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76.研究員その1視点
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やあ、久しぶりだ。
覚えているだろうか。『研究員その1』である。
僕の名前はトーマス。
やっと名前が言えた。
その後を知りたい人は大勢いるだろうから、僕から語らせてもらう。
そうだな・・・、アルザス国のことから話そうか。
アルザス国は元王太子妃フレア様の処刑により、以前までの薬の危険性を平民たちに周知する事ができた。僕たちが作った薬も無事認可されたのもあって、平民たちにも公に出回っることになった。
蓋を開ければ全てがボロボロのアルザス国。
政治も組織も生活に置いても・・・。
国民からの支持も地に落ちたのもあり、このままでは崩壊もあり得るような最中になったアルザス国。
マトリック王太子殿下もそれをわかっていたからこそ、王太子妃の処刑に踏み切ったようだったが、効果はなかったようだった。
まぁ、当然だよな。今までが今までであったのだから。どう格好をつけようと今更感が強いだけだ。
これを見かねた(建前だけ)皇帝陛下からの案として、ラフィシア皇妹殿下が嫁がれることになった。
当のラフィシア皇妹殿下はノリノリだったようだ。
マトリック王太子殿下に対しての気持ちはもとよりないに等しいが、皇帝陛下を模範にして自分の手で国を作りたいという気持ちが大きかったようであっさりと決まった。
リサ様の故郷だからだという理由もあるのでは、と僕は思っている。
こうなれば実質、帝国の属国になったのと同じだろう。
マトリック王太子殿下も素直に受け入れたようだった。
既にラフィシア皇妹殿下は精鋭の部下を連れてアルザス国に入られた。
ちなみにラフィシア皇妹殿下の人柄から、リリアン王女ともうまくやっているらしい。マトリック殿下に指示しまくっているらしいとも・・・。
来年には結婚式をあげ、マトリック王太子殿下は国王になる予定である。
マトリック王太子殿下はきっと形だけの国王になるだろう。
現国王は隠居というなの幽閉が決まったとオーランド様が言っていた。
仕方ないだろう。
こんな国にした責任なのだから。
ラフィシア皇妹殿下がいるなら、この先のアルザス国は安泰といえる。
頼りないマトリック王太子殿下はリリアン王女とのんびり暮らすかもしれない。
あぁ、あとアルスター二伯爵は、これまたラフィシア皇妹殿下からの勧めで帝国女性を妻にした。薬草の事もあるので強く結びつけようとしたようだ。
彼女はとある伯爵家の次男坊の奥方だったが、先のエフタール風邪で夫を亡くし未亡人になったらしい。
一人でも生きていけるほどの強い女性らしいが、実家の両親も亡くなっているため帰る場所もないらしく、ラフィシア皇妹殿下がアルスター二伯爵に有無も言わせずに紹介したらしい。
彼女はリサ様のお姉様のウェディングドレスを見て笑いながら言ったそうだ。
「庭で燃やされるのと倉庫のチェストの中にしまうのとどちらを選びますか?」と。
当然アルスター二伯爵はチェストに入れる事を選んだらしい。
リサ様が置いていったドレスは売り飛ばしたようだった。
初めは渋っていたアルスター二伯爵に対してー。
「誰が着るのですか?わたしは趣味でないのできませんわよ。
未練がないのなら捨ててしまいましょう」
「だが、しかし・・・」
「お相手の方は全てを捨てたのですのよ、ねっ?なら、置いておく必要などありませんわ。置いておかれても相手にとっては気持ち悪いだけですからやめた方がよろしいですわ~~」
目が笑っていない笑顔で言われた『気持ち悪い』が余程こたえたらしく、即時に売り払いそのお金で薬草作りの補助金に回したらしい。
金使い荒い伯爵の我儘な母親に対しても彼女はこんこんと嫌味の嵐を送り、あの母親を発狂寸前にまで追い込み再起不能にさせたとかなんとか・・・。
アルスター二伯爵を尻に敷き、こちらも伯爵の権威を乗っ取ったようだ。
正気・・・くほんっ、精気まで搾り取っているのでは、とかなんとか・・・。
肉体的からか精神的・・・いや二つの苦労からか、げっそりと痩せた伯爵は屈強な村人に囲まれて薬草作りに専念しているようだ。時たま、妻の不満をこぼしているとかなんとか・・・。
不器用なまでに一つのことしかできない伯爵にとっては良いのかもしれない。
オーランド様が見てきたかのように詳しく教えてくれた。
発信元はポーラ様のようだが、きちんと裏どりをしてきたのではなかろうかと、思ってしまった。
ポーラ様も元気にしている。
彼女からの報告にはリサ様の万年筆を盗んだ者たちのうち、一人は既に万年筆を売り飛ばした者がいたようだが、その人はエフタール風邪で亡くなったらしい。
2本はリサ様の元に送られてきた。
その者たちは使い込んだ報酬分のお金を借金までして払い終えるなりハリエルド商会を
逃げるように辞めていったらしい。
今は生きているのかどうしているのかはポーラ様もわからないらしいがあまりいい生き方はしていないだろうと言っていた。
後の二人は地道に働いてお金を返しているようだ。
いずれリサ様に直接万年筆を返しに来ると共に謝りたいと言っているらしかった。
リサ様もそんな二人がどう生きるのか気にしているようだった。
覚えているだろうか。『研究員その1』である。
僕の名前はトーマス。
やっと名前が言えた。
その後を知りたい人は大勢いるだろうから、僕から語らせてもらう。
そうだな・・・、アルザス国のことから話そうか。
アルザス国は元王太子妃フレア様の処刑により、以前までの薬の危険性を平民たちに周知する事ができた。僕たちが作った薬も無事認可されたのもあって、平民たちにも公に出回っることになった。
蓋を開ければ全てがボロボロのアルザス国。
政治も組織も生活に置いても・・・。
国民からの支持も地に落ちたのもあり、このままでは崩壊もあり得るような最中になったアルザス国。
マトリック王太子殿下もそれをわかっていたからこそ、王太子妃の処刑に踏み切ったようだったが、効果はなかったようだった。
まぁ、当然だよな。今までが今までであったのだから。どう格好をつけようと今更感が強いだけだ。
これを見かねた(建前だけ)皇帝陛下からの案として、ラフィシア皇妹殿下が嫁がれることになった。
当のラフィシア皇妹殿下はノリノリだったようだ。
マトリック王太子殿下に対しての気持ちはもとよりないに等しいが、皇帝陛下を模範にして自分の手で国を作りたいという気持ちが大きかったようであっさりと決まった。
リサ様の故郷だからだという理由もあるのでは、と僕は思っている。
こうなれば実質、帝国の属国になったのと同じだろう。
マトリック王太子殿下も素直に受け入れたようだった。
既にラフィシア皇妹殿下は精鋭の部下を連れてアルザス国に入られた。
ちなみにラフィシア皇妹殿下の人柄から、リリアン王女ともうまくやっているらしい。マトリック殿下に指示しまくっているらしいとも・・・。
来年には結婚式をあげ、マトリック王太子殿下は国王になる予定である。
マトリック王太子殿下はきっと形だけの国王になるだろう。
現国王は隠居というなの幽閉が決まったとオーランド様が言っていた。
仕方ないだろう。
こんな国にした責任なのだから。
ラフィシア皇妹殿下がいるなら、この先のアルザス国は安泰といえる。
頼りないマトリック王太子殿下はリリアン王女とのんびり暮らすかもしれない。
あぁ、あとアルスター二伯爵は、これまたラフィシア皇妹殿下からの勧めで帝国女性を妻にした。薬草の事もあるので強く結びつけようとしたようだ。
彼女はとある伯爵家の次男坊の奥方だったが、先のエフタール風邪で夫を亡くし未亡人になったらしい。
一人でも生きていけるほどの強い女性らしいが、実家の両親も亡くなっているため帰る場所もないらしく、ラフィシア皇妹殿下がアルスター二伯爵に有無も言わせずに紹介したらしい。
彼女はリサ様のお姉様のウェディングドレスを見て笑いながら言ったそうだ。
「庭で燃やされるのと倉庫のチェストの中にしまうのとどちらを選びますか?」と。
当然アルスター二伯爵はチェストに入れる事を選んだらしい。
リサ様が置いていったドレスは売り飛ばしたようだった。
初めは渋っていたアルスター二伯爵に対してー。
「誰が着るのですか?わたしは趣味でないのできませんわよ。
未練がないのなら捨ててしまいましょう」
「だが、しかし・・・」
「お相手の方は全てを捨てたのですのよ、ねっ?なら、置いておく必要などありませんわ。置いておかれても相手にとっては気持ち悪いだけですからやめた方がよろしいですわ~~」
目が笑っていない笑顔で言われた『気持ち悪い』が余程こたえたらしく、即時に売り払いそのお金で薬草作りの補助金に回したらしい。
金使い荒い伯爵の我儘な母親に対しても彼女はこんこんと嫌味の嵐を送り、あの母親を発狂寸前にまで追い込み再起不能にさせたとかなんとか・・・。
アルスター二伯爵を尻に敷き、こちらも伯爵の権威を乗っ取ったようだ。
正気・・・くほんっ、精気まで搾り取っているのでは、とかなんとか・・・。
肉体的からか精神的・・・いや二つの苦労からか、げっそりと痩せた伯爵は屈強な村人に囲まれて薬草作りに専念しているようだ。時たま、妻の不満をこぼしているとかなんとか・・・。
不器用なまでに一つのことしかできない伯爵にとっては良いのかもしれない。
オーランド様が見てきたかのように詳しく教えてくれた。
発信元はポーラ様のようだが、きちんと裏どりをしてきたのではなかろうかと、思ってしまった。
ポーラ様も元気にしている。
彼女からの報告にはリサ様の万年筆を盗んだ者たちのうち、一人は既に万年筆を売り飛ばした者がいたようだが、その人はエフタール風邪で亡くなったらしい。
2本はリサ様の元に送られてきた。
その者たちは使い込んだ報酬分のお金を借金までして払い終えるなりハリエルド商会を
逃げるように辞めていったらしい。
今は生きているのかどうしているのかはポーラ様もわからないらしいがあまりいい生き方はしていないだろうと言っていた。
後の二人は地道に働いてお金を返しているようだ。
いずれリサ様に直接万年筆を返しに来ると共に謝りたいと言っているらしかった。
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