黒の瞳の覚醒者

一条光

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番外編~フィオ・ソリチュード~

吉報と凶報

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「どうしたもんかな…………」
 帰ってきてもう三日になるけどワタルはずっとあの子の事を考えてる。
 やきもち、じゃないけど話しかけてもうわの空だったりするのはちょっと嫌、せっかくみんなと居てもぼーっとしてるし……。
「美緒ちゃんの事ももちろん気になりますけど、お兄さんは今の状態に疑問はないんですか?」
「慣れだ」
 美空と愛衣がじっとこっちを見てくる……ここは譲らない! ワタルに座るのは私だけ!
 絶対に入り込まれないようにワタルにお尻を押し付ける。
 
「大人のくせに甘えてるみたいでカッコ悪い、ティナってもうお婆さんみたいな歳なのに変なのー」
 なんだ……見てたのはワタルの背中に抱きついてるティナの方だったんだ。
「誰がお婆さんよ! エルフと人間だと年齢の感覚が違うのよ!」
「でも百年以上生きてるのは変わらないなら所かまわず甘えてるのは大人としてどうかと思います。そっちのフィオ、さん? も私たちより年上ですよね?」
 む……別にワタルに座るのは普通だし、所構わずでもないし、甘えるってもっとこう……もっとだもん。

「いい? そんな事気にならなくなるほど相手に夢中になっちゃう、好き好き大好き~ってのが止まらなくなっちゃう。それが恋なのよ! 歳なんて関係ないの!」
「ぬおっ!?」
 ティナがワタルに伸し掛かって必然的にワタルが私に覆い被さってきた。
 気持ちが止まらなくなる、ティナの言ってるのはよく分かるけど……胸で誘惑してワタルをだらしない顔にするのはやめてほしい…………もしかして、考え込ませない為?

「お兄さんの変態! おっぱいなんかで喜んでないで早く美緒ちゃんと仲直りしてください!」
「航っておっぱい好きなんだ……赤ちゃんみたい」
「ちょ、待て、喜んでない。俺だっていい加減慣れてるからこのくらいじゃ――」
 喜んでない顔じゃない……。
「ほ・ん・と・う・に?」
「……ヤバいです理性が溶けていくので自重してください」
 ……大きくなったらもっと私の事見てくれるのかな――。
「戦ってる時のフィオって凄いのに今は小さい子みたい、年上に見えない」
 訓練の時の事を言ってるんだと思うけど、普段から全部全力なんて非効率な事しないし、警戒だけなら無意識に出来るほど当たり前の事だから気を張る必要もない。
 そんな事も分からない子供のくせに私を小さいとか……ちょっとイラッとしたけどお姉さんならいちいち目くじらを立てるなって言われたのを思い出して我慢した。

「ワタルに座るのはなんか、いい感じだから仕方ない。座り心地の良いワタルが悪い」
 そう、これは歳とか関係ない、一緒に居る時はここが私の定位置、ここに居ると落ち着くし安心するしほわほわする。
 そんな座り心地だからここに座るのは当然。
「へ~、航の胡坐って座り心地良いんだ?」
 っ! 美空が興味ありげにこっちを見つめてくる。
 家族でもない相手にここは譲らない!
 足で踏ん張ってワタルに密着して入り込める隙間を無くす。

「んっん、そんな事より、美緒がなんで俺の事怖がってるか聞けたか?」
「んーんー、何聞いても航の話になると黙って話してくれなくなる。航本当に何もしてないの? 何もしてなかったら美緒があんなになるなんて変だよ」
 たしかにあの子の怯え方は異常だと思う、まるで自分の命を脅かす相手でも見ているような目をして逃げていく。
 ワタルは助けて心配だってしてるのに……。

「……何もしてない、と思う…………はっ、もしかして俺って怖い顔?」
 バカなの? それならそもそも友達になってない気がする。
 それにワタルは……カッコいいと思うし。
「お兄さん真面目に考えてください。それだったら初めて会った時から怖がられてますから。それと、目つきが少しきついだけで怖くはないです」
 きつい……? 別にそんな事ないと思うけど……ワタルの目好きだし。
「放っておくというのも一つの手じゃないかしら?」
 ワタルにその選択は無理そう。
 そして早めに解決しないといつまでもうわの空でいそうで私が嫌。

「あのなぁ、友達に嫌われたままだと俺の精神的によろしくない」
「あたし達的にもよろしくないよ! また一緒に遊んだりしたいもん」
「あのねぇ、あの子は家族を失って間もないのよ? そんな不安定な時期に、理由は分からなくても怖いと思ってる相手が自分の周りをうろうろしてたら逆効果でしょう? 時間が解決するって事もあるわ、だから今はそっちの二人と母親に任せておく方が良いと思うわ」
 むぅ……ティナの言う事も分かるけど……ワタルは考え込むと荷物を漁り始めてぱそこんを取り出してなにか作業を始めた。
 あの子とその母親とかが写ってる写真がいっぱい出てきた……そっか。

「これ明里さんに渡しといてくれ」
「航に会ってから驚く事ばっかりだけど……すっごーい! なにこれ!? 航が村を出る時のやつだよね! あはははははは、村長も父さんも変な顔してる~」
「いっぱいありますね~」
 二人ははしゃいでるけどワタルは写真に写ってる人たちの笑顔を見ると苦しそうに俯いて震えてる。
 もう一度ティナがワタルに伸し掛かった。
 私もさっきよりももっと身を寄せる。
 自分を助けてくれた人たちの死、苦しむなって言っても無理な話なのは分かってる。
 だからせめて私たちはこうして傍に居る。

「じゃあこれおばさんに渡しとくね」
「ああ、頼むな」
「お兄さん元気出してくださいね」
 二人は写真を持って帰っていったけど、ワタルの表情は晴れない。
 解決したわけじゃないから当然といえば当然だけど……。
 みんなで構って一時的にでも忘れさせるのがいいのかな。

「のぉ主よ、儂に頼み事はないか?」
「いや、ないけど?」
「ぬぅ……神龍が従者なのだぞ? もっとこう、無いのか?」
「そう言われても……今は無いというか、クーニャはもう二回も俺の事助けてくれただろ、あれはクーニャにしか出来ない事だったし凄い感謝してるぞ?」
「そ、そうか? ふむ、なら主には儂を甘やかす権利をやろう、抱くがよいぞ」
 構われたいのかさっきからうろちょろしてると思ったら……勝手に私の特等席使ってる!?
 ミシャが里帰りしてるから代わりにワタルの剣の手入れをしてる隙を狙うなんて……。

「ワっタル~、そんなちんちくりんを抱くより私を抱く方が落ち着くわよ」
 あの子の件以来ティナのスキンシップが過激になってる。
 まぁこっちはワタルを考え込ませない為だろうけど……リオが怖い。
「ティナさんもう少し慎みを持ってください」
「リオはお堅いわねぇ、そういうリオはもう少し大胆になってもいいんじゃないかしら? いずれは夫婦になるのだしもっと触れ合いがあってもいいと思うのよ」
「それはっ……そうかもしれませんけど……同じ姫でもクロエさんとは大違いですね」
「そうですね、ティナ様はもう少しクロエ様の立ち居振る舞いを見習われた方がよろしいのでは?」
 みんなが居る時はしないだけでクロエとシロナも結構ワタルに甘えてる気がするけど……まぁいいか。
「言うじゃないシロナ、あんな趣味があるくせに」
「んなっ!? わ、私になんの趣味があると言うんですか!?」
 気付かれてないつもりなのかな……ワタルの洗濯物をクンクンしたり、ベッドのシーツを直す前に布団に潜り込んではしゃいでたり、色々あるけど……。

「言ってもいいのかしら~?」
「な、なにとぞご内密に! 先ほどのご無礼はお詫びしますので!」
「じゃあみんなでお茶にしましょ」
「おぉ菓子か! 儂は白い娘の作るくっきーが好きだ」
「す、すいませんクーニャ様、今日のおやつはパンケーキです」
「ぱんけーきとはなんだ?」
「ふわふわの甘い食べ物ですよ」
 そう言ってクロエが運んできた物にクーニャの視線が釘付けになる。

「も、申し訳ございません、クロエ様に運ばせてしまうなんて」
「もうシロナったら、わたくしがしたくてしているのだから謝る必要なんてないでしょう?」
 慌てたシロナを制してクロエはこたつじゃなくてテーブルの方にパンケーキとカップを並べていく。
 やった、あれならクーニャが退くかも、クロエ偉い。
 クロエは料理でもなんでもリオとシロナに教えてもらった事を実践するのが楽しいみたいで最近はシロナを先回りして行動してたりする。
 
「ふむ、柔らかいのか……儂は硬い物の方が好みなのだが――うまい!」
 こたつに入ってるワタルの膝から下りて椅子に座ったクーニャが早速つまみ食いして目を輝かせてる。
 せっかく空いたのにもうちょっと作業が……。
「フィオちゃんもお茶にしませんか?」
「ん、もう終わるから」
 塗った油を拭き上げて仕上げを済ませる。
 こういう作業も教えた方がいいのかもしれないけど私が出来る事はしたい気もする。
 ミシャの作った剣は他のに比べて手入れの必要頻度が少ないし、普段はミシャがしてるから仕事を取り上げるみたいになるのも嫌だし……しばらくはいいかな。

「こらこらクーニャ、それフィオのだっての」
「ぬ? 要らぬのではなかったのか?」
「違うって……睨むな睨むな、ほら、フィオには俺のやるから」
 ワタルが私の前に自分のパンケーキを置くとクロエが悲しそうな表情になった。
 今日のはやっぱりクロエが作ったんだ……むぅ、食べたいけどクロエが頑張って作ったのにワタルが食べないのはダメ――。

「でしたらワタル様、私とはんぶんこにしましょう、クロエ様腕を上げられたんですよ、是非食べていただかないと」
 シロナは切り分けたのを空いたお皿に移してワタルに差し出した。
 そしてそれを横からクーニャが狙ってる……。
「ほらクーニャちゃん、それはワタルのですよ、私のを分けてあげますから意地汚い事はやめてください」
「おぉ、すまぬ、この上にかかっておるとろとろがあとを引いてな」
 リオに分けてもらったのもすぐに口に入れてもごもごしてる。

「バターの塩気が丁度いいな、美味しいよクロ」
「はい! お口に合って良かったです」
 褒められたクロエは満足そうに微笑むとリオとシロナにお礼を言ってる。
 たしかに美味しい、リオのとはちょっと違う味だけどこっちも好きかも。

「クロは毎日成長してるんだな」
「そんな、リオさんとシロナのおかげです」
「あとはワタル様がクロエ様を誘拐したおかげですね」
「ぶふぅ!? そのネタまだ引っ張るか……」
「ほほぅ、主は女好きなあまり人攫いまでするのか」
「違うからな!?」
「クーニャ様違うんです、ワタル様はわたくしを案じてくださって――」
 ワタルの不名誉を晴らそうと身振り手振りでちょっと大げさなくらいにクロエはクーニャに説明してる。
 それをワタルが楽しそうに眺めてる。
 ちょっとは元気になったのかな……? 私たちの存在がワタルの気晴らしになってたらいい。
 そんな事を思ってるとリオとティナと目が合った。
 なんとなく三人とも同じ事を考えていた気がして私たちは笑いあった。

「せいっ! やぁっ!」
「ふっ、はっ……あのさぁ、美空はもう戦わなくていいんだぞ? なのになんで修練場になんて来てるんだよ」
 ワタルとの訓練中に美空が訪ねてきて勝手に参加し始めた。
 速さは悪くないけど洗練されてないし慣れてないのは見て取れる。
 それはワタルも分かってるから打ち返したりしないで流して捌いてる。
 
「でも強いと便利でしょ、あたしがもっと強かったら村のみんなを守れたかもしれない……そう考えると強くなりたいって思ったの! それに、能力のせいで身体動かす遊びはあたしだけ異常だからみんなと出来ないし……村でやったのと同じだと思って相手して、よっ!」
「遊びたいのか訓練したいのかどっちだぁ、よ!」
 守る為に……喋りながら、振るう刃に意思を乗せるように打ち込む美空が不意に加速してワタルの左側面に回って突き込んだ。
 ワタルはそれを軽く流していく。
 速さはあっても動き出しの挙動とかは分かりやすしこの程度は出来て当たり前。
 
「楽しく強くなりたい! というか航が強いの納得いかない!」
 ワタルは……強くて弱い。
 弱かった時しか知らない美空にとって今のワタルは異質に見えてるのかもしれない。
「俺だって成長するんだよ!」
「ひゃん!? ビリッってしたぁ……雷使うのズルいよぉ」
「こんな事してんの親父さんは知ってんのか? 安全な土地に来たのに娘が刀振り回すのを許すとは思えないんだが」
「父さんにはちゃんと言ってあるよ。でないと刀持ってこれないし」
 刀を伝った雷で痺れたみたいで座り込んだ美空は悔しそうに顔を逸した。
 ワタルの方は親が許可してるのが意外だったみたいで困り顔になってる。
 強くなりたいなら鍛えてあげる方が良いと思うけど……今の半端な状態で過信して危険に飛び込んでしまうより自分の体も十分に扱えてないのを教えて危険を回避するように教え込む方がワタルの精神的にも良いはずだけど――。

「ワタルー! お客さんですよー」
「っ!?」
 修練場の入り口に立つリオの陰に隠れるようにしてあの子が立ってる、瞳には怯えの色が見える。
 それでも踏み止まってるのは今の状態を改善しようとする意思があるから、だと思う。
「美緒ー! 航と仲直りしに来たの?」
 美空の質問にゆっくりと頷いたけど足は震えてワタルに近付く一歩を踏み出せないでいる。
 それに気付いたワタルは剣を鞘に収めた。
 それを合図にしたように美緒はゆっくりと一歩を踏み出した。

「美緒――」
「航さんごめんなさい!」
 戸惑いながら声を掛けたワタルを遮って美緒は勢いよく頭を下げた。
 足は震え、声もうわずってる。
「えっと、どういう事?」
「心配して会いに来てくれたのに避けちゃった事も、助けてもらったのに今までお礼を言わなかった事も……それから……っ、ぅ、ひっく……それから、航さんの事を怖いって思っちゃった事と……うぅぇっ……ひぅっ……私のせいで航さんに人殺しをさせちゃった事、本当に……ごめんなさい。あの時、航さんが助けに来てくれた時、少しだけ意識が戻ってたんです。それが丁度、盗賊が斬られた時で……あの時の航さんの目、盗賊と同じ……人を殺すのを何とも思ってない目で、盗賊を斬ったのも凄く怖くて……最初は夢かと思ったけど、私もお母さんも助かってて夢じゃないって分かって、私たちのせいで航さんに人殺しをさせちゃったと思うと航さんの顔を見るのも辛くて、苦しくて、だから…………」
「だから、避けてた?」
「はい…………」
 まだ人を殺した事のない、戦い方すら知らず人を傷付ける事を忌避してた頃のワタルしか知らない美緒にとって殺しそれをさせた理由が自分にあるのが凄く苦しかったんだ。
 涙を溢れさせて何度も言葉に詰まりながら必死に伝えようとする姿はワタルの事を大切に思ってるのが分かる。

「美緒、まだ怖い?」
「……少し」
「そっか、ごめんな。でも美緒が謝る事なんてないんだぞ? 悪い所なんて全然ないんだから。美緒の言う通り俺はあの時何とも思わず人を斬ったし、人殺しを怖いって思うのは普通の事だ。それに自分のせいなんて思わなくていい、あれは俺が自分で選んでした事なんだ。だから後悔はしてないし誰かのせいで人殺しをしたなんて思ってない。美緒は少しも悪くないよ……あ~、だからもう泣くな。な?」
 何とも思わずに、か……あの時のワタルは感情を一切見せなかった。
 暗く深い瞳で敵を見てた。
 あれからも殺しについて悩む素振りはなかったけど……割り切れるようになったのかな?
 美緒の事で悩んで他の事を考えられなかっただけかもだけど……。
 だとしてもやっぱりあんな目はしてほしくない、だからやっぱり出来る限り一緒に居て出来ない事は私がやる、だって優しく瞳や強い意思を宿した目の方が好きだから、そうあってほしい。

「ふえぇぇぇ~、う、うあ、うぁぁぁっ」
「え、ちょ!? 嫌だったか、ごめん」
 ワタルがそっと撫でると安心して抑えが利かなくなったみたいに美緒は声を上げて泣き始めた。
 泣き出した美緒に狼狽えたワタルは助けを求めて視線が泳いでる。
「ち、ちがっ、ぐすっ、うあぁぁ……ひぅっ、うぅぅぅ、ありがとう。私とお母さんを助けてくれてありがとうございます。お父さんとおじいちゃんの笑顔をもう一度見せてくれてありがとうございます。それから……それから…………」
 ワタルにしがみついて泣きじゃくりながらも必死に想いを伝える美緒の言葉でワタルの表情からかたさが取れていく。
 よかった……美緒の言葉がワタルの心を救った。
「よかったですね」
 リオが優しく笑いかけると美緒に泣き付かれたまま困ったような嬉しそうな顔をしてる――。

「如月! 如月航は居るか! ――おお、ここに居たか。すぐに謁見の間へ向かうのだ。火急の用向きなのだ、この件はそなたと雷帝殿にしか頼めん」
 修練場に怒鳴り込んできた大臣の様子に不穏なものを感じて頭が痛くなった。
 本当にワタルの周りは面倒ばかり起こる……呪われてる?

「それって?」
「同盟国のハイランドがアドラから宣戦布告直後に巨大なドラゴンから攻撃を受けたそうなのだ。上空から何もかも焼き払われ手の施しようがないと救援の要請が届いている。ワイバーンやレッサードラゴンであれば覚醒者や混血者でも対処出来るがそのような次元ではないらしい。にわかには信じがたい事だが雷帝殿を見ている以上そういった存在が居るという事も理解している。であれば相応の対処をせねばなるまい」
 っ! アドラのドラゴン……?
 スヴァログを実用化したの?
 なら、あの村の上空に現れたのも偶然じゃなかったの?

「フィオ、どう思う?」
「…………分からない。でも、上があれを欲しがってたのは事実。興味が無かったから貴族の我儘かと思ってたけど、あんなものを侵略に使われたら確実に全て燃え尽きる――」
「っ!」
 私が言い終わる前にワタルは駆け出して行く。
 はぁ……今度はあれと戦う……あの頃の私じゃない、武器もワタルの技もある。
 捕獲じゃなく討伐、前に戦った時の感触から考えてもアル・マヒクを使ったレールガンなら十分貫通出来る、クーニャに乗って遠距離からの狙撃なら危険なく仕留められるはず。
 それでもやっぱり危険に飛び込んでいくワタルに対してため息が漏れた。
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