58 / 66
La Madrugada 33 〔薄氷 2〕
しおりを挟む
ぽちゃ……っ……ン……ーー。
聴く者のいない、雫が落ちる音が湯殿に響く
「兄さま……」
「ん……?」
弟は兄の背を抱きながら、少し伸び上がって胸の尖りをーー兄の乳首と触れ合わせ、擦り合わせるように身体を上下させた。
「あぅ……ん……っ……は…………ぁ」
焦れったい悦さに、弟は身悶えては、また乳首を擦り合わせた。
「悦いのか……? リシェ」
唇を合わせながら……兄は言葉を零れさせた。
「……んっ…………もどかしくて……でも、気持ち悦い……兄さまは……悦く、ない……?」
少し、泣きそうな表情になる弟に、兄は“悦い”、と囁く。
「そろそろ、お流ししても?」
「はい。日陰」
日陰が湯を掛け、弟が泡を流していく……。
「兄さま、お湯へ……ひゃあ!」
「落とさない。日陰、リシェも流せ」
「主……リシェ様を下ろし」
「早く」
「…………リシェ様、どうか、そのまま動かないで」
弟の泡を日陰が手早く流すと、すたすたと危な気なく弟を抱いたまま湯槽へと歩みそっと弟を降ろすと、自らも湯に入り弟の足を開かせて兄に股がらせ、先程のように胸を合わせると、背筋を撫でおろし、肛門の縁をくすぐり……兄の指は、直ぐに弟の肛門に沈められていった。
「兄さま……お湯、入るよ……」
「後で、|掻《か」き出してやる」
「や……恥ずかしいよ……! お湯の中で!!」
「ふ……もっと、恥ずかしくしてやろうか? 日陰!」
呼ばれた日陰が、苦笑しつつ、白の花弁を湯に放した。
ーー花嫁の花!
湯に香りが溶け、ふわっと白のティゼの香が立ち込めた。
「日陰ーーひどいっ、僕、女の子じゃな……」
「……申し訳ありません。リシェ様。ですが、リシェ様は花嫁として、主と慶夜を共にしました。慶夜を明かした今となっては、貴方が主の妻です」
「日陰っっ!!」
真っ赤になって弟は叫んだが、兄も、そして日陰も取り合わなかった。
「諦めろ、リシェ」
くすくす笑い、兄は機嫌よく弟に告げ、日陰は、主の心身が解けたことを見て取りほっと胸を撫でおろした。
「ここで抱かれろ」
「ーー兄さ……さまっ! ……や、ーー悦い!! いやぁ……っ」
パシャっっ……バシャ……っ……
跳ねる水音と、弟の嬌声が、湯殿に共鳴した……。
§
覚醒して、ぼんやりと薄暗い中天井を見つめた、その一瞬後に弟は、はっとして褥の|隣《隣」を探った。
「もう、冷たい……」
辛うじて、兄が眠った跡はあった。
「リシェ様、起きていらっしゃいますか?」
「はい……。ね、日陰……僕、できていた? 日陰みたいには……上手く誘導できないけれど」
つーー……と、流れる涙を弟は無造作に拭った。
「お上手でした。……明け方お起こしいたしましたが、良くお眠りになられたようです」
「兄さま……随分、痩せた……」
「ここで、食べて行かれました。食べなければ持たない。主も解っていらっしゃいます」
弟は、言うか、言うまいか逡巡した後、結局、口を開いた。
「本宮……、危ないの……?」
「いえ……、そのような報告は入っておりません。ーー……ただ、主が本宮で食事をするのを厭われる。影は、そのような時、その勘に従います。当分……食事はこちらでお出しします。夜だけでは、食事量が減るのは仕方ありません。長いことではないとーー信じます」
「うん……、影が兄さまを守ってくれるってーー僕も信じる。
聴く者のいない、雫が落ちる音が湯殿に響く
「兄さま……」
「ん……?」
弟は兄の背を抱きながら、少し伸び上がって胸の尖りをーー兄の乳首と触れ合わせ、擦り合わせるように身体を上下させた。
「あぅ……ん……っ……は…………ぁ」
焦れったい悦さに、弟は身悶えては、また乳首を擦り合わせた。
「悦いのか……? リシェ」
唇を合わせながら……兄は言葉を零れさせた。
「……んっ…………もどかしくて……でも、気持ち悦い……兄さまは……悦く、ない……?」
少し、泣きそうな表情になる弟に、兄は“悦い”、と囁く。
「そろそろ、お流ししても?」
「はい。日陰」
日陰が湯を掛け、弟が泡を流していく……。
「兄さま、お湯へ……ひゃあ!」
「落とさない。日陰、リシェも流せ」
「主……リシェ様を下ろし」
「早く」
「…………リシェ様、どうか、そのまま動かないで」
弟の泡を日陰が手早く流すと、すたすたと危な気なく弟を抱いたまま湯槽へと歩みそっと弟を降ろすと、自らも湯に入り弟の足を開かせて兄に股がらせ、先程のように胸を合わせると、背筋を撫でおろし、肛門の縁をくすぐり……兄の指は、直ぐに弟の肛門に沈められていった。
「兄さま……お湯、入るよ……」
「後で、|掻《か」き出してやる」
「や……恥ずかしいよ……! お湯の中で!!」
「ふ……もっと、恥ずかしくしてやろうか? 日陰!」
呼ばれた日陰が、苦笑しつつ、白の花弁を湯に放した。
ーー花嫁の花!
湯に香りが溶け、ふわっと白のティゼの香が立ち込めた。
「日陰ーーひどいっ、僕、女の子じゃな……」
「……申し訳ありません。リシェ様。ですが、リシェ様は花嫁として、主と慶夜を共にしました。慶夜を明かした今となっては、貴方が主の妻です」
「日陰っっ!!」
真っ赤になって弟は叫んだが、兄も、そして日陰も取り合わなかった。
「諦めろ、リシェ」
くすくす笑い、兄は機嫌よく弟に告げ、日陰は、主の心身が解けたことを見て取りほっと胸を撫でおろした。
「ここで抱かれろ」
「ーー兄さ……さまっ! ……や、ーー悦い!! いやぁ……っ」
パシャっっ……バシャ……っ……
跳ねる水音と、弟の嬌声が、湯殿に共鳴した……。
§
覚醒して、ぼんやりと薄暗い中天井を見つめた、その一瞬後に弟は、はっとして褥の|隣《隣」を探った。
「もう、冷たい……」
辛うじて、兄が眠った跡はあった。
「リシェ様、起きていらっしゃいますか?」
「はい……。ね、日陰……僕、できていた? 日陰みたいには……上手く誘導できないけれど」
つーー……と、流れる涙を弟は無造作に拭った。
「お上手でした。……明け方お起こしいたしましたが、良くお眠りになられたようです」
「兄さま……随分、痩せた……」
「ここで、食べて行かれました。食べなければ持たない。主も解っていらっしゃいます」
弟は、言うか、言うまいか逡巡した後、結局、口を開いた。
「本宮……、危ないの……?」
「いえ……、そのような報告は入っておりません。ーー……ただ、主が本宮で食事をするのを厭われる。影は、そのような時、その勘に従います。当分……食事はこちらでお出しします。夜だけでは、食事量が減るのは仕方ありません。長いことではないとーー信じます」
「うん……、影が兄さまを守ってくれるってーー僕も信じる。
11
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
愛しの妻は黒の魔王!?
ごいち
BL
「グレウスよ、我が弟を妻として娶るがいい」
――ある日、平民出身の近衛騎士グレウスは皇帝に呼び出されて、皇弟オルガを妻とするよう命じられる。
皇弟オルガはゾッとするような美貌の持ち主で、貴族の間では『黒の魔王』と怖れられている人物だ。
身分違いの政略結婚に絶望したグレウスだが、いざ結婚してみるとオルガは見事なデレ寄りのツンデレで、しかもその正体は…。
魔法の国アスファロスで、熊のようなマッチョ騎士とツンデレな『魔王』がイチャイチャしたり無双したりするお話です。
表紙は豚子さん(https://twitter.com/M_buibui)に描いていただきました。ありがとうございます!
11/28番外編2本と、終話『なべて世は事もなし』に挿絵をいただいております! ありがとうございます!

ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

神官、触手育成の神託を受ける
彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。
(誤字脱字報告不要)
今日も武器屋は閑古鳥
桜羽根ねね
BL
凡庸な町人、アルジュは武器屋の店主である。
代わり映えのない毎日を送っていた、そんなある日、艶やかな紅い髪に金色の瞳を持つ貴族が現れて──。
謎の美形貴族×平凡町人がメインで、脇カプも多数あります。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる