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三章、サネイラ国
16歳ー1
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先日のお茶会でカリナから「力になってほしい。護ってほしい」と言われた。
不安に駆られたカリナの眼差しにわたしは護ってあげたいと思い、姉としての立場ではなく臣下としてして受けいれた。
あの時のカリナの笑顔は美しいと思った。
でも何故だろう。
どこか違和感というか、わたし自身の心がざわついたが、気のせいだと思うことにした。
わたしは目の前の為すべきことに意識を切り替える。
アスナルド様、アウスラー先生と共に実験をしていた。
物理的な物を防ぐことができる魔道具の製作をしている。
わたしの使う複雑な魔術式をいかに短略化し魔道具に組み込めるか・・・試行錯誤をしていた。
わたし自身幾度も術の短略化をはかり、力を暴走させている。アウスラー先生とセイカがいなければ騎士団の研究所の一角が焼き尽くされているかわからない。
しかも、短略化できたからといっても魔道具に組み込んでみれば、魔術の威力に負け組み込まれた魔石が砕けてしまう。
何度もアスナルド様とアウスラー先生に相談し実践した。
そのおかげでなのか、わたしの魔力制御は格段に上手くなり魔術自体の精度も上がっていく。
図書館でもヒントはないかと古い魔術書や文献を漁っていたので、今までできなかった魔術や新しい魔術ができるようになった。試してみるのが楽しくて応用魔術ができるようにもなる。
「エルファ。他の場所では使ってはいけないよ」
アスナルド様が困り顔で言ってきた。
「君は魔力が通常よりあるからこそ、複雑な魔術もできてしまう。それをレイドリックに知られたら、君は普通には戻れなくなる」
「エルファ様は昔から好奇心旺盛ですからね」
アウスラー先生にまで呆れられたように言われた。
2人に言われ、改て自分の立場を考え俯く。
「大丈夫だ。我がついている」
セイカが自分専用の止まり木の上から声をかけてきたので、全員の視線をむけた。
「エルにはある程度、力を発散させていないと暴発させるから勝手にさせておけ。我がいるうちは誰にも見せないように配慮している」
「セイカ!」
そうだったのか。
いつもアドバイスしてくれていたのはそのため・・・えっと・・・。
「わたし暴発させてる?」
「時たま失敗をするだろう」
確かに意気込みすぎてか不発させることはあるが、それだけではある。
「我が事前に魔力を食べてるからこそ、大事になっていない」
さらりともたらされた意外な言葉に固まってしまう。
「自分の力を過信するな。取り返しのできない失敗につながるぞ」
「そうなんですね。さすがです」
「鸞様、これからもお願いします」
アスナルド様とアウスラー先生がセイカに頼み込んだ。
まんまるの青い鳥は小さな胸を逸らしている。
あとで、嫌がらせ紛いにひたすら、もふもふしまくってやろうとわたしは思ってしまった。
不安に駆られたカリナの眼差しにわたしは護ってあげたいと思い、姉としての立場ではなく臣下としてして受けいれた。
あの時のカリナの笑顔は美しいと思った。
でも何故だろう。
どこか違和感というか、わたし自身の心がざわついたが、気のせいだと思うことにした。
わたしは目の前の為すべきことに意識を切り替える。
アスナルド様、アウスラー先生と共に実験をしていた。
物理的な物を防ぐことができる魔道具の製作をしている。
わたしの使う複雑な魔術式をいかに短略化し魔道具に組み込めるか・・・試行錯誤をしていた。
わたし自身幾度も術の短略化をはかり、力を暴走させている。アウスラー先生とセイカがいなければ騎士団の研究所の一角が焼き尽くされているかわからない。
しかも、短略化できたからといっても魔道具に組み込んでみれば、魔術の威力に負け組み込まれた魔石が砕けてしまう。
何度もアスナルド様とアウスラー先生に相談し実践した。
そのおかげでなのか、わたしの魔力制御は格段に上手くなり魔術自体の精度も上がっていく。
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アウスラー先生にまで呆れられたように言われた。
2人に言われ、改て自分の立場を考え俯く。
「大丈夫だ。我がついている」
セイカが自分専用の止まり木の上から声をかけてきたので、全員の視線をむけた。
「エルにはある程度、力を発散させていないと暴発させるから勝手にさせておけ。我がいるうちは誰にも見せないように配慮している」
「セイカ!」
そうだったのか。
いつもアドバイスしてくれていたのはそのため・・・えっと・・・。
「わたし暴発させてる?」
「時たま失敗をするだろう」
確かに意気込みすぎてか不発させることはあるが、それだけではある。
「我が事前に魔力を食べてるからこそ、大事になっていない」
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「自分の力を過信するな。取り返しのできない失敗につながるぞ」
「そうなんですね。さすがです」
「鸞様、これからもお願いします」
アスナルド様とアウスラー先生がセイカに頼み込んだ。
まんまるの青い鳥は小さな胸を逸らしている。
あとで、嫌がらせ紛いにひたすら、もふもふしまくってやろうとわたしは思ってしまった。
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