悠久の Madrugada〈マドゥルガダ〉 -蒼い闇- 《本編完結》「後日譚」連載開始しました

桜楽-sakura-

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粛正 2 ー慰撫 《サクリファイス》1ー # R18

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「兄さまっ!!」

 ふらりと現れた兄は血にれ、尋常じんじょうではない様子で、弟と日陰シェイドの前に立った。

「血が!」

 兄の服は血痕けっこんが飛び散り、血生臭ちなまぐさい香を放っていた。

「大事ない」
「ーーきゃあ!」

 ひと言、言い捨て、兄は血にまみれたまま、弟を抱き上げた。

あるじ! きよめを!!」
 立ちはだかった日陰シェイドを、兄は物ともしなかった。

「いらぬ。そこをどけ」

 恐らく……滅多に動じる姿を見せぬだろう日陰シェイドひるみ、その脇を兄はすり抜けた。
 ーーすり抜け様、弟はシェイドにかすかに首を振った。

 「ーーっっ!」
 弟は、乱暴にしとねに放り投げられ身体を起こそうと手をついた時、間髪かんはつを入れず兄がおおかぶさり、噛みつくように口づけられた。

「は…ぁっ、に…さま、兄さま! ほほに、血が…、血を、拭かせて!」
「捨ておけ」
 兄はにべもなく、だが弟は食い下がった。微笑みを浮かべて。

「なら……、リシェに舐めさせて? ね? 兄さま……」

「……駄目だ。これはーー汚れた血」
「兄さま。血を拭かせてくださいーー駄目ならリシェめる。舐めて……綺麗にするから」
 兄の頬に手を伸ばし、焦点を結ばない冷えた兄の眼を、それでも見つめながら弟が言葉を重ねた。

「…………」
日陰シェイ
 弟が伸ばした手に、日陰シェイドはハーブ水をひたした更紗さらさを乗せ、弟はようやっと兄の頬にこびりついていた血糊をふき取った。
 兄の頬から更紗さらさが離れると、兄は更紗さらさうばい取り投げ捨てた。そして、血痕けっこんが散る服を脱ぎ捨てて放る。それを弟は黙って待った。

「あ……!」
 うつ伏せに身体を返され、腰を掴まれ尻を上げさせられた。
 肛門アヌスを開かれたーーと、弟が思う間もなく唇が触れ、舌でなぶられる。

 ぴちゃっ……

「に……さま……っ! あ……い、いっぱい、舐……めて……」

 だが、弟が兄の舌戯ぜつぎに酔う前に、肛門アヌスほどける前に、猛り切った兄の男根ペニス肛門アヌスに当てられた。

あるじっ!! 駄目です軟膏ローションを」
日陰シェイ、いいから黙って!! ーーーー……ひ……ぃ……あ、く……っ……っっ!! ああっ!!」

 肛門アヌスを引き裂かれる鋭い痛みに、弟は飲み込み損ねた声を上げた。

「ーーっ、……ひぁ……っ……く……ぅ……ーーっっ!」

 無理やり男根ペニスをねじ込まれ容赦ようしゃなく揺さぶられながら、弟の頬は生理的な涙に濡れた。
 だが、本当だったらーー 一番最初に与えられてもおかしくない痛みだった。おろかにも痛みを望む自分を……それでも兄は、大事に……大事に抱いてくれていたのだ、そう弟は思う。

「う……あ…ぁ……! あ……、白い、ティゼ…………日陰シェイ……リシェ、女の子じゃないって……言って……の、に」
 痛みに目をゆがませながら、弟はふふっ……と、笑う。日陰シェイドが、少しでも痛みをまぎらわせられるよう、ティゼをいてくれたことは分かっていた。

「ーー……! くっ……ぅ……!」
 肛門アヌス最奥さいおう白濁はくだくを叩きつけた。
 兄が荒く息をいた後、ずるっと血濡れた男根ペニスが抜かれたが、弟は痛みに耐えて身体を返して、兄に腕を差し伸べた。

「まだ……、もっと……」

 兄は弟の足を抱え、未だ猛る男根ペニスを弟の肛門アヌスに沈めた。

「んっっ……くっ……ーーぅ……」

 苛まれる時間は長く続いた。だが、それでも弟は一度も痛みを訴えることなく、ただ一心に兄を求め、兄をなぐさめ続けた。

「あ……」

 一瞬、気を飛ばしたらしい弟は、覚醒かくせいして直ぐ兄の姿を探した。
 兄は、血にれた服ではなく、日陰シェイドが用意したであろう、服に袖を通していた。

「兄さま……」

 振り返った兄はいまだ、荒んだ眼をしていた。
 弟は兄に掛ける言葉を探せず、兄は、弟を一瞥いちべつしたが何も発せず身体を返した。

 ーーバシンッ……! ーー

 その時、兄の頬が張られる音がひびき、空気が凍った。
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