悠久の Madrugada〈マドゥルガダ〉 -蒼い闇- 《本編完結》「後日譚」連載開始しました

桜楽-sakura-

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密言 3 ー王と影 2ー # R15 ※「囁言」 から「密言」へ改題

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 睦事むつごとの、ーー肛門アヌスそそががれた、兄の精をーー後始末をしている時にも、弟は目を覚まさなかった。くたりと脱力している弟を兄が支え、身体が清められた。

「少しお待ちください」
 兄をその場に残し、日陰シェイドは弟を抱き上げ、寝室へ運んだ。



 §



「ーーやり過ぎです、あるじ

 兄の元へ戻った後、兄の髪を洗いながら 日陰シェイドが苦言を呈した。

「…………」

  日陰シェイドは、目を閉じて待っている兄に湯をかけて髪のシャボンを流し、ハーブス水を含ませた更紗さらさで顔をぬぐいながら、ふ……、と軽く嘆息する。

して差し上げても良かったのでは?」

「…………なつくのが、早過ぎる」

あるじ……」

 兄は、日陰シェイドの問い掛けとは別のいらえを返し、日陰シェイドにもう一度嘆息たんそくさせた。

 兄を洗い場に立たせ、 日陰シェイドは、たらいに、ハーブが香る石鹸シャボンを泡立て、それで兄の身体を包み込むように、で、余すところなく洗っていく。

 首から背、腋窩えきかから胸へすべらせた、シャボンまみれた指先が、胸のとがりをとらえゆっくりとでていく。腰のラインから腹、へそくぼみ、尻のまろみまで下りていき……割れ目をなぞって肛門アヌスふちを、会陰えいんを、柔らかくでていく……そしてぎょくと、男根ペニスことさら丁寧ていねいで洗っていく。

 竿さおからカリ丹念たんねんこすり、鬼頭鈴口にそっと触れながら、 日陰シェイドは兄へささやいた。

「出されますか? あるじ

 多分に揶揄やゆが込められた日陰シェイド物言いそれを、兄は、ふん……と片頬かたほほゆがめて、有りていに言い放つ。

「出すものがない」

「ーーそれは、失礼を」

 くすりと声を出すことなく笑むと、日陰シェイドは、兄の前にひざまづき、文字通り爪先つまさきまで、兄を洗い上げた。

 身体の水滴をぬぐわれた後は、兄はソファファラにゆったりと寝そべり、長い銀の髪を日陰シェイドぬぐわれていた。
 日陰シェイドは何枚も、惜しげもなく更紗さらさを替えて、兄の髪を乾かしていく。

 片手の甲を目の上にかざし、視線を上げないまま、兄は、言葉をつむぐ。

「…… 日陰シェイ、ーーリシェあれと思うか?」

「ーーリシェ様は、迷われる」

つか?」

 日陰シェイドは、半眼で瞑想するような沈黙の後ーー兄にこたえた。

あるじが導き、引き留めれば。ーーあるじ次第しだいです」
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