【完結】わたしの欲しい言葉

彩華(あやはな)

文字の大きさ
上 下
14 / 16

14.エイト

しおりを挟む
父は悩みに悩んだ。
それは仕方ないことだった。

僕の魔力は皇太子殿下に次ぐほど多くすごく買われていたのだ。剣の技術も有望視され、将来的に皇太子の近衛兵として仕えるだろうといわれていたから。

でも、アミーの方が僕にとって優先だった。

父どころか、宰相も巻き込み話し合いの場を設けられるほどだった。

とうとう、国王陛下の弟であるターナ様の元に養女になる事が決まったのだ。

なぜターナ様かと言うと、アミーの素性がからだ。

捜索をしたものの、どこの国からも捜索願いは出されていなかった。
ただ、アミーに似た『聖女』がいると言う噂を頼りに探してみると、その国にアミーににた『聖女』がいた。
『聖女』には双子の姉がおり、少し前にその双子の姉が事故で亡くなっていると言うものはあった。

そこで、詳しく調べてみると、その双子の姉は家から出ることもなかったらしく、情報と言う情報が得られなかった。
最後に見たのは隣国の瘴気の森だと言う。
それ以後は誰も見ていない。

その森の近くを流れる川は、アミーを拾った川に繋がっている。

アミーは『聖女』の双子の姉に違いないだろう。

だか、アミーを保護した時の状態や自分の事を忘れていることから、『素性がわからない』ままでいいと判断されたのだ。

そして、僕との身分の釣り合いや、他から文句を言わせないため、王弟殿下であるターナ様が選ばれたのだ。

アミーはターナ様にも気に入られた。
1人の兄と2人の姉ができた事をアミーは喜んだ。
セシルは離れたことに怒っていたが、いずれ僕と結婚する事で義姉妹になれるということで納得したのだった。

婚約も決まり、僕は心置きなく学園生活を送る事ができた。

最終学年になって、1人の留学生が入ってきた。
カイトである。

家庭に事情があるようで、家族の話は一切しなかった。

なぜだか、気が合いよく話すようになった。
彼に妹と婚約者自慢をすることもあった。

いい機会だと思い、偶然を装って、皇太子殿下とアミーが我が家にくる日に合わせて、彼を招いた。

だが、それはアミーの心を砕くことになった。

カイトがアミーに向かって「ミィ」と呟いたのだ。

ぬかっていた。
アミーのことを調べたというのに、『聖女』
に気を取られ、他の兄妹について、流していたのだ。
カイトがアミーの兄であることを意識していなかった。
なにより、カイトが「ミィ」の存在を覚えているとは思わなかった。

アミーは絶叫した。
今までにも聞いた事がない悲痛な悲鳴。

僕はアミーを抱きしめた。
血の気が引いた真っ白に息がつまる。

愚かな自分を殴りたかった。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

私のことなど、どうぞお忘れくださいませ。こちらはこちらで幸せに暮らします

東金 豆果
恋愛
伯爵令嬢シャーロットは10歳の誕生日に魔法のブローチを貰うはずだった。しかし、ブローチは、父と母が溺愛していた妹に与えられた。何も貰うことができず魔法を使うことすら許されないという貴族の娘としてはありえない待遇だった。 その後、妹メアリーの策略で、父と母からも無視されるようになり、追いやられるように魔法学園に通うことになったシャーロット。魔法が使えないと思われていたシャーロットだったが、実は強大な魔力を秘めており… さらに学園に通ったことが王族や王子とも出会うきっかけになり…

虐げられてる私のざまあ記録、ご覧になりますか?

リオール
恋愛
両親に虐げられ 姉に虐げられ 妹に虐げられ そして婚約者にも虐げられ 公爵家が次女、ミレナは何をされてもいつも微笑んでいた。 虐げられてるのに、ひたすら耐えて笑みを絶やさない。 それをいいことに、彼女に近しい者は彼女を虐げ続けていた。 けれど彼らは知らない、誰も知らない。 彼女の笑顔の裏に隠された、彼女が抱える闇を── そして今日も、彼女はひっそりと。 ざまあするのです。 そんな彼女の虐げざまあ記録……お読みになりますか? ===== シリアスダークかと思わせて、そうではありません。虐げシーンはダークですが、ざまあシーンは……まあハチャメチャです。軽いのから重いのまで、スッキリ(?)ざまあ。 細かいことはあまり気にせずお読み下さい。 多分ハッピーエンド。 多分主人公だけはハッピーエンド。 あとは……

(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?

青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。 けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの? 中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

【完結】結婚しておりませんけど?

との
恋愛
「アリーシャ⋯⋯愛してる」 「私も愛してるわ、イーサン」 真実の愛復活で盛り上がる2人ですが、イーサン・ボクスと私サラ・モーガンは今日婚約したばかりなんですけどね。 しかもこの2人、結婚式やら愛の巣やらの準備をはじめた上に私にその費用を負担させようとしはじめました。頭大丈夫ですかね〜。 盛大なるざまぁ⋯⋯いえ、バリエーション豊かなざまぁを楽しんでいただきます。 だって、私の友達が張り切っていまして⋯⋯。どうせならみんなで盛り上がろうと、これはもう『ざまぁパーティー』ですかね。 「俺の苺ちゃんがあ〜」 「早い者勝ち」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結しました。HOT2位感謝です\(//∇//)\ R15は念の為・・

(完結)その女は誰ですか?ーーあなたの婚約者はこの私ですが・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はシーグ侯爵家のイルヤ。ビドは私の婚約者でとても真面目で純粋な人よ。でも、隣国に留学している彼に会いに行った私はそこで思いがけない光景に出くわす。 なんとそこには私を名乗る女がいたの。これってどういうこと? 婚約者の裏切りにざまぁします。コメディ風味。 ※この小説は独自の世界観で書いておりますので一切史実には基づきません。 ※ゆるふわ設定のご都合主義です。 ※元サヤはありません。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

【完結】残酷な現実はお伽噺ではないのよ

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
「アンジェリーナ・ナイトレイ。貴様との婚約を破棄し、我が国の聖女ミサキを害した罪で流刑に処す」 物語でよくある婚約破棄は、王族の信頼を揺るがした。婚約は王家と公爵家の契約であり、一方的な破棄はありえない。王子に腰を抱かれた聖女は、物語ではない現実の残酷さを突きつけられるのであった。 ★公爵令嬢目線 ★聖女目線、両方を掲載します。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 2023/01/11……カクヨム、恋愛週間 21位 2023/01/10……小説家になろう、日間恋愛異世界転生/転移 1位 2023/01/09……アルファポリス、HOT女性向け 28位 2023/01/09……エブリスタ、恋愛トレンド 28位 2023/01/08……完結

処理中です...