悠久の Madrugada〈マドゥルガダ〉 -蒼い闇- 《本編完結》「後日譚」連載開始しました

桜楽-sakura-

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La Madrugada 1 〔洗滌〕# R18 (微スカ 注意)

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 秘匿裁判ミスティシリヤの後、衆目に視姦しかんされながら、兄に剃毛ていもうを施された衝撃しょうげきに、半ば自失したまま、リシェールは、恐らくは獄吏ごくりと思われる者に連れられ、密室法廷ミスティパティオを出た。

 目隠しはそのままに。それから、くびかせと後ろ手に回されていたかせの鎖が外され、手枷は身体の前で改めていましめられた。

 獄吏は終始無言だったが、首枷から下がっていた鎖をすくわれた、とリシェールが認識した途端とたん "カチャ" と音がした。
 その気配で首枷から下げられた鎖が足されたのだと分かった。

 そして獄吏にごく軽く鎖を引かれ、リシェールは歩く様にうながされていることを理解した。

 四つ足でないだけで、リードつながれた犬と大差ない姿で、獄吏に導かれるままリシェールは歩を進めた。

 視界をうばわれたリシェールをおもんぱかる様に、足の運びは遅々ちちとしたもので、直ぐに距離きょりや方角、時間の感覚も無くなった。

 いつしか冷たくすべらかな大理石の床が、ざらつくタイルに変わった時、獄吏はリシェールの右手を取り、右側の壁に添わせた後、リシェールの前に回り、左手を獄吏の肩に置かせ、その高さで階段を降りるのだと知らされた。
 ゆっくり、ゆっくりと、一足ずつ歩を下ろし、程なくして牢に到着したのだった。

 そこでやっと目隠しを外され、天井近くの鉄窓てっそうー鉄格子のついた窓ーから差し込む陽に、前に入れられた地下牢とは別の、半地下の牢に連れて来られたのだと分かった。

 扉のない部屋がいくつかあり、前よりずっと広い牢だと知れる。牢に不似合いに豪奢ごうしゃ浴場バスルームも見えた。そして繋がれるための仕掛けや、用途の知れない様々な道具が置かれている部屋も。

「後宮の仕置き部屋だ。その昔、反抗的なしつけるために作られた部屋。お前のために大分改修したよ」

 奥から不意に聞こえた声に驚き、眼を見張る前に広いベッドが置かれていた寝室から兄が現れた。

「ここは私の部屋と繋がっている」

 獄吏はすっと身を屈めて礼を執り、リシェールも改めてひざまずいき、こうべれた。

おもてを上げなさい。リシェ」
 幼子の時分の呼び名で、兄は弟を呼んだ。

「陛下よりこの身に余るご恩情を頂き、生きながらえました。王の刃禁じ手まで使わせてしまい……申し訳、ありません…………」
 弟の目からは、ポロポロと涙がこぼれた。

 感情を押さえるのは難しく、それは全てが終わり、人としての身分も全て失い、何も制御する必要が無くなったからかもしれない。

「もう良い、リシェ」
 兄は弟の頬に手を添え、涙をぬぐう。

「先程は恥ずかしかっただろう? 恥ずかしかったなどという言葉では済まされない程。だが、あれで赦されたわけではない。それは、分かるね?」

 弟はコクり、とうなずく。

「ここでお前を、兄の性奴として調教する。いいね」
「はい、陛下」

「ここでその敬称は不要。兄さまとお呼び、リシェ」
「はい…………兄さま」

 何のうれいも知らない幼子の頃、確かに兄をそう呼んでいたことがあった。




 §




「さあ、始めようか」
 兄の言葉に ぴくり、と弟が反応する。

「先ずは身体を洗ってもらっておいで。肛門アヌスの中まで」

 いつの間にか獄吏は全裸で、弟と同じ様な短い腰布だけの姿となっていた。
 その獄吏に先程と同様に、首の鎖を引かれ浴場の中へ導かれた。

「この牢にも温泉ラヴィ・ハーラゥは引いてあるから、湯は潤沢に使える」
 元々ハルキの国は温泉ラヴィ・ハーラゥに恵まれ、王宮もその恩恵に預かっていた。

 獄吏はやはり声を出さないらしかった。

 指先のひと振りほどで、弟を、浴場に作り付けた、座がU字の椅子に跨ぐ様に座らせ、天井から滑車で吊るされたいたフックに手枷を掛け、頭上に長さを調整した。

「兄……さま、見、ない……で…………」

 弟が震える声で懇願こんがんしても、兄は許さなかった。

 浴場の入り口に椅子を運び、背もたれを逆にして跨がり、背もたれの上に腕を置き顎を乗せて、くつろいだ様子で命じた。

「駄目だよ、リシェ。“兄さま、見ていてください”だろう?  大丈夫だ。椅子の下は開いていて水が通っている。
 何、特別なハーブで作られた薬液で3度でもすすげば綺麗になる。
 恥ずかしいのは少しで済むから。だから、言ってごらん?
 それに見ているのは、もう兄さまだけなのだから」

 兄は弟を優しくうながした。

「繰り返しなさい。
 ー 兄さま、リシェが肛門アヌスを洗われているところを、どうか見ていてください ー 」

「……兄……さま…………リ、シェが、肛門アヌスを洗われる、……と、ところを、ど……ぅか、見てっ……いて……く……っ、くださ……い…………」
 弟は言いながら、羞恥の故に真っ赤になって泣き出したが、兄が言った通りに繰り返した。

「良い子だ、リシェ。上手に言えた。じゃあ兄さまに洗うところを見せなさい」

 頷いて弟は獄吏を見上げ、自ら頼んだ。

「お願……い……し…ます……」

 獄吏はハーブ水が入っているとおぼしき、底から管が伸びている水桶みずおけを、弟の手枷を掛けたフックとは別の滑車から下ろされているフックに掛けた。

「……ぁう」
  にゅる、弟の肛門アヌスに細く弾力のある管が、巧みに差し込まれた。そして管の水流を止めていた指が離されると、高低差が使われて薬液が弟のアヌスから腹へと流れ込んだ。

 ある程度薬液が流れ込んだところを見計らって、獄吏は管をつまみ止めた。

「ーーいやあ!!」
 少し間を置き、今度は腹をぐっぐっと押す、するとバシャバシャと水音がし、弟の浅く早い呼吸の音が響く。



 肛門アヌスへの洗浄は、言われた通り3度繰り返され、羞恥にまみれた最初の責め苦調教が終わった。
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