5 / 14
5.
しおりを挟む
次の日教室に入ると、わたしを遠巻きにみながら、内緒話が始まった。
昨日のうちにブライド伯爵家から、謝罪を受けた。
うちの侍女は仕事が早い。
彼は除籍が決まった。
当然よね。
机には水がこぼれていた。花瓶ごと。
花瓶には死者を悼む菊があった。
ふふっ・・・。
まだ、わかってないのね。
わたしは水をとり花瓶にもどした。
座ると一人の女子生徒がきて、わたしを平手打ちした。
「よくも、ケニー様を!!」
「誰?」
「シモニー伯爵家のアイリス・シモニーよ。ケニー・ブライド様はわたしの婚約者よ。アンジェリーナ様!!」
「人違いです、わたしはアンジュです」
また間違えられる。
どうなってるのかしら?
それはそうと、この方婚約者だったのね。
除籍になって、婚約解消されたわけか。
「自業自得で除籍になってだけよ。わたしのせいだけではないわ」
「何したの?あんたのごときが!!」
わたし如き?
わたし如きなんだ。
馬鹿な子ね。
「わたしに非礼を働いたの。それで除籍。正当なことよ。ブライド伯爵からも直接謝罪があったの。あなたがどうこう言おうが、これは正式なものなの」
「うそよ!」
「あなたは彼が何をしたか知って、言ってるの?」
「えっ?」
「わたしの教科書を破ったの。貰ったばかりの新品を」
「それだけ?」
「あなた、頭大丈夫?教科書を破るのがそれだけの事?じゃあ、働きなさい。自分の手で働いて本を買いなさいよ。働いたこともなく、親のお金で買ってるから価値がわからないの?平民が買うのに3日は働かないといけないのよ。なのに、彼はやってないと嘘までついた」
「彼が・・・やった、しょうこ、は?」
「知っていて隠した。立派な証拠よ」
「なに、それ?」
「誰も否定しなかったようよ」
周りを見る。
次々に目を逸らした。
「ブライド伯爵にはね、『わたしの教科書が破られました。子息が教えてくれましたが、犯人は知らないと言うのです。しかしながら『どうかされましたか』と笑いながら聞いてきたので、もしかすると何かご存知かもしれません。犯人がわかりましたらその方に請求しますが、今の段階で初めに気づかれた子息に請求させていただきます』と連絡しただけなの」
正式な書面でね。
あとは、あっちが判断しただけ。
きちんと裏取りもしたんじゃないかしら。
ちらほら青ざめた方々がいるもの。
自分の身が可愛くて押し付けたのかもしれないけど。
「アイリスさんでしたかしら。あなたも覚悟していてね。わたしに手をあげたのだから」
「ひっ・・・」
彼女の顔は真っ白。
人間ってこんなに色が変わる者なのね。
ぐるりと見渡します。
「綺麗な花をありがとうございます。直接お礼が言いたいわ。ぜひ会いたいわ」
ふふふっ。
昨日のうちにブライド伯爵家から、謝罪を受けた。
うちの侍女は仕事が早い。
彼は除籍が決まった。
当然よね。
机には水がこぼれていた。花瓶ごと。
花瓶には死者を悼む菊があった。
ふふっ・・・。
まだ、わかってないのね。
わたしは水をとり花瓶にもどした。
座ると一人の女子生徒がきて、わたしを平手打ちした。
「よくも、ケニー様を!!」
「誰?」
「シモニー伯爵家のアイリス・シモニーよ。ケニー・ブライド様はわたしの婚約者よ。アンジェリーナ様!!」
「人違いです、わたしはアンジュです」
また間違えられる。
どうなってるのかしら?
それはそうと、この方婚約者だったのね。
除籍になって、婚約解消されたわけか。
「自業自得で除籍になってだけよ。わたしのせいだけではないわ」
「何したの?あんたのごときが!!」
わたし如き?
わたし如きなんだ。
馬鹿な子ね。
「わたしに非礼を働いたの。それで除籍。正当なことよ。ブライド伯爵からも直接謝罪があったの。あなたがどうこう言おうが、これは正式なものなの」
「うそよ!」
「あなたは彼が何をしたか知って、言ってるの?」
「えっ?」
「わたしの教科書を破ったの。貰ったばかりの新品を」
「それだけ?」
「あなた、頭大丈夫?教科書を破るのがそれだけの事?じゃあ、働きなさい。自分の手で働いて本を買いなさいよ。働いたこともなく、親のお金で買ってるから価値がわからないの?平民が買うのに3日は働かないといけないのよ。なのに、彼はやってないと嘘までついた」
「彼が・・・やった、しょうこ、は?」
「知っていて隠した。立派な証拠よ」
「なに、それ?」
「誰も否定しなかったようよ」
周りを見る。
次々に目を逸らした。
「ブライド伯爵にはね、『わたしの教科書が破られました。子息が教えてくれましたが、犯人は知らないと言うのです。しかしながら『どうかされましたか』と笑いながら聞いてきたので、もしかすると何かご存知かもしれません。犯人がわかりましたらその方に請求しますが、今の段階で初めに気づかれた子息に請求させていただきます』と連絡しただけなの」
正式な書面でね。
あとは、あっちが判断しただけ。
きちんと裏取りもしたんじゃないかしら。
ちらほら青ざめた方々がいるもの。
自分の身が可愛くて押し付けたのかもしれないけど。
「アイリスさんでしたかしら。あなたも覚悟していてね。わたしに手をあげたのだから」
「ひっ・・・」
彼女の顔は真っ白。
人間ってこんなに色が変わる者なのね。
ぐるりと見渡します。
「綺麗な花をありがとうございます。直接お礼が言いたいわ。ぜひ会いたいわ」
ふふふっ。
97
お気に入りに追加
766
あなたにおすすめの小説

(完結)私が貴方から卒業する時
青空一夏
恋愛
私はペシオ公爵家のソレンヌ。ランディ・ヴァレリアン第2王子は私の婚約者だ。彼に幼い頃慰めてもらった思い出がある私はずっと恋をしていたわ。
だから、ランディ様に相応しくなれるよう努力してきたの。でもね、彼は・・・・・・
※なんちゃって西洋風異世界。現代的な表現や機器、お料理などでてくる可能性あり。史実には全く基づいておりません。

悪いのは全て妹なのに、婚約者は私を捨てるようです
天宮有
恋愛
伯爵令嬢シンディの妹デーリカは、様々な人に迷惑をかけていた。
デーリカはシンディが迷惑をかけていると言い出して、婚約者のオリドスはデーリカの発言を信じてしまう。
オリドスはシンディとの婚約を破棄して、デーリカと婚約したいようだ。
婚約破棄を言い渡されたシンディは、家を捨てようとしていた。

どんなに私が愛しても
豆狸
恋愛
どんなに遠く離れていても、この想いがけして届かないとわかっていても、私はずっと殿下を愛しています。
これからもずっと貴方の幸せを祈り続けています。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。

皆さん、覚悟してくださいね?
柚木ゆず
恋愛
わたしをイジメて、泣く姿を愉しんでいた皆さんへ。
さきほど偶然前世の記憶が蘇り、何もできずに怯えているわたしは居なくなったんですよ。
……覚悟してね? これから『あたし』がたっぷり、お礼をさせてもらうから。
※体調不良の影響でお返事ができないため、日曜日ごろ(24日ごろ)まで感想欄を閉じております。

(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?
青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。
けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの?
中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。

(完結)お姉様、私を捨てるの?
青空一夏
恋愛
大好きなお姉様の為に貴族学園に行かず奉公に出た私。なのに、お姉様は・・・・・・
中世ヨーロッパ風の異世界ですがここは貴族学園の上に上級学園があり、そこに行かなければ女官や文官になれない世界です。現代で言うところの大学のようなもので、文官や女官は○○省で働くキャリア官僚のようなものと考えてください。日本的な価値観も混ざった異世界の姉妹のお話。番の話も混じったショートショート。※獣人の貴族もいますがどちらかというと人間より下に見られている世界観です。

見えるものしか見ないから
mios
恋愛
公爵家で行われた茶会で、一人のご令嬢が倒れた。彼女は、主催者の公爵家の一人娘から婚約者を奪った令嬢として有名だった。一つわかっていることは、彼女の死因。
第二王子ミカエルは、彼女の無念を晴そうとするが……

元平民の義妹は私の婚約者を狙っている
カレイ
恋愛
伯爵令嬢エミーヌは父親の再婚によって義母とその娘、つまり義妹であるヴィヴィと暮らすこととなった。
最初のうちは仲良く暮らしていたはずなのに、気づけばエミーヌの居場所はなくなっていた。その理由は単純。
「エミーヌお嬢様は平民がお嫌い」だから。
そんな噂が広まったのは、おそらく義母が陰で「あの子が私を母親だと認めてくれないの!やっぱり平民の私じゃ……」とか、義妹が「時々エミーヌに睨まれてる気がするの。私は仲良くしたいのに……」とか言っているからだろう。
そして学園に入学すると義妹はエミーヌの婚約者ロバートへと近づいていくのだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる