黒の瞳の覚醒者

一条光

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終章~人魔大戦~

最恐の男と金の双風

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 土煙が背後に迫り地響きが不安を掻き立て危険を報せる。兵士達はニーズヘッグが消え去った事に安心している暇はなく、この異常事態に混乱を深めていく。フィオとアリスもガタガタと可哀想なほど震えて縋り付いてくる。落ち着かせようと声を掛けて撫で宥めようとしても俺の存在を感じる事で更に恐怖が増したかのように震えが大きくなっていった。
「なんだ? ガキ共、そんなにさっきのが怖かったのかぁ? あの程度にビビるたぁまだまだガキだな」
 一番の脅威が弾けて消えた事もあってかイェネはからかうように二人を見下すが、二人はそんな言葉など聞こえていないかのように反応しない。ロフィア達はフィオ達のその怯え方の異常さに警戒を強めている。
「……あなたなんかには分からない、今の光景を見てそんな暢気に構えていられるようなあなたなんかには!」
 尚視界に入りからかおうとするイェネに対してアリスは苦しげに、絞り出すように叫んだ。
「……動ける者は集い前進せよ! 剛剣の騎士団長と合流するのだ! あれだけの数分散していては呑み込まれて仕舞いぞ。急がぬかッ! ぺルフィディも蛇も混乱して今ならば動きやすかろう! さっさと行けッ! リニス、アルアナ達に合流してリューにサナとニシノを捜させよ。妾とイェネの足、エピカリとこの男の腕を治さねば……万全でなければこの数には勝てぬ――」
 ロフィアは前後の敵に混乱して逃げ惑っている者たちへ発破をかけて行動を促していく。この辺りは流石と言うべきか、混乱していた者達は迷いながらも負傷した者を助け移動を開始した。
「勝つ!? 何言ってるの!? 馬鹿じゃないの? 何考えてるの! あれに勝つなんて不可能! 近付く前に確実に殺されるわ!? 原形が残らない惨めな姿にされてね! ワタル逃げようよ、急いでナハト達を迎えに行ってティナの能力で跳べばどうにか私たちは追い付かれる前には――」
 血の気のなくなった真っ青な顔でアリスが叫ぶ。アリスはあれを知っているのか? ――いや……待て、初めてフィオと話をした時やアリスに覚醒者の事を尋ねた時に話に出てきた男の能力が圧殺を可能にするものじゃなかったか? 混血者を縛る恐怖の象徴――。
「追い付かれる前にどうなるというのだアリス・モナクスィア、フィオ・ソリチュード?」
 逃げ出す事など叶わず、それは俺たちの後ろに追い付いた。短い黒髪を全て後ろに流した眼鏡の男が黒い馬の上からゴミでも見るようにこちらに視線を向けている。アリスもそうだがフィオも今の声で気付いたという様子で驚きと共に震えが増した。
『ブスジマ!? ……様』
 鋭い眼光に捉えられて二人は怯えた様子で様を付けた。
「なるほど、逃げ出しても教育し躾てやった事は覚えているようだ」
 冷えきった瞳が俺の背後を見据える。視界に俺は入っているのにその目には一切映していない、俺の存在などありはしないかのように二人だけをその目に捉え続ける。およそ人間を見ているとは思えない瞳で。震え、荒くなる呼吸、目眩を起こしたようにフラつく、二人の症状はこの予断を許さない状況ではかなりマズい。こいつは敵なのか? 何をしに来た? 着ているのは前に見たアドラの軍服に似ているが、アドラがこのタイミングで魔物との戦闘に介入して得られる利益なんてあるのか? ニーズヘッグを殺したが味方なのか? ――こいつの圧殺の能力はどの程度の規模だ? どの程度まで潰せる? 敵である場合俺に出来る最善は――。
「ワタル、駄目……絶対に、駄目…………」
 震えるフィオが絞り出すようにして俺に縋る。俺は――震えを止めたい、安心させたい、大丈夫だ、俺が何とかすると言ってやりたい。何も怖くないんだと……その為には――こいつも、邪魔だ! ――ッ!?
「ほう? 随分な仕打ちだなフィオ。感情を殆ど持たなかったお前が震えながら縋りたくなる男なんだろう? それを自らの手で悶絶させるか。何にも興味を示さない最高の道具だったはずが、今はがそんなに大切か? 命を失う事には恐怖しなかったお前が、それを失う事を恐怖するか」
 低く冷たい声だ。怒っている訳ではない、嘲っている訳でもない。感情らしいものは乗っていない。男に敵意を向けようとした最中にフィオの拳が腹部へとめり込んだ。手加減なしの一撃で呼吸が一瞬完全に止まって咳き込む。
「カハッ……ハッ、ゲホッ、げほっ、がはっ……フィオ?」
「…………」
「答えないか……まぁいい。僅かだがお前達と話す程度の時間は作れる。おいお前、風を起こすやつが居るのだろう? そこへ連れていけ」
「お前だと? 貴様妾を一体誰だと――」
「このまま死にたいのならその無駄なお喋りを続けるがいい。取り返しがつかなくなっても私は知らないがな」
 全て後ろに流している黒髪を撫で大した興味も無さそうに――違う、最初から欠片も興味なんて抱いていない。死んでいくのが当たり前だとでも言うような目をロフィアへと向けている。
「てめぇ――」
「……イェネ、よい。こっちだ。急げ」
「時間を無駄にしたのはあなただがな」
 ロフィアは不快に顔を歪めて歯噛みしながらアル達が居た方へと足を引き摺りながら向かい、イェネとエピも同行していった。毒島に率いられて来たらしいアドラの兵士は俺たちのすぐに後ろで停止してその場で向かってくるぺルフィディや死体を狩っている。毒島が離れた事で多少なりとも調子が戻るかと期待したが二人の態度に改善は見られない。むしろ更に――。
「フィオどうしよう!? あいつにバレた。私たちがワタルを大切なの知られちゃった。絶対そこを突いてくる……アドラに連れ戻されるかな? 私たち、離ればなれ? 私……ワタル達と家族でいたいよ!」
 悲痛な、心から祈るような声で絞り出す。そのアリスの表情は絶望一色で希望なんて欠片も見出だせないように震えている。
「それは、私も……でもブスジマは私たちが自分から動くようにする方法を見定めた。もう私たちに逃げ場はない、逃げたらどうなるか嫌と言うほどに知っているんだから」
 フィオは諦観に支配されたのかさっきまで握りしめていた手を放している。
「フィオ? 大丈夫だ。リニスさんが西野さんを呼んできてくれる、腕が治ればまだ俺は戦える。だから――」
「駄目ッ。ブスジマとは戦わないで、お願い。あれには誰も勝てない、見られただけでみんな死ぬ」
「そうよ! あいつはその能力でもう二十年以上も混ざり者を恐怖で従わせてきたの、能力の規模だって異常なのよ! フィオの脱走を契機に疑問を持たれるまでは他の覚醒者との連携で対象がどこに居ても潰せるんだと思われてたんだけど、フィオの脱走で違うと気付いた馬鹿な一派が脱走企てた事があったの、でも全部潰された。視界に入ってさえいればどれだけ離れていたって関係ないの! 地平の先に存在が確認できる程度に小さくても簡単に! それにあの眼鏡、前はあんなのしてなかった。縁に何か刻んであるようだったし……確実に視力を拡張させるものなはず、絶対に勝てない」
 二十年以上!? あの男の瞳は黒かった。能力持ちの混血者という訳ではない、なら幼い頃にこちらに来て今までずっと殺人を続けていたっていうのか……生まれた時から教え込まれた恐怖……それでこの震えか。
「前は……怖くはなかった。でも、今は怖い。ワタル達と生きていけなくなることが怖い。死にたくない、死んでほしくない。だからあれには手を出さないで」
 二人は戦う前から既に心が折れている。過去の記憶が、経験が、戦ってはいけないのだと判断させている。たしかに今聞いた話だけでも危険なのは理解出来るが――。
「おいッ、さっきから聞いてりゃあれだのあいつだの道具の分際で何様だオラァ! 兄貴に対して失礼千万だろうが!」
 時代遅れの不良風のリーゼント男が苛立った様子で馬から飛び降り目を吊り上げ肩を怒らせ威嚇するように近寄ってきてフィオのコートの襟を掴み持ち上げた。
「おい、フィオに触るな」
「うっせぇ雑魚はすっこんでろ!」
 男を引き剥がそうと近付いた瞬間金色の旋風に阻まれた。渦巻く風の中心には金髪で同じ顔の少女が二人、オリハルコン製のガントレットとグリーブ――髪を四つに纏めたクアドラプルテールの少女のガントレットには鋭利な爪があり手の保護というよりは敵を切り裂く目的が強い印象を受ける。瞳は当然赤く二人が混血者である事を示している。テールの方が自身の身長よりも長い棍をハーフアップの方が鎗に左右対称の三日月状の刃が付いた方天戟を手にしている。二人ともクーニャと同じくらいの小柄で子供と言える容姿だ。まだ他にもこんな子供が使われているのか……フィオ達と同じで見た目と年齢が反している場合もあるかもしれないが……どこかフィオ達と纏う空気が似ていると感じるのは気のせいか? 気にはなるが今はそれより――。
「もう一度だけ言う、フィオを放せ」
「ハン、なんだその剣は? これはアドラの道具だ。盗人は黙ってろ、これは教育だ。なぁ? ――ムカつく目ぇしてるじゃねぇか、なめてんのかガキ」
「コートから手を放して、これは大切な人にもらった絆なの」
 フィオは毒島を前にしていた時のような怯えはなく、抵抗はしないながらも知らない相手を探るように視線を巡らせている。
「絆ァ? そんなものねぇよ。忘れたのか? お前は道具だ。命令通りに人を殺して殺して殺して、使い物にならなくなったら別の道具に処分される。そんな存在に人間の絆なんてあるはず無い、そうだよなァ?」
 アドラでの扱いを思い出したのか二人は黙り混み俯く。俺の大切なもんを傷付けてんじゃねぇよ――。
「さっきから黙って見ておれば……誰も彼も勝手なことばかりぬかしおって……小僧、その手を放せ。儂の家族を侮辱するとは愚かな低脳め、万死に値する! フィオもアリスもこのような輩に従っておるではないわ!」
 今まで成り行きを見ていたクーニャは我慢が限界に達したようでその小さな身体から周囲を凍りつかせるような殺気を溢れさせ本来の姿を顕現させようとしている。その異常な殺気に目の前の双子、アドラの兵、ぺルフィディ、死体すらも何かを感じたのか動きを止めている。ただ一人を除いて。
「あ゛あ゛? ガキが難しい言葉使って調子乗ってんじゃねぇぞ! てめぇの家族ごっこなんか知るかよ。家族ってんならここに本物が揃ってるじゃねぇか。全員もれなくアドラの所有物だけどな」
 どういう意味だ? 本物……? この双子にはフィオかアリスと繋がりがあるのか?
「不思議そうだな……ああそうか、てめぇらは妹が居るなんて知りもしなかったんだっけか。お前ら四人共同じ種で出来てんだよ、当然腹違いだけどな。面白いよな、せっかく覚醒者になったのに目覚めた能力は優秀な子孫を残す、だった。そんなの気付く訳ねぇっての! 虚弱で使い物にならねぇから双子の母親が孕んだ後に処分したらそいつのガキ共が頭角表し始めてやんの」
 優秀な子孫を残す能力……それで、フィオ達は混血者を超越したような身体能力を発揮しているのか? 幼く見えるのも肉体の劣化が抑えられている結果成長が遅いのかもしれない。フィオの父親は既に殺されている、か……父は同じで実は姉妹、二人は思いもしなかった事実に混乱が最高潮に達したようだ。
「同じ種……? 妹? アリスが?」
「フィオが、フィオがお姉ちゃん? そしてこっちが――」
「超兵最強フィオ・ソリチュード」
 初めて見た時のフィオに似た感情を映さない表情でテールの子が呟いた。
「それを継いだアリス・モナクスィア、あなた達を倒して私たちが最強を手にする」
 ハーフアップの子は敵意に満ちた表情で、声で啖呵を切った。双子は互いに目配せして混乱の極みに居る二人目掛けて長い得物を振り下ろしてきた。スピードは一級品――しかし動きは洗練されているフィオ達と比べてどこか荒削りに感じる。戸惑いつつもフィオ達は上手く躱し武器を構えた。
「やめよと言うておるというに貴様ら――」
 その刹那に――戦場が潰れ弾けた。血が大地を濡らし生臭い空気が一帯に充満する。恐らく蛇一匹すらも残さず敵性生物と死体は肉塊と化した。上空には風に舞う黒紫の軍服――たしかにあの高さからなら戦場全てを見通せるだろうが、なんて能力……なんの前触れもなく間隔も置かずに一瞬で全てを潰し肉塊へと変えた。陣も消失したか……これがフィオ達の怯えの理由……吐き気を催す酷い臭い、目を覆いたくなる肉片が散乱した光景、そして――敵か味方かも分からない特大の危険な存在……頭を鈍器で思い切り殴られたような衝撃に眩暈を起こした。
 そこへ狙い澄ましたような方天戟の刃が迫っていた。後ろに引き倒されギリギリのところで凶刃から逃れた。刃は目の前を通過していく、引いてくれたのはアリスか。普段ならどちらかは攻撃に転じるところだが毒島の存在や双子が血縁だという言葉が妨げになっているんだろう。
「小娘ッ!」
「クーニャ駄目、顕現しないで!」
 動き出したクーニャをフィオが押さえ付ける。視線は目の前を警戒しつつも意識は上空の毒島へと向いている。
「如月さん! ――うはっ、なんすかこの状況、すんごい美少女ロリの双子!」
「屈辱だ。こんな軟派な男を乗せるなんて」
「まぁまぁリューさん、俺リューさんに興味ないから平気っすよ」
「ニシノ早くワタルを治して!」
 暢気に構え黒狼姿のリューさんから下りる西野さんにフィオが怒鳴りつけた。フィオの大声に面食らった様子で俺に駆け寄り骨の再生を始めてくれる。
「フィオちゃんどうしたんすか? 戦いが終わったのにめっちゃ気が立ってません?」
「終わった……? どういう意味です?」
 西野さんはこの状況においておかしなほどあっけらかんとした様子で耳打ちをしてくるものだから俺も緊張が解けてしまった。
「どういう意味って……援軍来たじゃないっすか。アドラと交渉を続けてたクロイツ王たちがとうとうやってくれたらしいっすよ。情報の伝達はこのゴタゴタで遅れてますけどあの騎馬兵は味方っすよ」
 味方? なら目の前のリーゼントの男と双子の態度はなんだ? リーゼントの方は元々が粗暴な人間なのかもしれないが双子の方は明らかな敵意を持っている。しかも双子はフィオ達を血縁と知った上での敵意だ。こんな状況で戦いが終わったとは思えない――ほら見ろどこが味方だ!? 棍が弧を描きフィオに襲い掛かる。
「えちょっ!? あのロリ娘ちゃんどうしたんすか!?」
「ニシノ集中!」
「え、はい!」
 テール娘がフィオに攻撃を仕掛けた事に驚いた西野さんが立ち上がり俺から手を放したのを見て再びフィオが大声を出した。フィオらしくない……それだけあいつにとって今は異常事態なんだ。
「西野さん申し訳ないですけど急いでください。まだヤバいのが残ってる」
「ヤバいのって……あの人味方っすよ? 今だってアルアナさんの風に飛ばしてもらって空から戦場を掃除してくれて」
 俺の視線を追って毒島へと目を向けた西野さんの顔が疑問で埋め尽くされている。俺だって味方だと思えたらどれだけ心強かったか……でもフィオ達への態度を見ているとどうしてもそう思えない。双子は長柄武器を自身の手足のように操り連撃を加えていく――個々の動きは荒いが流石双子とでも言えばいいのかお互いが必要としている動きを声掛けも無しで行い隙の無い連携をとっている。
「うわぁもうどうなってるんすか!? ロリッ娘の殺し合いなんて見たくないんすけど! 如月さん止めてくださいよ!」
 殺し合いではない、双子の一方的な攻撃だ。二人は受け流す事に専念して一切武器を振るっていない。その光景をリーゼントの男が苛ついた様子で眺めている。
「なら早く治してください」
「腕丸々一本分の骨の再生っすよ? 魔法じゃないんだからそんなすぐにいきませんよ!」
 それでも急いでくれているようでだらりとぶら下がった腕が熱を持ち中心に芯が通っていくのを感じる――毒島が下りてくる。あいつがここに来たらフィオ達はまた怯えて動けなくなる。
「つ、疲れた」
 指先まで芯が通った瞬間弾かれたように走り出した。何がどうなってるのか分からないしあのフィオとアリス、そして双子が血縁だというのも判然としないが先ずこの場を収める。
「んだよやる気か? 俺の黒炎に勝てると思ってんのかよ!」
 あの双子はリーゼントの男を守るように現れた。ならあいつを押さえれば大人しくなるはず、そう判断した俺を男は嘲笑い自身の手に黒炎を踊らせた。炎使い――普通の炎じゃないからには何か特殊な能力を持っているはず――それでも体が普通の人間なら搾りかすを更に振り絞った雷迅でも封殺出来る。
 リーゼントはニタリと笑い、その目に写しているのは――自身の手以外にも集中した先に炎を発生させられるタイプかッ。重心を低くし素早く撹乱して背後に回り蹴倒し首の両脇の地面に剣を突き立てた。さっきまで俺が居た場所には黒炎が揺らめいている。
「チッ、身体強化系の覚醒者かよ。兄貴の言うとおり普段から眼鏡をしておくんだったぜ。おい下りろてめぇ! ぶっ殺すぞ」
「黙れ、地面だけ見ていろ。双子は武器を下ろせ」
 こちらの様子を認識した双子は武器を下ろすどころか突貫してきた。しかし剣を傾け刃を首筋に付けると時間が止まったかのようにピタリと動きを止めた。
「何をしているお前達……無様だな導」
 毒島の声に反応してリーゼントの男を引き起こして視界を遮る盾にする。
「すまねぇ兄貴、雑魚かと思って油断した」
「……それで、窮地を救った私たちに剣を向けてあなたは何がしたいのか?」
 どうする? 毒島の再登場でフィオ達は完全に動きが止まっている。こいつらの目的はなんだ?
「それはこっちの台詞だ。援軍に来たと言いながらフィオ達を脅し武器を向ける、お前らの目的はなんだ!」
 怯え続ける二人を見て何とかしたいと焦りが募る。
「私たちはここに五か国同盟の代表達からの依頼で来ている。しかし……偶然発見した我が国の所有物を確保しようとしても不思議は無いだろう? お前に酷似した覚醒者がアドラから消えたという記録もある、お前が持ち出したのか? あれらは稀少品だ、返還してもらおうか」
 感情の籠らない声で淡々と自分たちの都合を押し付けてくる。僅かたりとも混血者を人間と認めないか、同じ日本人とは思えないアドラに染まりきった態度に俺は苛立ちを隠しきれなかった。
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