11 / 29
11.サシャ
しおりを挟む
ミリア様は予定より一週間過ぎてから、また治療院に来た。
前回と同じくらいのお布施を持って来ているのが袋の膨らみでわかる。
シスターの嬉しそうな表情が隠しきれずにいた。
ー今回で終わりかな?
そんなことを思いながらミリア様に手を翳した。
ーやっぱり何かおかしい・・・。
集中しても、違和感がある。いつもなら感じたことがないのにだ。
少しだけ苛立ちみたいなのが生まれた。
ーどうして?
集中が切れてきたのでやめる。
「ミリア様、もう一度きていただけますか?」
「あら?どうして?」
ミリア様は首を傾げる姿は優雅で綺麗だった。
「ミリア様の症状は少し根深かかったようです。一気に直したことで副作用のようなものが出るかもしれませんので」
最もらしい理由をつけてみる。
ー今日は無理だが次こそは・・・。
ーそれに会える口実になるかも・・・。
「わかりましたわ。副作用は嫌ですわね。・・・そうだわ。わたしがサシャ様のマナーなどをお教えしましょうか?そうすれば副作用が出た時に対処もしてくださいますわよね」
「えっ?」
意外な提案に面食らう。
どうやってミリア様に取り入ろうか考えてもいたため、願ったりかなったりでもあった。
わたしの横にいるシスターだけは顔を
わずかに曇らせている。
「もちろん、わたしが無理をいうのですから、教会には多額の寄付をさせていただきますわ」
ミリア様は目を細めシスターを見ると、彼女は口元を緩め承諾してくれた。
こうして、夏休みの後半はわたしのそばにはミリア様がいた。
貴族のご令嬢とは思えない質素な服でシスターと同じ手伝いをしている。
時間がある時にわたしにマナーや勉強を見てくれた。
変わらないにこやかな顔で教えてくる。時には厳しく常に優しく。
彼女はわたしをその気にさせるのが上手い。
「どちらが美しく見えます?」
シスターとミリア様自らの所作を比べてみせることもある。
わたしだけでなく他のシスターのマナー改善までしていく。
誰もが彼女を尊敬していた。
わたしはそんなミリア様のお友達になれたのだ。
誇らしくなる。
わたしもちゃんとした貴族の一員になれる?
だからこそミリア様と同じものが欲しくなった。そうすればもっともっと貴族になれるに違いない。
王太子殿下に認めてもらえて、いずれはわたしは王太子妃・・・いや王妃様になれるのかも。
そうなったら、ミリア様より上の立場になれる。
みんなから尊敬されるようになればミリアがわたしに頭をさげるのが見れるだろう。
うらやましく思うかしら?
それを想像するのが楽しかった。
わたしは綺麗にネイルされた爪を見つめた。
前回と同じくらいのお布施を持って来ているのが袋の膨らみでわかる。
シスターの嬉しそうな表情が隠しきれずにいた。
ー今回で終わりかな?
そんなことを思いながらミリア様に手を翳した。
ーやっぱり何かおかしい・・・。
集中しても、違和感がある。いつもなら感じたことがないのにだ。
少しだけ苛立ちみたいなのが生まれた。
ーどうして?
集中が切れてきたのでやめる。
「ミリア様、もう一度きていただけますか?」
「あら?どうして?」
ミリア様は首を傾げる姿は優雅で綺麗だった。
「ミリア様の症状は少し根深かかったようです。一気に直したことで副作用のようなものが出るかもしれませんので」
最もらしい理由をつけてみる。
ー今日は無理だが次こそは・・・。
ーそれに会える口実になるかも・・・。
「わかりましたわ。副作用は嫌ですわね。・・・そうだわ。わたしがサシャ様のマナーなどをお教えしましょうか?そうすれば副作用が出た時に対処もしてくださいますわよね」
「えっ?」
意外な提案に面食らう。
どうやってミリア様に取り入ろうか考えてもいたため、願ったりかなったりでもあった。
わたしの横にいるシスターだけは顔を
わずかに曇らせている。
「もちろん、わたしが無理をいうのですから、教会には多額の寄付をさせていただきますわ」
ミリア様は目を細めシスターを見ると、彼女は口元を緩め承諾してくれた。
こうして、夏休みの後半はわたしのそばにはミリア様がいた。
貴族のご令嬢とは思えない質素な服でシスターと同じ手伝いをしている。
時間がある時にわたしにマナーや勉強を見てくれた。
変わらないにこやかな顔で教えてくる。時には厳しく常に優しく。
彼女はわたしをその気にさせるのが上手い。
「どちらが美しく見えます?」
シスターとミリア様自らの所作を比べてみせることもある。
わたしだけでなく他のシスターのマナー改善までしていく。
誰もが彼女を尊敬していた。
わたしはそんなミリア様のお友達になれたのだ。
誇らしくなる。
わたしもちゃんとした貴族の一員になれる?
だからこそミリア様と同じものが欲しくなった。そうすればもっともっと貴族になれるに違いない。
王太子殿下に認めてもらえて、いずれはわたしは王太子妃・・・いや王妃様になれるのかも。
そうなったら、ミリア様より上の立場になれる。
みんなから尊敬されるようになればミリアがわたしに頭をさげるのが見れるだろう。
うらやましく思うかしら?
それを想像するのが楽しかった。
わたしは綺麗にネイルされた爪を見つめた。
75
お気に入りに追加
321
あなたにおすすめの小説
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
貴妃エレーナ
無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」
後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。
「急に、どうされたのですか?」
「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」
「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」
そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。
どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。
けれど、もう安心してほしい。
私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。
だから…
「陛下…!大変です、内乱が…」
え…?
ーーーーーーーーーーーーー
ここは、どこ?
さっきまで内乱が…
「エレーナ?」
陛下…?
でも若いわ。
バッと自分の顔を触る。
するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。
懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!
貴方を捨てるのにこれ以上の理由が必要ですか?
蓮実 アラタ
恋愛
「リズが俺の子を身ごもった」
ある日、夫であるレンヴォルトにそう告げられたリディス。
リズは彼女の一番の親友で、その親友と夫が関係を持っていたことも十分ショックだったが、レンヴォルトはさらに衝撃的な言葉を放つ。
「できれば子どもを産ませて、引き取りたい」
結婚して五年、二人の間に子どもは生まれておらず、伯爵家当主であるレンヴォルトにはいずれ後継者が必要だった。
愛していた相手から裏切り同然の仕打ちを受けたリディスはこの瞬間からレンヴォルトとの離縁を決意。
これからは自分の幸せのために生きると決意した。
そんなリディスの元に隣国からの使者が訪れる。
「迎えに来たよ、リディス」
交わされた幼い日の約束を果たしに来たという幼馴染のユルドは隣国で騎士になっていた。
裏切られ傷ついたリディスが幼馴染の騎士に溺愛されていくまでのお話。
※完結まで書いた短編集消化のための投稿。
小説家になろう様にも掲載しています。アルファポリス先行。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる