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今宵もリッチな夜でした
その27
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市街の中心から距離を隔てている所為か、辺りはひっそりとしていた。建物の外から届く音と言えば、時折通過する車の駆動音ぐらいである。
そうした何処か白けたような静寂の中、二呼吸程の間を空けた後にリウドルフは徐に頭を掻いた。
「しかし随分とまめな事だ。本当に油断も隙も無い」
他方、黒い扇で顔を扇ぎながら、司は相変わらずの柔和な面持ちを崩さない。今日の彼は紺色のスーツに身を包み、いつもと同じ学者風の丸眼鏡を掛けて夜の暗がりの中に泰然と佇んでいたのであった。
そして、司は飽くまでも朗らかに語り掛ける。
「それはもう、現役の教師ともあろう方が終業前に職場を抜け出した挙句、教え子とこんな所で逢引しようというのですから、同僚として放置しておく訳にも行かないでしょう?」
リウドルフが口をへの字に曲げた先で、しかし司は緩やかに息をつく。
「……冗談はさて置き、現在の貴方は我々の勤務先や世界保健機関を始め、諸々の国際連合機関の監視下に置かれている事をお忘れなく」
「別に忘れてなんかないよ。気にしてないだけで」
「何にせよ、独断専行はなるべく避けて下さいね。後で真っ先に文句を言われるのは、お目付け役を仰せ付かった私なのですから」
リウドルフが平然と答えると、司は少し小首を傾いで困ったように訴えたのだった。
「気に留めておくよ」
億劫そうに答えた後、リウドルフは顔を再び前へ戻した。
「それにしてもどういう状況だか……『ウォーキング・デッド』の新シーズンはこの国を舞台にする事になったのか?」
そうぼやいたリウドルフの前方では、薄暗いロビー内に大勢の生ける屍が依然蠢いていたのだった。蒼白い月明かりの僅かに差し込む玄関を背に佇む二人の男達へと向け、闇の奥より現れ出でた躯達は潮位を増すようにじわじわと接近する。
自身へ迫り来る死者の群を、二人の来訪者は取り乱す事も無く眺めていた。
「確かに酷い有様ですね。こういう相手には貴方お得意の『活力吸収』も効果が薄いでしょうし、せめて祈りの一つも捧げてみてはどうです? 確かカトリックでしょう、貴方は?」
黒い扇子を扇ぎつつ司が言葉を遣す横で、リウドルフは頭を振って見せた。
「それはきちんとした肉体があった頃の話だ。今じゃ御覧の通り、顔からして神の敵そのものだし、死後に復活するなんて冒涜的な真似までやらかしてる。正に存在そのものが信仰の敵だ。実際、身の危険を感じた事も過去に何度かあったしな」
「……成程。そういう意味では、近代に入って合理主義が幅を利かせるようになったのは、貴方にとっては僥倖だったかも知れませんね」
「いや、一概にそうとも言い切れない。使えるものは何でも使う、縋れるものには何でも縋るって奴が多過ぎる、今の世の中は」
二人が他愛の無い言葉を交わす間も、亡者達はじわじわと距離を詰めて来る。
と、その内の一体が、自分の進路上に偶々置かれていた三人掛けのソファに手を掛けると、それを両手で抱え上げた。
司が扇を動かす手をぴたりと止めた。
所々が綻びているとは言え、五十キロ近い重量の大型ソファを苦も無く持ち上げた躯の一体が、それをすかさずリウドルフ目掛けて投げ付けた。
然るに、それと時を同じくして、司はリウドルフを庇うように前に進むと、左手に握った扇子を前方へと軽く煽ったのであった。黒地に陰陽の太極図が描き込まれただけの、特に飾り気も無い扇である。
直後、司の手元から吠え猛るように風が走り、彼らの目前まで迫っていた三人掛けのソファを両断して弾き飛ばすと、更にはその後ろに並ぶ亡者達を複数切り裂いてロビーの奥まで粉塵を巻き上げて突き抜けて行ったのだった。
「何にせよ、ここは力尽くで突破しなければならないようですね。こんな手合いを表へ出す訳にも行きませんし、元が密入国者の集まりです。ここで綺麗に片付けておけば、入管も葬儀屋も誰も苦労はしないでしょう」
扇子を畳みつつ平然と言ってのけた司の後ろで、リウドルフは浮かない面持ちを浮かべた。
「あまりむごたらしい真似をして欲しくないものだな。もう救いようが無いのだとしても……」
「出来る限りの善処はしましょう。そちらは主賓らしく、相応しい歓待を受けに行って下さい。例のAとZの彼女は御一緒ではないのですか?」
司の問いにリウドルフが首肯する。
「あいつは既に別口から侵入させた。今は機を見定めている所だ」
「となれば尚の事、貴方は敵首魁の下へと急ぐべきでしょうね。生徒の身の安全も掛かっている事ですし」
「そうだな……」
司の言葉に、リウドルフは今一度頷いた。
それから、彼は右手を徐に高く掲げる。
「……じゃ、後を頼む」
「仰せ付かりました」
司の返答を受けてすぐ、リウドルフの右手首から先の皮膚が吹き飛んだ。それと一緒に、金属同士を打ち合わせたような高音域の澄んだ音が辺りに鳴り響き、更に同時に直上の天井が円形に消失したのであった。
全ては一瞬の出来事であった。
リウドルフが掲げた黒い骨格の露出した右手の先で、建物の一階の天井と二階の床が合わせて消滅し、階上へと直結する大きな穴が彼の頭上に口を広げていたのである。
その穴へと、リウドルフは痩身を飛翔させる。
「……相変わらず鮮やかな手並だ。『現世に在るべからざる力』とはよく言ったものか……」
背中越しに司が評した頃にはリウドルフの姿は上階に通じる穴の奥へと消え、薄暗いロビーには司一人と蠢く無数の亡者のみが残された。標的が姿を消しても尚、残る侵入者の方へと近付いて来る死人の群へ司は改めて顔を向け直した。
ロビーに集った躯の数は二十程であろうか。それぞれが白濁した双眸を司へと据え、干乾びた四肢を引き摺るようにして歩いて来る。
「さて、それではこちらは分相応に尻拭いと行きますか……」
そう独白した直後、丸眼鏡の奥で司は目付きを一転して鋭いものへと変えたのだった。さながら、それまでは高所を流れる風に身を任せるばかりだった猛禽が、地表を這う獲物へ不意に焦点を合わせた時のように。
「……あまり私に近付くなよ、この出来損ない共……!」
穏やかに、しかし冷然と吐き捨てるなり、司は紺色のスーツの懐から小さく光り輝く何を取り出す。
五指の間に挟まれた、それらは銀色の細い針であった。
右手に握った無数の針を、司は近付く亡者達の直上へと投げ放つ。空中に放り上げられた細い針は外から差し込む微かな明かりにきらきらと輝き、何処か儚げな煌めきすら残して標的の頭上に差し掛かった。
然るにその直後、細い無数の針は急速に体積を肥大させ、数瞬の後には無数の鉄杭と化して、下方を蠢く死人の群に流星雨の如く降り注いだのであった。
元より生前の的確な判断力など残されていない躯達が、それらを躱し切れる術など持ち合わせていよう筈も無い。司に迫ろうとしていた亡者達の悉くが大人の脚程の太さもある鉄杭にその身を貫かれ、直立の姿勢のまま床に縫い付けられたのであった。
間髪を入れず、司は数枚の札をスーツの袖口から取り出す。
「臨兵闘者、皆陣列前行!!」
凛とした声で九字が唱えられてすぐ、司の後ろに長大な影が現れ出でる。
闇の中でも際立つ黄色の体表を持ち、そして眼を持たぬ巨大な蛇が。
「食らい尽くせ、『祸黄蛇』!!」
主の号令の下、四匹からなる黄色の大蛇は鉄杭に串刺しにされて身動きの取れぬ亡者達へ巨大な顎を広げるなり、逃れる間も与えず猛然と躍り掛かったのであった。
一度死したる者が、断末魔の苦悶を今一度上げる事は無かった。
血飛沫すら殆ど上がる事も無く、躯の群は長大なる大蛇の群によって次々と食い千切られては丸吞みにされて行く。その様子はあたかも、刻々と勢いを増す波濤によって砂の城が削り落とされる場面のようでもあったが、ひたすら無情であるその有様を司は終始冷ややかに眺めていた。
「真摯に生くべきを生けず、まして粛として死すべきを死せず……これを下回る醜態は他に無い! 太極を正す者の一人としてここに最後の慈悲を与える! 骨も残さず平らげよ!」
傲然と言い放った主の眼前で、四匹の大蛇は手近の亡者へ次々と食らい付き、呑み込み、また新たに貪るを繰り返す。己の末路を嘆く事も叶わず、ロシアン・マフィアの成れの果ては遠く異郷の地で成されるがままに、魂無き躯すらも消却されて行くのだった。
月明かりの差し込む外へ、微かな呻き声を漏れ出させる事も儘ならぬ内に。
そうした何処か白けたような静寂の中、二呼吸程の間を空けた後にリウドルフは徐に頭を掻いた。
「しかし随分とまめな事だ。本当に油断も隙も無い」
他方、黒い扇で顔を扇ぎながら、司は相変わらずの柔和な面持ちを崩さない。今日の彼は紺色のスーツに身を包み、いつもと同じ学者風の丸眼鏡を掛けて夜の暗がりの中に泰然と佇んでいたのであった。
そして、司は飽くまでも朗らかに語り掛ける。
「それはもう、現役の教師ともあろう方が終業前に職場を抜け出した挙句、教え子とこんな所で逢引しようというのですから、同僚として放置しておく訳にも行かないでしょう?」
リウドルフが口をへの字に曲げた先で、しかし司は緩やかに息をつく。
「……冗談はさて置き、現在の貴方は我々の勤務先や世界保健機関を始め、諸々の国際連合機関の監視下に置かれている事をお忘れなく」
「別に忘れてなんかないよ。気にしてないだけで」
「何にせよ、独断専行はなるべく避けて下さいね。後で真っ先に文句を言われるのは、お目付け役を仰せ付かった私なのですから」
リウドルフが平然と答えると、司は少し小首を傾いで困ったように訴えたのだった。
「気に留めておくよ」
億劫そうに答えた後、リウドルフは顔を再び前へ戻した。
「それにしてもどういう状況だか……『ウォーキング・デッド』の新シーズンはこの国を舞台にする事になったのか?」
そうぼやいたリウドルフの前方では、薄暗いロビー内に大勢の生ける屍が依然蠢いていたのだった。蒼白い月明かりの僅かに差し込む玄関を背に佇む二人の男達へと向け、闇の奥より現れ出でた躯達は潮位を増すようにじわじわと接近する。
自身へ迫り来る死者の群を、二人の来訪者は取り乱す事も無く眺めていた。
「確かに酷い有様ですね。こういう相手には貴方お得意の『活力吸収』も効果が薄いでしょうし、せめて祈りの一つも捧げてみてはどうです? 確かカトリックでしょう、貴方は?」
黒い扇子を扇ぎつつ司が言葉を遣す横で、リウドルフは頭を振って見せた。
「それはきちんとした肉体があった頃の話だ。今じゃ御覧の通り、顔からして神の敵そのものだし、死後に復活するなんて冒涜的な真似までやらかしてる。正に存在そのものが信仰の敵だ。実際、身の危険を感じた事も過去に何度かあったしな」
「……成程。そういう意味では、近代に入って合理主義が幅を利かせるようになったのは、貴方にとっては僥倖だったかも知れませんね」
「いや、一概にそうとも言い切れない。使えるものは何でも使う、縋れるものには何でも縋るって奴が多過ぎる、今の世の中は」
二人が他愛の無い言葉を交わす間も、亡者達はじわじわと距離を詰めて来る。
と、その内の一体が、自分の進路上に偶々置かれていた三人掛けのソファに手を掛けると、それを両手で抱え上げた。
司が扇を動かす手をぴたりと止めた。
所々が綻びているとは言え、五十キロ近い重量の大型ソファを苦も無く持ち上げた躯の一体が、それをすかさずリウドルフ目掛けて投げ付けた。
然るに、それと時を同じくして、司はリウドルフを庇うように前に進むと、左手に握った扇子を前方へと軽く煽ったのであった。黒地に陰陽の太極図が描き込まれただけの、特に飾り気も無い扇である。
直後、司の手元から吠え猛るように風が走り、彼らの目前まで迫っていた三人掛けのソファを両断して弾き飛ばすと、更にはその後ろに並ぶ亡者達を複数切り裂いてロビーの奥まで粉塵を巻き上げて突き抜けて行ったのだった。
「何にせよ、ここは力尽くで突破しなければならないようですね。こんな手合いを表へ出す訳にも行きませんし、元が密入国者の集まりです。ここで綺麗に片付けておけば、入管も葬儀屋も誰も苦労はしないでしょう」
扇子を畳みつつ平然と言ってのけた司の後ろで、リウドルフは浮かない面持ちを浮かべた。
「あまりむごたらしい真似をして欲しくないものだな。もう救いようが無いのだとしても……」
「出来る限りの善処はしましょう。そちらは主賓らしく、相応しい歓待を受けに行って下さい。例のAとZの彼女は御一緒ではないのですか?」
司の問いにリウドルフが首肯する。
「あいつは既に別口から侵入させた。今は機を見定めている所だ」
「となれば尚の事、貴方は敵首魁の下へと急ぐべきでしょうね。生徒の身の安全も掛かっている事ですし」
「そうだな……」
司の言葉に、リウドルフは今一度頷いた。
それから、彼は右手を徐に高く掲げる。
「……じゃ、後を頼む」
「仰せ付かりました」
司の返答を受けてすぐ、リウドルフの右手首から先の皮膚が吹き飛んだ。それと一緒に、金属同士を打ち合わせたような高音域の澄んだ音が辺りに鳴り響き、更に同時に直上の天井が円形に消失したのであった。
全ては一瞬の出来事であった。
リウドルフが掲げた黒い骨格の露出した右手の先で、建物の一階の天井と二階の床が合わせて消滅し、階上へと直結する大きな穴が彼の頭上に口を広げていたのである。
その穴へと、リウドルフは痩身を飛翔させる。
「……相変わらず鮮やかな手並だ。『現世に在るべからざる力』とはよく言ったものか……」
背中越しに司が評した頃にはリウドルフの姿は上階に通じる穴の奥へと消え、薄暗いロビーには司一人と蠢く無数の亡者のみが残された。標的が姿を消しても尚、残る侵入者の方へと近付いて来る死人の群へ司は改めて顔を向け直した。
ロビーに集った躯の数は二十程であろうか。それぞれが白濁した双眸を司へと据え、干乾びた四肢を引き摺るようにして歩いて来る。
「さて、それではこちらは分相応に尻拭いと行きますか……」
そう独白した直後、丸眼鏡の奥で司は目付きを一転して鋭いものへと変えたのだった。さながら、それまでは高所を流れる風に身を任せるばかりだった猛禽が、地表を這う獲物へ不意に焦点を合わせた時のように。
「……あまり私に近付くなよ、この出来損ない共……!」
穏やかに、しかし冷然と吐き捨てるなり、司は紺色のスーツの懐から小さく光り輝く何を取り出す。
五指の間に挟まれた、それらは銀色の細い針であった。
右手に握った無数の針を、司は近付く亡者達の直上へと投げ放つ。空中に放り上げられた細い針は外から差し込む微かな明かりにきらきらと輝き、何処か儚げな煌めきすら残して標的の頭上に差し掛かった。
然るにその直後、細い無数の針は急速に体積を肥大させ、数瞬の後には無数の鉄杭と化して、下方を蠢く死人の群に流星雨の如く降り注いだのであった。
元より生前の的確な判断力など残されていない躯達が、それらを躱し切れる術など持ち合わせていよう筈も無い。司に迫ろうとしていた亡者達の悉くが大人の脚程の太さもある鉄杭にその身を貫かれ、直立の姿勢のまま床に縫い付けられたのであった。
間髪を入れず、司は数枚の札をスーツの袖口から取り出す。
「臨兵闘者、皆陣列前行!!」
凛とした声で九字が唱えられてすぐ、司の後ろに長大な影が現れ出でる。
闇の中でも際立つ黄色の体表を持ち、そして眼を持たぬ巨大な蛇が。
「食らい尽くせ、『祸黄蛇』!!」
主の号令の下、四匹からなる黄色の大蛇は鉄杭に串刺しにされて身動きの取れぬ亡者達へ巨大な顎を広げるなり、逃れる間も与えず猛然と躍り掛かったのであった。
一度死したる者が、断末魔の苦悶を今一度上げる事は無かった。
血飛沫すら殆ど上がる事も無く、躯の群は長大なる大蛇の群によって次々と食い千切られては丸吞みにされて行く。その様子はあたかも、刻々と勢いを増す波濤によって砂の城が削り落とされる場面のようでもあったが、ひたすら無情であるその有様を司は終始冷ややかに眺めていた。
「真摯に生くべきを生けず、まして粛として死すべきを死せず……これを下回る醜態は他に無い! 太極を正す者の一人としてここに最後の慈悲を与える! 骨も残さず平らげよ!」
傲然と言い放った主の眼前で、四匹の大蛇は手近の亡者へ次々と食らい付き、呑み込み、また新たに貪るを繰り返す。己の末路を嘆く事も叶わず、ロシアン・マフィアの成れの果ては遠く異郷の地で成されるがままに、魂無き躯すらも消却されて行くのだった。
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