25 / 33
連載
75.
しおりを挟む
「エフタール風邪のせいでね。まだまだ不景気続きなのよね。ヤトリ優しいから・・・強く言えないし・・・。それに子供も大きくなってなにかと入りようなの。
レイフリードは薬を作って稼いでいるんでしょう?なら、私たちに援助してくれるわよね」
あぁ、そうか。
エフタール風邪の薬によって稼いでいると思われているのか。
実際はそんなことはないのに。
レフリーは眉を寄せていた。
「なぜ?」
「なぜって。兄弟じゃない。あなたはヤトリの弟でしょう?なら、兄を助けあげないと!」
「何か勘違いしていませんか?既に僕はあの家からは除籍されていますよ。もう関わりなどないじゃありませんか」
「そんなの関係ないじゃない。兄弟よ!!血の繋がってたった一人のお兄様でしょう。」
兄弟だからなんなのだろう・・・。
わたしは血の繋がって姉から・・・。
「彼は僕を裏切りました。今は兄弟だと思っていません」
「レイフリード!!」
「それに、お金がないのは君が使い込んているからなんだろう?」
「えっ?」
マデリーン様は慌て出す。
それにわざと気づかないフリをしてレフリーはにこやかに続けた。
「新作のドレスや宝石を買い漁っているらしいね。しかも子供のこともほったらかしにして、母様に全て子育てを任せてるとか?」
「なんで・・・」
「オーランドさんから聞いていたんだよ。母様たちが、僕の周りを嗅ぎ回っているって言ってたから、念のため情報は仕入れてたんだよね。まさか、強行突破してくるほど困っているとは思わなかったけど」
オーランド様、情報に精通してますね・・・。
「それは・・・、だって・・・、お金が・・・」
「僕には、もう兄さんはいない。僕の家族はリサと生まれてくる子供だけだよ。あと、この屋敷にいる家族同然の仲間たちだけだ」
「レイフリード!!私、私ね、後悔してるの。悪いと思っているのよ。だから、見捨てないでよ!」
泣きそうな顔。
それも狙っているのだろうか?
こんなのをあざとかわいいと言うのだろうか。
間違いなくわたしには無理だ。
「見捨ててなんかいないよ。君らが僕を見捨てたんだ。
だから、僕は一から僕らしく生きているだけだ。君たちと離れたことを僕は後悔していないし、すっきりしてるんだ」
すっきりとした表情のレフリー。
対照的な二人の表情をわたしは見つめていた。
「そんな女のどこがいいのよ!!」
それはあまりに失礼すぎるのではないか?
レフリーはわたしを見て笑った。
「全部だよ。僕を応援してくれるし。リサを前にするとどんな時も素直になれる。僕にとって素晴らしい人だ」
「何よ!子供のことも考えないで実験体になろうとする女じゃないの!最低女じゃない!!母親失格じゃない!!」
「育児を放棄する母親が何言ってるわけ?」
「家庭内の事情に口を出さないで!」
「そうだね。じゃあ、君も口を出さないでくれ。それに僕は君と違って責任をとるつもりだよ」
レフリー?
「あれは僕が許可した。リサの意見を尊重しただけじゃない。研究者の性が優ったと言っても過言じゃない。
責められるのは二人だ。
これからも、僕たちは非難されようとも、生まれた子供に障害があって、その子から恨まれようとも僕らは逃げようとは思わない。全部受け入れていくつもりだよ。二人で手を取り合いながら、立ち向かって行く」
真摯な眼差しに力付けられる。
わたしはレフリーの横に立った。
レフリーがわたしの手を握ってくれた。
うん。苦楽を共にしていく。
何があっても・・・。
マデリーン様は可愛い顔を顰めた。
ハラハラと何かが剥がれ落ちたような見えた。
化けの皮が剥げたのか、文字通り白粉が剥がれ落ちたのかは、わたしには判断できなかった。
「もういいわ。今後何があっても、頼りにこないでちょうだい。もう関わり合いなどしないわ!!」
「えぇ、既に他人ですから」
レフリーの爽やかな笑みに彼女は逃げるように去っていった。
「レフリー」
「何?」
彼女の姿が見えなくなってからわたしはレフリーを見上げた。
変わらない優しい顔がそこにあった。
ずっと側にいてくれる大事な人。
大好きだな。
「これからもよろしくね」
彼は破顔した。
「こちらこそ。ずっと一緒にいようね」
「うん」
わたしたちは硬く手を握り合ったー。
レイフリードは薬を作って稼いでいるんでしょう?なら、私たちに援助してくれるわよね」
あぁ、そうか。
エフタール風邪の薬によって稼いでいると思われているのか。
実際はそんなことはないのに。
レフリーは眉を寄せていた。
「なぜ?」
「なぜって。兄弟じゃない。あなたはヤトリの弟でしょう?なら、兄を助けあげないと!」
「何か勘違いしていませんか?既に僕はあの家からは除籍されていますよ。もう関わりなどないじゃありませんか」
「そんなの関係ないじゃない。兄弟よ!!血の繋がってたった一人のお兄様でしょう。」
兄弟だからなんなのだろう・・・。
わたしは血の繋がって姉から・・・。
「彼は僕を裏切りました。今は兄弟だと思っていません」
「レイフリード!!」
「それに、お金がないのは君が使い込んているからなんだろう?」
「えっ?」
マデリーン様は慌て出す。
それにわざと気づかないフリをしてレフリーはにこやかに続けた。
「新作のドレスや宝石を買い漁っているらしいね。しかも子供のこともほったらかしにして、母様に全て子育てを任せてるとか?」
「なんで・・・」
「オーランドさんから聞いていたんだよ。母様たちが、僕の周りを嗅ぎ回っているって言ってたから、念のため情報は仕入れてたんだよね。まさか、強行突破してくるほど困っているとは思わなかったけど」
オーランド様、情報に精通してますね・・・。
「それは・・・、だって・・・、お金が・・・」
「僕には、もう兄さんはいない。僕の家族はリサと生まれてくる子供だけだよ。あと、この屋敷にいる家族同然の仲間たちだけだ」
「レイフリード!!私、私ね、後悔してるの。悪いと思っているのよ。だから、見捨てないでよ!」
泣きそうな顔。
それも狙っているのだろうか?
こんなのをあざとかわいいと言うのだろうか。
間違いなくわたしには無理だ。
「見捨ててなんかいないよ。君らが僕を見捨てたんだ。
だから、僕は一から僕らしく生きているだけだ。君たちと離れたことを僕は後悔していないし、すっきりしてるんだ」
すっきりとした表情のレフリー。
対照的な二人の表情をわたしは見つめていた。
「そんな女のどこがいいのよ!!」
それはあまりに失礼すぎるのではないか?
レフリーはわたしを見て笑った。
「全部だよ。僕を応援してくれるし。リサを前にするとどんな時も素直になれる。僕にとって素晴らしい人だ」
「何よ!子供のことも考えないで実験体になろうとする女じゃないの!最低女じゃない!!母親失格じゃない!!」
「育児を放棄する母親が何言ってるわけ?」
「家庭内の事情に口を出さないで!」
「そうだね。じゃあ、君も口を出さないでくれ。それに僕は君と違って責任をとるつもりだよ」
レフリー?
「あれは僕が許可した。リサの意見を尊重しただけじゃない。研究者の性が優ったと言っても過言じゃない。
責められるのは二人だ。
これからも、僕たちは非難されようとも、生まれた子供に障害があって、その子から恨まれようとも僕らは逃げようとは思わない。全部受け入れていくつもりだよ。二人で手を取り合いながら、立ち向かって行く」
真摯な眼差しに力付けられる。
わたしはレフリーの横に立った。
レフリーがわたしの手を握ってくれた。
うん。苦楽を共にしていく。
何があっても・・・。
マデリーン様は可愛い顔を顰めた。
ハラハラと何かが剥がれ落ちたような見えた。
化けの皮が剥げたのか、文字通り白粉が剥がれ落ちたのかは、わたしには判断できなかった。
「もういいわ。今後何があっても、頼りにこないでちょうだい。もう関わり合いなどしないわ!!」
「えぇ、既に他人ですから」
レフリーの爽やかな笑みに彼女は逃げるように去っていった。
「レフリー」
「何?」
彼女の姿が見えなくなってからわたしはレフリーを見上げた。
変わらない優しい顔がそこにあった。
ずっと側にいてくれる大事な人。
大好きだな。
「これからもよろしくね」
彼は破顔した。
「こちらこそ。ずっと一緒にいようね」
「うん」
わたしたちは硬く手を握り合ったー。
626
お気に入りに追加
8,659
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます
この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。
レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。
【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。
そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。