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番外編~フィオ・ソリチュード~
目覚める者、裏切り者
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キューンに貰った地図にはいくつも迂回路が記されているおかげでどうにか敵に発見されずに下ってるけど……見張りや巡回が増えてきた。
それも土人形より魔物が多い、見つかれば即全てが台無しになる。
「さっきから気になってたんだけど、ゴルトの長結構あっさりと納得したよな」
「隷属する限りは殺さないという約束は反故にされている。損失はあれど、自分達は助かる、未知の技術や異世界への流通等の利を認めたのでしょう。加工技術を渡すといっても特殊加工はドワーフだけのものですし、そういった加工の仕事の需要にも繋がりますから――ここはこちらの道を行きましょう」
迷っていたソレイユだけど西野の説得もあって確かめる覚悟を決めて地図を握って私たちを先導している。
「ソレイユちゃんどこの鉱山でもすいすい進んでたけど、もしかして道全部覚えてるの?」
「作られて時間が経過しているものは大体、ですが新たに掘り進められた場所などは分からないので地図は必須です。隠れながら進まないといけない今は特に」
薄々は思ってたけど……十ある山の鉱山の坑道のほとんどを……ドワーフなりの目印とかもあるんだろうけど、凄い。
ドワーフに会わせた広さの坑道だから大柄のオークには窮屈みたいでオークはあまり移動せず巡回はゴブリンとベートと呼ばれてる魔獣が基本になってる。
魔獣は狼を大型にしたみたいな感じ、だから鼻も利くようでさっきからしつこく向かう方向へ先回りして徘徊してる。
「あいつら邪魔だな。このまま増え続けると接敵もあり得るか?」
「やはり引き返すべきなのでは……私の個人的な目的より同胞を救う事を優先しなくては…………」
辛い現実を見るかもしれない、その不安が再発したようでソレイユは弱気を口にした。
「もう大分下りたし、今更確認もせずに戻るの? ソレイユちゃんはそれでいいの? 魔物の回避はフィオちゃんたちの指示に従ってればなんとかなるはずだよ」
今のところはなんとかなってるけど、それはいくつもの道があればこそ、流石に全ての道を塞がれたら私やアリスでもどうしようもない。
最悪騒がれる前に細切れにするしか――。
「はぁ~……仕方ないわね。ソレイユ、地図見せて…………ふんふん、よし! 覚えたわ。それじゃフィオ、あとは任せるから」
「ん」
たしかに選択するならそっちの方が安全。
「ちょっと待てアリス、どうする気だ?」
「ワタルは止まる気ないでしょ? そういうワタルの事、す、好きだし、私はそんなワタルに助けられたから、だからお手伝い。私が魔物を誘き寄せるわ、土人形だけならどうにかなるでしょ?」
「誘き寄せるって……見つかったら駄目なんだぞ」
ワタルにそう言われてアリスは自信たっぷりに頷いた。
足手まといを引き連れてない単独ならアリスは十分こなせる、問題ない。
「勿論よ。気配と音と匂いだけでどうにかするわ、私だって凄いのよ? 任せてくれたっていいでしょ」
ワタルが渋ってるせいでアリスは不機嫌そうに頬を膨らませてワタルの服の裾を掴んだ。
どうしたものかと私に視線を向けてきたけどアリスに無理矢理自分の方を向かされた。
「信じてくれないの?」
「……本当に大丈夫なのか?」
心配性、まぁアリスを大切に思うからなんだろうけど。
「当然」
「分かった。任せる、外で合流しよう」
「お姫、見つかったら今やってる準備が全部無駄になる。絶対にへまするなよ」
「誰に言ってるの? そんな事承知してる。豚も蛇も獣も全部釣り上げてやるわ」
遠藤の言葉に苛立ちつつも大鎌を軽く回転させて一切の音を消して走り去った。
それからしばらくするとベートが吠えながら大移動を始めた。
遠吠えは一定の間隔で続いているけどオーク達はベートに苛立つばかりで侵入者を見つけた風じゃない。
脱走者でも居るのかと探し回りドワーフの確認もしてるみたいだけど脱走者なんて今はいるはずもない。
だからベートの騒ぎ様を理解出来ずに八つ当たりで殴り殺しているオークも居た。
こうなればベートとの連携はますます崩れていく、流石アリス。
あとは私たちが最下層に下りてソレイユの妹を探すだけ――。
「これで全部、ですか?」
「他は採掘中ですから拘束されているリュンヌが居るとは考えにくいです……やはりあの娘はもう…………」
おかしい……腐食して死んだなら死体からは相当の腐臭が漂ってて当然、それなのにこの一帯では腐臭を感じない。
なら、移送した?
あとはもう死ぬだけの相手をわざわざ? あり得ない。
それにかなり騒いでたみたいだから上層を通過したら流石にキューン達も気付くはず。
ならまだ私たちが到達してない場所がありそうだけど、地図を確認してみても表記されてる以上の通路は無い。
「……航君、航君」
「へ? あぁ、何ですか?」
「アリスさんの陽動もそろそろ限界でしょうしこれ以上は難しいです。残念ですけど魔物が戻り始める前に脱出しましょう」
惧瀞の判断は正しい、脱出するなら魔物たちが混乱している状態の方が好ましい――けど……ソレイユは押し潰されそうな悲しみに耐えて妹を探してる。
このままこれで終わっていいの?
「っ!?」
ワタルが岩に寄り掛かった瞬間沈み込んで落ちて行った。
そしてその空間からは腐臭が漏れ出した。
「航君大丈夫ですかー?」
「平気です。そんな事より、居た! ソレイユさんの妹居た!」
やっぱり――ワタルの言葉を聞き終えるよりも早くソレイユは穴に飛び込んだ。
それに続いて惧瀞たちが下りるのを確認して私も下りた。
そして腐臭が漏れ出すのを防ぐ為に蓋をしていた岩を押し上げた。
「リュンヌ! あぁなんて事……身体が…………」
駆け寄ったソレイユは腐食し身体が崩れ始めている妹の前に膝を突いた。
あれは……たぶん助からない、肉が腐り半身が崩れ落ちている。
「姉さんまで……これは夢? まだ頭の方は大丈夫だと思ってたんだけど、これは腐食が相当進んでるのね」
「夢なわけないでしょ、私は、あなたを助けに――」
「触るなっ!」
『っ!?』
自身へ伸ばされた手を止める為にリュンヌが発した叫びによってソレイユの体が強張った。
「触っちゃ駄目、これが夢でもそうでなくても、あたしに触っちゃ駄目。この腐食は特殊で他より侵食が遅い分触れた相手にも伝染する。あたしの声に苛立った魔物があたしを殴って腐って死んだ。だからあたしに触っちゃ駄目なの姉さん、夢だろうとなんだろうと姉さんが死ぬところなんて見たくない」
「そんな……私は何もしてあげられないの? ごめんなさい、ごめんなさいリュンヌ、私がもっと早く、一人でも戦う決断をしていたら」
「あはは、なんで姉さんが謝ってるの、あたしは自分で抗う事を選んだの。だから姉さんが謝る必要なんてない」
「リュンヌ……タカシさん、タカシさんの仲間に妹を助けられる方はいらっしゃいませんか!?」
「それは…………」
能力の詳細も分からない、治癒能力者が触れれば治せるかもしれないけど逆に貴重な回復手段を失うかもしれない。
たった一人の為にそんな事を試せるはずもない。
縋られた西野は苦悶の表情で押し黙った。
あれだけ励ましていた西野だから助けられるものなら助けたいはず、でもその手段が無い、どうする事も出来ない悔しさが表情に滲み出ている。
「姉さん、いいよ」
「よくない! このままだとあなた死ぬのよ!? それなのに――」
「そんな事より、これが夢じゃないなら話を聞かせて、その人間たちは? 大人しく従う事を選んだ姉さんがなんでここに居るの?」
死を前にしているのにリュンヌは落ち着いていて外の状況に興味を示した。
そんな妹にソレイユは涙を堪えながらドワーフという種が助かるかもしれない現状を語った。
「へ~、異世界の人間の軍隊に技術、それに能力、面白そうな事になってるじゃん。ははは、それなら姉さんの言う通り大人しくしてればよかったなぁ。ま、あの下衆なズィアヴァロを倒してくれるやつらが居るなら少しは安心かな。みんな、姉さん達の事頼むね」
窶れた顔で、腐食の苦しみに耐えながらも彼女は明るく笑った。
ワタル達はそれに対して戸惑うばかりで言葉を返せずにいた。
ワタルが、無力に喘いでいる。
でもこれはどうする事も出来ない、リュンヌは死ぬ、それは変えられない現実。
ワタルですらこれ、探し求めていた最愛の妹の死の確定にソレイユは俯いている。
「皆さん……あとをお願いしていいでしょうか」
「ソレイユちゃん?」
「私は死にゆく妹を一人には出来ない!」
っ!? そう叫んだソレイユは妹に向かって走り出した。
一緒に死ぬつもり?
「ソレイユちゃん駄目だ!」
「姉さんを止めて!」
止めようと立ち塞がった西野を弾き飛ばして彼女はリュンヌへと触れた。
「ずっと一緒だった私の半身、一人では逝かせないから」
「姉さんの馬鹿、あたしは姉さんが生きられる場所を守りたかったのに、なんでこんな事するの…………」
リュンヌの緩やかな腐食とは違いソレイユを侵す力は瞬く間に広がり侵食して体を崩れさせていく。
「そんな……ソレイユちゃん!」
「なにやってんだ西野! お前も死ぬ気か!?」
それを見て駆け出した西野を遠藤が抑え込んだ。
「でも、だってソレイユちゃんが、そんな……こんな事って……俺はこんな結果の為に彼女を連れてきたんじゃ…………」
「タカシさん、皆さん、私の我が儘ですいません。ですがどうか許してください、私はどうしてもリュンヌを一人には出来ない。一度離れて散々後悔したんです、だから」
覚悟の上の行動、私たちには止める権利はなかった。
喋っている間にも腐食は彼女を蝕み既に半身は崩れ話す事すらままならない。
「遠藤放せ!」
「あっ、馬鹿――」
「嫌だ、こんな結末を望んだんじゃないんだ!」
遠藤を振り払い慌てて止めに入った私とワタルを銃で威嚇して西野はソレイユに触れた。
西野は死ぬ――そう思った瞬間眩い光を放ちそれはこの空間を飲み込んだ。
目を開けていられない程の光量に全員が身動きを取れない。
そうして光が徐々に弱まり始めて、落ち着きを取り戻すと信じられない光景が目に入った。
体が元に戻ったソレイユを西野が抱えてる。
もしかして、覚醒者に、なった?
こんな事ってあるの? どんな能力が目覚めるかなんて誰にも分からない、だからこそアドラは執拗に異界者を集めたがったんだし……なのに西野は今必要な――自分が欲しい能力を引き当てた。
「おい西野、お前なにやった?」
「俺にもさっぱり……感情が爆発してその後はよく分かんないけどソレイユちゃんを助けたい一心だった」
意識は失ってるけどソレイユの体は完璧に元に戻っている。
西野の強い意思が必要な能力の獲得に繋がった?
「これならっ、リュンヌちゃんもすぐに治してあげるから!」
「待っ――」
目覚めたばかりでちゃんと扱えるかも分からないのに西野は躊躇う事なくリュンヌに手を伸ばした。
さっきみたいな発光現象はなかったけど腐り落ちていたリュンヌの半身が完全に再生した。
それと同時に西野は意識を失って倒れ伏した。
リュンヌの方も意識失ったみたい、再生される側と能力を行使する西野にもかなりの負荷がかかるのかもしれない。
失った体の再生の代償としては安いものだと思う、見た感じ西野の体にも異常は見られないし、目覚めたばかりでの連続行使も影響してるのかもしれない。
「無茶しやがって……如月鎖切れ、用は済んだんだ。とっとと脱出すんぞ」
「切れって言っても……これアダマンタイトだぞ、切れるかよ」
ワタルがリュンヌを繋ぐ鎖に剣を振り抜いたけど傷すら入らなかった。
なら取れる手段は限られる。
一つはリュンヌの手を切り落として後で西野に再生させる方法、これはワタルが絶対に反対するけど。
もう一つは――。
「何とかしろよ――お嬢何してるんだ?」
「掘る」
タナトスを抜いて鎖を繋ぐ杭の根元に突き立てる。
鍵を探すなんて現実的じゃない、そんな時間も無い。
腕を切り落とすのもダメ、なら――鎖ごと解き放つしかない。
「つ、疲れた…………」
ドワーフの怪力を考慮してか杭の長さはかなりのものだった。
アダマンタイトの鉱石を含んでるのもあって掘り進めるのにかなりの時間を食われた。
「相当時間食ったな、お姫が心配してるんじゃないか?」
たしかに、もうかなりの時間が経過した。
何かしらの問題が起きたと判断して戻って来る可能性もある、早く脱出しないと。
遠藤が西野を、ワタルがリュンヌ、惧瀞がソレイユをそれぞれ背負って閉じられていた空間から脱出した。
陽動から時間が経っているから当然魔獣や魔物が戻って来ている。
それを避ける為に私が先導する。
何度も遠回りをしてようやく地上に出ると朝日が昇り始めていた。
「遅い! 一体なにやって――見つけたのね……なら、許してあげる。でもすっごい心配したんだからね」
「わかったわかった。心配かけて悪かったって、とりあえずここを離れよう。三人が起きるまで待たねぇとな」
頬を膨らませるアリスをワタルが宥めて身を隠せる場所へ移動した。
その直後に連絡があってゼクトまでの脱出準備が完了したって事だった。
「このままだと追い付かれちまうな。こいつら背負ったまま進むか?」
遠藤がそう提案するけど……三人も背負ったまま案内も無く強行登山は異界者には厳しい気がする。
時間を無駄にするけどせめてソレイユが目覚めるのを待つべき。
「坑道内は地図があったからどうにかなりましたけど、案内も無くこの山を進むのは危険じゃないですか?」
「それはそうなんだけど――」
「私が案内……します」
寝かせていたソレイユが弱々しく目を開き呟いた。
やっぱり再生には相当の負担がかかるみたいでソレイユは体を起こす事すらままならない。
案内があれば一応動けるけど……三人も背負っての移動は足手まとい以外のなにものでもない。
「そんな状態で大丈夫かよ?」
「移動はお任せする事になりますが案内くらいは出来ます」
「悠長にしてられねぇしな……病み上がりで悪いが頼まぁ」
残りの二人が目覚めるのを待たず私たちは前に進む事を決めた。
何かあれば私とアリスで即殲滅する。
そうしてズィプトを越えてアハトの坑道入り口に辿り着いた。
驚いた事に坑道入り口の見張りをしていたのはシュタール氏族のドワーフだった。
何か、嫌な予感がする。
いくら人質を取って従順に従わせる事が出来るとしてもわざわざ戦士に武器を持たせて見張りをさせるのは異常、戦力なんて土人形でいくらでも補充出来るのに。
ワタル達も違和感を覚えたみたいだけど周囲に魔物の気配が無いと伝えるとシュタール氏族に接触する事を決めた。
「あの――」
「ソレイユ、様? 何故こんな所に……? それにその者たちはいったい?」
「メサジェ、私たちはズィアヴァロに抗う事を決めました、この方たちは心強い味方です。シュテルケ様に詳しくお話ししたいのですが今どちらに居られるか知っていますか?」
「シュテルケ様なら今ここアハトに駐留しておられます」
「なら話がはぇな――」
遠藤が坑道内に入ろうとするとシュタール氏族のドワーフが立ち塞がった。
「お待ちを、私がお呼びしてくるのでここでお待ちを」
しばらくすると坑道からドワーフにしては特に大柄の屈強な体格をしたドワーフが武装した戦士を引き連れて現れた。
「ソレイユ様、久しいですな。しかしまた大胆な事をなさる、妹君に似てきたのではないですかな? 我らがどれだけの同胞を失い苦汁を嘗めさせられたかお忘れか!?」
シュタールの長は開口するとすぐに怒鳴りつけてきた。
「忘れていません、ですが最早従い続けたところで無駄なのです。弱い者は奴らの憂さ晴らしの為に殺されています。この先武器の供給に魔物が満足したらどうなります? このままではいずれ多くの者が殺されます。私たちはもう一度戦わねばならないのです」
弱々しい声で、それでも力強く答える。
「そのようなもの微々たるものだ。隷属していれば根絶やしにされる事はない。我らがどれだけの思いで奴に膝を屈したか、どれだけの屈辱に耐え今の立場を築いたか……囚われのうのうとしていた貴様や考えなく抗う事しかしなかった馬鹿娘には分からぬ! 我らは既に道を決めた。ズィアヴァロの部下になるという道を!」
『っ!?』
「もう二度と仲間達にあのような無様な死に方はさせぬ、同胞を死に導くこの一団を捕らえろ! ズィアヴァロに差し出し我らの覚悟を見せるのだ!」
やっぱりこうなった。
武装した仲間を連れてきた時点でもう無駄だとは思ってたけどこんなに早く行動に移すなんて――話の間に私たちを取り囲んでいたドワーフ達が一斉に襲いかかってきた。
ワタル達も異常には気付いていたからその後の対応に戸惑う事なく逃走を選んだ。
荷物を抱えているワタル達を先に逃がしてアリスが殿を努める。
いくら戦士が多い氏族といってもアリスに敵う者は居ない、振り回す大鎌の峰や柄で転がされて足止めされている。
そうしてズィプトまで戻ると連絡を取って準備が完了している場所から随時脱出するように伝えた。
もう私たちの存在を知られてしまった。
そうなれば敵が大挙して押し寄せてくる……また面倒な事になった。
それも土人形より魔物が多い、見つかれば即全てが台無しになる。
「さっきから気になってたんだけど、ゴルトの長結構あっさりと納得したよな」
「隷属する限りは殺さないという約束は反故にされている。損失はあれど、自分達は助かる、未知の技術や異世界への流通等の利を認めたのでしょう。加工技術を渡すといっても特殊加工はドワーフだけのものですし、そういった加工の仕事の需要にも繋がりますから――ここはこちらの道を行きましょう」
迷っていたソレイユだけど西野の説得もあって確かめる覚悟を決めて地図を握って私たちを先導している。
「ソレイユちゃんどこの鉱山でもすいすい進んでたけど、もしかして道全部覚えてるの?」
「作られて時間が経過しているものは大体、ですが新たに掘り進められた場所などは分からないので地図は必須です。隠れながら進まないといけない今は特に」
薄々は思ってたけど……十ある山の鉱山の坑道のほとんどを……ドワーフなりの目印とかもあるんだろうけど、凄い。
ドワーフに会わせた広さの坑道だから大柄のオークには窮屈みたいでオークはあまり移動せず巡回はゴブリンとベートと呼ばれてる魔獣が基本になってる。
魔獣は狼を大型にしたみたいな感じ、だから鼻も利くようでさっきからしつこく向かう方向へ先回りして徘徊してる。
「あいつら邪魔だな。このまま増え続けると接敵もあり得るか?」
「やはり引き返すべきなのでは……私の個人的な目的より同胞を救う事を優先しなくては…………」
辛い現実を見るかもしれない、その不安が再発したようでソレイユは弱気を口にした。
「もう大分下りたし、今更確認もせずに戻るの? ソレイユちゃんはそれでいいの? 魔物の回避はフィオちゃんたちの指示に従ってればなんとかなるはずだよ」
今のところはなんとかなってるけど、それはいくつもの道があればこそ、流石に全ての道を塞がれたら私やアリスでもどうしようもない。
最悪騒がれる前に細切れにするしか――。
「はぁ~……仕方ないわね。ソレイユ、地図見せて…………ふんふん、よし! 覚えたわ。それじゃフィオ、あとは任せるから」
「ん」
たしかに選択するならそっちの方が安全。
「ちょっと待てアリス、どうする気だ?」
「ワタルは止まる気ないでしょ? そういうワタルの事、す、好きだし、私はそんなワタルに助けられたから、だからお手伝い。私が魔物を誘き寄せるわ、土人形だけならどうにかなるでしょ?」
「誘き寄せるって……見つかったら駄目なんだぞ」
ワタルにそう言われてアリスは自信たっぷりに頷いた。
足手まといを引き連れてない単独ならアリスは十分こなせる、問題ない。
「勿論よ。気配と音と匂いだけでどうにかするわ、私だって凄いのよ? 任せてくれたっていいでしょ」
ワタルが渋ってるせいでアリスは不機嫌そうに頬を膨らませてワタルの服の裾を掴んだ。
どうしたものかと私に視線を向けてきたけどアリスに無理矢理自分の方を向かされた。
「信じてくれないの?」
「……本当に大丈夫なのか?」
心配性、まぁアリスを大切に思うからなんだろうけど。
「当然」
「分かった。任せる、外で合流しよう」
「お姫、見つかったら今やってる準備が全部無駄になる。絶対にへまするなよ」
「誰に言ってるの? そんな事承知してる。豚も蛇も獣も全部釣り上げてやるわ」
遠藤の言葉に苛立ちつつも大鎌を軽く回転させて一切の音を消して走り去った。
それからしばらくするとベートが吠えながら大移動を始めた。
遠吠えは一定の間隔で続いているけどオーク達はベートに苛立つばかりで侵入者を見つけた風じゃない。
脱走者でも居るのかと探し回りドワーフの確認もしてるみたいだけど脱走者なんて今はいるはずもない。
だからベートの騒ぎ様を理解出来ずに八つ当たりで殴り殺しているオークも居た。
こうなればベートとの連携はますます崩れていく、流石アリス。
あとは私たちが最下層に下りてソレイユの妹を探すだけ――。
「これで全部、ですか?」
「他は採掘中ですから拘束されているリュンヌが居るとは考えにくいです……やはりあの娘はもう…………」
おかしい……腐食して死んだなら死体からは相当の腐臭が漂ってて当然、それなのにこの一帯では腐臭を感じない。
なら、移送した?
あとはもう死ぬだけの相手をわざわざ? あり得ない。
それにかなり騒いでたみたいだから上層を通過したら流石にキューン達も気付くはず。
ならまだ私たちが到達してない場所がありそうだけど、地図を確認してみても表記されてる以上の通路は無い。
「……航君、航君」
「へ? あぁ、何ですか?」
「アリスさんの陽動もそろそろ限界でしょうしこれ以上は難しいです。残念ですけど魔物が戻り始める前に脱出しましょう」
惧瀞の判断は正しい、脱出するなら魔物たちが混乱している状態の方が好ましい――けど……ソレイユは押し潰されそうな悲しみに耐えて妹を探してる。
このままこれで終わっていいの?
「っ!?」
ワタルが岩に寄り掛かった瞬間沈み込んで落ちて行った。
そしてその空間からは腐臭が漏れ出した。
「航君大丈夫ですかー?」
「平気です。そんな事より、居た! ソレイユさんの妹居た!」
やっぱり――ワタルの言葉を聞き終えるよりも早くソレイユは穴に飛び込んだ。
それに続いて惧瀞たちが下りるのを確認して私も下りた。
そして腐臭が漏れ出すのを防ぐ為に蓋をしていた岩を押し上げた。
「リュンヌ! あぁなんて事……身体が…………」
駆け寄ったソレイユは腐食し身体が崩れ始めている妹の前に膝を突いた。
あれは……たぶん助からない、肉が腐り半身が崩れ落ちている。
「姉さんまで……これは夢? まだ頭の方は大丈夫だと思ってたんだけど、これは腐食が相当進んでるのね」
「夢なわけないでしょ、私は、あなたを助けに――」
「触るなっ!」
『っ!?』
自身へ伸ばされた手を止める為にリュンヌが発した叫びによってソレイユの体が強張った。
「触っちゃ駄目、これが夢でもそうでなくても、あたしに触っちゃ駄目。この腐食は特殊で他より侵食が遅い分触れた相手にも伝染する。あたしの声に苛立った魔物があたしを殴って腐って死んだ。だからあたしに触っちゃ駄目なの姉さん、夢だろうとなんだろうと姉さんが死ぬところなんて見たくない」
「そんな……私は何もしてあげられないの? ごめんなさい、ごめんなさいリュンヌ、私がもっと早く、一人でも戦う決断をしていたら」
「あはは、なんで姉さんが謝ってるの、あたしは自分で抗う事を選んだの。だから姉さんが謝る必要なんてない」
「リュンヌ……タカシさん、タカシさんの仲間に妹を助けられる方はいらっしゃいませんか!?」
「それは…………」
能力の詳細も分からない、治癒能力者が触れれば治せるかもしれないけど逆に貴重な回復手段を失うかもしれない。
たった一人の為にそんな事を試せるはずもない。
縋られた西野は苦悶の表情で押し黙った。
あれだけ励ましていた西野だから助けられるものなら助けたいはず、でもその手段が無い、どうする事も出来ない悔しさが表情に滲み出ている。
「姉さん、いいよ」
「よくない! このままだとあなた死ぬのよ!? それなのに――」
「そんな事より、これが夢じゃないなら話を聞かせて、その人間たちは? 大人しく従う事を選んだ姉さんがなんでここに居るの?」
死を前にしているのにリュンヌは落ち着いていて外の状況に興味を示した。
そんな妹にソレイユは涙を堪えながらドワーフという種が助かるかもしれない現状を語った。
「へ~、異世界の人間の軍隊に技術、それに能力、面白そうな事になってるじゃん。ははは、それなら姉さんの言う通り大人しくしてればよかったなぁ。ま、あの下衆なズィアヴァロを倒してくれるやつらが居るなら少しは安心かな。みんな、姉さん達の事頼むね」
窶れた顔で、腐食の苦しみに耐えながらも彼女は明るく笑った。
ワタル達はそれに対して戸惑うばかりで言葉を返せずにいた。
ワタルが、無力に喘いでいる。
でもこれはどうする事も出来ない、リュンヌは死ぬ、それは変えられない現実。
ワタルですらこれ、探し求めていた最愛の妹の死の確定にソレイユは俯いている。
「皆さん……あとをお願いしていいでしょうか」
「ソレイユちゃん?」
「私は死にゆく妹を一人には出来ない!」
っ!? そう叫んだソレイユは妹に向かって走り出した。
一緒に死ぬつもり?
「ソレイユちゃん駄目だ!」
「姉さんを止めて!」
止めようと立ち塞がった西野を弾き飛ばして彼女はリュンヌへと触れた。
「ずっと一緒だった私の半身、一人では逝かせないから」
「姉さんの馬鹿、あたしは姉さんが生きられる場所を守りたかったのに、なんでこんな事するの…………」
リュンヌの緩やかな腐食とは違いソレイユを侵す力は瞬く間に広がり侵食して体を崩れさせていく。
「そんな……ソレイユちゃん!」
「なにやってんだ西野! お前も死ぬ気か!?」
それを見て駆け出した西野を遠藤が抑え込んだ。
「でも、だってソレイユちゃんが、そんな……こんな事って……俺はこんな結果の為に彼女を連れてきたんじゃ…………」
「タカシさん、皆さん、私の我が儘ですいません。ですがどうか許してください、私はどうしてもリュンヌを一人には出来ない。一度離れて散々後悔したんです、だから」
覚悟の上の行動、私たちには止める権利はなかった。
喋っている間にも腐食は彼女を蝕み既に半身は崩れ話す事すらままならない。
「遠藤放せ!」
「あっ、馬鹿――」
「嫌だ、こんな結末を望んだんじゃないんだ!」
遠藤を振り払い慌てて止めに入った私とワタルを銃で威嚇して西野はソレイユに触れた。
西野は死ぬ――そう思った瞬間眩い光を放ちそれはこの空間を飲み込んだ。
目を開けていられない程の光量に全員が身動きを取れない。
そうして光が徐々に弱まり始めて、落ち着きを取り戻すと信じられない光景が目に入った。
体が元に戻ったソレイユを西野が抱えてる。
もしかして、覚醒者に、なった?
こんな事ってあるの? どんな能力が目覚めるかなんて誰にも分からない、だからこそアドラは執拗に異界者を集めたがったんだし……なのに西野は今必要な――自分が欲しい能力を引き当てた。
「おい西野、お前なにやった?」
「俺にもさっぱり……感情が爆発してその後はよく分かんないけどソレイユちゃんを助けたい一心だった」
意識は失ってるけどソレイユの体は完璧に元に戻っている。
西野の強い意思が必要な能力の獲得に繋がった?
「これならっ、リュンヌちゃんもすぐに治してあげるから!」
「待っ――」
目覚めたばかりでちゃんと扱えるかも分からないのに西野は躊躇う事なくリュンヌに手を伸ばした。
さっきみたいな発光現象はなかったけど腐り落ちていたリュンヌの半身が完全に再生した。
それと同時に西野は意識を失って倒れ伏した。
リュンヌの方も意識失ったみたい、再生される側と能力を行使する西野にもかなりの負荷がかかるのかもしれない。
失った体の再生の代償としては安いものだと思う、見た感じ西野の体にも異常は見られないし、目覚めたばかりでの連続行使も影響してるのかもしれない。
「無茶しやがって……如月鎖切れ、用は済んだんだ。とっとと脱出すんぞ」
「切れって言っても……これアダマンタイトだぞ、切れるかよ」
ワタルがリュンヌを繋ぐ鎖に剣を振り抜いたけど傷すら入らなかった。
なら取れる手段は限られる。
一つはリュンヌの手を切り落として後で西野に再生させる方法、これはワタルが絶対に反対するけど。
もう一つは――。
「何とかしろよ――お嬢何してるんだ?」
「掘る」
タナトスを抜いて鎖を繋ぐ杭の根元に突き立てる。
鍵を探すなんて現実的じゃない、そんな時間も無い。
腕を切り落とすのもダメ、なら――鎖ごと解き放つしかない。
「つ、疲れた…………」
ドワーフの怪力を考慮してか杭の長さはかなりのものだった。
アダマンタイトの鉱石を含んでるのもあって掘り進めるのにかなりの時間を食われた。
「相当時間食ったな、お姫が心配してるんじゃないか?」
たしかに、もうかなりの時間が経過した。
何かしらの問題が起きたと判断して戻って来る可能性もある、早く脱出しないと。
遠藤が西野を、ワタルがリュンヌ、惧瀞がソレイユをそれぞれ背負って閉じられていた空間から脱出した。
陽動から時間が経っているから当然魔獣や魔物が戻って来ている。
それを避ける為に私が先導する。
何度も遠回りをしてようやく地上に出ると朝日が昇り始めていた。
「遅い! 一体なにやって――見つけたのね……なら、許してあげる。でもすっごい心配したんだからね」
「わかったわかった。心配かけて悪かったって、とりあえずここを離れよう。三人が起きるまで待たねぇとな」
頬を膨らませるアリスをワタルが宥めて身を隠せる場所へ移動した。
その直後に連絡があってゼクトまでの脱出準備が完了したって事だった。
「このままだと追い付かれちまうな。こいつら背負ったまま進むか?」
遠藤がそう提案するけど……三人も背負ったまま案内も無く強行登山は異界者には厳しい気がする。
時間を無駄にするけどせめてソレイユが目覚めるのを待つべき。
「坑道内は地図があったからどうにかなりましたけど、案内も無くこの山を進むのは危険じゃないですか?」
「それはそうなんだけど――」
「私が案内……します」
寝かせていたソレイユが弱々しく目を開き呟いた。
やっぱり再生には相当の負担がかかるみたいでソレイユは体を起こす事すらままならない。
案内があれば一応動けるけど……三人も背負っての移動は足手まとい以外のなにものでもない。
「そんな状態で大丈夫かよ?」
「移動はお任せする事になりますが案内くらいは出来ます」
「悠長にしてられねぇしな……病み上がりで悪いが頼まぁ」
残りの二人が目覚めるのを待たず私たちは前に進む事を決めた。
何かあれば私とアリスで即殲滅する。
そうしてズィプトを越えてアハトの坑道入り口に辿り着いた。
驚いた事に坑道入り口の見張りをしていたのはシュタール氏族のドワーフだった。
何か、嫌な予感がする。
いくら人質を取って従順に従わせる事が出来るとしてもわざわざ戦士に武器を持たせて見張りをさせるのは異常、戦力なんて土人形でいくらでも補充出来るのに。
ワタル達も違和感を覚えたみたいだけど周囲に魔物の気配が無いと伝えるとシュタール氏族に接触する事を決めた。
「あの――」
「ソレイユ、様? 何故こんな所に……? それにその者たちはいったい?」
「メサジェ、私たちはズィアヴァロに抗う事を決めました、この方たちは心強い味方です。シュテルケ様に詳しくお話ししたいのですが今どちらに居られるか知っていますか?」
「シュテルケ様なら今ここアハトに駐留しておられます」
「なら話がはぇな――」
遠藤が坑道内に入ろうとするとシュタール氏族のドワーフが立ち塞がった。
「お待ちを、私がお呼びしてくるのでここでお待ちを」
しばらくすると坑道からドワーフにしては特に大柄の屈強な体格をしたドワーフが武装した戦士を引き連れて現れた。
「ソレイユ様、久しいですな。しかしまた大胆な事をなさる、妹君に似てきたのではないですかな? 我らがどれだけの同胞を失い苦汁を嘗めさせられたかお忘れか!?」
シュタールの長は開口するとすぐに怒鳴りつけてきた。
「忘れていません、ですが最早従い続けたところで無駄なのです。弱い者は奴らの憂さ晴らしの為に殺されています。この先武器の供給に魔物が満足したらどうなります? このままではいずれ多くの者が殺されます。私たちはもう一度戦わねばならないのです」
弱々しい声で、それでも力強く答える。
「そのようなもの微々たるものだ。隷属していれば根絶やしにされる事はない。我らがどれだけの思いで奴に膝を屈したか、どれだけの屈辱に耐え今の立場を築いたか……囚われのうのうとしていた貴様や考えなく抗う事しかしなかった馬鹿娘には分からぬ! 我らは既に道を決めた。ズィアヴァロの部下になるという道を!」
『っ!?』
「もう二度と仲間達にあのような無様な死に方はさせぬ、同胞を死に導くこの一団を捕らえろ! ズィアヴァロに差し出し我らの覚悟を見せるのだ!」
やっぱりこうなった。
武装した仲間を連れてきた時点でもう無駄だとは思ってたけどこんなに早く行動に移すなんて――話の間に私たちを取り囲んでいたドワーフ達が一斉に襲いかかってきた。
ワタル達も異常には気付いていたからその後の対応に戸惑う事なく逃走を選んだ。
荷物を抱えているワタル達を先に逃がしてアリスが殿を努める。
いくら戦士が多い氏族といってもアリスに敵う者は居ない、振り回す大鎌の峰や柄で転がされて足止めされている。
そうしてズィプトまで戻ると連絡を取って準備が完了している場所から随時脱出するように伝えた。
もう私たちの存在を知られてしまった。
そうなれば敵が大挙して押し寄せてくる……また面倒な事になった。
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