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24.不思議なルナ(メリア視点)
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私の名前はメリア・ロアウドと言います。一番上の姉はアンナ、二番目の姉をマリーと言います。伯爵家の娘ですが、大昔からアトラス王家に仕えできました。ロアウド伯爵家の娘は侍女、メイドをするのが掟のようにしてあります。
私は正直なぜ昔からの掟を守らなければならないのかは分かりません。アンナお姉様はしきたりだとか伝統だからと言っていますが、私からすれば、はっきり言って古臭いとしか言いようがありません。
そんな私も西館のメイド長を務めています。
本館や東館ほど忙しくないためのんびりしているので、私には丁度いい感じです。
そんな西館にお客様が来たました。
カラナイ国との親善パーティーでの乱入者と聞いたていたので警戒しましたが、その方は全身びしょ濡れで気を失っていました。
急いで医師を手配し、着替えをさせます。
長く綺麗な黒髪に、長いまつ毛。そしてきめ細やかな肌。同じ女性としてドキドキして羨ましく思うほどでした。
次の日には目を覚まされました。
様子を見に行くとすでに起きていて、私を待っていたかのようでした。
私は彼女の目に釘付けになりました。
お母様が持っていた首飾りについていた黒曜石のような瞳に見惚れてしまったのです。
アトラス国ではこれほどまでに綺麗な黒い瞳など見たことがなくて。
彼女は笑顔を向けてくれました。
少しだけ見たことがある東館のお客様や本館にいる王女様とも違って『これぞ大人の女性』と言った雰囲気に魅了されました。
「は、はじめまして、メリアとお呼びください」
「私はルナよ」
声も少し低めの落ち着いた感じです。
きっと高貴な身分ではないのかと思ってしまいます。こんな方のお世話ができるなんて夢のようです。
「あの、あなたはどこから来たのですか?」
アルフ様やアンナお姉様に知らせないといけないとは思いつつ聞きました。
「内緒よ」
そう言って笑うルナ様は魅力がありました。
その後、アルフ様を呼びに行きました。
ルナ様は名前以外何も教えてはくれませんでした。終始微笑まれていました。
この数日でわかったことといえば、ルナ様は気高いと言うのでしょう。
言葉遣いが高飛車なところがありました。外見とマッチしているので、従いたくなります。
その反面子供っぽいところもありました。
顔立ちも整っていて、長い黒髪も綺麗なのに髪を結うのを嫌っていたり、髪には擦り切れかけた花の刺繍がされたピンを外さなかったり。
魚料理より肉料理を好まれ、かといって野菜より海藻を所望されることもあります。
衣装も軽いものを要求され、靴を履きたがりません。
とても不思議な方です。
「ルナ様。その髪飾り擦り切れていますが大事なものですか」
ルナ様はそっと髪に手をやりました。
「両親の形見なの」
「あの、手直ししましょうか?」
お節介かもしれないが、大事なものがこれ以上ボロボロになるのは可哀想な気がしました。
「できるの?」
黒い目が真正面から見てくる。
「姉妹の中でも刺繍は得意なんです」
「お願いできるかしら」
「はい、お任せください」
元気に返事をしました。
「ふふっ。メリアは凄いのね」
「いえ、そんなことは・・・」
褒められると嬉しくなります。
ルナ様はピンを外し私に手渡しながら言います。
「本当のことよ。東館のセイネにも会えるようにしてくれたし」
「本当にお会いになるのですか?」
ルナ様は起きてすぐに東館のお客様と本館の王女様に会わせて欲しいと言ってきました。
アルフ様に相談すると、王女様は無理でも東館のお客様は返事次第で会えることになりました。
ただ、ルナ様の生活が落ち着いてからということで今日なりました。
昼過ぎセイネ様が西館のルナ様の部屋にやってきました。
マリー姉様とセイネ様の世話をしているフィーも一緒でした。
当然のようにいるので私はあまり好きではありません。
「メリアは外にいてね」
「ですが、お二人だけにはできません」
ルナ様が私を追い出そうとするので拒否しました。
お二人にして何かあってはいけません。
セイネ様はフィーの裾を引っ張ります。
「そのメイドならいいわ。セイネが懐いてるみたいだし」
「納得できません」
「メリアには聞かせたくないのよ。それに私のピンを繕ってほしいもの」
それでも食い下がろうとすると、マリー姉様が止めてきました。
「メリアよしなさい。フィー頼みましたよ」
「はい」
ーなんなのよ!
私は何年もメイドとしてやってきたのです。ついこないだ入ってきた人魚マニアの女に負けるとは思いもしませんでした。
なのに、私がダメでフィーが良いのは納得できなかったのです。
閉じられるドアが憎く思ったのは初めてです。
お姉様に引っ張られるようにして控室に入りました。
お姉様はニヤニヤ笑っています。
「落ち着きなさい。やる気なしのメリアが珍しいわね」
「それは・・・」
「私たちは与えられた仕事をすればいいの。フィーに任せれば大丈夫よ」
「新参者ですよ」
「それでもよ。アルフ様にも一目置かれているようだわ」
意外な言葉にお姉様を見ました。
「それにアンナ姉様の評価も高いわよ」
「アンナ姉様からも!?」
他人にも厳しいアンナ姉様の評価が高いなんて驚きでしかないです。
「それより、それを手直しするの?」
お姉様が私の手の中にあるピンを見ました。
白い花の刺繍が目に入ります。
「ご両親の形見だそうです」
「そうなの。大事にしてるのね。なんの花かしら?」
「いちごの花だと思います」
「刺繍ではあまり見かけないわよね」
確かにです。子供に送るなら華やかな花の刺繍を選ぶばいいのに、なぜこんな地味で単調な花の刺繍をしたピンを送ったのか不思議に思ます。
ルナ様たちの話が終わるまで私は刺繍の手直しをすることにしました。
何かしていないと落ち着かないと思ったからです。
裁縫箱をもってきて、白い刺繍を探しながら思いました。
ーいちごの花言葉なんだったかしら?後で調べて見ましょう。
私は正直なぜ昔からの掟を守らなければならないのかは分かりません。アンナお姉様はしきたりだとか伝統だからと言っていますが、私からすれば、はっきり言って古臭いとしか言いようがありません。
そんな私も西館のメイド長を務めています。
本館や東館ほど忙しくないためのんびりしているので、私には丁度いい感じです。
そんな西館にお客様が来たました。
カラナイ国との親善パーティーでの乱入者と聞いたていたので警戒しましたが、その方は全身びしょ濡れで気を失っていました。
急いで医師を手配し、着替えをさせます。
長く綺麗な黒髪に、長いまつ毛。そしてきめ細やかな肌。同じ女性としてドキドキして羨ましく思うほどでした。
次の日には目を覚まされました。
様子を見に行くとすでに起きていて、私を待っていたかのようでした。
私は彼女の目に釘付けになりました。
お母様が持っていた首飾りについていた黒曜石のような瞳に見惚れてしまったのです。
アトラス国ではこれほどまでに綺麗な黒い瞳など見たことがなくて。
彼女は笑顔を向けてくれました。
少しだけ見たことがある東館のお客様や本館にいる王女様とも違って『これぞ大人の女性』と言った雰囲気に魅了されました。
「は、はじめまして、メリアとお呼びください」
「私はルナよ」
声も少し低めの落ち着いた感じです。
きっと高貴な身分ではないのかと思ってしまいます。こんな方のお世話ができるなんて夢のようです。
「あの、あなたはどこから来たのですか?」
アルフ様やアンナお姉様に知らせないといけないとは思いつつ聞きました。
「内緒よ」
そう言って笑うルナ様は魅力がありました。
その後、アルフ様を呼びに行きました。
ルナ様は名前以外何も教えてはくれませんでした。終始微笑まれていました。
この数日でわかったことといえば、ルナ様は気高いと言うのでしょう。
言葉遣いが高飛車なところがありました。外見とマッチしているので、従いたくなります。
その反面子供っぽいところもありました。
顔立ちも整っていて、長い黒髪も綺麗なのに髪を結うのを嫌っていたり、髪には擦り切れかけた花の刺繍がされたピンを外さなかったり。
魚料理より肉料理を好まれ、かといって野菜より海藻を所望されることもあります。
衣装も軽いものを要求され、靴を履きたがりません。
とても不思議な方です。
「ルナ様。その髪飾り擦り切れていますが大事なものですか」
ルナ様はそっと髪に手をやりました。
「両親の形見なの」
「あの、手直ししましょうか?」
お節介かもしれないが、大事なものがこれ以上ボロボロになるのは可哀想な気がしました。
「できるの?」
黒い目が真正面から見てくる。
「姉妹の中でも刺繍は得意なんです」
「お願いできるかしら」
「はい、お任せください」
元気に返事をしました。
「ふふっ。メリアは凄いのね」
「いえ、そんなことは・・・」
褒められると嬉しくなります。
ルナ様はピンを外し私に手渡しながら言います。
「本当のことよ。東館のセイネにも会えるようにしてくれたし」
「本当にお会いになるのですか?」
ルナ様は起きてすぐに東館のお客様と本館の王女様に会わせて欲しいと言ってきました。
アルフ様に相談すると、王女様は無理でも東館のお客様は返事次第で会えることになりました。
ただ、ルナ様の生活が落ち着いてからということで今日なりました。
昼過ぎセイネ様が西館のルナ様の部屋にやってきました。
マリー姉様とセイネ様の世話をしているフィーも一緒でした。
当然のようにいるので私はあまり好きではありません。
「メリアは外にいてね」
「ですが、お二人だけにはできません」
ルナ様が私を追い出そうとするので拒否しました。
お二人にして何かあってはいけません。
セイネ様はフィーの裾を引っ張ります。
「そのメイドならいいわ。セイネが懐いてるみたいだし」
「納得できません」
「メリアには聞かせたくないのよ。それに私のピンを繕ってほしいもの」
それでも食い下がろうとすると、マリー姉様が止めてきました。
「メリアよしなさい。フィー頼みましたよ」
「はい」
ーなんなのよ!
私は何年もメイドとしてやってきたのです。ついこないだ入ってきた人魚マニアの女に負けるとは思いもしませんでした。
なのに、私がダメでフィーが良いのは納得できなかったのです。
閉じられるドアが憎く思ったのは初めてです。
お姉様に引っ張られるようにして控室に入りました。
お姉様はニヤニヤ笑っています。
「落ち着きなさい。やる気なしのメリアが珍しいわね」
「それは・・・」
「私たちは与えられた仕事をすればいいの。フィーに任せれば大丈夫よ」
「新参者ですよ」
「それでもよ。アルフ様にも一目置かれているようだわ」
意外な言葉にお姉様を見ました。
「それにアンナ姉様の評価も高いわよ」
「アンナ姉様からも!?」
他人にも厳しいアンナ姉様の評価が高いなんて驚きでしかないです。
「それより、それを手直しするの?」
お姉様が私の手の中にあるピンを見ました。
白い花の刺繍が目に入ります。
「ご両親の形見だそうです」
「そうなの。大事にしてるのね。なんの花かしら?」
「いちごの花だと思います」
「刺繍ではあまり見かけないわよね」
確かにです。子供に送るなら華やかな花の刺繍を選ぶばいいのに、なぜこんな地味で単調な花の刺繍をしたピンを送ったのか不思議に思ます。
ルナ様たちの話が終わるまで私は刺繍の手直しをすることにしました。
何かしていないと落ち着かないと思ったからです。
裁縫箱をもってきて、白い刺繍を探しながら思いました。
ーいちごの花言葉なんだったかしら?後で調べて見ましょう。
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