11 / 37
1、幼少期
12歳ー2
しおりを挟む
カリナに連れられ、詳しいことを聞くために両親のもとに行った。
久しぶりに会う両親はわたしを見て眉を一瞬顰めかけたが、カリナが一緒にいるのに気づき平常を保ったようだった。
「失礼します。カリナから聞きましたが、わたしも学園に行くと聞きましたが、本当でしょうか?」
「あぁ、そうだ。カリナと同じ一年生として一緒に行ってもらう。といってもお前は寮暮らしをしてもらうがな」
寮暮らしと聞いてわたしよりカリナが驚いた声を出した。
「なんでなの?」
意外にその声は大きく、両親は驚いた表情を見せる。
「そのっ、あのね・・・」
母が慌てた。その横で父が咳払いをする。
「うほん。カリナは入学と共に王太子妃教育になる。まだ王太子は決まってはいないが、光魔法を持つカリナは未来の王妃であることは確実だ。そんな姉が得体の知れない精霊を使役していては他に示しがつかん。一人でなんでもできるように、我侯爵家の恥にならないように生きてもらうためにも、寮生活をさせようというのだ」
もっともらしい言い訳をしているようだが、体良く追い出したいようだ。
カリナにお金を惜しみなく使いたいのだろう。わたしが家にいれば、それこそ「わたしのぶん」として体裁を整えなければならないから。
寮生活をすれば、最低出費でいいと思っているに違いない。
『・・・』
『はぁ~?得体の知れない精霊?』
2体の精霊がピリピリしているのには才能のない両親には感じることもできていなかった。
「そんな。折角、お姉様と二人で学園に行けると思っていたのに・・・」
両親がわたしを疎んでいることにも疑っていないカリナはシュンとして俯いた。
こんな時ばかり、母はわたしにカリナに何か言って取り繕えと目で合図を送ってくるので、従ってみる。
「カリナ。学園に行けばいつでも会えるわよ
。わたしもいつまでも甘えてはいられないもの。カリナが王妃様になった時にあなたを護れるように頑張るために寮に入るのよ」
安心させるように笑顔で言った。
「わたしのため?」
「そう。わたしはカリナが大切だから」
「うん」
カリナはぎゅっと抱きついてきた。家族の中で唯一わたしを慕う妹が可愛い。
こうやって、カリナがわたしに好意を寄せてくるのも両親にとって不服なのだろう。
わたしより一歳だけ下とはいえ両親に甘やかされていて、まだ精神的にも幼い妹。姉心では心配だが、両親も未来の王妃に対してきちんとした教育をすると思いたい。
『クラルテ様』
『なに~?』
わたしはカリナには聞こえないように頭の中でクラルテに話しかけた。
『カリナのことよろしくお願いします』
『うん、まぁ~、その時がきたら頑張るわ~』
相変わらずの軽い声に笑いそうになってしまった。
久しぶりに会う両親はわたしを見て眉を一瞬顰めかけたが、カリナが一緒にいるのに気づき平常を保ったようだった。
「失礼します。カリナから聞きましたが、わたしも学園に行くと聞きましたが、本当でしょうか?」
「あぁ、そうだ。カリナと同じ一年生として一緒に行ってもらう。といってもお前は寮暮らしをしてもらうがな」
寮暮らしと聞いてわたしよりカリナが驚いた声を出した。
「なんでなの?」
意外にその声は大きく、両親は驚いた表情を見せる。
「そのっ、あのね・・・」
母が慌てた。その横で父が咳払いをする。
「うほん。カリナは入学と共に王太子妃教育になる。まだ王太子は決まってはいないが、光魔法を持つカリナは未来の王妃であることは確実だ。そんな姉が得体の知れない精霊を使役していては他に示しがつかん。一人でなんでもできるように、我侯爵家の恥にならないように生きてもらうためにも、寮生活をさせようというのだ」
もっともらしい言い訳をしているようだが、体良く追い出したいようだ。
カリナにお金を惜しみなく使いたいのだろう。わたしが家にいれば、それこそ「わたしのぶん」として体裁を整えなければならないから。
寮生活をすれば、最低出費でいいと思っているに違いない。
『・・・』
『はぁ~?得体の知れない精霊?』
2体の精霊がピリピリしているのには才能のない両親には感じることもできていなかった。
「そんな。折角、お姉様と二人で学園に行けると思っていたのに・・・」
両親がわたしを疎んでいることにも疑っていないカリナはシュンとして俯いた。
こんな時ばかり、母はわたしにカリナに何か言って取り繕えと目で合図を送ってくるので、従ってみる。
「カリナ。学園に行けばいつでも会えるわよ
。わたしもいつまでも甘えてはいられないもの。カリナが王妃様になった時にあなたを護れるように頑張るために寮に入るのよ」
安心させるように笑顔で言った。
「わたしのため?」
「そう。わたしはカリナが大切だから」
「うん」
カリナはぎゅっと抱きついてきた。家族の中で唯一わたしを慕う妹が可愛い。
こうやって、カリナがわたしに好意を寄せてくるのも両親にとって不服なのだろう。
わたしより一歳だけ下とはいえ両親に甘やかされていて、まだ精神的にも幼い妹。姉心では心配だが、両親も未来の王妃に対してきちんとした教育をすると思いたい。
『クラルテ様』
『なに~?』
わたしはカリナには聞こえないように頭の中でクラルテに話しかけた。
『カリナのことよろしくお願いします』
『うん、まぁ~、その時がきたら頑張るわ~』
相変わらずの軽い声に笑いそうになってしまった。
1
お気に入りに追加
223
あなたにおすすめの小説

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
あなたが残した世界で
天海月
恋愛
「ロザリア様、あなたは俺が生涯をかけてお守りすると誓いましょう」王女であるロザリアに、そう約束した初恋の騎士アーロンは、ある事件の後、彼女との誓いを破り突然その姿を消してしまう。
八年後、生贄に選ばれてしまったロザリアは、最期に彼に一目会いたいとアーロンを探し、彼と再会を果たすが・・・。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」


好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。

【完結】100日後に処刑されるイグワーナ(悪役令嬢)は抜け毛スキルで無双する
みねバイヤーン
恋愛
せっかく悪役令嬢に転生したのに、もう断罪イベント終わって、牢屋にぶち込まれてるんですけどー。これは100日後に処刑されるイグワーナが、抜け毛操りスキルを使って無双し、自分を陥れた第一王子と聖女の妹をざまぁする、そんな物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる