上 下
67 / 87

閑話〜サーシャス殿下家出の裏

しおりを挟む
 タロ=タジェロの公演にでてます。
 以前殴ってしまったタリュンの代わりを勤めています。わたしの休みの日限定なのだが、昨日のこともあり、マキシムに打ち合わせをするため、学園にやってきたら、突如出演が決まったのです。

 と言っても、サジュにマナー講座を開いてもらっているので、二日に一度、放課後に来てはいるのですが。

 身元がバレないように、目元が隠れる仮面を被ります。

 マキシムの動きはカッコつけなので単調で絡みやすい。少し物足りないかな?

 彼はあれから、タリオンにみっちりとしごかれたようで、詐欺的行為を活かせる演劇へとが終われば変わることが決まった。タリオンとサジュに絶対服従でしょう。

 二人での演目を終え、バックハードに戻って着替えていると、マキシムにお客が・・・。
 もちろんサーシャス殿下です。

 マキシムにしっかりと流れを説明した後、彼女に会ってもらいました。

 わたしは天幕の後ろへと行き、盗み聞きします。

〈上手くいきそうかい?〉


 小声で声をかけてきたサジュと一緒に聞く。



〈「だから、逃げるしか・・・静かに暮して・・・田舎、誰も知らない田舎に行こうと、思っています」
「私・・・私も行くわ」
「サーシャ・・・?」
「私も貴方についていく、それならいいでしょう」
「サーシャ・・・」〉


 食いついた。
 予定通りにいきそう。


 サーシャス殿下が出て行ったあと、マキシムに会いに天幕のにサジュと一緒に入った。

「よかったんですよね?」

 泣きそうなマキシム。震えてる。
 今まで散々嘘をついて騙してきたのに今さらなのに。
 まあ、隣の国の王女様を騙すのだから今後が怖いのは当たり前かな。自業自得でしょうに。


「アルゼルト殿下から許可はもらってるし、大丈夫、大丈夫。サジュ、人手いい?」
「関わらないって言ったのに。でも、面白そうだし、構わないよ。奴らも気分転換は必要だし、いろいろ、貸し切ったらしいじゃないか?」
「他人持ち費用って楽しいわ~」

 ほんと、費用を考えずにやりたい、放題最高~!

 父さんにもどう言う事をしたいか手紙で相談したところ、いい場所があるよっと、テリーと一緒に集めた資料を送ってきてくれた。

 うわぁ~、いるところにらいるんだなぁ・・・。

 それを持って、アルゼルト殿下のところに行き全てを丸投げ。

 賄賂や通行税などなど不正のオンパレードの伯爵様のお裁きはわたしはできません。
 殿下に託して、わたしはわたしの仕事をするのです。
 泣くアルゼルト殿下を横目に自分の仕事を準備しました。

 乗り合い馬車の用意に宿屋の酒場や食事の用意、城の中の準備。

 エンリュリッヒ様使いました。
 レックス様たちにも協力してもらいました。
 お知り合いの商人を紹介してもらい、安く品物を仕入れて、タロ=タジェロのお休み方を集めて、演技してもらいました。
 城の中・・・管理はレックス様とマロン様担当でしたし、ミッシェル様とポニー様たちは酒場で仕事を手伝ってもらいました。

 サーシャス殿下の行動一つで変わるこの計画、変更も頭に入れて動きましたよ。
 わたしが自由に動けるようにエンリュリッヒ様がサポートしてくれました。

 おかげでわたしは素晴らしい領主の娘役ができたのです。

 ほんと、疲れました。

 少しやり過ぎた感はありました。
 でも、彼女・・・サーシャス殿下は考えてくださいました。
 見つめ直してくれました。
 そんな彼女に、敬意をはらう、だけです。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

恋愛戦線からあぶれた公爵令嬢ですので、私は官僚になります~就業内容は無茶振り皇子の我儘に付き合うことでしょうか?~

めもぐあい
恋愛
 公爵令嬢として皆に慕われ、平穏な学生生活を送っていたモニカ。ところが最終学年になってすぐ、親友と思っていた伯爵令嬢に裏切られ、いつの間にか悪役公爵令嬢にされ苛めに遭うようになる。  そのせいで、貴族社会で慣例となっている『女性が学園を卒業するのに合わせて男性が婚約の申し入れをする』からもあぶれてしまった。  家にも迷惑を掛けずに一人で生きていくためトップであり続けた成績を活かし官僚となって働き始めたが、仕事内容は第二皇子の無茶振りに付き合う事。社会人になりたてのモニカは日々奮闘するが――

「離婚しても構いませんけど、あなたはその人に殺されますよ」

夜風
恋愛
ロクティア王国の騎士団長アリウスの妻タリアは、突然夫から離婚を突き付けられた。 女性の影があったとはいえ、まさか離婚まで考えているとは思っていなかった タリアは混乱する。 するといきなり大量の記憶が流れ込んできた。  ――と同時に思い出す。 タリアのこの人生が2回目のものであると。 完全に思い出したタリアは、夫の使者に向かって言う。 「離婚しても構いませんけど、あなたはその人に殺されますよ」 ※不定期更新。 ※短編の予定でしたが、10万文字を超えてしまったので長編にタグを変えました。

王太子エンドを迎えたはずのヒロインが今更私の婚約者を攻略しようとしているけどさせません

黒木メイ
恋愛
日本人だった頃の記憶があるクロエ。 でも、この世界が乙女ゲームに似た世界だとは知らなかった。 知ったのはヒロインらしき人物が落とした『攻略ノート』のおかげ。 学園も卒業して、ヒロインは王太子エンドを無事に迎えたはずなんだけど……何故か今になってヒロインが私の婚約者に近づいてきた。 いったい、何を考えているの?! 仕方ない。現実を見せてあげましょう。 と、いうわけでクロエは婚約者であるダニエルに告げた。 「しばらくの間、実家に帰らせていただきます」 突然告げられたクロエ至上主義なダニエルは顔面蒼白。 普段使わない頭を使ってクロエに戻ってきてもらう為に奮闘する。 ※わりと見切り発車です。すみません。 ※小説家になろう様にも掲載。(7/21異世界転生恋愛日間1位)

❲完結❳傷物の私は高貴な公爵子息の婚約者になりました

四つ葉菫
恋愛
 彼は私を愛していない。  ただ『責任』から私を婚約者にしただけ――。  しがない貧しい男爵令嬢の『エレン・レヴィンズ』と王都警備騎士団長にして突出した家柄の『フェリシアン・サンストレーム』。    幼い頃出会ったきっかけによって、ずっと淡い恋心をフェリシアンに抱き続けているエレン。    彼は人気者で、地位、家柄、容姿含め何もかも完璧なひと。  でも私は、誇れるものがなにもない人間。大勢いる貴族令嬢の中でも、きっと特に。  この恋は決して叶わない。  そう思っていたのに――。   ある日、王都を取り締まり中のフェリシアンを犯罪者から庇ったことで、背中に大きな傷を負ってしまうエレン。  その出来事によって、ふたりは婚約者となり――。  全てにおいて完璧だが恋には不器用なヒーローと、ずっとその彼を想って一途な恋心を胸に秘めているヒロイン。    ――ふたりの道が今、交差し始めた。 ✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢  前半ヒロイン目線、後半ヒーロー目線です。  中編から長編に変更します。  世界観は作者オリジナルです。  この世界の貴族の概念、規則、行動は実際の中世・近世の貴族に則っていません。あしからず。  緩めの設定です。細かいところはあまり気にしないでください。 ✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。

なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。 本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!

婚約者と兄、そして親友だと思っていた令嬢に嫌われていたようですが、運命の人に溺愛されて幸せです

珠宮さくら
恋愛
侯爵家の次女として生まれたエリシュカ・ベンディーク。彼女は見目麗しい家族に囲まれて育ったが、その中で彼女らしさを損なうことなく、実に真っ直ぐに育っていた。 だが、それが気に入らない者も中にはいたようだ。一番身近なところに彼女のことを嫌う者がいたことに彼女だけが、長らく気づいていなかった。 嫌うというのには色々と酷すぎる部分が多々あったが、エリシュカはそれでも彼女らしさを損なうことなく、運命の人と出会うことになり、幸せになっていく。 彼だけでなくて、色んな人たちに溺愛されているのだが、その全てに気づくことは彼女には難しそうだ。

【完結】偽物と呼ばれた公爵令嬢は正真正銘の本物でした~私は不要とのことなのでこの国から出ていきます~

Na20
恋愛
私は孤児院からノスタルク公爵家に引き取られ養子となったが家族と認められることはなかった。 婚約者である王太子殿下からも蔑ろにされておりただただ良いように使われるだけの毎日。 そんな日々でも唯一の希望があった。 「必ず迎えに行く!」 大好きだった友達との約束だけが私の心の支えだった。だけどそれも八年も前の約束。 私はこれからも変わらない日々を送っていくのだろうと諦め始めていた。 そんな時にやってきた留学生が大好きだった友達に似ていて… ※設定はゆるいです ※小説家になろう様にも掲載しています

処理中です...