243 / 470
終章~人魔大戦~
捉えられない影
しおりを挟む
「あ゛あ゛鬱陶しいっ!」
坑道内を埋め尽くして出迎える土人形に高出力の黒雷を浴びせて自らの動きで自壊させ進路を確保して進む。今のところ出てきているのは土人形だけ、まさか魔物はここに居ないなんて事は――。
「航、少しはこっちに回すんだ。その調子だと辿り着く前に倒れるぞ」
「この程度平気だ。それに俺がやる方が効率がいいだろ? 接近のリスクもないしな。役割分担だ」
そう、天明もフィオも居る。無理に全員で道を開くより他の体力を残してズィアヴァロの元へ辿り着かせる方がいい。
「リュンヌさん、シュタールの宮殿はまだですか?」
「もう少し先、あるのは中層の上の方だからそんなに距離はないんだけど……こんなに多いなんてね。まぁあいつの根城ならこんなものかもしれないけど――ん~、やっぱり指弾は結構使えるね。そっちの長髪が殆ど倒しちゃうから今のところ意味ないけど」
俺の隣から指弾を飛ばして土人形の四肢を破壊しながら具合を確かめるリュンヌについて先を急ぐ。土塊を踏み均しひたすらに奥を目指し、今までの居住空間よりも巨大な空洞に辿り着いた。奥に見える立派な建物がシュタールの宮殿だろう。そしてそこへの道を塞いでいるのは――。
「やはり来たか馬鹿娘が。それに、人様の事情に首を突っ込む煩わしい人間共、貴様らが現れなければ無駄に同胞が死ぬ事はなかったのだ! その責任、取ってもらうぞっ!」
「まっ――」
天明が話しかけようとしたのを遮るように黒く暗い重々しい殺気を纏ったシュテルケ達シュタールの戦士が突撃してきた。ドワーフとは思えないほど速く、そして洗練された動きで大きな得物を軽々と振るう。肉厚の刃がすれすれの位置を流れていく。やっぱり話す暇なんてないか、なら取る行動は一つ! こいつらを気絶させて先に進む。
「っ!? 貴様はズィアヴァロが言っていた特殊能力持ちかっ! 皆散開しろ」
流石歴戦の戦士、不意を突いて放った黒雷に絡め取られたのはたった四人、残りは盾で上手く受け流しやがった。盾はどう見たって金属製なのに感電していない、絶縁処理でもしてるのか? 直接身体に当てるしかない。
「気を付けろ! こいつら結構速いぞ」
「確かに、それに腕力も相当だ。まさか押し返されるなんて思いもしなかったよ」
鍔迫り合いをしていた天明を押し切り壁際まで追い込んでいるドワーフが居る。フィオ達はスピードで翻弄して攻撃を打ち込もうとしているが経験による予測かドワーフ達は紙一重で攻撃を受けて流している。
「我らシュタールの戦士、青臭い人間のガキなどに後れはとらぬ! っ!? 馬鹿娘がっ、妙な戦法を――」
リュンヌ達が指弾を撃ち込んで牽制する。弾丸にしているのはその辺にある砕いた岩のようだが当たれば痛い、では済まないだけの威力はありシュテルケ達の自由な立ち回りを封じている。
「しゃらくさいっ! この程度の石塊がなんになる、これで我らに勝てると思うな小娘! 勇猛果敢なシュタールの戦士はこんなものには怯まぬ!」
一人のドワーフが指弾の弾幕を抜けてリュンヌに向けてモーニングスターを振り下ろした。
「なにが勇猛果敢、怯えて諦めてあんな奴に尻尾を振る腰抜けが! あたしはあんたらの相手をしてる暇なんてないの……よっ! 道を開けて!」
リュンヌは攻撃をいなし、身体を捻った斧の大振りで盾ごと男を打ち抜き、勢いで壁に激突させるほどの力で弾き飛ばした。
「突撃しか頭にない猪娘が吠えおったな! 囲んで一人ずつ確実に倒せ!」
憤怒の形相を露にしたシュテルケの号令で潜んでいたらしいドワーフまで現れ宮殿前の広大な広場を埋め尽くすようにして俺たちを取り囲む。
「全員集まって! こんなの一々相手してられないわ、一気に跳ぶから掴まって」
敵の攻撃を躱して間合いを取ったティナが手を伸ばして全員に呼びかける。シュテルケ達に時間を掛けるよりも無視して進む方がいいか。
「航、そっちは任せるぞ」
「天明?」
「足止め役が要るだろう? 彼らをここに釘付けにする」
「同胞の不始末を他人だけに任せてはいられません。タカアキさん私たちもお供します」
ティナの元に集まる俺たちを守るようにして天明と同行していたアダマントの戦士達が敵の前に立ち塞がった。
「航行け!」
「死ぬなよ」
「そっちがね」
俺たちはお互いに小さく笑い別々の戦場に向かう。あの数相手でも天明なら大丈夫、そう信じられる。だから俺たちはこっちを終わらせる。
ズィアヴァロはどこに居るんだ――辿り着いた宮殿内を駆け回りハイオークの影を探すが現れるのは土人形ばかり、それもこちらの動きを知る為か水晶付きばかりだ。
「出てこいズィアヴァロ! あたしと勝負しろ! ――物音? こっちだ!」
逸るリュンヌは俺たちを放って一人で宮殿内を走り回ってズィアヴァロを探すが見つけられずに苛立ちを募らせている。嫌な予感が当たってしまったか? 敵の大将はどこに行った?
「リュンヌ落ち着くのじゃ、どこか怪しい場所はないのじゃ?」
「ああいう奴の居そうな場所っていうと長が使ってるような部屋とか宝物庫でしょ? そんな所はもう確認した。でも居ないんだ――」
なんだこの揺れは!? 建物内の殆どを探し終わる頃、何かが崩れる音と共に大きな振動を感じて外へと飛び出した。外に出るとあれだけ居たシュタールの戦士達は半数以上が倒れ、残りも荒い息をして武器を支えにする事でようやく立っている。これ、天明達がやったのか? 鈍るどころか伸びてんじゃねぇか……広場の中央にただ一人真っ直ぐ立っている人影を見つけて駆け寄った。
「よもや人間の小僧相手に膝を屈する日が来ようとは……誇りを捨て魔物などに隷属する道を選んだというのに、このままでは結局皆腐った肉となるか――」
「だからさっきからそんな事はさせないと言っている! 俺たちが貴方方を守ります」
「ならば如何にしてこの状況を脱する? 外に通じる道は全て魔物共が崩しおったぞ。ズィアヴァロも貴様らの拠点に向けて出発している、仮に貴様らがここを抜けてもその頃には本隊は全滅しているだろう。無駄なのだよ」
道を崩した!? 俺たちはまんまと敵の罠に嵌まったのか。シュテルケと天明を無視して入ってきた道へ走って確認しようとしたタイミングで不意に頭の中に声が響いた。
(如月さん! 聞こえますか? 大変です! 土人形に加えて土の巨大ゴーレムや土のドラコン等大型の敵が出現、現在はまだ現状の戦力で凌いでいますが敵の大群はゼクト辺りからエアトの麓の拠点まで埋め尽くすように続いていて物量的に厳しい状況です。上空の部隊の報告では今尚生み出されているようだと、敵の大本はまだ倒せませんか? そちらの状況はどうなっています?)
(すいません、こっちは敵の罠に嵌まって坑道の中層部分に閉じ込められています。シュテルケの話では外に通じる通路全てを潰されて、ズィアヴァロはそっちに向かっているようです。今居る崩落箇所は酷い状況で下手に動かせば更に崩落を招きそうです)
(分かりました。では一度クルシェーニャさんに戻ってもらって掘削能力のある者を派遣します。他にそちらに問題はありませんか?)
(敵対してたシュタールの人たちは天明たちが鎮圧して戦意を失っているしこの空間には魔物も居ないようなので今は特には)
(では脱出後は早急にズィアヴァロの発見と討伐をお願いします)
その言葉を最後に交信は途絶えた。今はクーニャに繋いで移動を頼んでいるだろう。
「あちゃ~、これは酷いわね。まんまと敵の策略に嵌まっちゃったわね」
「ティナの能力じゃ脱出出来ないよな?」
「もう、ワタルったらいじわるね。私の能力での移動は視界内に限られるのを知っているでしょう? 崩落している向こう側が見えない以上向こう側には行けないわ。隙間でもあって向こう側が見えるなら別だけど……駄目、みっちり詰まってるわ」
「そっか、そうだよな……救援待ちか……シュテルケ達に何か方法がないか聞いてみるか。殺気剥き出し状態は解除されてるし少しは話出来るだろ」
そう思って広場へ戻ったが芳しい成果得られなかった。大人しく待つしかないようだ。シュテルケと天明は話し合いを繰り返しているが他のシュタールの人たちはズィアヴァロが戻ってきた時の事を考えているのか憔悴と絶望の表情で俯いている。攻撃されないのは助かるが……めちゃくちゃ空気が重い! 早く来てくれ救援隊。
「航く~ん、無事ですか~?」
交信から四時間弱、宮殿のある空洞の入り口の崩落箇所に変化が起こり人ひとりが通れる穴が開いて惧瀞さんの暢気な声が聞こえた。
「何で惧瀞さんが?」
「土人形がわんさか居る坑道に入るんですよ? 強い人じゃないといけませんから」
「強い人…………」
「その目はなんですかー、私の能力は結構攻撃的で優秀と評価されてるんですよー」
それは知っている。ただ惧瀞さんが性格的に強そうではないってだけだ。救援隊は自衛隊十人と案内役のドワーフ二人か、ここへの道中の土人形は粗方排除してたとはいえ無事に合流出来てよかった。
「そっちはここに来るまでに被害とかありませんでした?」
「ええ、思ってたよりかなり土人形が少なくて殆ど魔物相手だったので、タフなので時間は取られましたけど何の被害もありませんよ。航君たちも無事みたいなので早く脱出しましょう。敵の発生源はゼクト近辺から変わっていませんから恐らくズィアヴァロもまだゼクトに居ると思います」
動いていない? シュテルケの話ではズィアヴァロは異世界の兵器を警戒して鉱山同士を繋ぐトンネルを使って地上に出る事なく進んでいるって話だったが、ゼクトに留まる理由があるのか? それともこれも罠か? ……どちらにしても今は動かないと――。
広場で思い思いに休んでいたみんなに声を掛けて呼び集めていざ脱出という段になってシュテルケを先頭にシュタールの者達が集まり始めた。
「何? あんた達まだやる気? そっちの騎士団長さんにボロクソにされたのに懲りないの?」
「負けたからこそこうして集まっているのだ馬鹿娘。剣を交えてタカアキのズィアヴァロを倒すという言葉が強ち嘘ではないと分かった。一度敵に回った後で虫がいいというのは承知している、だが、我らも途中まで連れていけ。他の山に囚われたままの同胞達は我らが責任を持って解放する」
「はぁ!? そんなの信じられるわけ――」
シュテルケ達に対して嫌悪感を露にして掴みかかろうとするリュンヌを天明が制した。
「リュンヌさんの言いたい事は分かります。それでも、もう一度彼らを信じてもらえませんか? 同胞を守りたいという彼らの気持ちに嘘はなかった。剣を交えてその事がよく分かったんです」
「なにが守りたいだ。生き延びる為に犠牲を許してるなんて護国の戦士が聞いて呆れる。一度裏切った奴は何するか分かったもんじゃない、連れていくなんてあたしは反対だ――って、うわっ!? 何するんだ話せ男女」
男女……髪伸ばしてるからか? 騒ぐリュンヌの首根っこを掴んで出口へと向かう。
「さっさと脱出するぞ、時間が無いんだ。シュタールの事は天明が言うなら多分大丈夫だ。脱出出来てない人たちを助ける必要もあるし人手は多い方がいい。ミシャ、外に出たら大型のゴンドラ頼むな」
「任せるのじゃ! 防衛の為に拠点に残っておるナハトが心配なのじゃ、急ぐのじゃ」
駆け出したミシャを先頭にして暴れまくるリュンヌをアダマントの人たちと一緒に押さえながら引き摺るようにして外へ出た。
ゼクトを目指す道中、同行するシュタールの戦士半数をアハトとノントに下ろし脱出出来ていないドワーフ達の救出を任せた。リュンヌは納得なんてしていなかったが救援の必要があることも理解している為か態度には出すが言葉にはしなかった。
ゼクトが見えてくる頃には俺たちも異常を認識した。広大な山を埋め尽くさんばかりに地を這いずり回る巨大な存在、上から見た限りだとクーニャよりも一回り大きいように見える。あんなものが押し寄せて来たら拠点なんて簡単に踏み均される。全身土だから飛べないのが救いか。
「確かにここで数が増えているような気がするな。クーニャ、俺たちを下ろしたら上空から土ドラゴンの処理を頼めるか?」
「主たちは坑道に入ってズィアヴァロを探すのだな? 外は任せておくがよい。模倣されたドラゴンなぞ全て消滅させてやるわ」
強気なクーニャに外を任せて俺たちはゼクトの坑道内へと侵入した。以前来た時と違い内部は土人形で溢れており探索するのも簡単にいかない。時には薙ぎ払い、時には掘削能力者に新たな通路を作ってもらいながら発生源を探す。そして中層にあるゼクトとフュントを繋ぐ通路近くに差し掛かった時、それを見つけた。
『なるほどズィアヴァロ様の予測は的中した訳だ。まさか崩落した坑道から抜け出て来るとはな。シュテルケ、そこに居るということは裏切るという事でいいんだな?』
今まで見たオークの中でも特に巨体のオークが首から黒いキューブを提げて厭らしく嗤った。
「ああ、たとえ変節漢と呼ばれようとも俺は同胞を守れるのならその道にすがる! ズィアヴァロを出せ!」
『出せと言われてもズィアヴァロ様はここには居らん。発生源を無視して拠点に戻ればいいものを、お前たちはまんまと罠に掛かったというわけだ!』
オークの言葉が引き金になったのかツェントで感じた崩落音と振動を再び感じた時には既に遅かった。前後の通路は崩れて俺たちは狭い空間に閉じ込められた。
『フフフフフ、良い女エルフも居るしこりゃ楽しめるな。男共は速攻で腐食の刑だ――おいおい、落ち着け――ぐぇえええ』
キューブに触れて何かしようとしたオークの腕を斬り飛ばし仰向けに転がった奴の首を踏みつけ見下ろす。拠点に巨大な敵が押し寄せ時間が無い上に二度も罠に掛かった苛立ちとティナに下種な視線を向けられた苛立ちで手加減無しで追い詰めた。
「俺たち忙しいんだよ。下らない事に付き合う暇も無いほどに、分かるよな?」
剣を眼前に持っていってやるとあからさまに怯えた様子を見せて脂汗を流し始めた。雑魚か……捨て駒なんてこんなものか。
「ズィアヴァロはどこに居る? 今居る場所を言え」
『い、今はフィアト辺りのはずだ』
「また下らない罠に掛けるつもりなら――」
『ほ、本当だ。ツェントを抜け出して来たとしてもここで閉じ込めて狭い空間を土人形で埋める事で仕留める予定だったんだ――こんな風にな!』
俺を払い除け周囲の壁から土人形を発生させ始めたオークの胸をキューブごと貫いて、僅かに作られた土人形は惧瀞さんが銃撃で蜂の巣にして崩壊させ事なきを得た。
「急いで戻ろう」
掘削能力で道を作って俺たちは急ぎ来た道を引き返すが失敗した時の保険か、侵入した時には見かけなかったベートの群れに出くわし時間を取られてしまう。その上水晶付きにも遭遇してしまい俺たちが脱出した事がズィアヴァロに知れてしまった。地上に出る頃には日暮れを迎え、出口には土ドラゴンと巨大ゴーレムが群がっていてクーニャとの合流を阻まれ更に時間を取られてしまい、どうにか合流した時には完全に夜になっていた。ズィアヴァロが更に先へ進んでいる事や罠の可能性も考え俺たちはエアトに向かいそこから坑道を使って北上してズィアヴァロを探す作戦に出た。
坑道内を埋め尽くして出迎える土人形に高出力の黒雷を浴びせて自らの動きで自壊させ進路を確保して進む。今のところ出てきているのは土人形だけ、まさか魔物はここに居ないなんて事は――。
「航、少しはこっちに回すんだ。その調子だと辿り着く前に倒れるぞ」
「この程度平気だ。それに俺がやる方が効率がいいだろ? 接近のリスクもないしな。役割分担だ」
そう、天明もフィオも居る。無理に全員で道を開くより他の体力を残してズィアヴァロの元へ辿り着かせる方がいい。
「リュンヌさん、シュタールの宮殿はまだですか?」
「もう少し先、あるのは中層の上の方だからそんなに距離はないんだけど……こんなに多いなんてね。まぁあいつの根城ならこんなものかもしれないけど――ん~、やっぱり指弾は結構使えるね。そっちの長髪が殆ど倒しちゃうから今のところ意味ないけど」
俺の隣から指弾を飛ばして土人形の四肢を破壊しながら具合を確かめるリュンヌについて先を急ぐ。土塊を踏み均しひたすらに奥を目指し、今までの居住空間よりも巨大な空洞に辿り着いた。奥に見える立派な建物がシュタールの宮殿だろう。そしてそこへの道を塞いでいるのは――。
「やはり来たか馬鹿娘が。それに、人様の事情に首を突っ込む煩わしい人間共、貴様らが現れなければ無駄に同胞が死ぬ事はなかったのだ! その責任、取ってもらうぞっ!」
「まっ――」
天明が話しかけようとしたのを遮るように黒く暗い重々しい殺気を纏ったシュテルケ達シュタールの戦士が突撃してきた。ドワーフとは思えないほど速く、そして洗練された動きで大きな得物を軽々と振るう。肉厚の刃がすれすれの位置を流れていく。やっぱり話す暇なんてないか、なら取る行動は一つ! こいつらを気絶させて先に進む。
「っ!? 貴様はズィアヴァロが言っていた特殊能力持ちかっ! 皆散開しろ」
流石歴戦の戦士、不意を突いて放った黒雷に絡め取られたのはたった四人、残りは盾で上手く受け流しやがった。盾はどう見たって金属製なのに感電していない、絶縁処理でもしてるのか? 直接身体に当てるしかない。
「気を付けろ! こいつら結構速いぞ」
「確かに、それに腕力も相当だ。まさか押し返されるなんて思いもしなかったよ」
鍔迫り合いをしていた天明を押し切り壁際まで追い込んでいるドワーフが居る。フィオ達はスピードで翻弄して攻撃を打ち込もうとしているが経験による予測かドワーフ達は紙一重で攻撃を受けて流している。
「我らシュタールの戦士、青臭い人間のガキなどに後れはとらぬ! っ!? 馬鹿娘がっ、妙な戦法を――」
リュンヌ達が指弾を撃ち込んで牽制する。弾丸にしているのはその辺にある砕いた岩のようだが当たれば痛い、では済まないだけの威力はありシュテルケ達の自由な立ち回りを封じている。
「しゃらくさいっ! この程度の石塊がなんになる、これで我らに勝てると思うな小娘! 勇猛果敢なシュタールの戦士はこんなものには怯まぬ!」
一人のドワーフが指弾の弾幕を抜けてリュンヌに向けてモーニングスターを振り下ろした。
「なにが勇猛果敢、怯えて諦めてあんな奴に尻尾を振る腰抜けが! あたしはあんたらの相手をしてる暇なんてないの……よっ! 道を開けて!」
リュンヌは攻撃をいなし、身体を捻った斧の大振りで盾ごと男を打ち抜き、勢いで壁に激突させるほどの力で弾き飛ばした。
「突撃しか頭にない猪娘が吠えおったな! 囲んで一人ずつ確実に倒せ!」
憤怒の形相を露にしたシュテルケの号令で潜んでいたらしいドワーフまで現れ宮殿前の広大な広場を埋め尽くすようにして俺たちを取り囲む。
「全員集まって! こんなの一々相手してられないわ、一気に跳ぶから掴まって」
敵の攻撃を躱して間合いを取ったティナが手を伸ばして全員に呼びかける。シュテルケ達に時間を掛けるよりも無視して進む方がいいか。
「航、そっちは任せるぞ」
「天明?」
「足止め役が要るだろう? 彼らをここに釘付けにする」
「同胞の不始末を他人だけに任せてはいられません。タカアキさん私たちもお供します」
ティナの元に集まる俺たちを守るようにして天明と同行していたアダマントの戦士達が敵の前に立ち塞がった。
「航行け!」
「死ぬなよ」
「そっちがね」
俺たちはお互いに小さく笑い別々の戦場に向かう。あの数相手でも天明なら大丈夫、そう信じられる。だから俺たちはこっちを終わらせる。
ズィアヴァロはどこに居るんだ――辿り着いた宮殿内を駆け回りハイオークの影を探すが現れるのは土人形ばかり、それもこちらの動きを知る為か水晶付きばかりだ。
「出てこいズィアヴァロ! あたしと勝負しろ! ――物音? こっちだ!」
逸るリュンヌは俺たちを放って一人で宮殿内を走り回ってズィアヴァロを探すが見つけられずに苛立ちを募らせている。嫌な予感が当たってしまったか? 敵の大将はどこに行った?
「リュンヌ落ち着くのじゃ、どこか怪しい場所はないのじゃ?」
「ああいう奴の居そうな場所っていうと長が使ってるような部屋とか宝物庫でしょ? そんな所はもう確認した。でも居ないんだ――」
なんだこの揺れは!? 建物内の殆どを探し終わる頃、何かが崩れる音と共に大きな振動を感じて外へと飛び出した。外に出るとあれだけ居たシュタールの戦士達は半数以上が倒れ、残りも荒い息をして武器を支えにする事でようやく立っている。これ、天明達がやったのか? 鈍るどころか伸びてんじゃねぇか……広場の中央にただ一人真っ直ぐ立っている人影を見つけて駆け寄った。
「よもや人間の小僧相手に膝を屈する日が来ようとは……誇りを捨て魔物などに隷属する道を選んだというのに、このままでは結局皆腐った肉となるか――」
「だからさっきからそんな事はさせないと言っている! 俺たちが貴方方を守ります」
「ならば如何にしてこの状況を脱する? 外に通じる道は全て魔物共が崩しおったぞ。ズィアヴァロも貴様らの拠点に向けて出発している、仮に貴様らがここを抜けてもその頃には本隊は全滅しているだろう。無駄なのだよ」
道を崩した!? 俺たちはまんまと敵の罠に嵌まったのか。シュテルケと天明を無視して入ってきた道へ走って確認しようとしたタイミングで不意に頭の中に声が響いた。
(如月さん! 聞こえますか? 大変です! 土人形に加えて土の巨大ゴーレムや土のドラコン等大型の敵が出現、現在はまだ現状の戦力で凌いでいますが敵の大群はゼクト辺りからエアトの麓の拠点まで埋め尽くすように続いていて物量的に厳しい状況です。上空の部隊の報告では今尚生み出されているようだと、敵の大本はまだ倒せませんか? そちらの状況はどうなっています?)
(すいません、こっちは敵の罠に嵌まって坑道の中層部分に閉じ込められています。シュテルケの話では外に通じる通路全てを潰されて、ズィアヴァロはそっちに向かっているようです。今居る崩落箇所は酷い状況で下手に動かせば更に崩落を招きそうです)
(分かりました。では一度クルシェーニャさんに戻ってもらって掘削能力のある者を派遣します。他にそちらに問題はありませんか?)
(敵対してたシュタールの人たちは天明たちが鎮圧して戦意を失っているしこの空間には魔物も居ないようなので今は特には)
(では脱出後は早急にズィアヴァロの発見と討伐をお願いします)
その言葉を最後に交信は途絶えた。今はクーニャに繋いで移動を頼んでいるだろう。
「あちゃ~、これは酷いわね。まんまと敵の策略に嵌まっちゃったわね」
「ティナの能力じゃ脱出出来ないよな?」
「もう、ワタルったらいじわるね。私の能力での移動は視界内に限られるのを知っているでしょう? 崩落している向こう側が見えない以上向こう側には行けないわ。隙間でもあって向こう側が見えるなら別だけど……駄目、みっちり詰まってるわ」
「そっか、そうだよな……救援待ちか……シュテルケ達に何か方法がないか聞いてみるか。殺気剥き出し状態は解除されてるし少しは話出来るだろ」
そう思って広場へ戻ったが芳しい成果得られなかった。大人しく待つしかないようだ。シュテルケと天明は話し合いを繰り返しているが他のシュタールの人たちはズィアヴァロが戻ってきた時の事を考えているのか憔悴と絶望の表情で俯いている。攻撃されないのは助かるが……めちゃくちゃ空気が重い! 早く来てくれ救援隊。
「航く~ん、無事ですか~?」
交信から四時間弱、宮殿のある空洞の入り口の崩落箇所に変化が起こり人ひとりが通れる穴が開いて惧瀞さんの暢気な声が聞こえた。
「何で惧瀞さんが?」
「土人形がわんさか居る坑道に入るんですよ? 強い人じゃないといけませんから」
「強い人…………」
「その目はなんですかー、私の能力は結構攻撃的で優秀と評価されてるんですよー」
それは知っている。ただ惧瀞さんが性格的に強そうではないってだけだ。救援隊は自衛隊十人と案内役のドワーフ二人か、ここへの道中の土人形は粗方排除してたとはいえ無事に合流出来てよかった。
「そっちはここに来るまでに被害とかありませんでした?」
「ええ、思ってたよりかなり土人形が少なくて殆ど魔物相手だったので、タフなので時間は取られましたけど何の被害もありませんよ。航君たちも無事みたいなので早く脱出しましょう。敵の発生源はゼクト近辺から変わっていませんから恐らくズィアヴァロもまだゼクトに居ると思います」
動いていない? シュテルケの話ではズィアヴァロは異世界の兵器を警戒して鉱山同士を繋ぐトンネルを使って地上に出る事なく進んでいるって話だったが、ゼクトに留まる理由があるのか? それともこれも罠か? ……どちらにしても今は動かないと――。
広場で思い思いに休んでいたみんなに声を掛けて呼び集めていざ脱出という段になってシュテルケを先頭にシュタールの者達が集まり始めた。
「何? あんた達まだやる気? そっちの騎士団長さんにボロクソにされたのに懲りないの?」
「負けたからこそこうして集まっているのだ馬鹿娘。剣を交えてタカアキのズィアヴァロを倒すという言葉が強ち嘘ではないと分かった。一度敵に回った後で虫がいいというのは承知している、だが、我らも途中まで連れていけ。他の山に囚われたままの同胞達は我らが責任を持って解放する」
「はぁ!? そんなの信じられるわけ――」
シュテルケ達に対して嫌悪感を露にして掴みかかろうとするリュンヌを天明が制した。
「リュンヌさんの言いたい事は分かります。それでも、もう一度彼らを信じてもらえませんか? 同胞を守りたいという彼らの気持ちに嘘はなかった。剣を交えてその事がよく分かったんです」
「なにが守りたいだ。生き延びる為に犠牲を許してるなんて護国の戦士が聞いて呆れる。一度裏切った奴は何するか分かったもんじゃない、連れていくなんてあたしは反対だ――って、うわっ!? 何するんだ話せ男女」
男女……髪伸ばしてるからか? 騒ぐリュンヌの首根っこを掴んで出口へと向かう。
「さっさと脱出するぞ、時間が無いんだ。シュタールの事は天明が言うなら多分大丈夫だ。脱出出来てない人たちを助ける必要もあるし人手は多い方がいい。ミシャ、外に出たら大型のゴンドラ頼むな」
「任せるのじゃ! 防衛の為に拠点に残っておるナハトが心配なのじゃ、急ぐのじゃ」
駆け出したミシャを先頭にして暴れまくるリュンヌをアダマントの人たちと一緒に押さえながら引き摺るようにして外へ出た。
ゼクトを目指す道中、同行するシュタールの戦士半数をアハトとノントに下ろし脱出出来ていないドワーフ達の救出を任せた。リュンヌは納得なんてしていなかったが救援の必要があることも理解している為か態度には出すが言葉にはしなかった。
ゼクトが見えてくる頃には俺たちも異常を認識した。広大な山を埋め尽くさんばかりに地を這いずり回る巨大な存在、上から見た限りだとクーニャよりも一回り大きいように見える。あんなものが押し寄せて来たら拠点なんて簡単に踏み均される。全身土だから飛べないのが救いか。
「確かにここで数が増えているような気がするな。クーニャ、俺たちを下ろしたら上空から土ドラゴンの処理を頼めるか?」
「主たちは坑道に入ってズィアヴァロを探すのだな? 外は任せておくがよい。模倣されたドラゴンなぞ全て消滅させてやるわ」
強気なクーニャに外を任せて俺たちはゼクトの坑道内へと侵入した。以前来た時と違い内部は土人形で溢れており探索するのも簡単にいかない。時には薙ぎ払い、時には掘削能力者に新たな通路を作ってもらいながら発生源を探す。そして中層にあるゼクトとフュントを繋ぐ通路近くに差し掛かった時、それを見つけた。
『なるほどズィアヴァロ様の予測は的中した訳だ。まさか崩落した坑道から抜け出て来るとはな。シュテルケ、そこに居るということは裏切るという事でいいんだな?』
今まで見たオークの中でも特に巨体のオークが首から黒いキューブを提げて厭らしく嗤った。
「ああ、たとえ変節漢と呼ばれようとも俺は同胞を守れるのならその道にすがる! ズィアヴァロを出せ!」
『出せと言われてもズィアヴァロ様はここには居らん。発生源を無視して拠点に戻ればいいものを、お前たちはまんまと罠に掛かったというわけだ!』
オークの言葉が引き金になったのかツェントで感じた崩落音と振動を再び感じた時には既に遅かった。前後の通路は崩れて俺たちは狭い空間に閉じ込められた。
『フフフフフ、良い女エルフも居るしこりゃ楽しめるな。男共は速攻で腐食の刑だ――おいおい、落ち着け――ぐぇえええ』
キューブに触れて何かしようとしたオークの腕を斬り飛ばし仰向けに転がった奴の首を踏みつけ見下ろす。拠点に巨大な敵が押し寄せ時間が無い上に二度も罠に掛かった苛立ちとティナに下種な視線を向けられた苛立ちで手加減無しで追い詰めた。
「俺たち忙しいんだよ。下らない事に付き合う暇も無いほどに、分かるよな?」
剣を眼前に持っていってやるとあからさまに怯えた様子を見せて脂汗を流し始めた。雑魚か……捨て駒なんてこんなものか。
「ズィアヴァロはどこに居る? 今居る場所を言え」
『い、今はフィアト辺りのはずだ』
「また下らない罠に掛けるつもりなら――」
『ほ、本当だ。ツェントを抜け出して来たとしてもここで閉じ込めて狭い空間を土人形で埋める事で仕留める予定だったんだ――こんな風にな!』
俺を払い除け周囲の壁から土人形を発生させ始めたオークの胸をキューブごと貫いて、僅かに作られた土人形は惧瀞さんが銃撃で蜂の巣にして崩壊させ事なきを得た。
「急いで戻ろう」
掘削能力で道を作って俺たちは急ぎ来た道を引き返すが失敗した時の保険か、侵入した時には見かけなかったベートの群れに出くわし時間を取られてしまう。その上水晶付きにも遭遇してしまい俺たちが脱出した事がズィアヴァロに知れてしまった。地上に出る頃には日暮れを迎え、出口には土ドラゴンと巨大ゴーレムが群がっていてクーニャとの合流を阻まれ更に時間を取られてしまい、どうにか合流した時には完全に夜になっていた。ズィアヴァロが更に先へ進んでいる事や罠の可能性も考え俺たちはエアトに向かいそこから坑道を使って北上してズィアヴァロを探す作戦に出た。
0
お気に入りに追加
508
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
救助隊との色恋はご自由に。
すずなり。
恋愛
22歳のほたるは幼稚園の先生。訳ありな雇用形態で仕事をしている。
ある日、買い物をしていたらエレベーターに閉じ込められてしまった。
助けに来たのはエレベーターの会社の人間ではなく・・・
香川「消防署の香川です!大丈夫ですか!?」
ほたる(消防関係の人だ・・・!)
『消防署員』には苦い思い出がある。
できれば関わりたくなかったのに、どんどん仲良くなっていく私。
しまいには・・・
「ほたるから手を引け・・!」
「あきらめない!」
「俺とヨリを戻してくれ・・!」
「・・・・好きだ。」
「俺のものになれよ。」
みんな私の病気のことを知ったら・・・どうなるんだろう。
『俺がいるから大丈夫』
そう言ってくれるのは誰?
私はもう・・・重荷になりたくない・・・!
※お話に出てくるものは全て、想像の世界です。現実のものとは何ら関係ありません。
※コメントや感想は受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
ただただ暇つぶしにでも読んでいただけたら嬉しく思います。
すずなり。
リヴァイアトラウトの背の上で
結局は俗物( ◠‿◠ )
ファンタジー
巨大な魚とクリスタル、そして大陸の絵は一体何を示すのか。ある日、王城が襲撃される。その犯人は昔死んだ友人だった―…
王都で穏やかに暮らしていたアルスは、王城襲撃と王子の昏睡状態を機に王子に成り代わるよう告げられる。王子としての学も教養もないアルスはこれを撥ね退けるため観光都市ロレンツァの市長で名医のセルーティア氏を頼る。しかし融通の利かないセルーティア氏は王子救済そっちのけで道草ばかり食う。
▽カクヨム・自サイト先行掲載。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる