【完結】人違いだと言っているのにわかってくれません

彩華(あやはな)

文字の大きさ
上 下
7 / 14

7.

しおりを挟む
 わたしはとある人物に会いに行った。
 その人たちはわたしを見て驚き泣いた。
 そして、わたしの話を聞いて、再び大泣きし、打ちひしがれた。
 今の彼らには酷な話なのはわかっていた。
 でも、願いなのだ。
 それを伝えることがー。


 わたしは彼らにも話を聞いた。
 何があったのか?一つずつ確認をしながら。
 
 憤りを感じた。
 キリキリとわたしの胸が締め付けられた。
 
 わたしは誓った。

 あいつらを許さない。


 
 一日休み、また学園に行く。

 平穏かと言うと違った。

 あの彼女は退学になっていた。
 除籍によくならなかったわね。
 わたしの温情があってのことだけどー。

 だから、みんなひそひそ話をしながら、わたしを恐れているようだった。

 はあ~。くだらないわ。
 喧嘩を売るなら、直接売ってくれれば楽なのに。

 ほんと、くだらない。

 わたしの鞄が無くなっていた。
 お花を摘みに戻ってくるとないなんて。
 どこに行ったのかしら。
 鞄に足が生えたのかしら。
 それとも這ってでていったのかしら?
 
 ふふっ。
 元気な鞄ね。


 探すためあちこち歩き回っていると、噴水の池の中で泳いでいた。

 さてさて、濡れるのは必須かしら。

 なんて、水ならお手のもの。
 手を水に入れて、願えば・・・なんて不思議近寄ってくるではありませんか?!
 マジックじゃなく魔法ね。

 一つずつ水気をとって片付けていく。

 あら、ブローチがない・・・。
 今日の朝、家に置いてくるのを忘れて鞄に入れておいた大事なブローチが。

 へぇ~・・・。
 あれを盗んだんだ・・・。
 売る事も出来ないし、自分のものとも偽る事も出来ないのに・・・。

 

 暫くは預けてあげるわ。
 返すなら早めがいいわよ、誰かさん?なーんてね。


 お昼に食堂に行く。
 再び、同じ事が起きる。

 例のおばさん・・・目をギラギラさせていた。
 一応学園長から何か言われた見たいね。

 でも、改善なしか。
 すごい度胸ね。
 感心しちゃうわ。

 あのおばさん、首にならなかったのか。残念。期待していたのにー。
 今日もわたしは昼ごはんにありつく事ができないようだ。



 わたしは授業など、どうでも良くなって、帰った。

 報告を書きましょう。

 毎日毎日作る報告書。

 向こうも毎日毎日届くからびっくりしてるだろうな・・・。でも、ありすぎるんだもの、仕方ないわ。

 エイテルの仕事も増えている。
 休ませてあげたいけど時間はない。
 エイテルが持ってきた資料や報告書を読み込み知る事実。
 わたしの周りにはクシャクシャの紙屑が広がる。
 大切なものなのはわかっている。

 でも、そうしたくなるのだ。
 無性にやるせなさに溢れた。

「お嬢様。身体に触ります」 
「もう少し・・・」

 夜はふける。
 
 





 

 
 
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

(完結)その女は誰ですか?ーーあなたの婚約者はこの私ですが・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はシーグ侯爵家のイルヤ。ビドは私の婚約者でとても真面目で純粋な人よ。でも、隣国に留学している彼に会いに行った私はそこで思いがけない光景に出くわす。 なんとそこには私を名乗る女がいたの。これってどういうこと? 婚約者の裏切りにざまぁします。コメディ風味。 ※この小説は独自の世界観で書いておりますので一切史実には基づきません。 ※ゆるふわ設定のご都合主義です。 ※元サヤはありません。

いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた

奏千歌
恋愛
 [ディエム家の双子姉妹]  どうして、こんな事になってしまったのか。  妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。

(完結)私が貴方から卒業する時

青空一夏
恋愛
私はペシオ公爵家のソレンヌ。ランディ・ヴァレリアン第2王子は私の婚約者だ。彼に幼い頃慰めてもらった思い出がある私はずっと恋をしていたわ。 だから、ランディ様に相応しくなれるよう努力してきたの。でもね、彼は・・・・・・ ※なんちゃって西洋風異世界。現代的な表現や機器、お料理などでてくる可能性あり。史実には全く基づいておりません。

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

(完結)伯爵家嫡男様、あなたの相手はお姉様ではなく私です

青空一夏
恋愛
私はティベリア・ウォーク。ウォーク公爵家の次女で、私にはすごい美貌のお姉様がいる。妖艶な体つきに色っぽくて綺麗な顔立ち。髪は淡いピンクで瞳は鮮やかなグリーン。 目の覚めるようなお姉様の容姿に比べて私の身体は小柄で華奢だ。髪も瞳もありふれたブラウンだし、鼻の頭にはそばかすがたくさん。それでも絵を描くことだけは大好きで、家族は私の絵の才能をとても高く評価してくれていた。 私とお姉様は少しも似ていないけれど仲良しだし、私はお姉様が大好きなの。 ある日、お姉様よりも早く私に婚約者ができた。相手はエルズバー伯爵家を継ぐ予定の嫡男ワイアット様。初めての顔あわせの時のこと。初めは好印象だったワイアット様だけれど、お姉様が途中で同席したらお姉様の顔ばかりをチラチラ見てお姉様にばかり話しかける。まるで私が見えなくなってしまったみたい。 あなたの婚約相手は私なんですけど? 不安になるのを堪えて我慢していたわ。でも、お姉様も曖昧な態度をとり続けて少しもワイアット様を注意してくださらない。 (お姉様は味方だと思っていたのに。もしかしたら敵なの? なぜワイアット様を注意してくれないの? お母様もお父様もどうして笑っているの?)  途中、タグの変更や追加の可能性があります。ファンタジーラブコメディー。 ※異世界の物語です。ゆるふわ設定。ご都合主義です。この小説独自の解釈でのファンタジー世界の生き物が出てくる場合があります。他の小説とは異なった性質をもっている場合がありますのでご了承くださいませ。

あなたの破滅のはじまり

nanahi
恋愛
家同士の契約で結婚した私。夫は男爵令嬢を愛人にし、私の事は放ったらかし。でも我慢も今日まで。あなたとの婚姻契約は今日で終わるのですから。 え?離縁をやめる?今更何を慌てているのです?契約条件に目を通していなかったんですか? あなたを待っているのは破滅ですよ。

(完)婚約破棄ですか? なぜ関係のない貴女がそれを言うのですか? それからそこの貴方は私の婚約者ではありません。

青空一夏
恋愛
グレイスは大商人リッチモンド家の娘である。アシュリー・バラノ侯爵はグレイスよりずっと年上で熊のように大きな体に顎髭が風格を添える騎士団長様。ベースはこの二人の恋物語です。 アシュリー・バラノ侯爵領は3年前から作物の不作続きで農民はすっかり疲弊していた。領民思いのアシュリー・バラノ侯爵の為にお金を融通したのがグレイスの父親である。ところがお金の返済日にアシュリー・バラノ侯爵は満額返せなかった。そこで娘の好みのタイプを知っていた父親はアシュリー・バラノ侯爵にある提案をするのだった。それはグレイスを妻に迎えることだった。 年上のアシュリー・バラノ侯爵のようなタイプが大好きなグレイスはこの婚約話をとても喜んだ。ところがその三日後のこと、一人の若い女性が怒鳴り込んできたのだ。 「あなたね? 私の愛おしい殿方を横からさらっていったのは・・・・・・婚約破棄です!」 そうしてさらには見知らぬ若者までやって来てグレイスに婚約破棄を告げるのだった。 ざまぁするつもりもないのにざまぁになってしまうコメディー。中世ヨーロッパ風異世界。ゆるふわ設定ご都合主義。途中からざまぁというより更生物語になってしまいました。 異なった登場人物視点から物語が展開していくスタイルです。

(完)婚約破棄ですね、従姉妹とどうかお幸せに

青空一夏
恋愛
私の婚約者は従姉妹の方が好きになってしまったようなの。 仕方がないから従姉妹に譲りますわ。 どうぞ、お幸せに! ざまぁ。中世ヨーロッパ風の異世界。中性ヨーロッパの文明とは違う点が(例えば現代的な文明の機器など)でてくるかもしれません。ゆるふわ設定ご都合主義。

処理中です...