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35.夜の散歩1
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お茶会は無事に終わったその夜、セイネ様は窓から海を眺めていた。月が水面に反射しているのが綺麗なのだろう。
「今日のお茶会でお疲れでしょうから、早くお休みなってください」
緊張したお茶会で笑みを見せるだけでも疲れただろうに、セイネ様はそんな様子の微塵もう見せていなかった。
海を見ているセイネ様は微動だにしない。風に髪を靡かせているだけ。月の妖精のような姿が美しかった。
思案している時を邪魔したくはなかったが言うなら今しかないと思い、声をかける。
「・・・セイネ様。一つ言わなければならないことがあります。声が出る薬ですが、欠点がありました」
セイネ様はゆっくりと振り向き、やっと視線があった。
手話で聞いてくる。
『欠点??』
「はい。薬は近日にはできますが、それを飲むと人魚の魔力は失なわれます。理から外れたものにはその代償も大きいのです。簡単に作れると言って申しわけありません」
頭を下げた。セイネ様は首を振る。
『フィーは、私のためだと思ったんでしょう』
「セイネ様・・・」
『眠れないからもう少し付き合ってくれる?』
「勿論です。せっかくですので、城内を散歩をして本館への渡り廊下にあるバルコニーまで行って涼んできませんか?」
セイネ様は頷く。
昼間は暖かくても夜になると少し涼しいので、セイネ様にショールをかけると、ランプを持って二人で真っ暗な城の中へと散歩に出た。
「静かな廊下はドキドキしますね」
昼間の生活音や人の気配は消え、ところどころについている廊下の火の燃える音だけがわずかにしている。
『海の中とは違うわ』
「そうですね。静かでも何かしらの音がしますから」
『ほんと、フィーは面白いわ。まるで海の中でいたことがあるみたいに言うのね』
「想像ですよ」
そんなたわいない話をしていると、バルコニーにつく。いざ外の空気を吸おうとしたところで足を止めた。
『?』
突然、動かなくなった私に驚いてセイネ様は服を引っ張ってきた。
私は口に人差し指を立て、そのまま外を合図するとセイネ様が身を乗り出すようにして、バルコニーを見る。
そこにはリュート殿下とアルフ様の姿があった。
海に面したあまり広くないバルコニーのため、波の音とともに途切れ途切れに声が聞こえてくる。
「リュート、大丈夫か?気のせいでなく調子が悪そうだな。珍しくロイドに嫌味を言うとは、お前らしくない」
「あなたには敵わないなぁ・・・」
「そりゃあ、小さい頃から見てるんだ。当たり前だろう。私の前では弱音を吐いても構わないんだぞ」
「嫌ですよ。もう子供じゃないんですから」
「そう言うと思って口が軽くなる薬を持ってきた」
「酒ですか?しかもとびきりいいやつだすね」
「しかも飲めば飲むほど忘れることがをしやすくなるいい酒だ。」
「忘れることができるって一本では酔えませんよ。それに・・・」
「忘れたふりはできる」
「ですね。飲みますよ」
「そら、グラス!」
「準備がいいですね」
上下関係を超えた親しいのだろうか。二人はとても仲がいいように見えた。
これ以上立ち聞きしてはいけないと思いセイネ様と顔を見た。彼女もそれがわかったのか頷いて、そっと窓から離れる。
しかし、リュート殿下の次の言葉にセイネ様は動けなくなった。
「今日のお茶会でお疲れでしょうから、早くお休みなってください」
緊張したお茶会で笑みを見せるだけでも疲れただろうに、セイネ様はそんな様子の微塵もう見せていなかった。
海を見ているセイネ様は微動だにしない。風に髪を靡かせているだけ。月の妖精のような姿が美しかった。
思案している時を邪魔したくはなかったが言うなら今しかないと思い、声をかける。
「・・・セイネ様。一つ言わなければならないことがあります。声が出る薬ですが、欠点がありました」
セイネ様はゆっくりと振り向き、やっと視線があった。
手話で聞いてくる。
『欠点??』
「はい。薬は近日にはできますが、それを飲むと人魚の魔力は失なわれます。理から外れたものにはその代償も大きいのです。簡単に作れると言って申しわけありません」
頭を下げた。セイネ様は首を振る。
『フィーは、私のためだと思ったんでしょう』
「セイネ様・・・」
『眠れないからもう少し付き合ってくれる?』
「勿論です。せっかくですので、城内を散歩をして本館への渡り廊下にあるバルコニーまで行って涼んできませんか?」
セイネ様は頷く。
昼間は暖かくても夜になると少し涼しいので、セイネ様にショールをかけると、ランプを持って二人で真っ暗な城の中へと散歩に出た。
「静かな廊下はドキドキしますね」
昼間の生活音や人の気配は消え、ところどころについている廊下の火の燃える音だけがわずかにしている。
『海の中とは違うわ』
「そうですね。静かでも何かしらの音がしますから」
『ほんと、フィーは面白いわ。まるで海の中でいたことがあるみたいに言うのね』
「想像ですよ」
そんなたわいない話をしていると、バルコニーにつく。いざ外の空気を吸おうとしたところで足を止めた。
『?』
突然、動かなくなった私に驚いてセイネ様は服を引っ張ってきた。
私は口に人差し指を立て、そのまま外を合図するとセイネ様が身を乗り出すようにして、バルコニーを見る。
そこにはリュート殿下とアルフ様の姿があった。
海に面したあまり広くないバルコニーのため、波の音とともに途切れ途切れに声が聞こえてくる。
「リュート、大丈夫か?気のせいでなく調子が悪そうだな。珍しくロイドに嫌味を言うとは、お前らしくない」
「あなたには敵わないなぁ・・・」
「そりゃあ、小さい頃から見てるんだ。当たり前だろう。私の前では弱音を吐いても構わないんだぞ」
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「そう言うと思って口が軽くなる薬を持ってきた」
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「忘れたふりはできる」
「ですね。飲みますよ」
「そら、グラス!」
「準備がいいですね」
上下関係を超えた親しいのだろうか。二人はとても仲がいいように見えた。
これ以上立ち聞きしてはいけないと思いセイネ様と顔を見た。彼女もそれがわかったのか頷いて、そっと窓から離れる。
しかし、リュート殿下の次の言葉にセイネ様は動けなくなった。
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