シロツメ草の花冠

彩華(あやはな)

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11.サシャ

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 ミリア様は予定より一週間過ぎてから、また治療院に来た。

 前回と同じくらいのお布施を持って来ているのが袋の膨らみでわかる。
 シスターの嬉しそうな表情が隠しきれずにいた。

 ー今回で終わりかな?

 そんなことを思いながらミリア様に手を翳した。

 ーやっぱり何かおかしい・・・。

 集中しても、違和感がある。いつもなら感じたことがないのにだ。
  
 少しだけ苛立ちみたいなのが生まれた。

 ーどうして?

 集中が切れてきたのでやめる。

「ミリア様、もう一度きていただけますか?」
「あら?どうして?」

 ミリア様は首を傾げる姿は優雅で綺麗だった。

「ミリア様の症状は少し根深かかったようです。一気に直したことで副作用のようなものが出るかもしれませんので」

 最もらしい理由をつけてみる。

 ー今日は無理だが次こそは・・・。
 ーそれに会える口実になるかも・・・。

「わかりましたわ。副作用は嫌ですわね。・・・そうだわ。わたしがサシャ様のマナーなどをお教えしましょうか?そうすれば副作用が出た時に対処もしてくださいますわよね」
「えっ?」

 意外な提案に面食らう。

 どうやってミリア様に取り入ろうか考えてもいたため、願ったりかなったりでもあった。

 わたしの横にいるシスターだけは顔を
わずかに曇らせている。

「もちろん、わたしが無理をいうのですから、教会には多額の寄付をさせていただきますわ」

 ミリア様は目を細めシスターを見ると、彼女は口元を緩め承諾してくれた。

 こうして、夏休みの後半はわたしのそばにはミリア様がいた。
 貴族のご令嬢とは思えない質素な服でシスターと同じ手伝いをしている。
 時間がある時にわたしにマナーや勉強を見てくれた。

 変わらないにこやかな顔で教えてくる。時には厳しく常に優しく。

 彼女はわたしをその気にさせるのが上手い。

「どちらが美しく見えます?」

 シスターとミリア様自らの所作を比べてみせることもある。
 わたしだけでなく他のシスターのマナー改善までしていく。

 誰もが彼女を尊敬していた。

 わたしはそんなミリア様のお友達になれたのだ。
 誇らしくなる。

 わたしもちゃんとした貴族の一員になれる?
 
 だからこそミリア様と同じものが欲しくなった。そうすればもっともっと貴族になれるに違いない。
 王太子殿下に認めてもらえて、いずれはわたしは王太子妃・・・いや王妃様になれるのかも。

 そうなったら、ミリア様より上の立場になれる。

 みんなから尊敬されるようになればがわたしに頭をさげるのが見れるだろう。
 うらやましく思うかしら?

 それを想像するのが楽しかった。

 わたしは綺麗にネイルされた爪を見つめた。


 
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