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エピソード61 【珍しい珍客】

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★「おしゃれ」「お母さん」→マンモス白珊瑚の森に住む。おしゃれ金平糖ウミウシ。


★「いちご」→船形石珊瑚に住む「おしゃれ」の心友。いちごジャムウミウシ。


★「風船ウミウシ」→体を丸めて転がって移動する珍しい種族。みんなからスーパーウミウシとあがめられている。

★「兄」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの長男。青くて大きめの魚。過度の心配性の特徴あり。


★「妹」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの末っ子。オレンジ色の小さな魚。しっかり者の性分。





******



そのおかげで、「妹」は海面に落下して助かった。



クジラは「妹」のそばに寄って行った。



「危なかったね、気をつけなくてはいけないよ。太陽が遠くまで上がっている今ごろは、カモメの奴もお腹をすかせているからね。これからどこまでいくつもりなんだい。よければそこまで送っていってあげるよ。もちろん、ターコイズブルーウミウシも一緒にね。君は彼に話があるんだろう? 」



「妹」はクジラにマンモス白珊瑚の森まで、乗せていってもらうことにした。



大きな口の中にふたたび入る前に、待たせていた飛び魚に「兄」宛の手紙を渡した。



「妹」から水泡を受け取った飛び魚は、それを口の中に飲み込むと、ふたたび空へと飛んだ。



ゆっくりと大きな口が閉ざされる時、



「そろそろあのお方が起きるころだ。君も退屈しなくて済む」



とクジラの声が聞こえてきた。



クジラの口の内側は、何度入ってみても快適だった。



せっかくなので、悠々自適に過ごすことにしたい。



「妹」はそう思い、口の入口にしがみついていないで、少し奥へ進んでみることにした。



しかし、そう思っていても、やはり怖くて、ホンの少ししか前に進めない。



自分にしてもそうなのだが、クジラの咽(のど)から先は、いったいどうなっているのだろう。想像もつかないから、余計に怖くなる。



「妹」がなかなか前に進めず考え込んでいると、ふいに、咽奥から声が響くように聞こえてくる。



「フッフッ、珍しい珍客ですね」



「だあれ? 」



「妹」は驚いた表情をして、奥に向かって目を凝らす。



「どうだい、ここは居心地がいいでしょう。気に入ってもらえたかな? 」



「ええ。気に入ったわ、らくちんね。泳がなくても、浮いているという感じが、またいいものね」







〈続く〉

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