280 / 470
番外編~フィオ・ソリチュード~
変なの捕まえた
しおりを挟む
「まぁ、とりあえず、こいつは条件に入ってないから要らないな」
カイルが金髪の男を殺そうと近付いて行く。確かにあれは必要ないから好きにすればいい、そんな事よりこの異界者が気になって仕方ない。
「やめて! 殺さないで!」
「ああ? こいつ、お前の男か? なら、どんな表情をするのか見るのも面白いかもな」
カイルのいつもの癖、誰かに見せつけて女を犯すのが好きみたいで、手足を斬り落として動けなくなった男を見物人にしてよくやってる。
女に近付こうとしたカイルに異界者が剣を向けてる。本当に護る気なの? アドラの人間は異界者を蔑むし、同じ人間だなんて思ってない、奴隷もしくは、混ざり者と同じ様に道具、私たちがされてたみたいに、強制的に従わされてる風でもないのに、なんで護るの?
「おいおい、お前は俺たちの仲間になるんだろう? なに、剣を向けてんだよ。俺はその女と少し話をしようと思っただけだぜ?」
能力の無い異界者が向ける剣なんて混ざり者には意味がない、カイルは気にも留めず近付いて行く。
「っ! り、リオさんに近づくな! この、混ざりものが!」
ふ~ん……さっきから驚く事ばかり、襲ってた村で抵抗しようとする人間なんて見なかった。今の金髪みたいに言葉で抵抗するのさえ居なかった、でも――。
「うっせぇよ、喚くな、ゴミが」
ほら、あっさり首を落とされて倒れた。抵抗したって敵わないなら意味がない、無意味だと知ってるから誰も抵抗しない。
金髪が死んだのを見て異界者が動かなくなってる。死がそんなに珍しいの? この国ではいくらでも死ぬ、役に立たない混ざり者、生活の為に奴隷として売られた人間、他国から奴隷として攫ってきた人間、言う事を聞かない異界者、犯罪者も奴隷として玩具にされた後で殺される。
「いやあああぁぁぁぁぁぁぁ!」
女が悲鳴を上げて泣いてる。今まで見て来た人間は混ざり者に出会った時点で諦めて、誰かが殺されても目を逸らして震えているだけだったのに…………。
「あーあ、死んじまった。目の前で恋人が犯られたら、どんな表情をするか楽しみだったのに」
やっぱりする気だったんだ。あんな事の何が面白いの? 分からない、同じ混ざり者なのに、私だけが違うの? だから混ざり者にも化け物って言われるの?
「なんだよその目は、今にも飛び掛かって来そうだな。そんなにこの女がお気に入りか?」
本当に今にも斬りかかりそうな目で異界者がカイルを睨んでる。さっきの死を見て混ざり者に抵抗しても無駄だって分からなかったの?
「嫌! 触らないで」
「きれーなもんだ、染み一つない。そんなに気に入ってるなら、さっさと犯っちまえばいいのに、なに躊躇って――」
「殺す!」
本当に異界者がカイルに斬りかかった。なんで? 敵うはずないのに、抵抗しなければ異界者は暫く生かしておいてもらえるのに…………。
でも、動きは遅い、あんなのじゃどんな混ざり者にも当てられない、カイルに簡単に躱されてる。
「おっせーなぁ、なんだよ今の間抜けな一撃は、俺たちとお前じゃ身体能力に差が有り過ぎるってのがわかんないのか?」
そう、混ざり者と人間は全然違う、同じものじゃない…………。
「カイル、あまりからかうな」
「でもな~、こんな良い女に手ぇ出さずに放置とか馬鹿みたいだろ? こいつが食わねぇってんなら、俺たちが食わないともったいないじゃねぇか」
「条件はどうした! 条件を飲むんじゃなかったのか?」
あんなの嘘に決まってるのに、異界者だって気付いてたはずなのに叫んでる。そんなにその女を護りたいの?
「あ~、あれ無効な、お前俺に攻撃してきたし、我慢するのが面倒になった。あとあれだ、食える時に食っとかないとな~」
異界者の目つきが変わった。さっきまでは剣を振る事に躊躇があったけど、今はそれがない。
「死ね!」
カイルを突き殺そうとして剣を構えて突進してるけど…………遅い。
「さっきよりはマシだが、おっそいねぇ~」
カイルは態とギリギリで避けて遊んでる。どうにもならないって分かるはずなのに、異界者は動きを止めない。なんでそんなに必死なの? 自分の命は奪われないのに、なんで自分からそれを失うかもしれない行動を取るの?
「おい、どうしたぁ~、今のはなかなかよかったぜ? ギリギリだったからな。それとも、もう終わりか?」
全然良くない、それにずっとギリギリで避けてる。異界者の動きはどんどん悪くなってる。疲れるのが早い、あんなのでカイルを殺すなんて出来るはずない。
「こんなんで終われるか!」
まだ続けるの? どうして? もう全然カイルの動きに追い付けてない。それなのにどうしてこんな事を続けるの?
「やっぱ、遅いなぁ~」
カイルは異界者の剣を身体を回転させながら躱して、そのまま裏拳を当てて吹っ飛ばしてる。
「あぐっ」
「ワタル!」
混ざり者と違って弱い身体の異界者なのに、まだ立ち上がろうとしてる。
「もう、もうやめてください! これ以上は、私なら何でも言――」
「黙れえええぇぇぇぇぇぇぇぇ! はぁ、はぁ、はぁ、黙ってろリオ、俺ならまだ動ける。勝手に諦めるな」
まだ諦めないんだ…………変な感じ、勝てるはずないのに、それでもあの異界者は何とかしそう。
「でも! ――」
女を睨んで黙らせた。本当にまだやる気なんだ。
「おーおー、かっこいいねぇ~、よくもまぁ、異界者がこの国の人間のためにそこまで必死になれるもんだ」
カイルの言う通り、誰かが誰かの為に、っていうのだけでも驚いてるのに、異界者を蔑んで道具とか奴隷にするアドラの人間を護ろうとしてる。
「カイル、殺すなよ。せっかく見つけた異界者なんだ、殺したらヴァイスがぶちキレるぞ」
ヴァイスが怒るのは煩くて面倒、そしていつまでもしつこい。
「でもなぁ、何度も何度も勝手に突っ込んで来るんだぜ? こうしつこいと、ついうっかり殺っちゃいそうだぞ」
「殺せば戻った後でお前がヴァイスに殺されるぞ」
「……わかったよ。気を付ける、これでいいんだろう?」
気を付けるって言ってるけど、みんなが我慢しないのは知ってる。気に入らない事があったらカイルは異界者を殺す。そうなりそうならその前に止める、ヴァイスが煩いのは嫌。
「ああ、そうしろ」
「よかったな? ダージのおかげで更に手加減してやるぞ。それとも、もう終わりにするか? 俺はその女をさっさと食いたいから、それでも――」
「まだ終わってない!」
怒った異界者が剣を振り上げてカイルに突進する。たぶん必死に力いっぱい振り下ろした剣は、カイルに指で摘ままれて止められた。必死にやっても、頑張っても無駄なのに、それが分からない程頭が悪いの?
「だからよぉ、さっきから何度も言ってやってるだろうが。遅すぎるんだよ、こんなんじゃいつまで経っても――」
「ッ! ッ! ッ! てめぇ、卑怯だぞ!」
? なに? 股間を蹴られたカイルが跳ね回ってる。そんなに蹴る力が強かった様には見えなかったのに、なんであのくらいでカイルは痛そうなの?
隙が出来たカイルに剣を振り下ろそうとしてる。
「調子にのるなあああぁぁぁ! 雑魚の分際で俺に攻撃してんじゃねぇ!」
異界者の剣は弾き飛ばされて、カイルが異界者を両断しようとしてる。
「行かないと」
「は?」
意味が分からないという声を出したダージを無視して、一足飛びにカイルに近付いて振り上げた剣ごとカイルの腕を斬り飛ばした。
「なんで?」
異界者が何が起こったか分からない様な不思議そうな目で私を見てる。
「フィオ! てめぇ、なにしやがる!?」
カイルが悪いのに喚いてる。
「異界者を殺すのはダメ」
「フザケルナアアアァァァ! 俺の腕をどうしてくれる!? このクソガキがあああぁぁぁ!」
カイルが私に斬りかかろうとしてる。
私と戦うとどうなるか知ってるくせに…………向かって来るんだからしょうがない、それに私をガキって言った。
持ってる剣で、即死出来るようにカイルを細かく刻んだ。あっという間に生き物から物になったカイル、自分が斬られてるのも分かってない表情だった。
「おい! フィオ! ――っ!」
ダージが呼んでる。どうせカイルを殺した文句、面倒…………。
「カイルが悪い」
「あ、ああ、そう、だな」
ダージは脅えた目をしてた。混ざり者に襲われる時の人間と同じ目、やっぱり混ざり者から見ても私は化け物なんだ。
今異界者にチビとかガキって馬鹿にされた気がした。気が付いたら手が出てた。
「げほっ、ごほっ、ごほっ」
…………大丈夫、倒れたけど咳をしてるから死んでない。すぐに終わらせて戻ろう、カイルのせいで無駄に時間が掛かった。
「ワタル、ワタル! ワタル!」
女が異界者を呼んでる…………まるで心配してるみたい。アドラの人間が異界者の心配? 変なの……あの人はどうしよう? ……煩いから静かにしてもらおう。
「っ!?」
「やめ、ろ、り、おに、て、ぇ、だす、な」
異界者に脚を掴まれた。まだ動けるの? なんで? 能力の無い弱い異界者なのに。でも私がそのまま歩くとあっさり手は放れた。
「ワタル! ワタル! ワタル! っ!? 来ないでっ!」
「べつに殺さない、煩いから静かにして」
「私たちをどうするつもりなんですか?」
「異界者は連れて行く…………」
この人はどうしよう? 異界者は見逃して欲しいって言ってたけど…………私もこの人を連れて行く理由はない、ヴァイス達と違って興味もないし――。
「その女も連れて戻るぞ、カイルを殺したんだ。あいつが悪かったとしても穴埋めするものは多い方が良い」
「そう、私はこっちを運ぶ」
「ああ、女の方は俺が運ぶ。へへ、確かに良い女だ」
ダージが気持ち悪い笑いを浮かべてる。
そろそろ町での騒ぎも終わってるはずだからそのまま隠れ家に戻ろう。
カイルが金髪の男を殺そうと近付いて行く。確かにあれは必要ないから好きにすればいい、そんな事よりこの異界者が気になって仕方ない。
「やめて! 殺さないで!」
「ああ? こいつ、お前の男か? なら、どんな表情をするのか見るのも面白いかもな」
カイルのいつもの癖、誰かに見せつけて女を犯すのが好きみたいで、手足を斬り落として動けなくなった男を見物人にしてよくやってる。
女に近付こうとしたカイルに異界者が剣を向けてる。本当に護る気なの? アドラの人間は異界者を蔑むし、同じ人間だなんて思ってない、奴隷もしくは、混ざり者と同じ様に道具、私たちがされてたみたいに、強制的に従わされてる風でもないのに、なんで護るの?
「おいおい、お前は俺たちの仲間になるんだろう? なに、剣を向けてんだよ。俺はその女と少し話をしようと思っただけだぜ?」
能力の無い異界者が向ける剣なんて混ざり者には意味がない、カイルは気にも留めず近付いて行く。
「っ! り、リオさんに近づくな! この、混ざりものが!」
ふ~ん……さっきから驚く事ばかり、襲ってた村で抵抗しようとする人間なんて見なかった。今の金髪みたいに言葉で抵抗するのさえ居なかった、でも――。
「うっせぇよ、喚くな、ゴミが」
ほら、あっさり首を落とされて倒れた。抵抗したって敵わないなら意味がない、無意味だと知ってるから誰も抵抗しない。
金髪が死んだのを見て異界者が動かなくなってる。死がそんなに珍しいの? この国ではいくらでも死ぬ、役に立たない混ざり者、生活の為に奴隷として売られた人間、他国から奴隷として攫ってきた人間、言う事を聞かない異界者、犯罪者も奴隷として玩具にされた後で殺される。
「いやあああぁぁぁぁぁぁぁ!」
女が悲鳴を上げて泣いてる。今まで見て来た人間は混ざり者に出会った時点で諦めて、誰かが殺されても目を逸らして震えているだけだったのに…………。
「あーあ、死んじまった。目の前で恋人が犯られたら、どんな表情をするか楽しみだったのに」
やっぱりする気だったんだ。あんな事の何が面白いの? 分からない、同じ混ざり者なのに、私だけが違うの? だから混ざり者にも化け物って言われるの?
「なんだよその目は、今にも飛び掛かって来そうだな。そんなにこの女がお気に入りか?」
本当に今にも斬りかかりそうな目で異界者がカイルを睨んでる。さっきの死を見て混ざり者に抵抗しても無駄だって分からなかったの?
「嫌! 触らないで」
「きれーなもんだ、染み一つない。そんなに気に入ってるなら、さっさと犯っちまえばいいのに、なに躊躇って――」
「殺す!」
本当に異界者がカイルに斬りかかった。なんで? 敵うはずないのに、抵抗しなければ異界者は暫く生かしておいてもらえるのに…………。
でも、動きは遅い、あんなのじゃどんな混ざり者にも当てられない、カイルに簡単に躱されてる。
「おっせーなぁ、なんだよ今の間抜けな一撃は、俺たちとお前じゃ身体能力に差が有り過ぎるってのがわかんないのか?」
そう、混ざり者と人間は全然違う、同じものじゃない…………。
「カイル、あまりからかうな」
「でもな~、こんな良い女に手ぇ出さずに放置とか馬鹿みたいだろ? こいつが食わねぇってんなら、俺たちが食わないともったいないじゃねぇか」
「条件はどうした! 条件を飲むんじゃなかったのか?」
あんなの嘘に決まってるのに、異界者だって気付いてたはずなのに叫んでる。そんなにその女を護りたいの?
「あ~、あれ無効な、お前俺に攻撃してきたし、我慢するのが面倒になった。あとあれだ、食える時に食っとかないとな~」
異界者の目つきが変わった。さっきまでは剣を振る事に躊躇があったけど、今はそれがない。
「死ね!」
カイルを突き殺そうとして剣を構えて突進してるけど…………遅い。
「さっきよりはマシだが、おっそいねぇ~」
カイルは態とギリギリで避けて遊んでる。どうにもならないって分かるはずなのに、異界者は動きを止めない。なんでそんなに必死なの? 自分の命は奪われないのに、なんで自分からそれを失うかもしれない行動を取るの?
「おい、どうしたぁ~、今のはなかなかよかったぜ? ギリギリだったからな。それとも、もう終わりか?」
全然良くない、それにずっとギリギリで避けてる。異界者の動きはどんどん悪くなってる。疲れるのが早い、あんなのでカイルを殺すなんて出来るはずない。
「こんなんで終われるか!」
まだ続けるの? どうして? もう全然カイルの動きに追い付けてない。それなのにどうしてこんな事を続けるの?
「やっぱ、遅いなぁ~」
カイルは異界者の剣を身体を回転させながら躱して、そのまま裏拳を当てて吹っ飛ばしてる。
「あぐっ」
「ワタル!」
混ざり者と違って弱い身体の異界者なのに、まだ立ち上がろうとしてる。
「もう、もうやめてください! これ以上は、私なら何でも言――」
「黙れえええぇぇぇぇぇぇぇぇ! はぁ、はぁ、はぁ、黙ってろリオ、俺ならまだ動ける。勝手に諦めるな」
まだ諦めないんだ…………変な感じ、勝てるはずないのに、それでもあの異界者は何とかしそう。
「でも! ――」
女を睨んで黙らせた。本当にまだやる気なんだ。
「おーおー、かっこいいねぇ~、よくもまぁ、異界者がこの国の人間のためにそこまで必死になれるもんだ」
カイルの言う通り、誰かが誰かの為に、っていうのだけでも驚いてるのに、異界者を蔑んで道具とか奴隷にするアドラの人間を護ろうとしてる。
「カイル、殺すなよ。せっかく見つけた異界者なんだ、殺したらヴァイスがぶちキレるぞ」
ヴァイスが怒るのは煩くて面倒、そしていつまでもしつこい。
「でもなぁ、何度も何度も勝手に突っ込んで来るんだぜ? こうしつこいと、ついうっかり殺っちゃいそうだぞ」
「殺せば戻った後でお前がヴァイスに殺されるぞ」
「……わかったよ。気を付ける、これでいいんだろう?」
気を付けるって言ってるけど、みんなが我慢しないのは知ってる。気に入らない事があったらカイルは異界者を殺す。そうなりそうならその前に止める、ヴァイスが煩いのは嫌。
「ああ、そうしろ」
「よかったな? ダージのおかげで更に手加減してやるぞ。それとも、もう終わりにするか? 俺はその女をさっさと食いたいから、それでも――」
「まだ終わってない!」
怒った異界者が剣を振り上げてカイルに突進する。たぶん必死に力いっぱい振り下ろした剣は、カイルに指で摘ままれて止められた。必死にやっても、頑張っても無駄なのに、それが分からない程頭が悪いの?
「だからよぉ、さっきから何度も言ってやってるだろうが。遅すぎるんだよ、こんなんじゃいつまで経っても――」
「ッ! ッ! ッ! てめぇ、卑怯だぞ!」
? なに? 股間を蹴られたカイルが跳ね回ってる。そんなに蹴る力が強かった様には見えなかったのに、なんであのくらいでカイルは痛そうなの?
隙が出来たカイルに剣を振り下ろそうとしてる。
「調子にのるなあああぁぁぁ! 雑魚の分際で俺に攻撃してんじゃねぇ!」
異界者の剣は弾き飛ばされて、カイルが異界者を両断しようとしてる。
「行かないと」
「は?」
意味が分からないという声を出したダージを無視して、一足飛びにカイルに近付いて振り上げた剣ごとカイルの腕を斬り飛ばした。
「なんで?」
異界者が何が起こったか分からない様な不思議そうな目で私を見てる。
「フィオ! てめぇ、なにしやがる!?」
カイルが悪いのに喚いてる。
「異界者を殺すのはダメ」
「フザケルナアアアァァァ! 俺の腕をどうしてくれる!? このクソガキがあああぁぁぁ!」
カイルが私に斬りかかろうとしてる。
私と戦うとどうなるか知ってるくせに…………向かって来るんだからしょうがない、それに私をガキって言った。
持ってる剣で、即死出来るようにカイルを細かく刻んだ。あっという間に生き物から物になったカイル、自分が斬られてるのも分かってない表情だった。
「おい! フィオ! ――っ!」
ダージが呼んでる。どうせカイルを殺した文句、面倒…………。
「カイルが悪い」
「あ、ああ、そう、だな」
ダージは脅えた目をしてた。混ざり者に襲われる時の人間と同じ目、やっぱり混ざり者から見ても私は化け物なんだ。
今異界者にチビとかガキって馬鹿にされた気がした。気が付いたら手が出てた。
「げほっ、ごほっ、ごほっ」
…………大丈夫、倒れたけど咳をしてるから死んでない。すぐに終わらせて戻ろう、カイルのせいで無駄に時間が掛かった。
「ワタル、ワタル! ワタル!」
女が異界者を呼んでる…………まるで心配してるみたい。アドラの人間が異界者の心配? 変なの……あの人はどうしよう? ……煩いから静かにしてもらおう。
「っ!?」
「やめ、ろ、り、おに、て、ぇ、だす、な」
異界者に脚を掴まれた。まだ動けるの? なんで? 能力の無い弱い異界者なのに。でも私がそのまま歩くとあっさり手は放れた。
「ワタル! ワタル! ワタル! っ!? 来ないでっ!」
「べつに殺さない、煩いから静かにして」
「私たちをどうするつもりなんですか?」
「異界者は連れて行く…………」
この人はどうしよう? 異界者は見逃して欲しいって言ってたけど…………私もこの人を連れて行く理由はない、ヴァイス達と違って興味もないし――。
「その女も連れて戻るぞ、カイルを殺したんだ。あいつが悪かったとしても穴埋めするものは多い方が良い」
「そう、私はこっちを運ぶ」
「ああ、女の方は俺が運ぶ。へへ、確かに良い女だ」
ダージが気持ち悪い笑いを浮かべてる。
そろそろ町での騒ぎも終わってるはずだからそのまま隠れ家に戻ろう。
0
お気に入りに追加
508
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。

黒豚辺境伯令息の婚約者
ツノゼミ
ファンタジー
デイビッド・デュロックは自他ともに認める醜男。
ついたあだ名は“黒豚”で、王都中の貴族子女に嫌われていた。
そんな彼がある日しぶしぶ参加した夜会にて、王族の理不尽な断崖劇に巻き込まれ、ひとりの令嬢と婚約することになってしまう。
始めは同情から保護するだけのつもりが、いつの間にか令嬢にも慕われ始め…
ゆるゆるなファンタジー設定のお話を書きました。
誤字脱字お許しください。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる