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三章、サネイラ国
カリナ 4
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それからのわたくしの世界は変わった。
頑張ることも苦ではなくなる。わたくしが今できることを頑張れば良いのだと気づいた。
余裕が出てきたのでお姉様を学園の中庭のガゼボに呼ぶ。
全くといっていいほど会わなくてなってしまったお姉様に手紙を送りお茶に誘ったのだ。
久しぶりに会うお姉様は変わらないように見えた。以前から落ち着いた雰囲気はあったが、前以上に静かな印象を受けた。
わたくしほどではないが、綺麗になったからかもしれない。
でも少し疲れているのか、目の下が黒くなっていた。
「お疲れですの?」
「えぇ、今している研究があまり思わしくなくて」
ゆったりと笑らい紅茶に口をつける。
「忙しいのに、ごめんなさい」
「いいのよ。煮詰まっていて、気晴らしも欲しかったんだもの。久しぶりにカリナに会えて嬉しいのよ。元気そうで何よりだわ。王太子妃教育も頑張っているって聞いてるわよ」
優しい笑みにほっとした。
穏やかに、近況報告をしあう。
そして、頃合いをみて、わたくしはお願いをし見ることにした。
「お姉様」
「なに?」
「わたくしは、レイドリック様についていくつもりなの」
「・・・・・・」
「あの方の意思は硬い。なら、伴侶となるわたくしはあの方のために尽くしたいと思っているの」
お姉様の表情が消えていた。それでも真剣にわたくしの話を聞いてくれている。
「正直、怖いわ。すごく怖い・・・。確約されていない未来は怖い。でも、光の魔力がわかってから王太子妃に・・・、いずれ王妃になるのがわかっているからこそ、相手の方のために尽くしたいとと思ってここまできたの。わたくし1人じゃ無理なことも多いと思う」
本心だ。ここまで何一つ嘘は言っていない。
「頼ってばかりじゃダメなのはわかってるの。でもお姉様がいるならわたくし1人では無理なことでもできる気がするの。そのためにもお姉様が必要なのよ。お願い・・・、わたくしの力になって、わたくしを護って」
お姉様を見つめ懇願する。
しばらくお姉様は黙っていた。
じっとわたくしを見てきた後、目元を緩めた。
「わかりました」
お姉様は立ち上がり、わたくしの前にくると膝を折って敬礼した。
「カリナ様をお護りすると誓います」
背中がゾクゾクした。
あぁ、これが見たかったのだと、心の中で歓喜する。
きっと紅潮しているだろう。
「お姉様。大好きよ」
わたくしは心からそう言うことができた。
教室に帰ると、親友のブラスター侯爵令嬢のミリアが声をかけてきた。
「カリナ様。なにかいいことでもありましたの?」
「あら、そんなに顔にでてます?」
「とても幸せそうですわ」
そうか、そんなふうに見えるのね。
でも、本当に幸せだわ。
「ふふふっ。そうですわね。すごく幸せですわ。今まで悩んでいたことが嘘のようですもの」
「まぁ、どんなことがありましたの?教えていただきたいですわ」
ダメよ。これは教えられない。
わたくしは内緒っと、人差し指を口元に持っていく。
ミリアはわざと口を尖らしてからかってきたので、わたくしも軽く受け流した。
頑張ることも苦ではなくなる。わたくしが今できることを頑張れば良いのだと気づいた。
余裕が出てきたのでお姉様を学園の中庭のガゼボに呼ぶ。
全くといっていいほど会わなくてなってしまったお姉様に手紙を送りお茶に誘ったのだ。
久しぶりに会うお姉様は変わらないように見えた。以前から落ち着いた雰囲気はあったが、前以上に静かな印象を受けた。
わたくしほどではないが、綺麗になったからかもしれない。
でも少し疲れているのか、目の下が黒くなっていた。
「お疲れですの?」
「えぇ、今している研究があまり思わしくなくて」
ゆったりと笑らい紅茶に口をつける。
「忙しいのに、ごめんなさい」
「いいのよ。煮詰まっていて、気晴らしも欲しかったんだもの。久しぶりにカリナに会えて嬉しいのよ。元気そうで何よりだわ。王太子妃教育も頑張っているって聞いてるわよ」
優しい笑みにほっとした。
穏やかに、近況報告をしあう。
そして、頃合いをみて、わたくしはお願いをし見ることにした。
「お姉様」
「なに?」
「わたくしは、レイドリック様についていくつもりなの」
「・・・・・・」
「あの方の意思は硬い。なら、伴侶となるわたくしはあの方のために尽くしたいと思っているの」
お姉様の表情が消えていた。それでも真剣にわたくしの話を聞いてくれている。
「正直、怖いわ。すごく怖い・・・。確約されていない未来は怖い。でも、光の魔力がわかってから王太子妃に・・・、いずれ王妃になるのがわかっているからこそ、相手の方のために尽くしたいとと思ってここまできたの。わたくし1人じゃ無理なことも多いと思う」
本心だ。ここまで何一つ嘘は言っていない。
「頼ってばかりじゃダメなのはわかってるの。でもお姉様がいるならわたくし1人では無理なことでもできる気がするの。そのためにもお姉様が必要なのよ。お願い・・・、わたくしの力になって、わたくしを護って」
お姉様を見つめ懇願する。
しばらくお姉様は黙っていた。
じっとわたくしを見てきた後、目元を緩めた。
「わかりました」
お姉様は立ち上がり、わたくしの前にくると膝を折って敬礼した。
「カリナ様をお護りすると誓います」
背中がゾクゾクした。
あぁ、これが見たかったのだと、心の中で歓喜する。
きっと紅潮しているだろう。
「お姉様。大好きよ」
わたくしは心からそう言うことができた。
教室に帰ると、親友のブラスター侯爵令嬢のミリアが声をかけてきた。
「カリナ様。なにかいいことでもありましたの?」
「あら、そんなに顔にでてます?」
「とても幸せそうですわ」
そうか、そんなふうに見えるのね。
でも、本当に幸せだわ。
「ふふふっ。そうですわね。すごく幸せですわ。今まで悩んでいたことが嘘のようですもの」
「まぁ、どんなことがありましたの?教えていただきたいですわ」
ダメよ。これは教えられない。
わたくしは内緒っと、人差し指を口元に持っていく。
ミリアはわざと口を尖らしてからかってきたので、わたくしも軽く受け流した。
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