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昼、食堂に行きます。
あの後、誰もわたしに近寄ろうともしなかった。
食堂は混雑していた。
だが、わたしが一歩踏み出すと、皆睨んできました。
ここは、共同よね。
わたしが来てもいいはず。
定食を注文すると中のおばさんから、「あんたに出すもんはないよ!」と言われた。
へぇ~、ないんだ。
差別かしら?
「ここは人を選ぶのですか?」
「はあ?」
「人を選ぶのかと聞いています」
「あんたにはないんだよ」
「わかりました。あなたの名前は?」
「なんだ。なんで言わなくちゃならないんだよ」
怒鳴るなんて衛生的に汚い。
他の調理員をみても、目が笑ってる。
仕方ない。注意が必要ね。
「わかりました。学園長に報告します」
「学園長?何様のつもりだい?」
「いち生徒です。わたしにも食堂の利用権利はあります」
なぜ、わかんないのかな~?
個人的理由の差別はよして欲しい・・・。
その前にわたしが何をしたと言うの?
わたしはあんたなんか知らないわよ。
恨まれる覚えだってない。
「どうした?」
男性の声。
振り向くと銀の髪に紫の瞳のイケメンがたったいた。腕には鼻につく可愛らしい少女をぶら下げていた。
「エルキース殿下・・・」
これがエルキース王太子か・・・。
「アンジェリーナ嬢が不満を言いまして」
アンジェリーナ・・・また?
不満・・・そりゃあ、言うでしょう。
王太子殿下はため息をついた。
「また、君か?しばらく来ないから平和だったのに、来れば問題を起こすのか?」
はあ?
「失礼ながら。人違いですわ。わたしはアンジュ・トレイニーと申します。そのアンジェリーナ様とは違います」
「はっ?名前までかえたのか?どれだけ図々しいのだ?変えるなら顔まで変えてこい。そんな不細工な顔見たくもないわ」
不細工・・・。
初めて言われた。
あの方は美しいと褒めてくださってのに・・・。
「失礼ながら、わたしは不満は言っておりませんよ。提供していただけないので、なぜかと聞いたまで、ですが?」
落ち着け・・・。
「誰がお前如きの話を聞くんだ!!」
王太子は嘲り笑うと、ぶら下げた女と去っていった。その際、ぶら下がり女の口角がにっと上がるのを見逃さなかった。
ふふっ、
いいわ、今に見てなさい。
わたしを怒らしたわね。
どいつもこいつも、人の名前を間違いやがって。
わたしは学園長室に乗り込み、あった事をすべて話した。
学園長は平謝りしてきた。
そうね、一度は許してあげる。
でも、次はないわ。
家に帰ると帝国に手紙を送る為机に向かった。
あの方に報告をするために手紙を書く。
「お嬢様」
エイテルが幾分くらい顔で部屋に入ってきた。手には数枚の紙を抱いていた。
「どうしたの?」
「報告書になります」
「なんの?昨日の?」
仕事が早いので助かる。
エイテルから、報告書を受け取り読んだ。
・・・。
嘘?
手から力が抜け、紙が床に散らばった。
エイテルを見る。
目を伏せ何かを耐えている。
・・・っ。
床を見る・・・。
わたしは、・・・遅かった・・・。
あの後、誰もわたしに近寄ろうともしなかった。
食堂は混雑していた。
だが、わたしが一歩踏み出すと、皆睨んできました。
ここは、共同よね。
わたしが来てもいいはず。
定食を注文すると中のおばさんから、「あんたに出すもんはないよ!」と言われた。
へぇ~、ないんだ。
差別かしら?
「ここは人を選ぶのですか?」
「はあ?」
「人を選ぶのかと聞いています」
「あんたにはないんだよ」
「わかりました。あなたの名前は?」
「なんだ。なんで言わなくちゃならないんだよ」
怒鳴るなんて衛生的に汚い。
他の調理員をみても、目が笑ってる。
仕方ない。注意が必要ね。
「わかりました。学園長に報告します」
「学園長?何様のつもりだい?」
「いち生徒です。わたしにも食堂の利用権利はあります」
なぜ、わかんないのかな~?
個人的理由の差別はよして欲しい・・・。
その前にわたしが何をしたと言うの?
わたしはあんたなんか知らないわよ。
恨まれる覚えだってない。
「どうした?」
男性の声。
振り向くと銀の髪に紫の瞳のイケメンがたったいた。腕には鼻につく可愛らしい少女をぶら下げていた。
「エルキース殿下・・・」
これがエルキース王太子か・・・。
「アンジェリーナ嬢が不満を言いまして」
アンジェリーナ・・・また?
不満・・・そりゃあ、言うでしょう。
王太子殿下はため息をついた。
「また、君か?しばらく来ないから平和だったのに、来れば問題を起こすのか?」
はあ?
「失礼ながら。人違いですわ。わたしはアンジュ・トレイニーと申します。そのアンジェリーナ様とは違います」
「はっ?名前までかえたのか?どれだけ図々しいのだ?変えるなら顔まで変えてこい。そんな不細工な顔見たくもないわ」
不細工・・・。
初めて言われた。
あの方は美しいと褒めてくださってのに・・・。
「失礼ながら、わたしは不満は言っておりませんよ。提供していただけないので、なぜかと聞いたまで、ですが?」
落ち着け・・・。
「誰がお前如きの話を聞くんだ!!」
王太子は嘲り笑うと、ぶら下げた女と去っていった。その際、ぶら下がり女の口角がにっと上がるのを見逃さなかった。
ふふっ、
いいわ、今に見てなさい。
わたしを怒らしたわね。
どいつもこいつも、人の名前を間違いやがって。
わたしは学園長室に乗り込み、あった事をすべて話した。
学園長は平謝りしてきた。
そうね、一度は許してあげる。
でも、次はないわ。
家に帰ると帝国に手紙を送る為机に向かった。
あの方に報告をするために手紙を書く。
「お嬢様」
エイテルが幾分くらい顔で部屋に入ってきた。手には数枚の紙を抱いていた。
「どうしたの?」
「報告書になります」
「なんの?昨日の?」
仕事が早いので助かる。
エイテルから、報告書を受け取り読んだ。
・・・。
嘘?
手から力が抜け、紙が床に散らばった。
エイテルを見る。
目を伏せ何かを耐えている。
・・・っ。
床を見る・・・。
わたしは、・・・遅かった・・・。
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