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69.末っ子アルク視点
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僕はアルクという。
僕は生まれつき身体が弱く。よく熱も出す為ベッドから出させてもらえなかった。
その為学園も行かせてもらうこともできなかった。唯一、父方の伯父が持つ田舎の部屋敷へ静養しに行くくらいだ。
母さんは買い物やお茶会など屋敷にいない時以外は僕の部屋に入り浸り甲斐甲斐しく世話をする。
僕を何歳だと思っているのだろう。
何もできない子供ではない。
部屋には母さんが買ってきたもので溢れていた。
反抗期でさえ、『アルクちゃんってば、照れてるのね』で済ましてきたのにはぞっとした。
やばいのではないのか?と。
でも、現在は滅多に部屋に来ることはなくなった。
なぜなら、すぐ上の姉エリーゼはサリーナ姉様から譲渡された店を3ヶ月足らずで倒産させたのだ。
残ったのは負債と慰謝料だ。
負債は身の丈にあっていない事に気が付かず、軌道に乗っていないのは設備が悪いのだといって無駄な買い物をし、人員不足なのだと人を雇い入れたりと変に暴走させた結果、借金を重ねたのだ。
慰謝料にいたっては、その雇い入れた人を見下し貶し罵声や体罰を加えた事によるもの、あと、顧客に暴言を吐いた事で発生したのだ。
全て自分が蒔いたことだと言うのに、その姉さんはショックで『何が悪いのよ。サリーナのせいよ。サリーナのせいよ』とブツブツ呟きながら部屋に篭っているらしい。
言葉だけの助言をしていた父さんも母さんも今は躍起になってサリーナ姉様とロイド兄様を探している。
探してどうするつもりだ。
二人にたかるつもりでいるのだろうか?
兄様も姉様もこの家を捨てたというのに。
二人はそれでれ自身の道を歩んでいるというのに?
幼い頃は当たり前だと思っていたが、大きくなるにつれて知ってしまった。
僕の親は最低な生き物であると。化け物か何かじゃないのかと思うこともある。
今の僕は全部サリーナ姉様のおかげでいる。
感謝してもしきれないくらいだ。
そんなサリーナ姉様が決断して決めたことを、ー幸せを壊すなら許さない。
この機会にを逃しはしない。
もう、半年もすれば、僕も18歳になる。そうなれば、どうとでもなるのだ。
「セバス。もう僕も動いて構わないよね?」
「アルク様の思うようになさってください。全て書類も揃っております。私は貴方様にお仕えすると決めております」
僕の家庭教師兼執事のセバスチャンに声をかけた。
彼はその冷淡な顔で笑ってきたので、僕も笑い返した。
僕はベッドから降りた。
ふらつくことさえしない。
服を着替える。
ベッドの住人生活をするのはもう終わりだ。
やっと解放される。
長かった。
もう偽らなくていいのかと思うと身が軽く思えた。
僕は談話室に行った。セバスチャンによって集めてもらっていた、父さん母さんと暗い顔のエリーゼを見やった。
「アルクちゃん?」
ねちっこい母さんの声。
気持ち悪い。
「どうしたんだ、アルク?そんな改まった格好をして?」
「家族しかいないのよ?寝まきでいいのよ?寝てないといけないじゃないの。また、熱がでてしまうわ」
本当に気持ち悪いな。
僕は彼らの前にわざと音を立て座った。そして、脚を組み上体を逸らし、尊大な態度をとってみた。
「いい加減にしましょう。あなたがたはもうそろそろ現実を見るべきですよ」
口元をにっと笑ってみた。
彼らは何かを感じ取ったのか、身体を震わせた。
さあ、始めようかー。
僕は生まれつき身体が弱く。よく熱も出す為ベッドから出させてもらえなかった。
その為学園も行かせてもらうこともできなかった。唯一、父方の伯父が持つ田舎の部屋敷へ静養しに行くくらいだ。
母さんは買い物やお茶会など屋敷にいない時以外は僕の部屋に入り浸り甲斐甲斐しく世話をする。
僕を何歳だと思っているのだろう。
何もできない子供ではない。
部屋には母さんが買ってきたもので溢れていた。
反抗期でさえ、『アルクちゃんってば、照れてるのね』で済ましてきたのにはぞっとした。
やばいのではないのか?と。
でも、現在は滅多に部屋に来ることはなくなった。
なぜなら、すぐ上の姉エリーゼはサリーナ姉様から譲渡された店を3ヶ月足らずで倒産させたのだ。
残ったのは負債と慰謝料だ。
負債は身の丈にあっていない事に気が付かず、軌道に乗っていないのは設備が悪いのだといって無駄な買い物をし、人員不足なのだと人を雇い入れたりと変に暴走させた結果、借金を重ねたのだ。
慰謝料にいたっては、その雇い入れた人を見下し貶し罵声や体罰を加えた事によるもの、あと、顧客に暴言を吐いた事で発生したのだ。
全て自分が蒔いたことだと言うのに、その姉さんはショックで『何が悪いのよ。サリーナのせいよ。サリーナのせいよ』とブツブツ呟きながら部屋に篭っているらしい。
言葉だけの助言をしていた父さんも母さんも今は躍起になってサリーナ姉様とロイド兄様を探している。
探してどうするつもりだ。
二人にたかるつもりでいるのだろうか?
兄様も姉様もこの家を捨てたというのに。
二人はそれでれ自身の道を歩んでいるというのに?
幼い頃は当たり前だと思っていたが、大きくなるにつれて知ってしまった。
僕の親は最低な生き物であると。化け物か何かじゃないのかと思うこともある。
今の僕は全部サリーナ姉様のおかげでいる。
感謝してもしきれないくらいだ。
そんなサリーナ姉様が決断して決めたことを、ー幸せを壊すなら許さない。
この機会にを逃しはしない。
もう、半年もすれば、僕も18歳になる。そうなれば、どうとでもなるのだ。
「セバス。もう僕も動いて構わないよね?」
「アルク様の思うようになさってください。全て書類も揃っております。私は貴方様にお仕えすると決めております」
僕の家庭教師兼執事のセバスチャンに声をかけた。
彼はその冷淡な顔で笑ってきたので、僕も笑い返した。
僕はベッドから降りた。
ふらつくことさえしない。
服を着替える。
ベッドの住人生活をするのはもう終わりだ。
やっと解放される。
長かった。
もう偽らなくていいのかと思うと身が軽く思えた。
僕は談話室に行った。セバスチャンによって集めてもらっていた、父さん母さんと暗い顔のエリーゼを見やった。
「アルクちゃん?」
ねちっこい母さんの声。
気持ち悪い。
「どうしたんだ、アルク?そんな改まった格好をして?」
「家族しかいないのよ?寝まきでいいのよ?寝てないといけないじゃないの。また、熱がでてしまうわ」
本当に気持ち悪いな。
僕は彼らの前にわざと音を立て座った。そして、脚を組み上体を逸らし、尊大な態度をとってみた。
「いい加減にしましょう。あなたがたはもうそろそろ現実を見るべきですよ」
口元をにっと笑ってみた。
彼らは何かを感じ取ったのか、身体を震わせた。
さあ、始めようかー。
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