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14.エリアル視点1
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お父様同士が親友だった。
だから、よく王宮に出入りしていた。
自然に殿下たちと仲良くなる。
そんな時に親友になった、ケイカ。
身体が弱いからと、外で遊ぶことはなかった。
一度庭で隠れん坊をしていて、ケイカは動けなくなって以来、外で遊ぶことは禁じられたのだ。
代わりに室内で遊ぶ。
と言っても本を読んだりするくらい。
わたしが殿下と婚約してからは、王太子妃教育の息抜きとして会話をする。
だが、ケイカは次第に王宮に来なくなった。
父からは病が進行したからと言われた。
それからは、よくエミリアとお見舞いに行くようになる。
見るたびに顔色は悪くなっていった。
いっぱい話をすればケイカは喜んでくれた。それが嬉しかった。
本当にたくさんのこと喋った。
だから、ケイカの事はなんでも知っているつもりでいた。
「エリアルへ
ごめんなさい」
そんな手紙の始まりだった。
ーなぜあやまるの?
「パーティーで祝う事ができなくて」
ー違うよわね?
クロードはあなたの婚約者だったのでしょう?なぜ、わたしに言ってくれなかったの?私に言う価値はなかったの?そうだと知っていたら、わたし・・・
考えてもわからない。だから、聞きたかったのに・・・
わたしの思いも知らずに手紙はたんたんと続いている。
「わたくしの命の期限は20歳まで、と小さい頃に言われたわ。でも、信じたくなかった。口にだして言ってしまえば、本当になりそうだったから。
でも、年齢を追う事で本当なんだってわかっていった。苦しくて、身体が重くて・・・。
ごめんなさい。
きっと、婚約の事を言わなかったのを不思議に思ってるでしょうね。恨んでいるでしょう。
わたくしね、少しだけでいいから「恋愛」をしてみたかった。「結婚式」をあげて「新婚生活」をしてみたかったの。
そして、わたくしの大切な人にわたくしの最期を看取って欲しかった。
わたくしの初恋はクロード様なの。ずっと見てたわ。あなたたちが羨ましかった。王宮の庭で楽しそうに遊んでいるあなたたちが妬ましかった。
どうしてもクロード様に振り向いてほしかった。だから、クロード様の家の事情に漬け込んでお父様に無理を言って婚約を結んでもらったの。
でもね、病気で可哀想だからって、同情は欲しくなかった。
クロード様はあなたのことが好きだって知ってたわ。見てたらわかっていたから。あの方を苦しめたくなくて、わたくしとの婚約していることを、あなたに言えなかった。
あなたに言ってしまえば、なんとかしてわたくしとクロード様をとりなそうとするでしょう?
あの方の気持ちを大事にしたかった。だから、あなたには言えなかった」
ー馬鹿なの?
彼のため?
ケイカ、あなたそれほど彼が好きだったの?なら、言えばいいじゃない。自分の幸せを願ってもよかったんじゃない?。
手紙先を読んで震えた。
「それに、あなたも、ずっとクロード様が好きだったでしょう?」
ー私も?
そんなことが書かれていて、私はどきりとした。
だから、よく王宮に出入りしていた。
自然に殿下たちと仲良くなる。
そんな時に親友になった、ケイカ。
身体が弱いからと、外で遊ぶことはなかった。
一度庭で隠れん坊をしていて、ケイカは動けなくなって以来、外で遊ぶことは禁じられたのだ。
代わりに室内で遊ぶ。
と言っても本を読んだりするくらい。
わたしが殿下と婚約してからは、王太子妃教育の息抜きとして会話をする。
だが、ケイカは次第に王宮に来なくなった。
父からは病が進行したからと言われた。
それからは、よくエミリアとお見舞いに行くようになる。
見るたびに顔色は悪くなっていった。
いっぱい話をすればケイカは喜んでくれた。それが嬉しかった。
本当にたくさんのこと喋った。
だから、ケイカの事はなんでも知っているつもりでいた。
「エリアルへ
ごめんなさい」
そんな手紙の始まりだった。
ーなぜあやまるの?
「パーティーで祝う事ができなくて」
ー違うよわね?
クロードはあなたの婚約者だったのでしょう?なぜ、わたしに言ってくれなかったの?私に言う価値はなかったの?そうだと知っていたら、わたし・・・
考えてもわからない。だから、聞きたかったのに・・・
わたしの思いも知らずに手紙はたんたんと続いている。
「わたくしの命の期限は20歳まで、と小さい頃に言われたわ。でも、信じたくなかった。口にだして言ってしまえば、本当になりそうだったから。
でも、年齢を追う事で本当なんだってわかっていった。苦しくて、身体が重くて・・・。
ごめんなさい。
きっと、婚約の事を言わなかったのを不思議に思ってるでしょうね。恨んでいるでしょう。
わたくしね、少しだけでいいから「恋愛」をしてみたかった。「結婚式」をあげて「新婚生活」をしてみたかったの。
そして、わたくしの大切な人にわたくしの最期を看取って欲しかった。
わたくしの初恋はクロード様なの。ずっと見てたわ。あなたたちが羨ましかった。王宮の庭で楽しそうに遊んでいるあなたたちが妬ましかった。
どうしてもクロード様に振り向いてほしかった。だから、クロード様の家の事情に漬け込んでお父様に無理を言って婚約を結んでもらったの。
でもね、病気で可哀想だからって、同情は欲しくなかった。
クロード様はあなたのことが好きだって知ってたわ。見てたらわかっていたから。あの方を苦しめたくなくて、わたくしとの婚約していることを、あなたに言えなかった。
あなたに言ってしまえば、なんとかしてわたくしとクロード様をとりなそうとするでしょう?
あの方の気持ちを大事にしたかった。だから、あなたには言えなかった」
ー馬鹿なの?
彼のため?
ケイカ、あなたそれほど彼が好きだったの?なら、言えばいいじゃない。自分の幸せを願ってもよかったんじゃない?。
手紙先を読んで震えた。
「それに、あなたも、ずっとクロード様が好きだったでしょう?」
ー私も?
そんなことが書かれていて、私はどきりとした。
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