊かな胸を寝衣の上から揉みしだくように弄れば、ナツキは健気に耐えてしまってあえかな声を上げて私を撃沈させてしまう。たまらなくなった私は、寝衣を引き裂くように脱がせ、直接ナツキの胸を弄り。胸の先でツンと尖っている朱い実を吸い、舐めしゃぶった。
「あ…っ、…ああァァ…! はァ…んッ!!」
高い嬌声が、耳に心地好い。
その声がもっと聴きたくて、私の行為にもより一層の熱が入る。
身体が熱くて、たまらない。
私がガウンを脱ぎ捨てれば、上半身は裸だ。
素肌を合わせれば、心地好さは倍増した。
思わず抱きしめれば、抱き返してくれる事がたまらなく嬉しい。
間違いなく、ナツキから“愛されてる”と実感出来るから―――
一部の隙間もない程に重なり合って、交じり合いたい。
衝動のままに、白く柔らかな肌の上にキスマークを残してゆく。
「…七都姫…七都姫、愛している…ずっと、こうしたかった…」
寝衣のスカートをたくし上げ、太股を探り。
下着の上から秘められた場所を撫でれば。
「や…っ!」
思わずと言った具合に漏れた言葉に騙されはしない。
そこはもう下着の上からでも判明る程に濡れていた。
私に感じてくれている事が、嬉しくて。
泣きたくなる程に、嬉しくて。
少しだけ凶暴な気持ちが柔らいだ。
尚も愛撫を続ければ、蜜で下着がどんどんと湿ってくる。
ナツキの嬌声も間断なく聴こえ、私自身を昂らせる。
下着の中にそっと手を入れて秘密の花園を探れば、花蜜は溢れんばかりになっていて。秘められた場所を直に見たくなってしまった。私は身体をずらして、下着を下ろそうとするが激しい抵抗にあってしまう。だが、恥ずかし気に腰を捩る様は逆効果になっている事を、ナツキは理解ってはいない。
私は下着を下ろす事は断念したが。
その代わり。
「やァ…ッ、…それダメェ…ッ!!」
ナツキの花蜜は、甘露のように甘かった。
甘露とはナツキの世界の古代中華世界で、天から降る甘い液体とされるが。
これはまるで、こちらの世界の花とワインの女神がもたらす美酒のようだ。
どんな甘い葡萄酒も、この女神の美酒の如き甘露には敵うまい。
「ヤダ…ッ、…ヴィ、ヴィオッ…きた、ないっ…から…ッ!」
「…そなたの身体で汚いところなど、どこにもない…」
「ウソ…ッ、…やァッ…やめ、っ…あァ…ッ!!」
「…ナツキ…もっとだ…もっと、この甘い蜜をくれ…」
「やァ…ッ、…ヴィオのみか、くっ…おか、し…!!」
「…いや…菓子などよりも、もっと甘いぞ…」
「ちが…っ、…やァッ…ハァッ…はァ…んァッ!!」
悦がって啼くナツキの嬌声は、とても淫らで甘美で。
天上の楽の音のようだ。
この世界に音楽の神はいないが、美の女神の声にも勝る。
ずっとずっと、聴いていたい。
けれども、それが終わる瞬間がやってきた。
ひと際、高い嬌声を上げると、ナツキがイッてしまったのだ。
私の唇と舌でイッってくれたのが、舞い上がりそうな程に嬉しく愛おしい。
弛緩して脱力してしまった肢体を瞳で愛でる。
汗の浮いた肢体は光り輝いて、眩いばかりだ。
本当はもっと明るい場所で抱きたいのだが、初めては嫌がるだろうと私の配慮からナツキを照らすのは僅かな灯りと差し込んでくる月の光だけだ。
……まるで、月の女神のようだ……
ナツキの世界ではディアナは、永遠の処女神だが。
こちらの世界では、太陽神の妹であり、妻神だ。
私は『太陽神』などと云う柄ではないが、この儚げな月の女神を抱く資格を得る為ならば、何にでもなってやる。
視姦だけで済む筈もなく、所々に所有の証を残す。自分の独占欲と征服欲を嫌でも自覚するが、そんなものは今更だ。さやけき月の化身のような女性を抱く事が出来る幸福に酔い痴れる。逸る気持ちを抑えて、下着を脱がせる。腰を浮かせて協力してくれる訳ではないから、どうしても手間取ってしまう。花蜜で濡れて光る花弁を、花芯を手指や唇で優しく愛撫して。内部を探る。
未通の内部は狭く、容易く指さえ入れる事は出来ない。
根気良く解していくしかないが。
そんな手間さえ楽しく愛しい。
最初は指の一本を入れるだけでも辛そうなナツキを何とか宥めながら、二本、三本と増やしていく過程にさえ興奮を覚える。内部の感触がたまらない。ナツキの世界では、避妊が『男性のマナー』とされていたが、こちらではそんな必要はない。
ナツキには、早く孕んで欲しい。
私の子供を産んで欲しい。
私の子種を受け入れて欲しいのは、ナツキただ一人。
本能の命ずるままに、己の楔を取り出し。
蜜口に当てて、狙いを定めて。
挿れようとすれば、異物をなかなか受け入れようとしない固い蕾は閉じたままだが。このままでは、ナツキも私も苦しいだけだ。今はとにかく一刻も早く、ナツキの内部に挿入りたい。
ナツキの表情を見つめながら、ゆっくりゆるゆる挿入し。
覚悟を決めて、一気に貫いて。
その瞬間に、ナツキの身体に魔力を流した。
ナツキの処女膜が破れる、その瞬間を狙って。
瞬時に、傷を癒したのだ。
別に処女膜が再生する訳ではない。
ただ、痛みを感じる暇は殆どなかったに違いない。
だが、さすがに圧迫感はあるようで、少しだけ苦しそうな表情だ。
「…ナツキ…大丈夫か…?」
「…うん、大丈夫…ヴィオは…? …あたしは、気持ち良い…?」
「…ああ…苦しそうなナツキには申し訳ない程に、気持ち悦い…」
「…だったら、良かった…」
実際、狭いナツキの内部は、私自身を引き絞り絶妙な具合で締め上げ、とても気持ちが悦い。
ただ勿論、私もこのままにする心算など皆無だ。
ナツキに秘密で魔法まで使ったのは、初めてで“性交の快感”を感じて欲しいからだ。しばらくの間、抱きしめて、ナツキの内部に私が馴染んでくれるのを、待つ。
背中に両手を回してくれて、汗で滑りながらも必死でしがみついてくれている事が何よりも嬉しく愛しい。
ナツキの了解をとり、ゆるゆると動き出す。
腰を動かし、時にはローリングさせ。
自分の快感を追うよりも、ナツキを優先させた。
ナツキの表情を注意し見つめながら。
緩急をつけながら、私自身が当たる場所とナツキの様子を観察すれば。
……見つけた。
ナツキの反応が、悦いところを。
ナツキの世界で、俗に『Gスポット』と呼ばれる場所だ。
意識して狙って突いてみると効果は覿面だった。
先程、花芯を舐めねぶった時のような嬌声を上げて、悦がり狂ってくれた。もはや意味をなさないナツキの喘ぎ声と、私の呼吸音が寝室を満たす。私の汗がナツキに滴り落ち、ナツキの汗をシーツが吸ってゆき。ナツキは多分出血していて、その処女血が滑りを良くしている原因にもなっていると思うのだが、その事に申し訳なさを覚えるよりも嬉しさをより一層感じてしまう私は、酷い男なのだろう。腰の動きはいよいよ早く益々激しくなってゆき。
そうして私も、己に解放を許した。
私の子種を、ナツキの内部にたっぷりと注いでしまった。
―――ああ、これが。
愛する女性との性交と云う、一体感なのか―――
初めて味わう事の適った感覚に酔い痴れる。
ようやくいだく事の叶った女性の内部をいつまでも堪能していたいが、ナツキの肉体がそろそろ限界だろう。名残惜しさを押し殺し、自身を引き抜くと、そんな瞬間のナツキの呻き声にさえ煽られてしまうのだから始末に悪い。
私はナイトテーブルにあった鈴を鳴らして、侍女を呼んだ。
さすがに“初夜”の今夜に部屋に入ってきたのは、デーボラ自身のみだった。
「風呂に入って、汗を流してくる。後を頼む。」
「承知致しました。」
朦朧としているようなナツキを抱え、風呂に入る間。
デーボラが寝台のシーツの交換諸々を済ませてくれるだろう。
その際、案の定、出血していた箇所を見てニヤけてしまったのは秘密だ。
※ ※ ※
簡単に風呂を済ませて。
用意されていた寝間着に着替えて出て来れば。
新しいシーツに変えられた寝台に、意識を飛ばしてしまっているナツキを横たえ。
私は水差しから冷たい水を盃に入れて飲み干し。
ナツキにも口移しで与えた。
意識がなくとも喉の渇きには、耐えられなかったのだろう。
そうして互いが満足すると、ナツキの身体を抱きしめて寝台で一緒に横になった。
本当ならば、後二、三回は犯りたいところだが、そこは我慢だ。
眠ってしまっているナツキを起こして事に及ぶ程、私も鬼畜ではない。
……例え、今夜は眠れなくとも。
温かなナツキの身体。
ようやく愛する事の叶った、私の運命の神子。
私は横で眠るナツキの閉じた瞼を見下ろし。
接吻を落とした。
額と瞼と、唇に。
唇に対する接吻が少しばかり長くしつこくなってしまったのは、ご容赦願いたい。
そうして、私は。
ようやく結ばれる事が叶った愛おしい女性を胸に、静かに眼を閉じたのだった。
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