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14.エイト
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父は悩みに悩んだ。
それは仕方ないことだった。
僕の魔力は皇太子殿下に次ぐほど多くすごく買われていたのだ。剣の技術も有望視され、将来的に皇太子の近衛兵として仕えるだろうといわれていたから。
でも、アミーの方が僕にとって優先だった。
父どころか、宰相も巻き込み話し合いの場を設けられるほどだった。
とうとう、国王陛下の弟であるターナ様の元に養女になる事が決まったのだ。
なぜターナ様かと言うと、アミーの素性がわからなかったからだ。
捜索をしたものの、どこの国からも捜索願いは出されていなかった。
ただ、アミーに似た『聖女』がいると言う噂を頼りに探してみると、その国にアミーににた『聖女』がいた。
『聖女』には双子の姉がおり、少し前にその双子の姉が事故で亡くなっていると言うものはあった。
そこで、詳しく調べてみると、その双子の姉は家から出ることもなかったらしく、情報と言う情報が得られなかった。
最後に見たのは隣国の瘴気の森だと言う。
それ以後は誰も見ていない。
その森の近くを流れる川は、アミーを拾った川に繋がっている。
アミーは『聖女』の双子の姉に違いないだろう。
だか、アミーを保護した時の状態や自分の事を忘れていることから、『素性がわからない』ままでいいと判断されたのだ。
そして、僕との身分の釣り合いや、他から文句を言わせないため、王弟殿下であるターナ様が選ばれたのだ。
アミーはターナ様にも気に入られた。
1人の兄と2人の姉ができた事をアミーは喜んだ。
セシルは離れたことに怒っていたが、いずれ僕と結婚する事で義姉妹になれるということで納得したのだった。
婚約も決まり、僕は心置きなく学園生活を送る事ができた。
最終学年になって、1人の留学生が入ってきた。
カイトである。
家庭に事情があるようで、家族の話は一切しなかった。
なぜだか、気が合いよく話すようになった。
彼に妹と婚約者自慢をすることもあった。
いい機会だと思い、偶然を装って、皇太子殿下とアミーが我が家にくる日に合わせて、彼を招いた。
だが、それはアミーの心を砕くことになった。
カイトがアミーに向かって「ミィ」と呟いたのだ。
ぬかっていた。
アミーのことを調べたというのに、『聖女』
に気を取られ、他の兄妹について、流していたのだ。
カイトがアミーの兄であることを意識していなかった。
なにより、カイトが「ミィ」の存在を覚えているとは思わなかった。
アミーは絶叫した。
今までにも聞いた事がない悲痛な悲鳴。
僕はアミーを抱きしめた。
血の気が引いた真っ白に息がつまる。
愚かな自分を殴りたかった。
それは仕方ないことだった。
僕の魔力は皇太子殿下に次ぐほど多くすごく買われていたのだ。剣の技術も有望視され、将来的に皇太子の近衛兵として仕えるだろうといわれていたから。
でも、アミーの方が僕にとって優先だった。
父どころか、宰相も巻き込み話し合いの場を設けられるほどだった。
とうとう、国王陛下の弟であるターナ様の元に養女になる事が決まったのだ。
なぜターナ様かと言うと、アミーの素性がわからなかったからだ。
捜索をしたものの、どこの国からも捜索願いは出されていなかった。
ただ、アミーに似た『聖女』がいると言う噂を頼りに探してみると、その国にアミーににた『聖女』がいた。
『聖女』には双子の姉がおり、少し前にその双子の姉が事故で亡くなっていると言うものはあった。
そこで、詳しく調べてみると、その双子の姉は家から出ることもなかったらしく、情報と言う情報が得られなかった。
最後に見たのは隣国の瘴気の森だと言う。
それ以後は誰も見ていない。
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だか、アミーを保護した時の状態や自分の事を忘れていることから、『素性がわからない』ままでいいと判断されたのだ。
そして、僕との身分の釣り合いや、他から文句を言わせないため、王弟殿下であるターナ様が選ばれたのだ。
アミーはターナ様にも気に入られた。
1人の兄と2人の姉ができた事をアミーは喜んだ。
セシルは離れたことに怒っていたが、いずれ僕と結婚する事で義姉妹になれるということで納得したのだった。
婚約も決まり、僕は心置きなく学園生活を送る事ができた。
最終学年になって、1人の留学生が入ってきた。
カイトである。
家庭に事情があるようで、家族の話は一切しなかった。
なぜだか、気が合いよく話すようになった。
彼に妹と婚約者自慢をすることもあった。
いい機会だと思い、偶然を装って、皇太子殿下とアミーが我が家にくる日に合わせて、彼を招いた。
だが、それはアミーの心を砕くことになった。
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なにより、カイトが「ミィ」の存在を覚えているとは思わなかった。
アミーは絶叫した。
今までにも聞いた事がない悲痛な悲鳴。
僕はアミーを抱きしめた。
血の気が引いた真っ白に息がつまる。
愚かな自分を殴りたかった。
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