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わたしには両親とふたつ上の兄、そして双子の妹がいる。
妹が生まれた時に光が満ちたらしい。
お父様もお母様もそんな妹を優しく迎えたと言う。
その光は広大なものだったらしく、王家と神殿から人が派遣され妹は『聖女』と認定された。
妹の名前は『フィオナ・エイレス』
わたしの名前は『ミィ』
妹は母につけてもらったフィオナと神官から聖女の名、エイレスを持つ。
わたしは、乳母がつけてくれた。妹が生まれた瞬間から乳母に預けられた。
名前も、いっこうにつけてくれず、乳母がやもえずにつけたのだ。
わたしはこの家ではいない子。
忘れられた子。
わたしの親は乳母と父の執事。
二人が時間がある時に見てくれた。
実の父も母も兄も、妹が大切。
神様から預けられた妹を護るのに必死。
使用人たちも必死だった。
妹に何かあってはいけないから。
わたしには構ってられないのだ。
わたしは全て一人でする。
着替えも、食事も。
乳母は妹の世話もある。
執事は後継である兄のことがある。
わたしは、いらない子。
周りを見て、感じて邪魔にならないようする。
一人でいる。
最低限の生活を送る。
家族旅行で置いていかれることもある。
小さなお茶会にさえ行ったことがない。
粗末な服に粗末なご飯。
妹は華やかな服に、豪華なご飯。
そして、きちんとした家庭教師。
『聖女』としての教養。
『聖女』の仕事。
『聖女』だから、当たり前だとメイドが言っていた。
わたしには必要ないらしい。
乳母が、執事が教えてくれる。
言葉を、文字を、数を、歴史を。
本をくれる。
わたしは一人で静かに読む。
一人で学んだ。
10歳のころ、隣国に旅行に行った。
旅行といっても、瘴気が発生したと言うことで妹が浄化しに行くことになったのだ。
乳母が掛け合ってくれたおかげで、わたしもいける事になった。
はじめての国外。
いや、それ以前にはじめての外の世界だった。
わたしは浮かれていたのか、メイドたちに我儘を言わないように忠告された。
3日かけて隣国に行く。
じっと我儘一つ言わなかった。
妹はお尻が痛い、お腹がすいたと無理を言っていたらしい。
でも、我儘を言ったのはわたしになっていた。
わたしがわがままを言って周りを困らせたと。乳母は庇ってくれたが、妹と顔が似ているので、全てがわたしのしたことにすり替わっていた。
宿に行ってもわたしは一人で留守番。
観光したい妹には護衛がたくさんつくので、わたしは留守番をした方がいいのだと言われた。
カーテンの隙間から窓から外を覗く。
温かな灯りを見て、羨ましかった。
妬ましかった。
騒がしい喧騒。
楽しそうな声。
混じって見たかった。
触って見たかった。
胸がじくじくと痛かった。
寂しかった。
全てを、我慢した。
妹が生まれた時に光が満ちたらしい。
お父様もお母様もそんな妹を優しく迎えたと言う。
その光は広大なものだったらしく、王家と神殿から人が派遣され妹は『聖女』と認定された。
妹の名前は『フィオナ・エイレス』
わたしの名前は『ミィ』
妹は母につけてもらったフィオナと神官から聖女の名、エイレスを持つ。
わたしは、乳母がつけてくれた。妹が生まれた瞬間から乳母に預けられた。
名前も、いっこうにつけてくれず、乳母がやもえずにつけたのだ。
わたしはこの家ではいない子。
忘れられた子。
わたしの親は乳母と父の執事。
二人が時間がある時に見てくれた。
実の父も母も兄も、妹が大切。
神様から預けられた妹を護るのに必死。
使用人たちも必死だった。
妹に何かあってはいけないから。
わたしには構ってられないのだ。
わたしは全て一人でする。
着替えも、食事も。
乳母は妹の世話もある。
執事は後継である兄のことがある。
わたしは、いらない子。
周りを見て、感じて邪魔にならないようする。
一人でいる。
最低限の生活を送る。
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そして、きちんとした家庭教師。
『聖女』としての教養。
『聖女』の仕事。
『聖女』だから、当たり前だとメイドが言っていた。
わたしには必要ないらしい。
乳母が、執事が教えてくれる。
言葉を、文字を、数を、歴史を。
本をくれる。
わたしは一人で静かに読む。
一人で学んだ。
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旅行といっても、瘴気が発生したと言うことで妹が浄化しに行くことになったのだ。
乳母が掛け合ってくれたおかげで、わたしもいける事になった。
はじめての国外。
いや、それ以前にはじめての外の世界だった。
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3日かけて隣国に行く。
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でも、我儘を言ったのはわたしになっていた。
わたしがわがままを言って周りを困らせたと。乳母は庇ってくれたが、妹と顔が似ているので、全てがわたしのしたことにすり替わっていた。
宿に行ってもわたしは一人で留守番。
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妬ましかった。
騒がしい喧騒。
楽しそうな声。
混じって見たかった。
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胸がじくじくと痛かった。
寂しかった。
全てを、我慢した。
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